2025年6月5日に発売されたNintendo Switch 2。今回、運よく本体(多言語対応版)を入手できたため、実際に1か月間使ってみた感想をまとめてみた。これからNintendo Switch 2を購入しようと検討している人の参考になればうれしい。
Nintendo Switch 2を1か月間使ってみたリアルな感想をまとめてみた
まずは、画質・グラフィックスについて注目したい。さまざまな面でNintendo SwitchからアップグレードされたNintendo Switch 2だが、画質に関連する特徴をまとめると、以下のとおりとなっている。
(1)画面サイズが向上
(2)フレームレートが最大120fpsに向上
(3)携帯モードがフルHD(1920×1080ドット)に対応
(4)TVモードが4K(3840×2160ドット)に対応
(5)HDR(ハイダイナミックレンジ)に対応
(6)DLSS(ディープラーニング スーパー サンプリング)に対応
これらのアップグレードによって、Nintendo Switchと比べて、画質面でのゲーム体験が格段に向上した。詳しい内容は、以前解説した「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」の検証記事を参考にしていただきたい。
Nintendo Switch 2向けにグラフィックスやフレームレートが向上した「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム Nintendo Switch 2 Edition」。同タイトルをプレイした際のフレームレートは最低でも60fps以上、体感的には85fps程度まで、安定して出力されていると感じた。さらに、「HDR」に対応したことで、光や水の表現がより繊細になり、ゲーム全体の美麗さが底上げされている印象だ。
「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」の画面
「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム Nintendo Switch 2 Edition」の画面。Nintendo Switch 2版のほうが、水面の光の表現や柱や座席のテクスチャがよりきめ細かいことがわかる
ほかにも、「スプラトゥーン3」では、高負荷な場面でもフレームレート60fps程度を安定して出力でき、Nintendo Switchプレイヤーに対して少しだけ有利に遊べるようだ。また、「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」では、Nintendo Switchで最大15匹程度だったフィールド上の野生ポケモンの表示数が最大30匹程度に増加している。
Nintendo Switch 2でプレイした「スプラトゥーン3」
Nintendo Switch 2でプレイした「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」
あくまで個人的な感想になるが、普段からPS5やゲーミングPCなど、ほかの高性能なハードに触れる機会が多い筆者にとっては、ハードに制約のあるNintendo Switchの描写力には物足りなさを感じる時期もあった。しかし、Nintendo Switch 2の登場によって、多くの任天堂タイトルが「今世代機基準のグラフィックス」にまで向上したと実感しており、プレイ時のストレスが格段に軽減されたと感じている。
Nintendo Switch 2の登場によって、Nintendo Switchで発売されたゲームの解像度やフレームレートの向上、描写力アップ、美麗さの増強が図られ、遊ぶ楽しさがさらに増したと言えるだろう。
Nintendo Switch 2は画質・グラフィックス以外でも、Nintendo Switchから改善された点が多い。代表的なのは、Joy-Conの使い勝手が向上したことだ。Nintendo Switch 2に付属するJoy-Con 2は、本体とのマグネット接続を採用しており、Nintendo SwitchのJoy-Conと比べて、取り外しや取り付けが格段にスムーズになった。マグネットで本体とくっつけるときの「パチッ」という音も心地よい。
Joy-Con 2のマグネット部分
さらに、L/Rボタンが押しやすくなったことが個人的にうれしかった。以前のJoy-ConはL/Rボタンが平たく小さかったので、指の力がうまく伝わりづらく、接触が悪くて押しにくいことが多かった。
いっぽう、Joy-Con 2はL/Rボタンが少し大きくなり、軽い力で簡単に押せるようになった。これによって「スーパー マリオパーティ ジャンボリー」のように、複数人でJoy-Conをシェアする「おすそわけプレイ」が基本となるゲームも、より快適に遊びやすくなったと思う。
Joy-Con 2(左)とJoy-Con(右)のL/Rボタンによる比較。Joy-Con 2のL/Rボタンのほうが大きくて押しやすい ※Joy-Conはケース装着時の写真
ロード時間の短縮も、遊びやすくなった改善点のひとつだ。たとえば、「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」の場合、ファストトラベルにかかる時間がNintendo Switchだと約30秒かかっていたが、Nintendo Switch 2では約20秒にまで短縮されていた。ロード時間は繰り返すと膨大な時間になるので、約2/3まで減ったことで、普段のゲームプレイがより快適になるだろう。
ちなみに、本体重量については、Nintendo Switch 2が約534g(Joy-Con 2取り付け時)であるのに対して、Nintendo Switchは、有機ELモデルが約420g(Joy-Con取り付け時)、従来モデルが約398g(Joy-Con取り付け時)となっており、それぞれ100g以上の差がある。
また、バッテリー持続時間は、プレイするゲームにもよるが、Nintendo Switch 2が約2時間〜6.5時間で、Nintendo Switchは有機EL・従来モデルともに約4.5時間〜9時間となっていることから、若干控えめになっている印象だ。
Nintendo Switch 2には、スペック以上の価値がある
このように、スペックだけ見ると、本体重量とバッテリー持続時間が気になるポイントに見えてくるが、それ以上に、Nintendo Switch 2の画面サイズが7.9インチまで拡大された恩恵のほうが非常に大きいと感じる。Nintendo Switchの有機ELモデルの7インチ、従来モデルの6.2インチと比べても、Nintendo Switch 2のほうが、携帯モードでより臨場感あふれるゲーム体験に没入できる。外出先での遊び心地はNintendo Switch 2のほうがすぐれていると、個人的には思っている。
続いては、ソフトのラインアップについて。本体の発売直後ということもあり、Nintendo Switch 2専用のソフトはまだ数が限られているのが実情だ。そのなかでも、現時点(※記事執筆時点)でのNintendo Switch 2の筆頭タイトルといえば、「マリオカート ワールド」と「ドンキーコング バナンザ」になるだろう。
特に「マリオカート ワールド」は、筆者も発売日から遊んでいるが、長年のマリオカートファンからしても今作は非常に面白い。これまで特定のコースを走るレースゲームとしての側面しかなかった「マリオカート」がオープンワールド化したことで、レースゲームだけでなくドライブゲームとしての楽しさも生まれた。それだけでなく、マップの端から端までをノンストップでレースし、徐々にプレイヤーが絞られていく新モード「サバイバル」は、マリオカート版バトロワとも呼べる熱中度の高いレースである。少なくとも筆者個人は「マリオカート ワールド」にたいへん満足している。
「マリオカート ワールド」
ただし、「マリオカート ワールド」単体で十分にNintendo Switch 2の特別感を満喫できているかといえば、必ずしもそうとは思わない。
Nintendo Switchが2017年に発売された当時、ローンチタイトルとして発売された「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」は驚異的なゲームクオリティーで幅広いゲーマーを魅了した。これまで任天堂のソフトになじみがなくても、「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」をプレイするためだけに本体を手に入れようとする人も多く、発売前まではそれほど期待されていなかったNintendo Switchへの注目度が一気に高まった。
そのような状況を振り返ると、「マリオカート ワールド」はたいへん面白いタイトルだが、「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」に匹敵するほどの求心性がある名作かといわれると、そこまでのインパクトは感じにくいように思ってしまう。
「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」
「ドンキーコング バナンザ」も、2017年にNintendo Switchで発売された「スーパーマリオ オデッセイ」の開発スタッフが携わり、ドンキーコングらしい「破壊」をテーマとする新感覚3Dアクションゲームとして評価が非常に高い。だが、あくまでも現時点では、「マリオ」や「ゼルダ」といったシリーズに匹敵するほどのブームにはいたっていない印象だ。
「ドンキーコング バナンザ」
Nintendo Switch 2専用ソフトのラインアップはまだまだ強化される余地があり、今後発売予定の「カービィのエアライダー」「The Duskbloods」などが登場することで、さらなる盛り上がりが期待できる。Nintendo Switch 2でも今後、数多くの名作が生まれてくることに期待したい。
最後に触れたいのは、Nintendo Switch 2の新機能についてだ。なかでも、本体の発売前に最も注目されていたのはJoy-Con 2のマウス機能だろう。
Joy-Con 2のマウス機能
Joy-Con 2をNintendo Switch 2本体から外し、テーブルの上をスライドする使い方や、上向きに持って手で擦ったりする使い方に対応するため、ゲーミングPCにおけるキーマウ(キーボード&マウス)のような使い方が疑似的にできるのでは? と発売前に期待されていたJoy-Con 2 のマウス機能。だが今のところ、マウス機能はそれほど画期的なゲーム性に結び付いていないようだ。
たとえば、2025年6月に発売された「たまごっちのプチプチおみせっち おまちど〜さま! Nintendo Switch 2 Edition」では、マウス機能を使って手裏剣で的を狙うミニゲームなどが登場するが、感度が抜群によいということはなく、簡易的な遊びにとどまっているように感じる。あくまでも、Nintendo Switch 2の補助的な役割になっているようだ。
「たまごっちのプチプチおみせっち おまちど〜さま! Nintendo Switch 2 Edition」に登場するミニゲーム・しゅりけんやさん
ただし、2025年内に発売予定の「メトロイドプライム4 ビヨンド」では、マウス操作への切り替えモードが本格的に導入される予定だ。「メトロイドプライム4 ビヨンド」はNintendo Switch版も発売されるが、マウス機能は、Nintendo Switch 2専用となる。マウス機能がNintendo Switch 2ならではのゲーム体験に結び付くか、ぜひ注目したい。
2025年内に発売予定の「メトロイドプライム4 ビヨンド」
まとめると、Nintendo Switch 2を1か月間使った感想は以下のとおりとなる。
(1)Nintendo Switch 2によって、多くの任天堂ソフトが今世代機基準のグラフィックスにまで向上
(2)Joy-Conの改善や高速化したロード時間など、Nintendo Switchと比べて使い勝手がよくなった
(3)Nintendo Switch 2専用のソフトラインアップは今後の展開次第
(4)独自要素であるマウス機能は現時点では、あくまで補助的な役割に留まっている
「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」や「スプラトゥーン3」をはじめ、長らくユーザーから愛されているNintendo Switchのソフトは多い。これらのソフトを遊ぶ頻度が多い人は、性能が向上したNintendo Switch 2によって、ロード時間の短縮など、日常のゲーム体験が格段に向上するだろう。
もちろん、「マリオカートワールド」や「ドンキーコング バナンザ」といったNintendo Switch 2専用のソフトを今すぐにでも体験したい人は、Nintendo Switch 2の購入を検討するべきだ。
いっぽう、PS5やXbox Series X|S、ゲーミングPCを手に入れており、「Nintendo Switchはもうあまり触らなくなった」「任天堂ソフトへの興味が非常に高いというわけではない」という人は必ずしも、急いでNintendo Switch 2を購入する必要はないかもしれない。今後、Nintendo Switch 2専用のソフトが充実し、遊びたいゲームが揃ったときに購入しても、遅いということはおそらくないだろう。