2024年3月22日〜3月24日で開催された「第51回 東京モーターサイクルショー」に集結したバイクの中から、バイクファンの目線で気になるモデルをピックアップして紹介する。
ほぼ毎年「東京モーターサイクルショー」の取材をしている筆者。どんなマシンや技術に出会えるのか、楽しみだ
「レブル250」や「GB350」、「CT125・ハンターカブ」など、各クラスでヒットモデルを飛ばしているホンダは、クラシカルさを増した単気筒マシンや、注目の新技術を搭載したモデルを出展。
空冷単気筒のエンジンを搭載し、このクラスのベストセラーモデルとなっている「GB350」のバリエーションモデル。シートが前後分割式になり、マフラー形状は「キャブトン」と呼ばれるクラシカルなデザインを採用している。ライトやフロントフォークにカバーが追加されるなど、空冷単気筒が全盛だった時代のマシンに近い雰囲気だ。
1950〜60年代のマシンのようなクラシカルな仕上がりの「GB350 C」。発売時期や価格などは未発表
「GB350 C」のルックスは、ファンが多い空冷フィンの美しい単気筒エンジンにマッチしており、人気が出そう
自動制御のクラッチ機構「Eクラッチ」を搭載しているのが注目ポイント。変速時はもちろん、停止時や発進時まで自動でクラッチを操作してくれる機構で、ライダーはシフトレバーの操作だけで変速できる。ツーリング時の疲労を軽減してくれるが、クラッチレバーは装備されているので、好みに応じてクラッチ操作も可能だ。
水冷4気筒のエンジンを搭載し、マフラー形状も美しい「CB650R」。発売時期などは未発表
「Eクラッチ」機構はコンパクトで、既存のモデルにも追加しやすそう。今後搭載モデルが増えることが予想される
フルカウルをまとった「CBR650R」にも「Eクラッチ」機構が搭載される。こちらも発売時期などは未発表
同社のスポーツネイキッドマシンに採用されていた「ホーネット」の車名が久々に復活! 新開発のスチール製ツイン・スパー・フレームにリッタークラスの4気筒エンジンを搭載しており、スポーティーな走りが期待できる。アグレッシブなデザインのフロントマスクに加え、フロントフォークはショーワ製の倒立タイプで、リアも同じくショーワ製のモノショック。小ぶりなデザインのシートカウルも高い運動性能を予感させる。
ホンダのスポーツネイキッドの代名詞的な車名を復活させた「CB1000 ホーネット」。発売時期などは未発表
小型デュアルLEDヘッドライトを採用したフロントマスクは、欧州で人気のストリートファイター的なデザイン
往年の名車のデザインを復刻したフルカウルマシンが展示されていたヤマハブースにはやや年齢層が高いファンが集まっていた。筆者もその世代なので、心躍るものがある。
「ジャパンモビリティショー2023」で日本初披露されたマシンだが、本イベントで注目を集めていたのはアクセサリーのフルカウルをまとった2台。1980年代に名車とうたわれた「RZV500R」と「FZ400R」のカラーリングを模したデザインで、その時代を知る人にはたまらないルックスだろう。価格は未定だが、今年の夏頃の登場が見込まれている。
「FZ400R」をイメージしたカラーリングの「XSR900GP」。シートカウルは、ノーマルのシートにカバーをかぶせた構造を採用している
「RZV500R」のカラーを思い起こさせるデザインを採用したタイプ。フロントカウルのナックルガード部分も、往年のレーサーレプリカ的な仕上がりだ
こちらはノーマルのハーフカウルタイプ。かつてのワークスマシン「YZR500」をイメージしたカラーを採用している
上で紹介した「XSR900GP」に搭載している3気筒エンジンと同じパワーユニットを搭載する「MT-09」の新型モデル。このマシンのヒットがあったからこそ「XSR」シリーズも生まれたと言えるほどの人気モデルで、高い運動性能とアグレッシブなデザインが世界的に支持されている。新型はフロントカウルのデザインを一新し、さらに近未来的な尖ったイメージが高まった。
2021年にフルモデルチェンジしているため、今回はマイナーチェンジ。価格は1,254,000円(税込)で、2024年4月17日発売予定
歴代モデルも個性的なデザインが印象的だが、新型もかなりインパクトのある仕上がり
888ccの3気筒エンジンや骨格は従来モデルと同じだが、ライディングポジションや剛性バランスなどが見直されている
230ccの空冷エンジンを搭載したオフロードタイプのマシンと、クラシカルなイメージのマシンに来場者の人気を集めていた。これまでにない先進機能を備えたマシンもあり、興味をそそる。
扱いやすいオフロードバイクとして定評があったものの、排出ガス規制の影響で2022年に姿を消した「KLX230」が復活予定。事前にアナウンスされていたが、実物を見ると従来モデルよりも垢抜けた印象に進化していた。
日本国内での発売が見込まれている「KLX230」。日本では車種が限られてきているオフロード車の復活は歓迎したい
従来モデルに比べるとライトカウルの形状が薄型になるなど、見た目もブラッシュアップされている
2022年10月のわずかな期間だけ日本で販売され評価が高かった、オンロードタイヤを履いた「KLX230SM」も展示されていた。従来の正立フォークではなく、倒立フォークを採用するなど細部が変更されている。発売時期や価格などは未発表だが期待して待ちたい。
前後17インチのオンロードタイヤを履いた「KLX230SM」。2022年に試乗し、好印象だったので復活はうれしい
「KLX230/SM」と同じ空冷エンジンを搭載したクラシックイメージのロードモデル。「メグロS1」と「W230」の基本設計は共通だが、かつてカワサキが吸収したバイクメーカー「メグロ」の名を冠した「メグロS1」は、メッキ処理が施されたタンクを採用するなどやや高級感あるルックスで、カワサキのレトロシリーズである「W」を冠する「W230」は、クラシカルな雰囲気に仕上げられている。
黒を基調としたカラーにメッキパーツが映える「メグロS1」。価格や発売時期などは未発表
ホワイトのカラーを基調とした「W230」。かつての「エストレア」を思わせるデザインだ
2車種とも、スポークホイールにキャブトンタイプのマフラーを採用
ハイブリッドのパワートレーンを搭載する「Z7 Hybrid」も見逃せない。451ccの2気筒エンジンに、モーターを組み合わせたストロングハイブリッドで、大排気量車並の加速を実現しているとのこと。6速のボタンシフトミッションを備えているので、モーターのトルクを生かした加速感が味わえそう。EV走行を含む3つのドライブモードなど、今までにない先進機能を搭載している。発売時期などは未定だが正式アナウンスが待ち遠しい。
同社にはスーパースポーツの「Ninja 7 Hybrid」というストロングハイブリッド車がすでに発売されているが、「Z7 Hybrid」はネイキッドスタイル。パワートレーンは共通
EVではなくハイブリッドマシンなのでマフラーも存在する。近未来感が漂うデザインだ
スズキは既に市販されているモデルが中心。手堅い展示とも言えるが、小排気量車から大型マシンまで幅広いラインアップが揃えられていた。その中から、フルカウルをまとった高性能車でありながら扱いやすそうな2モデルを紹介しよう。
2024年1月に発売された、スポーツツアラーとアドベンチャーを融合させたクロスオーバーモデル。フルカウルをまとったスタイリングはスポーツマシンのようだが、アップライトな乗車姿勢によりロングツーリングでも疲れにくい。路面の凹凸を検知しサスペンションの制御量を自動で切り替える「スズキロードアダプティブスタビライゼーション(SRAS)」を搭載しており、荒れた道のツーリングも快適。
「GSX-S1000GX」のメーカー希望小売価格は1,991,000円(税込)。ツーリングライダーにとっては気になる存在だろう
倒立フォークにブレンボのブレーキシステムを搭載。足回りは本格的で、運動性能が確保されている
展示車にはオプションのパニアケースも装着されていた。シートの厚みが確保されていて座り心地がよさそう
2023年に発売され、高い評価を得ている「GSX-8S」にフルカウルを装備したモデル。ハンドルもアップタイプではなくセパレートタイプに変更されている。独自のバランサー機構を採用した並列2気筒エンジンは、パルス感がありながらも不快な振動が除去されており、快適性と運動性能を両立。ワインディングでスポーツライディングが楽しめるマシンだが、低過ぎないハンドルによりツーリングも快適にこなせそうだ。
カウルのデザインはスポーティーで、俊敏な走りを予感させる「GSX-8R」。メーカー希望小売価格は1,144,000円(税込)
倒立フォークにラジアルマウントのキャリパーと、足回りの装備もスポーツマシンらしいもの
776ccの2気筒エンジンは、振動がないのにパルス感はあってパワフルという不思議な乗り味に仕上がっている
海外ブランドのブースは、最近、電動バイクの出展が増えている印象。その中でも先進的と思えるマシンと、街中で見かける機会の増えているネイキッドマシンの最新型をピックアップしてみた。
軽二輪(250cc以上)クラスの電動マシンを積極的にリリースし、実際に乗っても先進的だと実感できるマシン作りをしているのがBMW。その最新モデルとなる「CE 02」の日本市場での発売がアナウンスされた。デザイン自由度の高い電動マシンならではのユニークな作りで、見ただけで先進的な走りを予感させる。筆者は過去に同社の電動バイクに乗ったことがあるが、デザイン先行ではなく走ってみても理にかなった作りだったので、「CE 02」の走行性能にも期待できるだろう。
コンセプトモデルがそのまま市販されたかのようなルックスの「CE 02」。メーカー希望小売価格は1,250,000円(税込)で、4月26日発売予定
後輪のほうが大きい前後異径というほかではあまり見ない構造。どんな乗り味になっているのか非常に気になる
近年、好調な売上を記録しているKTMの「DUKE」シリーズには、1000ccオーバーから125ccまで幅広い排気量のモデルがラインアップされているが、今回ピックアップしたのは、フレームからエンジンまで一新した新型「390 DUKE」。398.7ccの水冷単気筒エンジンを搭載し、最高出力45PSとパワフルなスポーツマシンで、シリーズの中でも日本では中核的な存在だ。
新型「390 DUKE」のメーカー希望小売価格は789,000円(税込)。個性的だったデザインがさらにアグレッシブになっている
エンジン、フレームが変更され、リアサスペンションのレイアウトも変わっている。排気管の膨らみが個性的だ