レビュー

無敵のギターアンプヘッド「BIAS Mini Guitar」8つの魅力を徹底解説!


こんにちは、ギタリストの高村です。ギター教室「ギターの処方箋TAKAMURA」(神奈川県藤沢市)を主催する私が、常日頃から多くのギタリストに使ってほしいと思っているイチオシ製品を鼻息荒くご紹介したいと思います!

フィーチャーするのは、“無敵”のギターアンプ「BIAS Mini Guitar」。「ギターアンプと言えば真空管」というイメージもまだ根強いですが、それをいい意味で覆してくれるアンプなのです。BIAS Mini Guitarは、アンプ選びに頭を悩ませているあなたの救世主になるかもしれません! もちろん私自身も愛用ユーザーです。

真空管アンプとデジタルアンプの“イマドキ”事情

日常生活の中にデジタル製品があふれ、どんどん便利になる現代、エレキギターやエレキベースの機材にもその波がやってきています。

もちろんこれまでもデジタル機材はたくさんありましたが、ギターサウンドの中核を担うアンプにおいては、昔ながらの真空管アンプが王座を譲ることはありませんでした。理由は簡単。デジタルアンプは多機能で便利ですが、サウンド面ではなかなか真空管アンプにかなわなかったからです。

個人的にも、真空管アンプにサウンドを似せることには成功していても、そこで得られる「サウンドの旨味」までは再現されていないように長らく感じていました。そしてこの旨味成分こそが、演奏をしていて「気持ちいい」と感じられる大切な要素であるため、私も含めて多くのギタリストは「本物の真空管アンプ」にこだわり続けていたように思います。

ところが、ここ数年のデジタル機材の進化はすさまじく、クオリティのステージが明らかに何段階も上がりました。「真空管じゃないとダメ」という今までの常識から、「デジタルでもいいかも?」という、前向きなスタンスに変わりつつあります。

往年の定番メーカーからも魅力的な新製品が続々登場し、デジタルアンプへの評価が高まっている昨今

往年の定番メーカーからも魅力的な新製品が続々登場し、デジタルアンプへの評価が高まっている昨今

実際、多くのプロギタリストがライブにレコーディングにと、アンプシミュレーターなどのデジタルアンプを使い始めていることからも、ここ数年の変化がうかがえます。となると、デジタル機材を食わず嫌いするということは、便利さを享受できないというだけでなく、サウンド面においても、今後損をする可能性があるということなのかもしれません。

私も長らく真空管アンプを愛用してきましたし、今でも大型アンプを複数台所有していますが、ついにデジタルアンプが満足できるクオリティになってきたので、数か月前に思い切って真空管アンプからアンプシミュレーターに乗り換えてみました。

私のように、仕事を含めて最低でも1日4〜5時間はアンプを使うギタリストの場合、真空管アンプは1年に1回程度は何らかの不具合に見まわれます。とにかくアナログパーツに何らかのトラブルが発生するのです……。使いすぎなのが悪いのかもしれませんが(苦笑)。そして、その都度、修理やメンテナンスに数万円かかるので、正直コスパが悪いです(汗)。

しかしデジタルのアンプシミュレーターなら、そんな悩みとは無縁。使う前に真空管を温める必要もなければ、定期的に真空管を交換する必要もありませんから、ほぼメンテナンスフリーなのです!

「BIAS Mini Guitar」を購入した理由! こんなギタリストにぴったり

とはいっても、今は各社から魅力的なデジタルアンプが発表されているため、どれを選べばいいのか正直悩ましいところだと思います。私の場合、自分がギターアンプの何を重要視しているのか整理するところから始めました。その結果、以下の要素が自分にとって最優先だということがわかってきたのです。

・真空管アンプに迫るサウンドクオリティ
・シンプルな使い勝手
・持ち運びが苦にならないサイズと重量
・今までコレクションしてきた機材がムダにならない

これらをすべて満たしてくれるのが、Positive GridのBIAS Mini Guitarだったのです。上記のポイントにピンとくるような、私と似たタイプの方であれば、BIAS Mini Guitarとの相性はかなりいいと思いますよ! というわけで、ここからはBIAS Mini Guitarの魅力を8つのポイントに分けてお伝えしていきましょう。

【魅力1】圧倒的なサウンドクオリティ

まずは、肝心要のサウンドについて。ここ最近発売されている製品は、デジタル技術でアンプサウンドを再現したアンプシミュレーターとマルチエフェクターの組み合わせが多く、1台ですべてが完結するものがほとんどです。

そんな中、BIAS Mini Guitarは「アンプ」だけに特化した潔い製品。そのコンセプトからも「真空管アンプの代わりに十分なり得るアンプシミュレーターを作ろう」という、開発者の熱い想いのようなものが感じられます。

それほどまでにアンプにこだわった本機のサウンドは、まさに「リアル」のひとこと! 実際に使ってみると、DSPのパワーをすべてアンプサウンドに投入したその音は、他製品と比べて頭ひとつ抜きん出ている印象です。以下の動画をご覧ください。

従来のデジタル機材に感じていた違和感はなく、心配だった「歪ませたときのサウンド」に関しても、全く問題ありません。今までのデジタル機材は、歪ませたときになんとも耳障りなキンキンした印象がありましたが、BIAS Mini Guitarでは真空管アンプと遜色のない奥行きのあるサウンドが得られました。誤解を恐れずに言わせていただくと、下手な真空管アンプを鳴らすよりもよっぽど弾いていて気持ちいいです(笑)。

真空管アンプの場合、状態や使用環境によって本領を発揮できないことがありますが、デジタルなら常に安定したサウンドが得られます。そういった面からも、むしろBIAS Mini Guitarにアドバンテージがあるのではないかと感じてしまったほど。クリーンやクランチに関しても同様で、ピッキングニュアンスやボリュームに対しての反応も真空管アンプと変わりません。これならジャンルを選ばずに安心して使用できます。

ちなみに、現バージョンにはリバーブとノイズゲートが搭載されているので、凝ったサウンドメイクを望まないギタリストであれば、BIAS Mini Guitarだけでサウンドを完結することも十分に可能です。

【魅力2】シンプルでわかりやすい操作性

続いて、使い勝手について。BIAS Mini Guitarのフロントパネルは従来のアンプとほとんど変わらないスタイルを採用しているため、一般的なアンプを使ったことのある方なら誰でも扱うことができます。

デジタル機材によく見られる液晶画面や小さなボタン類は一切なく、あくまでもアナログなインターフェイスです。配置されているのは、7個のノブ(ツマミ)だけ。これであれば、「難しそう……」とデジタル機材を避けていたギタリストでも、迷うことなく使用できるはず!

アナログのアンプと同じようにGAIN、EQなどが並んでいます。アナログ感覚で操作できるので、操作に迷うことはありません

ただこう書くと、「せっかくのデジタル機材なのに、細かい設定ができないんじゃないか?」と心配される方もいるかもしれません。でも、そこは安心してください! 専用のアプリを使うことで、より細かい……いや、細かすぎるくらいの設定が可能なのです(笑)。詳細は後ほどご紹介しますね。

【魅力3】今までに集めた機材と組み合わせてトータルで音作りできる!

個人的にBIAS Mini Guitarの1番の魅力は、今までに収集してきたエフェクターがムダにならないことだと思っています。

前述の通り、ほかのアンプシミュレーターの場合、エフェクター搭載を売りにしています。つまり1台あれば、サウンドメイクのすべてが完結するということです。1台ですべてが完結するのは大きなメリットですよね。持ち運びも楽でしょう。……ところが、我々ギタリストというのは、単純な効率では割り切れない生き物なのです(笑)。

たとえば「オーバードライブは○○社のものがよくて、コーラスは○○社の音が好き」といった好みがあって、お気に入りのコンパクトエフェクターやマルチエフェクターを探す旅を日々続けています。そして、そうやってコレクションした機材で作り上げた自分だけのサウンドシステムを、とても大切にしています。そのため、1台で完結すると言われても、簡単にこのサウンドシステムを捨てることはできません。できることなら時間をかけて集めた相棒たちを活用したいと思うのが人情でしょう(笑)。

そこでBIASの出番です!

アンプに特化した製品なので、総合的なサウンドメイクをする際、別途エフェクターが必要になります。そこに今まで大切に作り上げたエフェクトボードを組み込むのです。接続に関しては、従来のアンプの使い方と一緒なので、とってもわかりやすく、デジタル機材の設定に苦手意識がある方でも安心して導入できるはず。

上のデモ演奏で使用したエフェクトボード。tc electronicのG-SYSTEMでBIAS Mini Guitarのプリセット切り替えも行っています。このように組み上げたエフェクトボードがムダにならないのは大きな魅力!

ちなみに、ほかのアンプシミュレーターにも手持ちのエフェクターを組み込めるものがありますが、本体にもエフェクターを搭載している分、サイズや重量が大きくなります(価格も……)。その点、BIAS Mini Guitarはアンプに特化しているので、サイズ、重量、価格すべてのコンパクト化に成功しています。

接続に関しては、Input前にエフェクトボードを接続してもいいですし、背面にあるSend/Return端子に空間系やマルチエフェクターを接続することもできます。要するに、アナログのアンプと全く同じ使い方ができるわけです。もちろん、4ケーブル・メソッドにも対応しています。

※4ケーブル・メソッドとは、プリアンプ前にCompressorなどのダイナミック系エフェクトやOverdriveやDistortionなどの歪み系エフェクターを接続し、Send/Returnに空間系を接続する方法で、理想的なサウンドを得られる接続法のひとつです。

このように、接続に関しては一般のアンプと同じわかりやすさなのですが、BIAS Mini Guitarは最新のアンプシミュレーター。機能面ではアナログアンプをはるかに凌駕します。

一例ですが、BIAS Mini Guitar本体には16種類分のアンプデータをプリセット保存できます。本体のノブを回すことで、これらのデータを簡単に切り替えることが可能。また、MIDIコントローラーやMIDI機能を内蔵した機材をお持ちであれば、足下でアンプを切り替えることもできちゃいます。アナログのアンプでもクリーンのチャンネルと歪みのチャンネルをフットスイッチで切り替えることができますが、BIAS Mini Guitarの場合、ワンタッチでアンプごと切り替えることもできてしまうのです。

イメージで言うと、アンプの横にスタッフが常駐していて、演奏者がフットスイッチを押すたびに、アンプを一瞬で別のものに交換してくれるような感じ。そんな非現実的な状況が最先端のデジタル技術により簡単に生み出せるのです。まさに、従来の使い方と最先端技術との融合です! BIAS万歳!

【魅力4】もしアンプを改造できるとしたら……

ここまでの解説でも十分にBIAS Mini Guitarの魅力は伝わったかと思います。……が、まだまだスゴい機能があるのです。BIASの真骨頂は、なんといってもアンプを「改造」できること!

ギタリストの中には、「このアンプがもっと○○だったら最高なんだけど……」という不満をお持ちの方もいると思います。実際に真空管を交換したり、パーツを交換するなどの改造を施す方もいます。ただ、アンプを改造するには知識と技術が必要です。私には絶対にできません(笑)。BIAS Mini Guitarはそのように大変な改造を、お金をかけずに、はんだゴテも使わずに実現してくれるのです!

どういうことかと言うと、専用アプリを使ってアンプの各パーツにアクセスし、交換や調整などの改造が施せるということです。改造できる個所は、考えられる「おおよそほとんど」。実際の真空管アンプでは不可能な改造も可能なので、この世に1台しかないオリジナルアンプを作り上げることもできます!

アプリからプリアンプ部を改造するときのインターフェイス。このように真空管の交換や調整が可能です。専門的な知識がなくても、アンプを壊してしまうこともありませんし、もちろん感電することもありませんから、自分の耳をたよりに安心してアンプ改造を楽しめます

しかもこのアプリには、世界中のユーザーが作成したアンプデータをダウンロードできるクラウドサービスがありますので、改造に自信がなくても、気に入ったアンプを見つけて入手することができます。私も気に入ったものをいくつかダウンロードして愛用していますが、このサービスだけでもBIAS Mini Guitarは買いだと思っています。

クラウド内のダウンロードページ。この画面でアンプを選択し試奏できます。気に入ったものをダウンロードして改造することも可能

【魅力5】憧れのアンプのクローンを作る!?

さらにもうひとつ、BIAS Mini Guitarには「AMP MATCH」という機能が搭載されています。これは「Kemper」のプロファイリング機能のようなもので、気に入ったアンプのクローンを作ることができます。実際私も長らく愛用してきた真空管アンプで試してみましたが、ちゃんと特徴をとらえたものができ上がりました! くわしい方法は、以下の動画で解説していますのでご参照ください。

AMP MATCHを行う画面。アンプの音をマイクで直接拾う方法と、クローンを作りたいギターのサウンドファイルを読み込ませる方法が選択できます

実際のアンプは、使い続けるうちにいろいろなパーツが消耗して音が変わってしまったりしますが、1度データ化してクローンを作ってしまえば、安定して同じ音を鳴らし続けることができます。なので、貴重なビンテージアンプやレアなアンプをお持ちの方は、すぐにAMP MATCHして、1番いい音を残しておくといいかもしれませんね。

ちなみに、私の場合、お気に入りのアンプをAMP MATCHしてからは、オリジナルのほうの電源は1度も点けておりません……かわいそうに(苦笑)。でも、それほどクオリティが高いということなんです。

なお、AMP MATCHデータも世界中のユーザーがアップロードしたものをダウンロードし放題です。この中には、ダンブルアンプなどの希少性の高いものやビンテージアンプなども含まれています。実際に実機を手に入れることは難しくても、これなら気軽に憧れのアンプを自分のものにできます。しかも、ダウンロードしたアンプは、さらに自分好みに改造することができるので、サウンドの可能性はまさに無限大!

ちなみに今これを書いていて思いついたのですが、歪み系ペダルやコンプレッサーなどを接続した状態でAMP MATCHを行えば、サウンドの完成形でクローンが作れます。こうすれば、機材の減量が図れますね。残念ながらDelayやReverbなどの残響系エフェクトは、その性質上AMP MATCHすることは難しいですが、歪み系は間違いなくいけます。私も引き続き、楽しみながらいろいろと実験していこうと思います。

【魅力6】圧倒的な軽さで、移動もラクラク

ここまでBIAS Mini Guitarの解説を読んで、小型とは言え、それなりに大きな筐体を想像された方も多いことでしょう。実際、真空管アンプと言えば、一般的なMarshallのヘッドで20kgくらいありますから、これらの魅力的な機能を考えればそれなりの大きさになってもおかしくありません。そして、結局持ち運びが嫌になって使わなくなるという結末が待っ……ていません(笑)。

BIAS Mini Guitarの重量は驚異の2.5kg! サイズは幅27cm弱! これなら電車移動も苦になりません。しかも、このサイズに300Wのパワーアンプが搭載されているというから驚きです! スタジオやライブハウスに手軽に持ち込んで、キャビネットに接続してすぐに使うことができます。

真空管のアンプヘッドとのサイズ比較です。1番上に乗せたBIAS Mini Guitarはかなり小さいことがわかります。重さも1/10程度なので電車移動も可能!

もちろんキャビネットに接続しなくても、リアルなキャビネットサウンドをLINE出力することができます。こうすることで、PAやインターフェイスに直接接続して、ライブやレコーディングを行うことが可能になります。本当に「よくこのサイズに欲しいすべてを詰め込んでくれた!」と、もはや感謝しかありません(笑)。

【魅力7】ひとつのシステムですべてのシーンに対応

ライブではエフェクトボードとライブハウスの真空管アンプ、レコーディングではアンプシミュレーター、練習は練習用アンプ……といったように、シーンに合わせてアンプの使い分けをされる方も多いと思います。

これがBIAS Mini Guitarなら、ライブ用、レコーディング用、自宅練習用……のように、システムを使い分ける必要がありません。ひとつのシステムだけですべてのシーンをまかなうことができます。必要な端子はすべて搭載されています。

必要なすべての端子が搭載されています。専用アプリは、本体とUSB/Bluetoothで接続できます。またXLR端子からPAやインターフェイスに接続することも可能

さらには、BIAS Mini Guitarを購入すると、パソコン上で使える「BIAS AMP 2.0 Professional」というソフトが付属してきます。このソフトが優秀で、簡単に言うとパソコン上にBIAS Mini Guitarが立ち上がるようなイメージ。つまり、レコーディング時にはBIAS Mini Guitar本体さえ使う必要がないのです。

もちろん普段使っているエフェクトボードをレコーディングにも活用したいなら、BIAS Mini GuitarのLINE出力を使えばいいだけです。

ちなみに、BIAS FX 2.0というソフトも販売されていて、こちらにはエフェクター類がすべて搭載されていますので、パソコン上だけですべてを完結させたいという方には最適。さらに、ヘッドホン端子がついていますので、夜中の練習も安心です! このように、BIAS Mini Guitarはすべてのシーンをシームレスに移動できる夢のアンプなのです!

【魅力8】圧倒的なコストパフォーマンス

ここまで非の打ちどころがないBIAS Mini Guitarですが、うれしいことに金額も非の打ちどころがありません。高音質なほかのアンプシミュレーターが軒並み20万円前後という中、BIAS Mini Guitarは定価10万円程度とかなりリーズナブル。

もちろんエフェクター非搭載によるところが大きいと思いますが、それは先述の通りメリットでもあるので、その分価格が下がるならうれしいですよね。しかも、ここに定価2万円以上するBIAS AMP 2.0 Professionalが付属してくるというのだから、そのコスパのよさにはただただ驚くばかりです……!

まとめ:アナログ派ギタリストにこそ使ってほしい無敵のヘッドアンプ

個人的にギターアンプで久々の大ヒットだったBIAS Mini Guitarですが、改めて本当にいい時代がやってきたなぁと実感しています。

これは、私のように旧来の機材で試行錯誤してきたギタリストだからこそ感じられるありがたみなのかもしれません。だからこそ、デジタル製品に不安を覚える世代にこそ試してもらいたい、アナログとデジタルの橋渡し的製品だと思っています。

今後さまざまなデジタル機材が登場すると思いますが、いい音というのは普遍的なものなので、BIAS Mini Guitarは今後も長く愛用できることでしょう。長くなりましたが、ぜひみなさんのアンプ選びの選択肢のひとつに加えていただけたらうれしいです。

高村尚平

高村尚平

藤沢市のギター教室「ギターの処方箋TAKAMURA」を運営するギタリスト兼講師。ギターと機材が三度の飯より好き。過去には機材メーカーに在籍し、全国で実演セミナーを開催していたほど。

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