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「カローラクロス」vs「ヴェゼル」売れているコンパクトSUV対決!内外装編

今回は、全長が4,500mm以下のコンパクトSUV、トヨタ「カローラクロス」とホンダ「ヴェゼル」の2台の内外装を比較してみよう。

2024年上半期(1〜6月)の1か月平均登録台数は、「カローラクロス」が約6,670台で、「ヴェゼル」が約7,360台。どちらも、小型・普通車販売ランキングで上位にランクインしている人気車だ。

ボディサイズ、視界、取り回しのしやすさを比較

まずは、ボディサイズから。「カローラクロス」は、全長4,490mm、全幅1,825mm、全高1,620mm。対する「ヴェゼル」は、全長4,340mm、全幅1,790mm、全高1,590mm(e:HEV・Z)。「ヴェゼル」は、「カローラクロス」よりも150mm短く、35mm狭く、30mm低い。

エクステリアは、「カローラクロス」はフロントグリルの開口部が強調されており、天井も高めでSUVらしい存在感の強い外観デザインだ。対する「ヴェゼル」は、フロントマスクがシンプルで天井も少し低く、ハッチバックに近い都会的なクロスオーバーSUVという印象を受ける。

「カローラクロス」のフロントエクステリア

「カローラクロス」のフロントエクステリア

「ヴェゼル」のフロントエクステリア

「ヴェゼル」のフロントエクステリア

運転席に座ると、両車ともにボンネットがよく見えて、前方左右の端がわかりやすい。サイドウィンドウは、「カローラクロス」は下端が低く抑えられており、側方視界は良好だ。対する「ヴェゼル」は、サイドウィンドウの下端が少し高いので、側方視界は若干削がれる。

「カローラクロス」のリアエクステリア

「カローラクロス」のリアエクステリア

「ヴェゼル」のリアエクステリア

「ヴェゼル」のリアエクステリア

側方視界が異なる理由として、「カローラクロス」はSUVらしい外観を強調するためにウィンドウの面積が広げられているが、「ヴェゼル」は都会的で塊感のある外観を演出するため、ウィンドウの上下幅を狭めてドアパネルの厚みを強調しているからだ。2車のデザインの違いが、視界に影響を与えている。

最小回転半径は、「ヴェゼル」は5.5m(e:HEV・Z)だが、「カローラクロス」はボディが大きいにもかかわらず5.2mに収まる。「カローラクロス」は、視界がよく小回りもきくので運転がしやすい。

結論:
前方視界はどちらも良好
側方視界は「カローラクロス」のほうが見やすい
小回りは「カローラクロス」のほうがしやすい

内装のデザインや質感、使い勝手を比較

今回の試乗車のグレードは、「カローラクロス」がハイブリッドZ、「ヴェゼル」はe:HEV・Zだ。

「カローラクロス」のインパネは、中央から左右のドアトリムまでつながったデザインにすることで、室内空間の広さが表現されている

「カローラクロス」のインパネは、中央から左右のドアトリムまでつながったデザインにすることで、室内空間の広さが表現されている

「ヴェゼル」のインパネは、かたまり感によってSUVの力強さを表現。また、体が触れる箇所には柔らかなパッドがあしらわれている

「ヴェゼル」のインパネは、かたまり感によってSUVの力強さを表現。また、体が触れる箇所には柔らかなパッドがあしらわれている

2車の内装を比べると、どちらもコンパクトSUVとして満足できる質感だが、特に「ヴェゼル」の質感の高さに注目したい。

「ヴェゼル」は、空調のダイヤルスイッチや室内の装飾などが上質に仕上げられている。また、「ヴェゼル」には新設計のエアコンスイッチ、「そよ風アウトレット」がインパネの両端に装着されている。ダイヤルを回すことで、エアコン風が直接当たらず、乗員を包み込むようなやわらかい風の流れにできたり、風を左右に幅広く分散させたりできる。

「ヴェゼル」のエアコンダイヤルスイッチ

「ヴェゼル」のエアコンダイヤルスイッチ

メーターの視認性や操作性は互角だ。ATレバーは、両車とも前後にスライドさせるタイプなので、なじみやすい。「カローラクロス」と「ヴェゼル」は共通点も多い。

結論:
内装は「ヴェゼル」の質感が高い

前席の居住性を比較

前席の頭上や足元空間は、両車ともに同程度の広さで快適だ。フロントシートの座り心地は、「カローラクロス」は少し硬めで、長距離を移動するときの快適性や疲れにくさが重視されている。いっぽうの「ヴェゼル」は、少し柔軟でリラックスできるため、市街地での移動などに適している。

「カローラクロス」のフロントシート

「カローラクロス」のフロントシート

「ヴェゼル」のフロントシート

「ヴェゼル」のフロントシート

結論:
前席の広さはどちらも同じくらい
前席の座り心地は「カローラクロス」は硬めで「ヴェゼル」は柔らかめ

後席の居住性を比較

後席は、「カローラクロス」は頭上空間が高めなのだが、「ヴェゼル」は足元空間に余裕がある。身長170cmの大人4名が乗車したとき、後席に座る乗員の膝先空間は、「カローラクロス」は握りコブシ2つ弱だが、ヴェゼルは2つ半の余裕があって、広々とした印象を受ける。

座り心地は、「カローラクロス」はボリューム感があって快適だ。「ヴェゼル」は、シートアレンジを充実させた影響もあって、座面に少し底突き感がある。また、「ヴェゼル」はホイールベースの割に後席の足元空間が広く確保されている。そのため、後席に座る乗員の腰が後輪のホイールハウスに少し干渉することがあるので注意したい。後席とリヤホイールハウスの間隔は、「カローラクロス」は余裕があって、座り心地も自然な印象だ。

「カローラクロス」のリアシート

「カローラクロス」のリアシート

「ヴェゼル」のリアシート

「ヴェゼル」のリアシート

結論:
後席は「カローラクロス」は頭上が広く「ヴェゼル」は足元が広い
後席の座り心地は「カローラクロス」が快適

荷室やシートアレンジを比較

「カローラクロス」は、「ヴェゼル」よりも全長が長いのだが、後席の足元空間は少し狭い。だが、そのぶん荷室は広く、余裕を持たせている。

「カローラクロス」の荷室長は「ヴェゼル」よりも長く、リヤゲートの角度も立てられているので、背の高い荷物なども積みやすい。「カローラクロス」は、全長が4,500mm以下のSUVとしては、最も広い荷室を備えている。特に、後席を格納しない4名乗車時の積載性は、他車よりも圧倒的に広い荷室空間を備えている。

「カローラクロス」の荷室のリアシートを立てた状態(上)と倒した状態(下)

「カローラクロス」の荷室のリアシートを立てた状態(上)と倒した状態(下)

対する「ヴェゼル」は、シートアレンジが多彩だ。燃料タンクを前席の下に設置しているため、後席を低い位置で格納できて、床が平らなボックス状の荷室として使える。また、「ヴェゼル」は後席の座面を持ち上げて、前席の後ろ側に背の高い荷物を積むといったことも可能だ。両車の荷室は、それぞれ異なる特徴を持ち合わせている。

「ヴェゼル」の荷室のリアシートを立てた状態(上)と倒した状態(下)

「ヴェゼル」の荷室のリアシートを立てた状態(上)と倒した状態(下)

「ヴェゼル」はリアシートを持ち上げれば長尺物などを積み込める

「ヴェゼル」はリアシートを持ち上げれば長尺物などを積み込める

結論:
荷室は「カローラクロス」のほうが広い
「ヴェゼル」はシートアレンジが多彩で便利

まとめ

「カローラクロス」は、“実用性”を重視して開発されたSUVだ。「ヴェゼル」よりもボディが少し大きく、荷室容量に余裕がある。天井も高めなので、後席の乗降性も「ヴェゼル」よりすぐれている。さらに、ボディが大きい割に「ヴェゼル」よりも小回りがきき、視界もよいので運転しやすい。

対する「ヴェゼル」は、“居住性”に重点を置いて開発されている。内装は上質で、後席の足元空間が広く、4名乗車時の快適性は良好だ。さらに、シートアレンジや収納設備も充実している。2車の特徴を比較しながら、「カローラクロス」と「ヴェゼル」のどちらがよいか、検討して頂ければと思う。

(写真:島村栄二)

渡辺陽一郎
Writer
渡辺陽一郎
「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト
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桜庭智之(編集部)
Editor
桜庭智之(編集部)
自動車専門メディアで編集者として10年間勤務した後「価格.comマガジン」へ。これまで、国産を中心とした数百の新型車に試乗しており、自動車のほかカーナビやドラレコ、タイヤなどのカー用品関連も担当する。
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