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大迫力の巨大ゲームを後世に伝えたい!

巨大アーケードゲーム「ギャラクシアン3」のために保管用マンション購入。内部を特別公開!

2019年4月30日に放映された、平成を振り返る某テレビ番組がきっかけとなり、「ギャラクシアン3」というキーワードがTwitterでトレンド入りした。

なかでも注目されたのが、「巨大ゲームを設置するためだけに、マンションを建てた」というエピソード。そこまでして、ギャラクシアン3を手に入れた背景には何があったのか? 今回は、連載の番外編として、巨大なアーケードゲーム「ギャラクシアン3」の魅力を後世に伝えたいという、永津氏の情熱にせまった。

「ギャラクシアン3」のオーナー、永津氏。実は、某内科診察所の院長でもある(※以下、画像はすべて6人版のギャラクシアン3)

永津氏が所有するギャラクシアン3を今回、特別に公開していただいた

永津氏が所有するギャラクシアン3を今回、特別に公開していただいた

複数人が同時にプレイできる巨大アーケードゲーム

――読者の中には、ギャラクシアン3を知らない人もいると思います。まずは、どのようなゲームなのか、教えてください。

ギャラクシアン3とは、1990年に大阪で開催された「国際花と緑の博覧会」のために、ナムコ(現在のバンダイナムコアミューズメント)が開発したアトラクションのことです。プレイヤーは、架空の軍隊「UGSF(銀河連邦宇宙軍)」の一員となって重戦闘艇「ドラグーン」に乗り込み、機械生命体からなる侵略軍団と戦う、というストーリーになっています。映画「スター・ウォーズ」とよく似た世界観で、ビジュアルイメージもよく似ています。

国際花と緑の博覧会に設置されていたのは、28人版のギャラクシアン3。これは、16台の3管式120インチプロジェクターを使って、スクリーンにゲーム画面を投影するというもので、プレイヤーはそれぞれのシートに座り、手もとにあるコントローラーを使って操作します。

――永津さんも、花と緑の博覧会でプレイされたんですか?

いいえ。私が初めてギャラクシアン3をプレイしたのは1992年の夏、東京・二子玉川に当時あったテーマパーク「ナムコ・ワンダーエッグ」でした。

――永津さんが最初にギャラクシアン3をプレイしたとき、どこに魅力を感じましたか?

まず、一度に複数の人間と遊べるということ。みんなで同じスクリーンを見ながら、同時に戦う楽しさは、ひとりでゲームをするのとは全然違います。

あとは、リアルであるということ。ゲームと言えば当時、2Dが主流でしたが、ギャラクシアン3は3D映像で、迫力が全然違います。それと、目の前に広がる大画面。映像を見ているだけで、この世界に引き込まれました。さらに、独立4ch+ウーハーシステムによる音響によって臨場感が高まり、本当に戦っている気分が味わえました。

――お話を聞いていると、現在のVRゲームに似ているように思えますが。

確かに、VRでも臨場感は味わえますね。私も体験したことがあるので、わかります。ですが、ギャラクシアン3で味わう臨場感は、それとはまったく違う。目の前に大きなスクリーンがあり、手もとには、本物の操縦桿(そうじゅうかん)にそっくりなコントローラーがあって、実際に操作します。仲間も同じ場所にいて、一緒に戦っていることが肌で感じられる。このアナログな感覚が、より本物に近いリアルを感じさせてくれるのだと思います。

マンションを建築! 家賃収入で、ローン返済をまかなうことに

永津氏が建てたマンション。1階に、ギャラクシアン3が設置されている

永津氏が建てたマンション。1階に、ギャラクシアン3が設置されている

――なるほど、それで永津さんはすっかり、ギャラクシアン3の虜(とりこ)になったんですね。しかし、趣味として実物を手に入れるには、ハードルが少し高いような。なぜ、購入することになったんですか?

ずっとゲームセンターにあるんでしたら、別に購入する必要はありません。私はゲームセンターに行き、そこでプレイすればいいんですから。ところが、それができなくなってしまったんです。

ある日、ゲームセンターに行くと、スタッフの様子がどうもあやしい。「まさかギャラクシアン3を撤去するつもりなのでは?」と心配になって聞いてみたところ、「撤去も検討している」とのこと。

「もうギャラクシアン3で遊べなくなる」と思うと、矢も盾もたまらず、スタッフの人に「撤去するんだったら、その前に言って。何とかするから」と伝えました。

ところが、その人が異動になり、別の人が担当になったようです。また別の日にゲームセンターを訪れたところ、すでに片付け始めている。これはたいへんだと、すぐに購入を申し入れました。

――その場で、ですか? すごい決断ですね。相当、高かったでしょう?

はい。そのギャラクシアン3は6人版で、新品だと2,400万円ですが、中古なので交渉し、値引きしてもらいました。それでも、ひとりでは買えない金額だったので、当時一緒によく遊んでいた仲間4人と相談し、共同出資することに。それで、ひとまず買えるようになりました。

永津氏らが共同で購入した、6人版のギャラクシアン3

永津氏らが共同で購入した、6人版のギャラクシアン3

ただ、購入するハードルはクリアできても、そのほかに、移動手段や設置場所を考えなければならない。引き取るまでに残された時間は、わずか2日間。

なかでもたいへんだったのは、設置スペースを見つけることでした。とても大きなゲーム筐体なので、本体を設置するには5×5 ×2.5mの空間が必要で、当然、普通の家では無理です。そこで、都内の倉庫を探し、そこに設置することにしました。

とりあえず、それで何とかなったんですが、家賃が高く、これをずっと払い続けるのはつらい。そこで知恵を絞り、「賃貸マンションを建てて、そこの1階にゲーム筐体を入れ、家賃収入でローンを返していけばいいのでは?」というアイデアが浮かびました。

3階は賃貸マンションとして提供している。その家賃収入で、ローン返済をまかなうという仕組み

3階は賃貸マンションとして提供している。その家賃収入で、ローン返済をまかなうという仕組み

――ゲーム筐体のためにマンションを建てる! その発想はすごい……。

半分、投資目的ですから、ある程度、利便性のある場所でなくてはならない。しかし、あまりに高いところは無理。条件にあう場所をいろいろ探し、やっと見つけたのが、現在の場所でした。2005年にゲーム筐体を移送して設置。共同出資した4名とその後参加した4名の計8名に、この家のカギをわたして、遊びたいときに遊べるようにしています。

1階のドアを開けると、すぐ目の前に、ギャラクシアン3の入り口がある

1階のドアを開けると、すぐ目の前に、ギャラクシアン3の入り口がある

入り口には、当時の「GALAXIAN3」というロゴがあった

入り口には、当時の「GALAXIAN3」というロゴがあった

PROJECT DRAGOON(プロジェクト・ドラグーン)。重戦闘航宙艇のドラグーンに乗り、要塞兵器キャノンシードを破壊するというシナリオだ

プレイヤーが座るシートと、操作するために使うコントローラー

プレイヤーが座るシートと、操作するために使うコントローラー

持ち手の赤いボタンとトリガーを使って、レーザーを発射する

持ち手の赤いボタンとトリガーを使って、レーザーを発射する

また、どうせやるんだから、ゲームセンターを再現するだけではつまらないということで、細かいところで、ディテールアップを目指しています。たとえば、この照明。ポイントビームの色に合わせて6色揃えました。下に敷いているゴムシートも、その色にあわせています。

それぞれのレーザーの色にあわせた照明がシートを照らしている

それぞれのレーザーの色にあわせた照明がシートを照らしている

映像は、三管式プロジェクター2台で投影されている

映像は、三管式プロジェクター2台で投影されている

基板部分も特別に見せていただいた

基板部分も特別に見せていただいた

実際に、ギャラクシアン3をプレイしてみた。画像右側が永津氏。その左隣は、永津氏と長年一緒にプレイしている友人だ。敵が出現すると、トリガーを引いてレーザーを連射! ゲームに慣れたおふたりは、敵が出現するやいなや、あっという間に倒してしまう

平成初期に登場したこのゲームの楽しさを、後世に伝えたい

――ところで、平成最後の日(2019年4月30日)、テレビ番組に出演したのはなぜですか?

最近は、バーチャルリアリティ(VR)を駆使したゲームが流行っていますが、ギャラクシアン3は、それとはまったく違ったリアリティを追求したもの。平成時代が始まってすぐに、こういうゲームがあったということを、今のゲームで遊んでいる人たちに伝えたかったんです。

当日、おかげさまでTwitterのトレンド入りをはたし、ナムコの人たちも喜んでくれたようです。さすがに、「だったら、復刻しよう!」とはならないと思いますが……。

――では、実際にギャラクシアン3をやってみたいと思った人は、どうすればプレイできるでしょうか?

この場所は一般公開していませんが、実は、埼玉県・熊谷にある「アーケードゲーム博物館計画」にもう1台、ちゃんと稼働しているギャラクシアン3があります。そこは一般公開していますので、公開日程と稼働状況を調べて行けば、遊ばせてもらえるはず。ルールブックが公開されているので、行く前にちゃんと目を通し、決められたルールを守るようにしてくださいね。

外部リンク:有志団体 アーケードゲーム博物館計画

取材を終えて(井上真花)

シューティングゲームは苦手で、これまでずっと敬遠していたのですが、この日ばかりは「せっかくなので」とやらせてもらいました。いやー、これはすごい! これはもう、ゲームじゃない。どちらかと言えば、ホームシアターに近い感覚。たとえるなら、映画館を見ていたはずなのに、いつの間にか、その映画の中に入り込み、登場人物になってしまったような。ゲームを始めてすぐに「何としても、地球を守らなければ!」という妙な使命感が芽生えてしまい、あとはただ夢中でトリガーを引いていました。ほかでは味わえない体験。「これをなくしてはいけない」という永津さんの気持ち、少しわかるような気がしました。

オフィスマイカ

オフィスマイカ

編集プロダクション。「美味しいもの」と「小さいもの」が大好物。 好奇心の赴くまま、良いモノを求めてどこまでも!(ただし、国内限定)

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