“ファミコン前夜”に誕生した「ゲーム&ウオッチ」が今よみがえる! それにしても、見れば見るほど、「ゲームボーイミクロ(ファミコンバージョン)」(画像中央)とよく似ているような……
「ミニファミコン」と「ミニスーファミ」に続く、任天堂からの新たな提案。「次の復刻ゲーム機はゲームボーイか?」という噂も一時ありましたが、まさかまさか、さらに昭和をさかのぼり、1980年発売の「ゲーム&ウオッチ」が現代によみがえるとは! 40代以上のリアルタイム世代なら、絶対に見過ごせないぞ!
※当記事では、「ゲーム&ウオッチ スーパーマリオブラザーズ」での「マリオ時計の秘密」や「遊びのヒント」に関するいくつかのネタバレを含みます。あらかじめご了承のうえ、お読みください。
そもそもゲーム&ウオッチは、1980年に発売された任天堂初の携帯型ゲーム機のこと。その約9年後に登場した携帯型ゲーム機「ゲームボーイ」(1989年発売)、2画面デザインの「ニンテンドーDS」(2004年)や「ニンテンドー3DS」(2011年発売)、さらに「携帯モード対応」という点では、現行の「Nintendo Switch」(2017年発売)も含めた、任天堂の携帯型ゲーム機の原点と言えるかもしれません。
ゲーム&ウオッチの例。画像左上から「ボール」、「フラッグマン」「ジャッジ」、画像左下から「ヘルメット」「ライオン」「パラシュート」 ※画像は任天堂ホームページより
こちらは、マルチスクリーンタイプのゲーム&ウオッチ。折りたたみ式の2画面デザインを見てわかるように、後のニンテンドーDS誕生に大きな影響をあたえたと言われています ※画像は任天堂ホームページより
そんなゲーム&ウオッチが今回、スーパーマリオブラザーズ35周年を記念して、「ゲーム&ウオッチ スーパーマリオブラザーズ」となって復活! 2021年3月までの期間限定生産となっているので、確実に手に入れたい方は、早めにチェックしておきましょう!
現代によみがえった、“古くて新しい”ゲーム&ウオッチ。80年代を感じさせるノスタルジックなデザインが所有欲を満たしてくれる!
ゲーム&ウオッチ スーパーマリオブラザーズのパッケージ。スーパーマリオ35周年ということもあって、スーパーマリオブラザーズのステージ「1-1」をイメージしたイラストが描かれています
と、思ったら! 透明のケースをスライドさせると、「ボール」の画面に変化するではないですか! このような遊び心、大好きです
こまかいところでは、パッケージのふたを開けたところにも、マリオとルイージの姿が。パッケージを開けただけで、ワクワクが止まりません
本体は、ワイシャツのポケットにもスッポリと収まるサイズです
本体の右側面にある電源ボタンを押して、電源を入れます。電源ボタンの下には、充電/給電用のUSB Type-Cポートを装備しています(給電中は常時表示が可能)。昭和のゲーム&ウオッチのように、ボタン型電池ではないですよ!
電源が入ると、マリオやルイージ、クリボーのイラストが出現。いよいよ、ゲーム&ウオッチ スーパーマリオブラザーズのスタートです
本体右上に配置された「PAUSE/SET」ボタンを押すと、哀愁ただようドット絵のメニュー画面が表示されます。ここでは、音量、画面の明るさ、時間を設定できます
ゲーム&ウオッチ スーパーマリオブラザーズは、ひとつの本体に、横スクロールアクションゲームの原点とも言える「スーパーマリオブラザーズ」(1985年発売)、泣く子も黙る高難易度(FOR SUPER PLAYERS!)の「スーパーマリオブラザーズ2」(1986年発売)、ゲーム&ウオッチの初代タイトル「ボール」(1980年発売)という3作品を収録。さらに、ゲームをプレイしない時は、デジタル時計の「マリオ時計」も楽しめます。
これだけの機能を備えながら、価格は手ごろな4,980円(税別)。個人的には、かなりおトクな買い物だと思います!
「GAME」ボタンを押すと、ゲーム選択メニューが表示。スーパーマリオブラザーズ、スーパーマリオブラザーズ2、ボールからゲームを選びます
スーパーマリオブラザーズのタイトル画面。当たり前ながら、「(C)1985-2020 NINTENDO」と書いてあるのがファミコン版と異なります!
任天堂伝統の十字ボタンも、しっかりと装備。Aボタン、Bボタンはゴム製! この感触だけで、幼いころの思い出がよみがえってきます。操作は多少の慣れが必要ですが、そこまで違和感はありません。握った感覚は、ファミコンのコントローラーが薄く、ややコンパクトになったイメージです
1986年、ファミリーコンピュータ ディスクシステム向けに発売されたのがスーパーマリオブラザーズ2。マリオシリーズらしからぬ“鬼ゲー”で、当時小学生だった筆者にとっては、もはや、トラウマをかかえるレベル。このタイトル画面を見るだけでも、当時の苦い思い出が……
まずは、スーパーマリオブラザーズとスーパーマリオブラザーズ2からプレイ。気になる操作性については、「ややコンパクトになった薄型ファミコンコントローラー」といった感覚で、違和感がありません。手触りもファミコンに似ているので、不思議と安心感がありました。
また、表示部は2.36型フルカラー液晶で、画面サイズや明るさも問題なし。マリオがBダッシュしてスクロールが速くなった場合でも、はっきりとなめらかに映し出すので、視認性がよいです。たいへん気持ちよくプレイできます。
【ネタバレ注意】
スーパーマリオブラザーズとスーパーマリオブラザーズ2の両タイトル画面で以下の操作をすると、ある秘密が楽しめます。
・「無限マリオ」モード:タイトル画面でAボタンを5秒以上長押しすると、何回ミスしてもゲームオーバーにならない「無限マリオ」モードに変化。これなら、スーパーマリオブラザーズ2も怖くない!
・「ワールド」の選択:タイトル画面でBボタンを押すと、実際にプレイしてたどり着いたワールドが選択可能に(各ワールドの1面からプレイ開始)
次にプレイしたボールは、とてもシンプル。マリオの両手が左右各3段階に伸びるので、落ちてくるボール(GAME Aは2個、GAME Bは3個)をうまくキャッチし、ハイスコアをねらいます。ちなみに、BGMは単音。ゲームオーバーの場合は「CLASH!」と表示され、「ブーッ」と鳴って終わり。このあっさりした感じ、若い方にとっては逆に新鮮に感じるかも?
ボールは、ボール2個の「GAME A」と、ボール3個の「GAME B」から選択できます。もちろん、ボール3個のほうが難易度は高いです
GAME Aの画面。簡単に言えば、お手玉のようなゲームです。十字キーまたはA/Bボタンを使って、マリオの両手を左右に動かします。簡単なように見えて、これが意外に難しい!
【ネタバレ注意】
・「ルイージ」が選択可能に:ボールの画面でAボタンを5秒以上長押しすると、キャラクターがルイージに変化。ルイージ派は要チェック!
ゲーム&ウオッチ スーパーマリオブラザーズのもうひとつの機能である、マリオ時計。時間帯や条件などによって、計35種類の秘密イベントが用意されています。例として、その中から3つの秘密をご紹介します。
【ネタバレ注意】
・マリオ絵描き歌:マリオ時計でAボタンを長押しすると「マリオ絵描き歌」が出現。絵描き歌が英語で流れます。表示される歌詞字幕の言語は、再生中いつでも変更可能です(どの言語を選択しても、流れる音声は英語のまま)
マリオ時計を表示して、あることをすると……
「マリオ絵描き歌」が出現! 初期画面は英語で、画像は日本語に変更したところです。左右キーを使って、言語を変更できます
絵描き歌はほのぼのして、とてもゆるやかな雰囲気です。これで、マリオもスラスラ描けるかな?
※任天堂より、「マリオ絵描き歌」の再生について、「絵描き歌のタイトル画面で選択した言語と、実際に表示される歌詞字幕の言語に、差異が発生する場合がある」とアナウンスされています。詳しくはこちらをご参照ください。
【ネタバレ注意】
・マリオ時計の背景が変化:マリオ時計の画面で「TIME」ボタンを押すたび、背景が3パターンから変化します
【ネタバレ注意】
・深夜0時、ピーチ姫に会いに行く:深夜0時になると、お城にいるピーチ姫のもとに、マリオがかけつけます。
ゲーム&ウオッチ スーパーマリオブラザーズを見て、「はて、どこかでお会いしたような……?」と感じた方は少なくないはず。
手のひらに収まるコンパクトな筐体。液晶画面をはさんで、十字キーとA/Bボタンを左右に配置したデザイン。さらに、ファミコンをイメージしたカラー。筆者は迷わず、「これはゲームボーイミクロ(ファミコンバージョン)にそっくりじゃないか!」と直感的に思いました。
見れば見るほど、似てる? 画像左がゲームボーイミクロ(ファミコンバージョン)。なお、カートリッジは、別売りのゲームボーイアドバンス用ソフト「ファミコンミニ スーパーマリオブラザーズ」を差し込んでいます
ゲームボーイミクロは2005年9月、超小型モデルの携帯型ゲーム機として登場。ゲームボーイアドバンス用ソフトをプレイできるのが特徴でした。なかでも、スーパーマリオ20周年を記念して発売されたファミコンバージョンは、ファミコンのコントローラーをイメージしたデザインが好評を呼んで当時、人気を博していたと記憶しています。
つまり、ゲームボーイミクロ(ファミコンバージョン)とゲーム&ウオッチ スーパーマリオブラザーズは、そっくりな見た目以外にも、「スーパーマリオの記念モデル」という共通点があったんですね。
そこで今回は、スーパーマリオ20周年のゲームボーイミクロ(ファミコンバージョン)と、スーパーマリオ35周年のゲーム&ウオッチ スーパーマリオブラザーズを並べて、15年分の進化を比較してみたいと思います。(※以下、ゲーム&ウオッチ、ゲームボーイミクロと表記)
ゲーム&ウオッチ(画像上)とゲームボーイミクロ(画像下)。横幅がほとんど変わらないため、両方とも違和感なく操作できます
本体サイズは、ゲーム&ウオッチが112(幅)×67(高さ)×12.5(奥行)mm、ゲームボーイミクロが101(幅)×50(高さ)×17.2(奥行)mm。横幅の差が約1cmなので、本体を握って操作する感覚は、ほとんど変わりません。強いて言うなら、A/Bボタンの素材。ゲーム&ウオッチがゴム製であるのに対して、ゲームボーイミクロはプラスチック素材です。
表示部のサイズは、ゲームボーイミクロが2型、ゲーム&ウオッチが2.36型で、ひと回り大きくなった印象。視認性や画面の明るさは、ゲーム&ウオッチの勝ちですね。
右側面。ゲームボーイミクロ(画像左)には音量調整ボタンやイヤホンジャックが、ゲーム&ウオッチ(画像右)には充電/給電用のUSB Type-Cポート、電源ボタンがあります
本体上部。ゲームボーイミクロ(画像左)は、L/Rボタンを装備。L/Rボタンの間には、専用ACアダプターなどを接続するための外部拡張コネクタがあります。いっぽう、ゲーム&ウオッチの本体上部は何もなく、スッキリとしています
左側面。ゲーム&ウオッチ(画像右)は、スピーカーを備えています。こうしてみると、ゲーム&ウオッチのほうが、かなり薄いのがわかります
底面。ゲームボーイミクロ(画像左)には、カートリッジの差し込み口があります(画像では、ゲームボーイアドバンス用ソフトであるファミコンミニ スーパーマリオブラザーズを差し込んでいます)
ゲームボーイミクロ(画像左)とゲーム&ウオッチ(画像右)の裏面には大きな違いが!
裏面を比較すると、ゲームボーイミクロには、スーパーマリオ20周年のロゴがあしらわれ、お祭りムード満載です。いっぽう、スーパーマリオ35周年のゲーム&ウオッチはいたってシンプル。むしろ、何もないので、さびしいぐらいです。スーパーマリオの記念モデルとして比較した場合、この点では、ロゴをプリントしているゲームボーイミクロの勝ちではないでしょうか!
ファミコン(画像左)とゲーム&ウオッチ(画像右)も比較します!
ゲームボーイミクロとの違いや共通点がわかったところで、続いて、1983年発売の初代ファミコンとも比べてみたいと思います。特に、ゲーム&ウオッチの色合いや手触りがファミコンのコントロ−ラーとたいへんよく似ていたので、ここはしっかりと、確かめておいたほうがよいでしょう!
ゲーム&ウオッチ(画像上)とファミコンのコントローラー(画像下)。十字キーとA/Bボタンの位置関係は、そこまで差がないように見えます
本体サイズは、ゲーム&ウオッチ(画像上)が112(幅)×67(高さ)×12.5(奥行)mm、ファミコンのコントローラー(画像下)が120(幅)×50(高さ)×15(奥行)mm(※ファミコンのコントローラーは筆者測定による実寸)。コントローラーの幅がやや広くなっていますが、十字キーとA/Bボタンの位置関係は、ほとんど変わりません。
裏面を見ると、ゲーム&ウオッチ(画像上)とファミコンのコントローラー(画像下)の色合いがかなり近いことがわかります。ゲーム&ウオッチの裏面にロゴなどをあしらっていないことが、結果的によかったのかも。おたがい、かなり似た雰囲気です
最後に、どうしても付け加えておきたいのが、ゲーム&ウオッチの音質のよさ。スーパーマリオをプレイした第一印象は、意外にも、「BGMがクリアではっきり聞こえる!」ということでした。スピーカーは、本体側面に1か所のみしか内蔵されていませんが、筆者には、かなりクリアに聞こえました。使って初めてわかった、うれしいポイントかも
任天堂製携帯型ゲーム機の原点がみごとに復活したということで、ゲームボーイミクロやファミコンとも比較してみましたが、いかがでしたでしょうか。期間限定生産なので、気になった方は、在庫のあるうちに、早めに購入しておいたほうがよさそうです。
あえて弱点を言うなら、「スーパーマリオとボールしか遊べないこと」かもしれません。ハードウェアとして見た場合、かなり完成度が高いので、これで終わるのはもったいない。価格も手ごろなので、ほかの任天堂ゲーム(「ゼルダの伝説」セットとか「ドンキーコング」セットとか……)を収録したバージョンが続々と登場したら、迷わずコレクションしちゃいますよ!
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デジタル製品全般からホビーやカップ麺・スナック菓子まで、オールジャンルをカバーする編集部員。大のプロレス好き。読み方は、まつだ・しんり。