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BMWのSUVクーペ「X2」の2代目が登場!初のEVも揃え「X1」で“走り”に勝る

第2世代となったBMWのコンパクトSUV「X2」が、2023年10月に発売された。グレードラインアップや価格については、以下のとおりだ。

■BMW「X2」のグレードラインアップと価格
※価格はすべて税込
-ガソリンエンジン搭載車-
X2 xDrive20i M Sport:6,280,000円(4WD)
X2 M35i xDrive:8,100,000円(4WD)
-電気自動車-
iX2 xDrive30 M Sport:7,420,000円(4WD)

BMW「X2」の2代目(全面改良モデル)の販売が開始された。画像は、「X2」では初となる電気自動車「iX2」

BMW「X2」の2代目(全面改良モデル)の販売が開始された。画像は、「X2」では初となる電気自動車「iX2」

新型「X2」の日本における納車日は、「X2 xDrive20i」(628万円)が2024年第一四半期以降、「X2 M35i xDrive」(810万円)、および「iX2 xDrive30」(742万円)は2024年第二四半期以降が予定されている。

「X1」をベースとした都会的なSUVクーペ

「X2」は、Xモデルらしいオフロード性能と都会的な存在感をあわせ持つ「SAC」(BMW独自の表現で「スポーツアクティビティクーペ」の略)だ。スタイリッシュなクーペデザインが「SAC」の大きな特徴で、都会でも郊外においても、さまざまな走行シーンに適したモデルとして位置づけられている。ちなみに、「X2」は「SAC」の最もコンパクトなモデルで、そのほか上位モデルの「X4」や「X6」などがラインアップされている。

「X2」は「X1」をベースとして、2018年に初代モデルが誕生した。そして今回のフルモデルチェンジでは、2023年2月下旬に先だってデビューした新型「X1」をベースとしながら、外装から内装まで大幅な変更が施されている。

エクステリアは、フロントデザインは大型の「キドニーグリル」と新意匠のアダプティブLEDヘッドライトが特徴的だ。また、「キドニーグリル」が光る「アイコニックグロー」については、日本仕様では全車に標準装備される。

新型「X2 M35i xDrive」のフロントイメージ。同モデルは、「X2 xDrive20i M Sport」よりも走行性能が高められたハイパフォーマンスモデルだ(詳細は後述)

新型「X2 M35i xDrive」のフロントイメージ。同モデルは、「X2 xDrive20i M Sport」よりも走行性能が高められたハイパフォーマンスモデルだ(詳細は後述)

リヤデザインは、ワイドで力強さを強調させる水平方向のキャラクターラインと、立体的なLEDリアコンビネーションライトが印象的だ。サイドデザインは、ドアハンドルをドアパネルと一体化させた「フラッシュハンドル」の採用によって、空力特性にもすぐれたデザインが採用された。

新型「X2 M35i xDrive」のリアイメージ。「X2 xDrive20i M Sport」にはフラットなブラックのリアスポイラーが装着されているが、「X2 M35i xDrive」は立体的なデザインのものが採用されている

新型「X2 M35i xDrive」のリアイメージ。「X2 xDrive20i M Sport」にはフラットなブラックのリアスポイラーが装着されているが、「X2 M35i xDrive」は立体的なデザインのものが採用されている

ビー・エム・ダブリュー BMWブランド・マネジメント・ディビジョン プロダクト・マネージャーのプリュボ・ケビンさんは、今回のフルモデルチェンジにおいてはスタイリングの変更が最も大きいと言う。特に、「リアのルーフラインを見ていただきたいのです」とケビンさん。

BMWブランド・マネジメント・ディビジョン プロダクト・マネージャーのプリュボ・ケビンさん

BMWブランド・マネジメント・ディビジョン プロダクト・マネージャーのプリュボ・ケビンさん

全長が伸びたことで後席と荷室が拡大

欧州仕様ではあるが、全長を新型と先代で比較すると、新型は約180mm伸びた。フロントオーバーハングがプラス31mm、リアオーバーハングがプラス141mm、ホイールベースがプラス22mm延長されている。これによって、後席の広さが40mm広がるとともに、荷室容量も拡大した。

後席は、大人3名が座れる空間が確保されるとともに、40:20:40分割可倒シートの採用によってラゲッジスペースを有効活用できる。「X2」(グレードは「M35i xDrive」)のラゲッジスペースは大人3名乗車時で560Lと、「X1」よりも大きい。そして、リアシートを前方にすべて倒すことで、最大1,470Lにまで拡大する。

新型「X2」の後席(上)とラゲッジルーム(下)

新型「X2」の後席(上)とラゲッジルーム(下)

BMWは新型「X2」において、上記のような機能面とともに、実はルーフラインの延長によって伸びやかなスタイリングを実現したかったのだという。その結果として、「『X4』などと同じように、『SAC』らしいスタイリングを実現できました」とケビンさん。

先代の「X2」はほかの「SAC」よりもクロスオーバー寄りだったこともあって、今回のようなデザイン変更につながったようである。

メーターやシフトスイッチなども刷新

インテリアは、「BMWカーブド・ディスプレイ」の採用や「iDriveコントローラー」の廃止など、ユーザーインターフェイスが大きく変更されているのが特徴的だ。

「BMWカーブド・ディスプレイ」は、大型のメーターパネルとコントロールディスプレイを一体化させたもの。運転席側へと傾けることによって、視認性やタッチによる操作性が高められている

「BMWカーブド・ディスプレイ」は、大型のメーターパネルとコントロールディスプレイを一体化させたもの。運転席側へと傾けることによって、視認性やタッチによる操作性が高められている

新型「X2」はシフトレバーが廃され、センターアームレストに主要な操作系のスイッチなどがすべて収められている

新型「X2」はシフトレバーが廃され、センターアームレストに主要な操作系のスイッチなどがすべて収められている

「X1」よりも走りを重視

搭載されるパワートレインはガソリンエンジン2種類と電気1種類の計3種類。

「X2 xDrive 20i」は、最高出力204ps/5,000rpm、最大トルク300Nm/1,450-4,500rpmを発揮する2.0L直列4気筒ターボガソリンエンジンに、7速ダブルクラッチトランスミッション、そして「アダプティブMサスペンション」が装着されている。

「X2 M35i xDrive」は、BMW M社が開発するMパフォーマンスモデルだ。最高出力317ps/5,750-6,500 rpm、最大トルク400Nm/2,000-4,500rpmを発生させる2.0L直列4気筒ターボガソリンエンジンに、左のパドルシフトを1 秒間引くことで、すべてのパワートレインとシャシー・システムを最もスポーティーな設定に切り替えられる「Mスポーツブースト機能付き7速ダブルクラッチトランスミッション」、4輪駆動システムの「xDrive」、フロントアクセルに組み込まれた機械式リミテッドスリップデファレンシャル、「アダプティブMサスペンション」などが組み合わされたスポーティーな仕様である。

新型「X2 M35i xDrive」の走行イメージ。最大時速は250キロでリミッター作動

新型「X2 M35i xDrive」の走行イメージ。最大時速は250キロでリミッター作動

そして、電気自動車の「iX2 xDrive30」は、システムトータルでの最高出力が272ps、最大トルクは494Nmを発生させ、0-100km/hを5.6秒で駆けぬける俊足を誇っている。ボディ床下に収納されているリチウムイオン電池のバッテリー容量は66.5kWhで、一充電での走行可能距離は417〜449kmとされる。

ケビンさんによると、「『X1』はどちらかと言うと使いやすさや快適性、ライフスタイルに重きを置いています。いっぽう『X2』は、クルマを通じてお客様ご自身の個性をよりいっそう表現していただき、走りをよりダイナミックに楽しんでいただくところに重きを置いています。そのため、ステアリングの重さも若干変えてあります」と、「X1」との差別化についても強調した。

※スペックなどの数値は欧州車の値

ボディサイズは拡大したもののデザインが進化し装備も充実

前述したように、新型「X2」のボディサイズは若干拡大している。全長4,554mm、全幅1,845mm、全高1,575mm、ホイールベース2,692mm(「X2 xDrive20i」の欧州値)であるが、先代は全長4,375mm、全幅1,825mm、全高1,535mm、ホイールベース2,670mm(「X2 xDrive20d」の日本仕様)である。

これまで、「X2」を購入していたユーザーの一部は、“全高”を購入ポイントに挙げていた。日本の機械式駐車場の多くに「全高1,550mmまで」という制限があり、それをクリアできたからだ。しかし、新型では本国に強く要望を入れていたようだが、残念ながらそれを20mmオーバーする結果となってしまったのは少し残念である。

「X1」をベースとしながらも先代よりも「X1」との差別化がさらに図られた「X2」。全高が1,550mmを上回ったことは少々残念ではあるが、それ以上に装備の充実やデザイン面において進化を遂げているようだ。新型「X2」は、「X1」とはデザイン面はもとより、ステアリングが重くなるなど走行面においても大きく差別化されているようなので、走りのよさも期待できそうだ。

(写真:中野英幸、内田千鶴子、ビー・エム・ダブリュー)

内田俊一
Writer
内田俊一
1966年生まれ。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も行いあらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。
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桜庭智之(編集部)
Editor
桜庭智之(編集部)
自動車専門メディアで編集者として10年間勤務した後「価格.comマガジン」へ。これまで、国産を中心とした数百の新型車に試乗しており、自動車のほかカーナビやドラレコ、タイヤなどのカー用品関連も担当する。
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