レビュー
動画でも解説!

時代が求める機能てんこ盛り! ヤマハのアコギ用アンプ「THR30IIA Wireless」

こんにちは。ギタリストの高村です。今回はヤマハのアコースティックギター用アンプ「THR30IIA Wireless」をご紹介します。THR30IIA Wirelessを触ってみて最初に感じたことは、「新しい楽しみ方を提案してくれるアンプ」ということでした。

初めて本機を見たときに思ったのは、「運搬性のよい小型のアコギ用アンプだなあ」くらいだったのですが、10日間ほど使ってみて感想がガラッと変わったのです……もちろんイイ意味で(笑)。ということで、使ったからこそわかったTHR30IIA Wirelessの魅力をご紹介していこうと思います! 以下、動画での解説も行っているので、ぜひあわせてご参考ください。

インテリアに調和する小型でスタイリッシュなアンプ

ヤマハの「THR」シリーズと言えば、ギタリストの皆さんはよくご存じですよね。ステージ用や練習用といった用途に固定しない「デスクトップで自由に使える第3のアンプ」として登場し、小型で運搬性のよさから大ヒットしました。

どのモデルも「小型でオシャレ」であることが特徴。インテリアにさりげなく調和しつつ、ちょっとしたワンポイントを演出してくれる……そんな、ある意味アンプらしくないアンプです。アコースティックギター用に登場したTHR30IIA Wirelessも、もちろんその特徴を継承しています。

オシャレなデザインでどんなインテリアにもマッチします!

オシャレなデザインでどんなインテリアにもマッチします!

今回、THR30IIA Wirelessをお借りしている期間、私が運営しているギター教室に置いて使っていたのですが、教室の雰囲気が少しモダンになりました。生徒さんたちにも「オシャレですね!」言われることが多く、教室備品にしたくなってしまったほどです(笑)。

楽器の機材というのは黒っぽいものが多いのですが、THRはレトロなクリームがかった色なので、よい意味で機材感が薄いのです。きっと、生活環境にも違和感なく溶け込んでくれるはず。

小型なのに臨場感のあるサウンド

本機のサウンドを試してみて思ったのは、「ギターの音が自然に大きくなる」という不思議な感覚でした。アンプの音というよりギターサウンドの延長線上にある自然なサウンドといった印象です。使用したギターは「Martin D-28」ですが、D-28の音がそのまま広がっていくような心地よさを感じました。

この組み合わせで使用しました。D-28と比べるとアンプの小ささが際立ちます

この組み合わせで使用しました。D-28と比べるとアンプの小ささが際立ちます

これだけでもすばらしいのですが、リバーブをはじめとする各種エフェクターも搭載されているので、演奏する内容に合わせて、積極的にサウンドメイクを施せます。こういったサウンドはアコギだけでは表現できない領域ですので、表現に新たな可能性を感じさせてくれます!

ステージからストリートまで対応

さて、自宅でお気に入りのサウンドが完成したら、外に持ち出して演奏したくなるのが人情というもの(笑)。THR30IIA Wirelessは、本体サイズ420(幅)×195(高さ)×155(奥行)mm、重量4.4kgと小型軽量なので、片手で気楽に持ち出せます(別売でキャリングバッグも用意されています)。では、どのようなシーンで使えるのでしょうか?

まずライブ演奏です。最大音量で鳴らしてみた印象としては、カフェなどの小規模な会場であれば、本機のみでも対応できそうな印象でした。もしそれ以上に広い会場やアンサンブル内で使う場合には、背面に搭載されたLINE OUTを使えばPAにサウンドを送ることができますので問題ありません。つまり、シーンを問わずTHR30IIA Wirelessで作ったお気に入りのサウンドを使うことが可能だということですね!

背面にLINE OUTが搭載されていますので、大きな会場でもPA機器に接続してTHR30IIA Wirelessで演奏可能です

背面にLINE OUTが搭載されていますので、大きな会場でもPA機器に接続してTHR30IIA Wirelessで演奏可能です

また、THR30IIA Wirelessは充電式バッテリー搭載なので、屋外で演奏することだってできてしまいます! たとえば、ストリートライブに使ったり、レジャーに持っていって演奏を楽しんだり……と、夢がふくらみますね! 私だったら、キャンプに持っていきます(笑)。

製品名のとおりワイヤレス!

そして製品名からもわかるとおり、THR30IIA Wirelessはワイヤレス接続に対応しています。しかしワイヤレスとひと言で言っても、どの部分がワイヤレスになるのかわかりませんよね? ということで、ここではどういった部分がワイヤレスなのかをご紹介していこうと思います。

▼スマホやタブレットとワイヤレス接続して音楽を鳴らせる

まずは、Bluetoothでスマートフォンやタブレット、パソコンなどとTHR30IIA Wirelessを接続することができます。こうすることで、スマートフォンやタブレットで再生している音楽をTHR30IIA Wirelessで再生することができるのです。アコギの音を生々しく再生できる9cmフルレンジスピーカーが2基搭載されているだけあって、とてもリアルで迫力のあるすばらしいサウンドが得られます。

USER MEMORYの横にBluetoothのボタンが配置されています

USER MEMORYの横にBluetoothのボタンが配置されています

▼専用アプリ「THR Remote」からのコントロールが可能

さらに、スマホとBluetooth接続して「THR Remote」という専用アプリが使えるようになります。このTHR Remoteは、THR30IIA Wirelessに触れなくても、スマートフォンやタブレットといったデバイスからTHR30IIA Wirelessをコントロールできるものです。これはかなり便利で、THR30IIA Wirelessから少し離れた場所で演奏していても、手元のデバイスでサウンドメイクできてしまいます。いちいちアンプに近づかなくてよいということは、アンプの設置場所の自由度も飛躍的に高まるということ。インテリア感覚を優先して好きな場所に設置できます。

ちなみに、THR Remoteを使うことによって、本体では操作できないパラメーターにもアクセスできるようになりますので、より細かいサウンドメイクが可能になります。まさにイイことずくめですね!

THR Remoteを使えば本体に触れずに音作りが可能です!

THR Remoteを使えば本体に触れずに音作りが可能です!

▼「Line6 Relay G10T(GT10T II)」を使ってギターとワイヤレス接続

そして最後に、別売のワイヤレストランスミッター、Line6「Relay G10T」(GT10T II)を使うことで実現する「ギターとTHR30IIA Wirelessのワイヤレス接続」です。個人的にはこの機能こそ、まさにTHR30IIA Wirelessの目玉だと思っています。

通常ギターとアンプを接続するためには、シールドケーブルと呼ばれるケーブルが必要になります。ケーブル1本接続するだけなので、そこまで不便に感じるということはないかもしれませんが、このワイヤレス接続を一度味わってしまうと、もうシールドには戻れなくなってしまうかもしれません(笑)。それくらい、ギターとアンプの間に何もないのは快適です。

こちらがLine6のワイヤレストランスミッター「Relay G10T」

こちらがLine6のワイヤレストランスミッター「Relay G10T」(現在はGT10T IIへと仕様変更)

ギター本体にRelay G10T(GT10T II)を接続すれば、アンプ側とワイヤレス接続できます!

ギター本体にRelay G10T(GT10T II)を接続すれば、アンプ側とワイヤレス接続できます!(一部変換アダプタが必要なギターがあります)

使い方は至って簡単で、トランスミッターのRelay G10T(GT10T II)をTHR30IIA Wirelessのギター入力端子に接続するだけで、両者のチャンネル設定ができます。あとはRelay G10T(GT10T II)をギターに接続するだけで完了! このわかりやすさには感動してしまいました。しかも、この方法でRelay G10T(GT10T II)の充電までできてしまうというから驚きです……。音に関しても、シールド使用と比べて遜色なく、クセのないよい音が得られました!

ちなみに、前述のとおりTHR30IIA Wirelessは充電バッテリーを搭載しています。つまり電源ケーブルを外しても演奏ができるということです。ある意味この部分もワイヤレスなのです(笑)。

このようにTHR30IIA Wirelessでは、かなりの部分をワイヤレス化しています。ケーブルから解放されてシンプルでスタイリッシュに演奏を楽しめる、まさに究極のワイヤレスアンプと言えそうです!

弾き語りにうれしい機能も

THR30IIA Wirelessにはギター入力とは別にマイク入力端子が搭載されています。つまり、この1台で弾き語りできるわけです。ボーカルにはギターとは別にリバーブをかけることができますので、表現したい世界観を細やかに演出できます。

当初、THR30IIA Wirelessを見たとき、小さな筐体から歌とギターの両方を鳴らすのはムリがあるんじゃないかと思ったのですが、実際鳴らしてみてびっくり! 両方の音がしっかりクリアに聴こえ、とても心地よいバランスで鳴ってくれるではありませんか! これだけでも十分よいアンプだと思ったのですが、さらに「ステレオイメージャー機能」という弾き語りミュージシャンが泣いてよろこびそうな機能が搭載されていたのです。

TONE SELECTの右に配置されているSTEREO IMAGER。これを使うことでボーカルを聴きやすく演出できます

TONE SELECTの右に配置されているSTEREO IMAGER。これを使うことでボーカルを聴きやすく演出できます

この機能は、ギターの音を左右に広げてボーカルの音を際立たせるというものなのですが、普段あまり弾き語りをしない私ですら、わかりやすく歌いやすさを感じることができました。

ステレオイメージャー機能には「WIDE」と「WIDER」という2つの段階が用意されているので、演奏していて気持ちよいほうを選択したらよいと思います。この機能を使うことで、気持ちよく演奏できるだけでなく、PAのいない環境でのライブ演奏でも、バランスのよいサウンドを聴かせることが可能になるはずです!

現代のアーティストが求める新時代の機能

そして、THR30IIA Wirelessを使ってみて最も印象的だったのが、ヤマハが提供するアプリ「Rec'n'Share」(iOS版)との組み合わせによる動画撮影機能です。もう単純に「自分の環境に導入したい!」と思いました。

Rec'n'Shareは、練習のための便利機能と動画撮影機能で構成されています。練習のための機能としては、取り込んだ楽曲にメトロノームを合わせてくれたり、楽曲自体のテンポを変更したりする機能があります。メトロノームを合わせてくれる機能には正直、驚きました。いやはや、すごい時代になったものです……(汗)。

次に動画撮影ですが、これが本当に秀逸。iPhone/iPadとTHRをUSBケーブルで接続して録画ボタンを押すと、THRの音声をアプリで収録できるのですが……なんと、それと連動して同時に動画も撮影できるのです。映像をiPhoneやiPadのカメラで撮影しながら、サウンドはすべてTHRのものを取り込んで合成してくれると言ったほうがわかりやすいでしょうか。

Rec'n'Shareの撮影画面。iPhone/iPadとTHRをUSBケーブルで接続して、録画ボタンを押すだけというシンプルな操作感

Rec'n'Shareの撮影画面。iPhone/iPadとTHRをUSBケーブルで接続して、録画ボタンを押すだけというシンプルな操作感

従来の方法だと、アンプで作った音を映像に取り込む場合、アンプの音を別録りして後で映像と合成する必要がありました。そうなると、レコーディング機材や動画編集ソフトが必要になるだけでなく、それらの操作を覚える手間もあり、なかなかハードルが高かったのです。それがiPhoneやiPadとTHRをUSBケーブルで接続するだけで、すばらしい音声の動画が一挙に完成するのですから、本当にありがたい話です。もちろん、ギター入力だけでなくマイク入力の音声もしっかり収録できます。動画配信にご興味をお持ちの方には、ぜひオススメしたい機能です。

ということで、記事の冒頭にあったレビュー動画は、実際にRec'n'Shareを使って撮影してみたものなんです。撮影環境は、Rec'n'ShareをインストールしたiPhone 12 miniのインカメラとTHR30IIA Wirelessのみ。おそらく、YouTubeで公開するのに問題ないクオリティで収録できていると思います。

あらゆるシーンに対応した次世代型アンプ

いかがでしたでしょうか? このようにTHR30II A Wirelessはただ音がよいというだけではなく、ワイヤレス化や動画配信への最適化など、これからのアーティストが求める機能がギュッと詰まった次世代型アンプなのです。また、今回は取り上げなかったのですが、USBアウトも装備していてPCへのオーディオインターフェイスにもなりますので、本格的な録音や楽曲製作などに使うことも可能です。このアンプをお供に、あなたの演奏ライフを次のステージに押し上げてみませんか?

高村尚平

高村尚平

藤沢市のギター教室「ギターの処方箋TAKAMURA」を運営するギタリスト兼講師。ギターと機材が三度の飯より好き。過去には機材メーカーに在籍し、全国で実演セミナーを開催していたほど。

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