“弾丸”試乗レポート
12年ぶりに登場したフォルクスワーゲンの7人乗りミニバン

同乗者の安全性も重視した新型「ゴルフトゥーラン」担当者インタビュー

フォルクスワーゲンのコンパクトミニバンである「ゴルフトゥーラン」の新型モデルが2016年1月12日に発表された。なんと12年ぶりのモデルチェンジとなる。今回は、日本仕様を決めるフォルクスワーゲングループジャパンの担当者に発表前に話を聞くことができた。新型のゴルフトゥーランは、どんなクルマになったのか?

12年ぶりにモデルチェンジされた、フォルクスワーゲンの小型ミニバン「ゴルフトゥーラン」、その国内担当者に、狙いや特徴をインタビューした

最新のMQBプラットフォームの採用で、数々の先進安全装備に対応

山谷浩之氏。
フォルクスワーゲングループジャパン マーケティング本部 プロダクト・マーケティング課。
日本向け仕様の調査および決定を行い、価格や装備などをドイツ本社と交渉する。トゥーランの国内での実質的な担当者

鈴木:最初におうかがいしますが、山谷さんの仕事は、どのようなものなのでしょうか?

山谷:日本で市場調査を行い、それをドイツ本国へ告げて、日本仕様を決めています。競合を見ながら、価格や装備を本社と交渉する役割です。

鈴木:では、最初に新型ゴルフトゥーランの特徴を教えてください。

山谷:そもそもゴルフトゥーランのよさは、コンパクトで運転が楽しめ、しっかりと7人が乗れることです。今回は、1年ぶりとなるフルモデルチェンジで、今のゴルフやパサートと同じ最新のMQBを使うことになり、現在のフォルクワーゲンが展開している最新の先進安全装備を使えるようになりました。

最新型ゴルフやパサートと共通するモジュール型プラットフォームのMQBを採用しており、数々の最新安全装備に対応している(写真のMQBはトゥーランのものとは異なる)

先進安全装備に関しては、競合でも衝突被害軽減自動ブレーキが標準化されてきていますが、ことミニバンにいたっては、セダンなどよりも遅れている状態です。それは私どものような欧州車だけでなく日本車に関してもですね。やはりミニバンは、ほかのクルマと比べて大人数が乗るもの。大人数が乗るからこそ、安全性が一番大切にしたほうがいいのではないかと、今、装備できる先進安全装備をなるべくたくさんつけて、安全なミニバンを作り上げていこうという考えがベースにございます。

鈴木:最新のプラットフォームなので、最新のモノが装備できるし、だからこそいっぱいつけようと?

山谷:そうですね。ただ、先進安全装備がついているから安全というのではありません。フォルクスワーゲンのクルマ作りがそもそも基本骨格からしっかりしていて、それがあったからこそ、先進安全装備をつけることで、100%の力を出せると思っています。いっぱいあればいいというわけではありません。

従来モデルと比較して全高は6mm低くなり、全長は120mm伸びた。ボディのワイド&ロー化が進んでいる

従来モデルと比較して全高は6mm低くなり、全長は120mm伸びた。ボディのワイド&ロー化が進んでいる

鈴木:なるほど。ちなみにサイズは大きくなっていますか?

山谷:全長が120mm伸びて、全幅も若干大きくなっています。ただ、全高は6mm小さくなって、ワイド&ローになりました。MQBプラットフォームを使って伸びた120mmのうち113mmをホイールベースの延長にあてています。それによって2列目の居住性は大幅にアップしています。また、2列目の座席にスライド機能がつくことによって、3列目の居住性も大幅にアップしています。それと3列目はワンタッチで乗り降りしやすいようになっています。3列目も、今までより断然快適になっていると思います。

鈴木:新型になって、安全性と居住性がアップしているのが、今回の大きな部分ですね?

山谷:あとは、デザインが最新のフォルクスワーゲン デザインを採用しています。今までは12年前のクルマを仕様変更してきました。そのデザインが刷新されて、パサートなどの最新モデルと横並びのデザインになっています。

伸びた全長のほとんどが、ホイールベースの伸長に充てられ、室内スペースは広くなった

伸びた全長のほとんどが、ホイールベースの伸長に充てられ、室内スペースは広くなった

2列目シートの居住性改善は大きな注目点。2列目シートをスライドさせることで3列目シートの居住性もよくなった

2列目と3列目シートをたたむことでフラットなフロアが現れる

2列目と3列目シートをたたむことでフラットなフロアが現れる

鈴木:12年ぶりだと、比べるのも大変ですよね。ふた昔前という感じですから。

山谷:これまでのベースは、ゴルフVの世代と同じでした。今のゴルフが7なので、6がない状態でゴルフトゥーランはきてしまいました。

“安全性”を重視する方が、古くからのゴルフトゥーランのお客さま

鈴木:ところで、これまでゴルフトゥーランは、日本のお客さまにどのように見られていたのでしょうか?

山谷:今までのお客さまに“なぜ、トゥーランを買ったのか?”と聞くと、答えは“安全性”だと。これまでのゴルフトゥーランには先進安全装備が装備されていませんでしたが、それでもクルマの骨格や9エアバッグを標準にしているとか、ヨーロッパで評価されているとか、そういったことをお客さまは評価していたようです。ミニバンをお客さまが買い求めるのは、お子様ができたなど、大事なものができたときです。または、大切な両親や友人を乗せる機会が多い方ですね。そういうことで、安全性を意識している方がゴルフトゥーランを選ばれるのかなと思います。

鈴木:ゴルフトゥーランを選ぶお客さまは、安全性のプライオリティが高い方が多かったのですね?

山谷:そうですね。そもそもフォルクスワーゲンを選んでいただけるお客さまは、安全の意識が高い方が多いので。

鈴木:単体ではなく、フォルクスワーゲン全体としてですね。

1.4リッター直列4気筒DOHCインタークーラー付ターボ+スーパーチャージャーエンジンを搭載。最高出力103kW(140PS)、最大トルク220Nmで、JC08モード燃費15km/lを達成

山谷:はい。フォルクスワーゲンにはゴルフトゥーランと「シャラン」というふたつのミニバンがあります。ボディサイズが違うだけでなく、シャランにはスライドドアがありますので、それがマストという方はシャランを選ぶ。いっぽう、トゥーランはコンパクトなので、奥様が乗ることを想定する方が多いんですね。週末は旦那さまが子どもを連れて旅行に行く。平日は、奥様が学校への送り迎えにと。コンパクトで取り回しのよいものということで、トゥーランを選んでいただけます。

鈴木:日本車のミニバンとは競合にならないのでしょうか? 競合はどういうクルマになりますか?

山谷:競合は、MPV(多人数乗車)で、Bセグメントにあたるクルマです。

鈴木:日本車でいえば「ステップワゴン」や「ノア/ヴォクシー」とかですね。

山谷:そうですね。でも、日本のMPVはすごく広い室内があって、至れり尽くせりの装備がついている。そう考えるとゴルフトゥーランとは、またキャラクターが違うかなと。今、うちで意識しているのはBMWの「グランツアラー」です。

鈴木:なるほど2シリーズですね。

山谷:これが出てきたのが、我々には大きな存在です。

鈴木:意外と日本の5ナンバーミニバンとは、キャラクター違いで、喰いあう存在じゃないのですね。

山谷:ゴルフトゥーランをご購入いただいたお客さまが、購入時にほかに何と比較していたかというと、価格的には、アルファードとかも候補に入ってきますし、あとステップワゴンやノア/ヴォクシーとかも入ってくることは入ってきますね。ただ、やはり日本の国産ミニバンを選んだ方は室内の広大な広さが理由だったりします。それに対して、ゴルフトゥーランは安全性です。国産ミニバンを選んだ方の理由には、安全性ってほとんど入ってきません。けっこうキャラクターが違うんですね。

鈴木:もともとゴルフトゥーランが選ばれてきた理由は安全性であって、それを今回は、より強化するものになったということですね。

ステアリング操作に連動する「ダイナミックコーナリングライト」を選択可能。能動的安全性も高い

ステアリング操作に連動する「ダイナミックコーナリングライト」を選択可能。能動的安全性も高い

カーテンエアバッグを含む6個のエアバッグを搭載するなど、高い受動的安全性を誇る

カーテンエアバッグを含む6個のエアバッグを搭載するなど、高い受動的安全性を誇る

山谷:ミニバンを購入される方は欲しいものが明確です。人数を乗せなきゃいけないからミニバンを選ぶ。そのときにどこを重視するのかで、クルマをどれにするか決まります。そのときに安全性を重視すると、ゴルフトゥーランに来ていただけます。クルマの中で寛ぎたいなという方は国産車に行きます。

鈴木:そこを無理に引っ張ってきても、無理なモノは無理?

山谷:やはり求めるものが違うと思います。

鈴木:なるほど。では走りの面は?

山谷:ゴルフトゥーランの強みとして、もともと走りのよさがあります。フォルクスワーゲン自体の走りのよさです。ですが、そこまで大きな数字として出てきていません。

鈴木:ミニバンを買う人が求めるのは、そこじゃないんでしょうね。

山谷:あまり、こういう言い方はしたくないのですけれど。世の中には、走りを犠牲にしている方もいらっしゃいますよね。旦那さんは走る楽しみを知っていますが、子どものことを考えて我慢していると。そういう方には、ぜひゴルフトゥーランに乗っていただきたいですね。

フォルクスワーゲンらしい走りのよさは継承される。ミニバンでも走る楽しさをあきらめたくないならよりよいチョイスとなるだろう

鈴木ケンイチ

鈴木ケンイチ

新車のレビューからEVなどの最先端技術、開発者インタビュー、ユーザー取材まで幅広く行うAJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。

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