日産自動車は、2016年8月24日に、ミニバン「セレナ」の5代目モデルを発表、発売を開始した。ミニバンで気になる利便性が向上するとともに、長距離移動時などにおけるドライバーの負担を軽減する注目の運転支援システム「プロパイロット」も搭載された。その詳細をレポートしよう。
俳優の山本耕史さんとダンサーのパパイヤ鈴木さんがゲストとして登場。セレナの魅力を体験した
5代目となる「セレナ」は、従来からからあった「家族のドライブをサポートするミニバン」という基本コンセプトを踏襲しつつ、前モデルより180mm広がった室内長などにより、定評のあった室内空間がさらに広がった。また、Aピラーのスリム化などにより、ミニバンの運転で気になる視界の確保も従来より向上している。
パワートレインは、最大出力110kw(150馬力)、最大トルク200Nmの2リッター直列4気筒のガソリンエンジンと、このエンジンに出力1.9kw(2.6馬力)のモーターを組み合わせたハイブリッドエンジンの2種類。トランスミッションはいずれもCVTだ。ガソリンエンジン搭載モデルの燃費は15km/l、ハイブリッドは最高で17.2km/l(いずれもJC08モードの値)だ。
フロントのデザインは、ややあっさりしていた従来モデルよりも迫力が増した
天井部分とボディ下部のカラーを分けるツートンカラーを含む、13色のカラーから選ぶことができる
すっきりしたリアデザイン。ウインドウも広く視界も良好そうだ
狭められたAピラーやメーターのレイアウト変更などにより、運転席からの眺めも今まで以上によくなっている
ヘッドレストに小さな穴があけられており、2列目シートや3列目シートからの見通しがよくなった
写真の2列目シートは3人がけのベンチシートだが、中央部分を折りたたみ、運転席と助手席の間に格納することで、セパレートシートとして使うこともできる
3列目シートを折りたたむことで広大な荷室が出現。豊富なシートアレンジは継承されており、利便性は高そうだ
利便性の点では、スライドドアをクルマに触れずに開けることのできる「ハンズフリーオートスライドドア」や、バックドア全体とドア上部のみの2通りの開け方を選べる「デュアルバックドア」を搭載する。さらに、2列目シートをシートベルトと一体化し、左右にスライドさせることで、2列目ユーザーが座ったままでも3列目シートへの乗降がしやすくなるなど、ミニバンユーザーが日ごろ感じやすい不満が解消されている。
「ハンズフリーオートスライドドア」は、キーを持ってスライドドアの前に立ち、ドアの下に足を軽く入れることで、手を使わずに開けることができる機能
バックドアの上部だけを開閉することもできる「デュアルバックドア」。壁に寄せて駐車しても荷物の積み下ろしが行いやすい
2列目シートは、レバー操作で左右にスライドする。また、シートベルトがシートと一体化していることで、2列目シートに座ったまま、3列目シートへの乗降が可能になった
新型セレナは、日産の持つ運転支援技術「プロパイロット」が初搭載されている点も注目だ。プロパイロットは、高速道路や自動車専用道路で、ドライバーが設定した車速(30〜100km/h)を上限に、先行車両との車間距離を一定に保つよう制御しつつ、車線中央を走行するようにレーンもキープするというもの。つまり、アクセルとブレーキ操作に加えて、ハンドル操作もクルマが行う点で、自動運転(オートパイロット)に一歩近づいた運転支援システムなのだ。プロパイロットを使えば、高速道路の巡航や渋滞時の操縦が大幅に軽減されるので、セレナのような比較的大型のミニバンで利用する機会の多い長距離の移動がよりラクに行えるだろう。
なお、プロパイロットは、X、G、ハイウェイスター、ハイウェイスターGの各グレードにオプションとなるが、これとは別に2017年3月までの期間限定でプロパイロットを搭載する特別仕様車「プロパイロットエディション」が用意される。これは、プロパイロットに加えて、踏み間違い防止アシスト機能といった安全装備や、ハンズフリーオートスライドドア、16インチのアルミホイールを組み合わせたもので、価格設定もリーズナブルに抑えられている。
パパイヤ鈴木さんが都市高速道路でプロパイロットを体験。アクセルやブレーキを操作せず、ハンドルに軽く手を添えるだけで高速道路を巡航できた