レビュー
ボカロの歌声を演奏するという新感覚キーボード

初音ミクになれる!? ヤマハ「ボーカロイドキーボード」を弾いて(歌って)みた

初音ミクの誕生から10年。そんな2017年末にヤマハから登場したのが、「ボーカロイドキーボード」という名の電子楽器です。実際に使ってみると、これがまさにボカロ時代にふさわしい新感覚キーボード! 「歌声を演奏する」という新しいスタイルと、その魅力をご紹介していきましょう。

これが「ボーカロイドキーボード」(型番:VOCALOID Keyboard VKB-100)です。筆者なんかは、これがあれば年末年始にひとりで楽しく遊べちゃいそう

まずは動画で! これが「ボカロで歌えるキーボード」だ

ボーカロイドとは、簡単に言えば「歌詞とメロディーを入力するだけで、人工の歌声を作り出せる技術」ですが、最近では、初音ミクのヒットもあり、今やその存在はキャラクターも含めて一般層にも広く認知されていますよね。ブームを受けて多彩なボカロソフトが世に出回っていますが、それらは元々ヤマハが開発・提供しているボカロ音声技術を使って、各社で製品化されたもの。つまり、ボカロブームの大元にはヤマハの技術があるんです。(たとえば「初音ミク」は、同社の技術を使ってクリプトン・フューチャー・メディアが製品化したもの)

そんなヤマハが、初音ミク誕生から10年という節目の今年、繰り出してきたのがこの「ボーカロイドキーボード」。日本語歌詞をキーボード本体に登録して鍵盤を弾くと、通常のキーボード音ではなく、「ボーカロイドの歌声で演奏」できるという新感覚のキーボードです。

……とはいえ、言葉だけではイメージが湧きにくいと思うので、まずは以下の動画をご覧ください。「おはようございます」という9文字をボーカロイドキーボードに登録して、「ドレミファソラシレド」「ドシラソファミレシド」と弾いてみた様子です。

いかがでしょうか? ボーカロイドキーボードの基本機能がわかりやすいと思います。こんな風に、いろいろな日本語歌詞とメロディーを組み合わせて、右手だけでさまざまな歌声を奏でることができるわけです。

それでは以下より、製品の外観を写真で見ていきましょう!

キーボード本体のほか、製品には電源アダプターが付属します

キーボード本体のほか、製品には電源アダプターが付属します

鍵盤は、ヤマハ製のコンパクトなシンセサイザー製品用に開発された「HQ(High Quality)MINI鍵盤」を採用しています。鍵盤数は37で、音域は3オクターブ分

本体背面にスピーカーを装備。ここから歌声が出力されます

本体背面にスピーカーを装備。ここから歌声が出力されます

キーボードの横にはシンプルな2行ディスプレイを搭載。ここに歌詞が表示される仕組みです

キーボードの横にはシンプルな2行ディスプレイを搭載。ここに歌詞が表示される仕組みです

インターフェイス部も充実。左手で押さえるグリップ部には、歌声の音程を調整できる「PITCH」や、強弱を付けられる「EXPRESSION」などのホイールを装備。また、鍵盤の右側にはエフェクト調整やモード切替のスイッチを備えています

側面には、電源ボタン、音量調整ノブのほか、AUX入力端子とLINE出力端子も備えています。3.5mmステレオミニケーブル経由で音声入力ができ、さらに本機で鳴らしている歌声を外部アンプやスピーカーに出力することも可能

実はUSB端子も備えており、PCと接続してMIDIキーボードとして使用することができるようになっています

実はUSB端子も備えており、PCと接続してMIDIキーボードとして使用することができるようになっています

本体の駆動は、付属のACアダプターを使用してのほか、単三型乾電池×6でも可能

本体の駆動は、付属のACアダプターを使用してのほか、単三型乾電池×6でも可能

簡単解説! ボーカロイドキーボードの使い方

それでは、ボーカロイドキーボードの使い方をご紹介していきましょう。以下のたった3つの手順で、誰でも簡単に遊べます。

▼手順1:スマホに専用アプリをインストール! キーボード本体とBluetooth接続しよう

まずは、自分のスマホに専用アプリ「VOCALOID Keyboard」をインストールしましょう。そのアプリ上から、Bluetoothでスマホとボーカロイドキーボード本体を接続します。

キーボード本体とアプリの接続はBluetoothで行います。アプリをインストール後、メニューにある「キーボードとの接続」を選択するだけ

キーボード本体のほうは、本体電源を入れれば自動でBluetoothがONになるので、特に操作は必要なし。2ステップで簡単にペアリング可能!

▼手順2:好きなボーカロイドの声を追加設定しよう

続いては、好きなボーカロイドの歌声を使えるように設定しましょう。なお、最初から「VY1」というボカロが使えるようになっているので、何もしなくてもそのまま演奏を始めることは可能です。ただ、それ以外にもう1人だけボカロを無料で追加できるので、せっかくなら設定したほうが楽しめるはず。ボカロの追加設定も、アプリから簡単に行えます。

これが、ボーカロイドキーボードに設定できるボカロの種類! 「VY1」「初音ミク」「Megpoid」「IA」「結月ゆかり」の5人です。今のところはこの5人のみで、増やされる予定はないようです

ピンク色のイラストで描かれたボカロ「VY1」だけは最初から使えるようになっています。そのほかにひとりだけ、無料で追加設定することが可能。今回は、みなさんご存知の「初音ミク」を設定してみました

初音ミクの歌声が使えるようになりました。アプリの表示に従えば簡単に追加できます

追加するボカロは1人目までは無料ですが、2人目以降を追加しようとすると、1人あたり2,400円かかります。なかなかイイお値段! なお、ボカロ追加の際はアプリ上に何度も「本当に、このシンガーでよろしいですか?」とポップアップが出ます。誤って課金が発生しないようにかなり配慮されている模様

※各ボカロの歌声は、ヤマハの公式サイトで試聴できます(こちらをクリック!)

▼手順3:歌詞を入力しよう

最後に、演奏したい楽曲の歌詞をボーカロイドキーボードに登録しましょう。これも、アプリ上から行います。普段、スマホでメールを打つのと同じ要領で日本語入力すればOKです。

歌詞に登録できるのはひらがなとカタカナのみ。英語は表示させられません。どうしても洋楽を歌いたい場合は、カタカナ英語に直して打ち込みましょう。なお、保存されるのはただのテキストデータ。容量が軽いので、登録できる文字数は事実上、上限ナシとのこと

歌詞の入力が終わったら、「DONE」をタップしてまずアプリ内に保存。続けて「キーボードに保存する」をタップして、アプリ内に保存した歌詞をキーボード本体にも登録しましょう。これで事前準備はOKです!

【動画アリ】ボーカロイドキーボードを弾いて(歌って)みよう

事前準備が終わったら、あとはいろいろ弾いて楽しみましょう。モードスイッチを「LYRICS」にあわせて、演奏したい歌詞を選択し、メロディーを弾けばOK。1音弾くごとに1文字が発音されます。右手1本で弾けるというハードルの低さなので、楽器に慣れていない初心者層でもすぐに楽しめちゃいます。(注:弾きたいメロディーの楽譜を用意する・覚えるという手間は必要です)

使用中のイメージはこんな感じ。演奏しながら、ディスプレイに表示される歌詞を見ることができます

使用中のイメージはこんな感じ。演奏しながら、ディスプレイに表示される歌詞を見ることができます。(最初のうちはなかなか見る余裕ないけど!)

本体のエフェクトスイッチで歌声にリバーブをかけたり、左手のグリップ部にある「PITCH」でしゃくりを入れたりして、いろいろな表現ができそう。なお、筆者は製品をお借りしている期間が短めだったこともあり、ここを使いこなせるまでに至りませんでした……! いつかもう1回やりたい!

タッチを間違えて演奏をやり直したいような場合は、「PHRASE」を押せば歌詞を戻れます。ただ、登録した歌詞の段落ごとに戻るシステム。そのため、歌詞を登録するときは適度に改行したほうが、練習がしやすくなります。ちなみに、PHRASEボタン長押しで全体の冒頭に戻ります

さて、この記事の公開日は2017年12月25日。いわゆるクリスマスってやつの当日です。ならば試しにと、「ジングルベル」の歌詞を登録してみました。「ジングルベル ジングルベル スズガナル」とスマホから歌詞を入力して、ボーカロイドキーボード側へ送信して弾いてみます。以下の動画をご覧ください。

んんん……? 歌えてなくはないのですが、何となく「ジングルベル ジングルベル」の部分がワチャワチャしています。そう、わたしたちが普通に「ジングルベール、ジングルベール」と歌うときって、1つの音に「ジン」の2文字をあてて発音している状態なんですよね。しかし上の動画では、1つの音に1文字ずつあてている状態なので、なんだかリズムがせわしなく、イケてない感じになってしまいました。

しかし、このあたりはさすが老舗楽器メーカーのヤマハ。ボーカロイドキーボードは、1音に2つの文字を割り当てる設定もちゃんとできるんです。それが「キーオフ発音」機能。スマホから歌詞を登録するときに、1音に割りあてたい2文字の間で「キーオフ発音」ボタンをタップするだけで、簡単に設定ができます。

歌詞の入力画面にある「キーオフ発音」。これをタップするだけでキーオフ発音設定が可能。アンダーバーの前後にある文字同士を1音で発音するようになります。英語曲なんかも、このキーオフ発音機能を駆使すればできそう

これでもう1度「ジングルベル」を弾いて(歌って)みたのが、以下の動画です。先ほどは「ミミミミミーミ」と6音だったのが、今度は「ミ・ミ・ミー」と3音でリズミカルに、自然な感じになりました。

さて、ボカロといえばやはりボカロPによるオリジナル楽曲。……だけでなく、某JASRAC的なものの影響により、既存曲をカバーする「歌ってみた動画」での使い勝手もバツグンですよね。

そこで、歴代J-POPの中でもっとも多くのアーティストにカバーされてきたのではないか(注:筆者調べ)と思われる不朽の名曲「夢で逢えたら」(作詞/作曲:大瀧詠一)の一節で、「ボカロキーボードで歌ってみた動画」を撮ってみることにしました。しかし……

うーん、自分で演奏している最中はかなりおもしろいのですが、こうして動画に撮って端から見ると、なんかさびしい感じ。あたりまえですが和音は出せず、1音ずつしか鳴らせないので、サウンドとしては少々華に欠けますよね。「ちょっとヤマハさん〜、ボカロキーボードの動画撮っても地味な感じにまとまっちゃうんですけど〜」とヤマハ広報部に凸ってみたところ、以下の返答が得られました。

ヤマハ広報部:「ボーカロイドキーボードは、ボカロの歌声をリアルタイムでバンド演奏にあわせられるのが大きなメリット。バックバンドと一緒にワイワイ演奏するスタイルだと楽しいですよ」

……え!? いやいや、ボカロPって基本的にデスクトップ上で孤独な制作作業をしている人たちじゃないですか。だから、同じようにひとりきりの世界に浸れる製品だとばかり!

そう、実はこのボーカロイドキーボード、バンド演奏にあわせてリアルタイムでボカロの歌声を弾ける(歌える)というのが最大級のメリットなのです。というわけで、本当のボーカロイドキーボードの楽しみ方は、以下の動画をご覧ください。

以上、プロのミュージシャンがボーカロイドキーボードをプレイして、バンド演奏とあわせている動画でした。めちゃめちゃすごいですよね! これだよこれ! 友達がいる人は、こうやってみんなでワイワイ使えば楽しいはずです。友達がいる人は。

まとめ:「自分が初音ミクになれる」というボカロ界の新スタイル

これまでのボカロの世界というのは、ボカロPがデスクトップ上で完成させた作品を、ただ「流す」というものでした。それが、ボーカロイドキーボードの登場により、演奏と同時に歌えるようになったのです。実際、ヤマハの開発担当の方も「ボカロをリアルタイムで歌わせるのが夢だった」とコメントされていました。なんか、イイ。

それって、言い換えれば「ボーカロイドキーボードを使えば自分が初音ミクになって歌える」ということ。もしかしたら次世代のボカロとも言えるスタイルかもしれません。それをボカロ技術を作ったヤマハがみずから提案する、意欲的な製品です。

ちなみに、本機は普通の小型シンセとしても使用可能で、13の音色が入っています。モード切り替えのレバーを「INSTRUMENTS」にあわせれば、スタンダードなキーボードとして使えるので、「ボカロキーボード」と「普通のキーボード」を使い分ければさらに演奏スタイルが広がります。

それにボーカロイドキーボードは、宴会を盛り上げるアイテムとしてもぴったり。年が明けると、世間はすぐに年度末に突入します。歓送迎会に向けて、今から特訓するのもアリかもしれません! みなさんもいろいろな「歌声の演奏」に挑戦してみてはいかがでしょうか?

普通の電子キーボードと同じでヘッドホン出力端子が付いているので、仕事から帰ったあと、自宅で夜でも練習できます

アプリのメニュー画面からマニュアルにすぐアクセスできるのも、結構便利でした

アプリのメニュー画面からマニュアルにすぐアクセスできるのも、結構便利でした

杉浦 みな子(編集部)

杉浦 みな子(編集部)

オーディオ&ビジュアル専門サイトの記者/編集を経て価格.comマガジンへ。私生活はJ-POP好きで朝ドラウォッチャー、愛読書は月刊ムーで時計はセイコー5……と、なかなか趣味が一貫しないミーハーです。

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