今回ご紹介するのは、ガンプラを展開しているBANDAI SPIRITSより、2019年6月に発売された新製品です。その名も「30 MINUTES MISSIONS」(以下、30MM)シリーズ。
ガンプラ同様、接着剤を使わないスナップキットのプラモデルなのですが、そのテーマはなんと“量産機”! いったいどのようなシリーズなのか、実際に組み立ててみます。
一気に3体の機体と5つのオプションパーツが発売されました
「30MM」シリーズの主役機となるのは、量産機。ガンダムで言うところのジム的な機体です。そう聞くと、「新コンセプトのプラモデルなのに、地味じゃね?」とお思いの方もいると思いますが、あえて量産機というくくりで展開するにはワケがあるのです。
まずはその組みやすさです。シリーズのタイトルどおり、30分で組み立てられる簡単構造のプラモデルになっています。今回発売されたのは「アルト」という量産機。ホワイト、イエロー、ブルーの3色のカラーバリエーションで発売されました。まずはそのランナーを見てください。
ランナーは3枚+ポリキャップというシンプル構造
メインとなる外装パーツのランナーと、関節部分などに使用するランナーに、武器パーツのランナーの合計3枚。それにポリキャップが6個です。ガンプラのHGUCシリーズの最小枚数レベルですね。しかもこのメインランナーには驚くべき仕掛けがあります。なんと上から、頭部、胸部、腕部、腰部、脚部の順番で配置されています。つまり上から順番にパーツを切り出して、組み立てていくだけで完成するという、直感的にわかりやすい構造。これはガンプラにもありませんでした。
ランナー最上部は顔パーツ、その下が胸部パーツになっています
真ん中は腕パーツ。もう1枚の黒いランナーの関節部分パーツなどと合わせて腕部を作ります
下部は脚部と足のパーツ。すね部分などは内部構造なしのパーツ貼り合わせで完成します
直感的にわかりやすく、またシンプルな構造なので、とても簡単に組み立てることができました。筆者は今回3体を組み立てたのですが、最初の機体が26分、2体目は20分、3体目は16分くらいで完成。複雑な内部構造がないことにくわえ、しっかりとパーツが組み合わさり、ポロポロ落ちることもないのがストレスフリーでした。
30分弱で完成。「アルト」のホワイトです。量産機っぽいイメージですが、なかなか格好いいと思います。武器はライフルひとつのみ。シールドなどは付属しません
シンプルな構造で量産機ならではというスタイルなので、無駄なゴテゴテとした武装やパーツもなく、可動に関してはかなり柔軟に動かすことができます。腕部、脚部の関節も自在に動くのと、足首、腰部も動くのでポーズもつけやすいです。
脚部は180°開脚しますし、腰の回転もできるのでポーズがつけやすいです
膝関節、足首も可動するので、膝立ちや正座ポーズもできるようになっています
肘関節の曲がりや肩の可動もスムーズ。武器を持ったポージングも決まりますね
量産機は複数作って並べたくなるので、組み立てが簡単なのは助かります。
さて、量産機ファンにとってもうひとつの楽しみといえば「カスタマイズ」ではないでしょうか。そう、この「30MM」はカスタマイズ性に重きを置いたシリーズなんです。
本機「アルト」は、ホワイト、イエロー、ブルーの3色が同時発売されました。今後、さらに3色が追加される予定となっています。色違いなだけで各パーツは共通しているので、好きなパーツを交換するだけで、簡単にオリジナルのカラーバリエーションを楽しむことができます。
ちょっとアーミーチックなパッケージ。ホワイトとブルーはありそうなカラーリングですが、イエローはちょっと斬新ですね
3体とも機体構造、パーツはまったく同じです。カラーリングが異なるだけでもちょっとイメージが違いませんか?
パーツを交換するだけで、このように自分だけのワンポイントのカラーバリエーションが楽しめます
パーツは簡単に取り外しできるため、手軽に気分に合わせたカラーの機体に換装でき、オリジナルカスタマイズの幅が広がります
共通のパーツを使っていること以外にも、さらにカスタマイズを楽しめる構造があります。それは機体に開けられた直径3mmの穴。「ハードポイント」と呼ばれるのですが、これも全機体共通で、ここにオプションパーツを付けることができます。
腕や肩、バックパックなどにハードポイントが多数あり、いろいろなパーツを取り付けられます
脚部にもハードポイントがあります
このように、ハードポイントにパーツを刺して取り付けられます
そのオプションパーツですが、アルトと合わせて5種類のパーツが発売されました。単品での価格が324円〜540円(税込)という安価なので、何種類も購入すれば、カスタマイズは無限にできそう。アルト用に今回発売されたのは「オプションウェポン1」、「近接戦闘用オプションアーマー(ダークグリーン・オレンジ)」、「長距離狙撃用オプションアーマー(ダークグレー・ブルー)の5種類。今後も続々とオプションパーツが発売される予定です。
ビニール包装のオプションパーツ。写真は「近接戦闘用」と「長距離狙撃用」が2色ずつの計4種類です
組み立ては5分もかからず。それぞれフェイスパーツ、肩パーツ、シールドパーツで構成。※左上はアルト本体付属の「ロイロイ」という小型支援メカのパーツ
「オプションウェポン1」は箱パッケージ
銃身を変えると3タイプの武器になる銃パーツと
剣タイプの武器パーツ3種類が入っています。これまた組み立ては5分
アルトホワイトに近接戦闘用(オレンジ)を装着。だいぶ印象が変わりますね
アルトブルーに長距離狙撃用(ダークグレー)を装着。フェイスが変わるとかなり印象が変わります
オプションウェポン1を使い、スナイパーライフルを長距離狙撃用アルトに装備。「アルトスナイパーカスタム」みたいにネーミングしてみるのもいいかも
自在にパーツを取り付けて、ゴテゴテのアルトにするのもよし
さて、ここまでカスタマイズが楽しめると、より変なカスタマイズをしたくなってきませんか?バンダイ発売で3mmのハードポイントを持つものといえば……? そう、ガンプラのHGシリーズ! ということは、ガンプラのパーツも取り付けられるかもしれません。いくつか試してみました。
背中のバックパックに派手なウイングを取り付けることができました
手首ごと交換で、“運命”的な必殺技を会得したアルト!
腕がそのまま交換できました。相性のよさそうな砂漠用の機体の腕とシールドや、見慣れたビームライフルとシールドを持つ腕を付けると、アルトもちょっとエース的な雰囲気です
あまり派手にやると怒られそうなのでこのへんでご勘弁。あとは皆さまのご自宅にあるもので試してみてください。
ガンプラ以外でこのようなプラモデルのシリーズがバンダイから発売されるのは、とても新鮮です。すでに「ポルタノヴァ」という、言わばザク的な機体が発売されていたり、今後もバックパック用のオプションパーツが発売予定だったりと、かなり力を入れてシリーズを展開していくんだなという意気込みが伝わってきました。
特に驚いたのは、取説などのどこにも、このアルトという機体の所属やバックストーリーみたいなものが記述されていなかったことです。これは購入した方がそれぞれのストーリーを作って、自分だけのカスタマイズを楽しみ、押しつけのないオリジナルな楽しみ方ができることだと思うのですよ。筆者も脳内設定で軍隊を作り、敵対する勢力との抗争を思い描きながら楽しんでいます。
マッシー小隊完成です。派手すぎて敵から一発でバレそう……
タイトルどおり30分で組み立てられ、自由にカスタマイズができ、シリーズも続々発売されるということで、気軽に自分だけのプラモデルを楽しめる新しいシリーズとなってくれることを期待しています。