レビュー
スタンドアローンだから手軽に叩ける

気軽にフィンガードラム入門! AKAIのミニキーボード「MPK Mini Play」を買ってみた


小さなパッドを指でテコトコ叩いてビートを叩き出す、「フィンガードラム」。演奏の見た目はこぢんまりとしていますが、実は現代のビートメイクにおいては主役級の役割を果たすこともある、注目の新楽器です。

今回は「フィンガードラムって何?」に始まり、それを気軽に体験できる製品をひとつご紹介しましょう。そう、フィンガードラムやりたさに、AKAI professionalのパッド搭載ミニキーボード「MPK Mini Play」を買っちゃったのです。というわけで、そのレポートをお届けします!

指先で パッドをテコトコ フィンガードラム

フィンガードラムと言っても、比較的近年に登場した楽器および奏法なので、ご存じない人も少なくないでしょう。でも↓こう言ったら、思い当たる人も増えるのではないでしょうか?

「星野源さんのバンドで、マス目みたいなパッドを両手の指で細かく叩いている人がいる、その叩いているアレ」

その「アレ」がフィンガードラムです。ヒット曲「アイデア」の2番:エレクトリックブロックでの活躍が特にわかりやすいでしょう。以下、星野源さんのYouTube公式チャンネルより、「アイデア(Live at Tokyo Dome 2019)」の動画で、01:44〜あたりで映っているのがフィンガードラムです。

フィンガードラムの定義や歴史は、まだ定説がまとまりきっていないところもあるのですが、ざっくりとは、「リズム音色を割り当てたパッドや鍵盤を指で叩き、ビートを演奏する演奏技術」と理解しておけば大体だいじょうぶ!

こういう感じで、指でテコトコ叩いてリズムを刻むもの

こういう感じで、指でテコトコ叩いてリズムを刻むもの

フィンガードラムを実践するには、サンプラーが必要

さて、上述の通り、フィンガードラムには鍵盤を叩くタイプとパッドを叩くタイプがあるのですが、後者のほうが「フィンガードラム」のイメージとしてはわかりやすいしおもしろいですよね。新しい楽器っぽいし!

では、そのパッドを叩くスタイルのフィンガードラムを実践するには、どんな楽器や機材が必要なのでしょう? たとえば前述の星野源さんバンドでSTUTSさんが叩いているのは、AKAI Professional「MPC」シリーズのサンプラーです。

写真は、MPCシリーズのスピーカー内蔵スタンドアローンモデル「MPC LIVE II」。8×8のマス部分がパッドです。価格は税込14万円前後

サンプラーとは、楽器の音や効果音などを素材として録音して、その音を任意のタイミングで再生して鳴らす機材。元々は、リアルタイム演奏する「楽器」としての使い方をメインに作られたものではありません。

ですがMPCには、任意の音素材を「パッド」に割り当て、そのパッドを叩くことでその音を鳴らせるという機能が搭載されています。そのパッドにドラムの各パーツの音を割り当て指で叩いてドラムの演奏を再現するのが、現代フィンガードラムの基本スタイルと言えるでしょう。

緑マルで囲ったパッドの1つひとつに、ドラムの音を割り当てて使えるのです

緑マルで囲ったパッドの1つひとつに、ドラムの音を割り当てて使えるのです

MPCではなくほかの製品を使う場合でも、この「サンプラーのパッドにドラムサウンドを割り当てて叩く」というスタイルは同じ。よし、じゃあ、フィンガードラムを試してみたいからMPCを買おう!

……はい、僕も買えるものなら買いたいです。ですがMPCシリーズってフィンガードラム専用マシーンじゃなくて、まずはサンプラーであり、そしてサンプラーの機能を核とした総合的な音楽制作環境のマシーンなんです。

え、だから何って? ……多機能&高機能だから価格も高いんです!「フィンガードラムを試してみたい」というだけで買うには高すぎるんです……!

定番「MPC」シリーズの血を引くパッド付きミニキーボード「MPK Mini Play」

で、やっと今回の主役の紹介です。上述のAKAI professionalの「MPK Mini Play」! 実売税込1万5000円前後! これは買えるお値段! ていうか実際に買いました!

ブラックをベースにレッドをアクセントにしたカラーリングもかっこいい

ブラックをベースにレッドをアクセントにしたカラーリングもかっこいい

MPCシリーズと同じくAKAI professionalの製品で、こちらは見ての通りのミニキーボードですが……見ての通りMPC的なパッドも搭載されています! 叩ける! こいつならフィンガードラムできる!

はいこれがパッドです! 叩くよ叩くよ〜

はいこれがパッドです! 叩くよ叩くよ〜

スタンドアローンだからいつでも気軽に叩ける!

AKAIいわく、「スタンドアローン・ポータブルMIDIキーボード・コントローラー」であるこれ、実売1万5000円前後という手軽さながら、パッド搭載なだけでなく超便利なミニキーボードです。大きなポイントは「スタンドアローン」であること。

たとえば、同じAKAI professionalの製品で「MPD218」というモデルがあります。こちらはMPK Mini Playよりもさらにお手頃な価格で、パッドの数が多いので、より本格的なフィンガードラミングに対応できるもの。

MPD218は実売税込1万円ちょいくらいで買える超定番パッドコントローラー!

MPD218は実売税込1万円ちょいくらいで買える超定番パッドコントローラー!

ですがMPD218は「パッドコントローラー」、つまりパッド型「入力装置」です。音源もスピーカーも搭載されていません。なので、PCやスマートフォンと接続して動作する音楽アプリと組み合わせて使わないと音も出せず、それ単体では演奏できません。フィンガードラムを「試してみたい」「ちょっと遊んでみたい」という我々にとっては少し面倒です。

対してMPK Mini Playは、スタンドアローン=単独で動作する機材=これ単体で使える楽器なんです! しかも、その手軽さはPCやスマホとつなぐ必要がないだけではありません。

なんと電池駆動対応なので、電源ケーブルも不要! スピーカー&イヤホン端子搭載だから外部スピーカーも不要! 目に入る手の届くところに置いておけば、気が向いたときすっと手を伸ばしてさっと音を出せる身軽さ! 超気軽にフィンガードラムに挑戦できる製品なのです。

単3電池3本で駆動します

単3電池3本で駆動します

スイッチを「BATT」側にすればバッテリー駆動モードに。イヤホン端子も装備!

スイッチを「BATT」側にすればバッテリー駆動モードに。イヤホン端子も装備!

加えて、もちろん一般的なミニキーボードとしても使えます。ピアノやエレピなどの音でも演奏できますし、「ポータブルMIDIキーボード・コントローラー」なのでPCやスマホの音楽アプリと組み合わせての演奏入力も可能。もしフィンガードラムを試してみてピンと来なくても、音楽機材として普通に便利アイテムなので、音楽好きなら手元にあって損はしない! だからなおさら買いやすいんです。

最小限の8パッドでフィンガードラムのエッセンスを体感!

というように、MPK Mini Playはいろいろ便利なアイテムでもあるわけですが、今回の目的はあくまでも「フィンガードラムをやってみたい!」。以下、そこに集中して紹介していきましょう。

まずパッドは4×2の8パッド。MPCのスタンダードである4×4の16パッドの半分しかありません。ここは正直痛いところではあります。一般的なドラムキットのパーツを割り当てるのにぜんぜん足りません。

MPCのパッドレイアウトは自在に変更できますが、デフォルト割り当て的なものとしてはこんな感じです

MPCのパッドレイアウトは自在に変更できますが、デフォルト割り当て的なものとしてはこんな感じです

MPK Mini Playのレイアウトはこんな感じ。上の基本割り当て図と比べると、いろいろと足りていません

MPK Mini Playのレイアウトはこんな感じ。上の基本割り当て図と比べると、いろいろと足りていません

でもミニキーボードのサイズに収めるためには仕方がないでしょうから、こちらも割り切りましょう。それでも本当に基本的なドラムパーツはちゃんと揃っていますし、なんなら「ドラムの基本は三点セット=バスドラ・スネア・ハイハット! フィンガードラムでもまずはそこから極める!」みたいな心意気でいきましょう。

ということで、「右手人差し指でHH CLOSEの8分音符を刻む」「左手中指で1拍3拍にバスドラム、人差し指で2拍4拍にスネア」……という基本の8ビートを叩いてみると、うん、こういうシンプルな叩き方ならぜんぜんいけそうです!

以下、実際に叩いてみた動画です。iPhoneで簡易的に撮影したものなのでちょっとブレていますが、リズムを刻んでいる雰囲気はおわかりいただけるはず。

あ、ドラムキットのサウンドはもちろん何種類も用意されていますよ。ディスプレイとノブでさくっと選択できますし、よく使うドラムキットは「フェイバリット」機能に登録しておけばすぐに呼び出せます。

「DRUMS」ボタンを押してノブを回し、ドラムキットを選択

「DRUMS」ボタンを押してノブを回し、ドラムキットを選択

いちばん普通に使いやすいのはやはりスタンダードセット

いちばん普通に使いやすいのはやはりスタンダードセット

エレクトリックなサウンドにはやはりこれ!808セット

エレクトリックなサウンドにはやはりこれ! 808セット

MPK Mini Playを使う上での注意点

パッドの数が少ないことよりも気になるのは、どのパッドにドラムキットのどの音を割り当てるかのレイアウト変更の機能が、スタンドアローン動作時には見当たらないこと。

フィンガードラムにおいてパッドのレイアウトは叩きやすさに直結するからこそ、プレイヤーそれぞれが好きにレイアウトし直して使うもの。「フィンガードラム レイアウト」とかでウェブ検索をしてみてください。さまざまなプレイヤーの方々が、さまざまな理由からさまざまなレイアウトを考案、そして実践していておもしろいですよ。

ですがMPK Mini Play、マニュアルをざっと見てみたところそのレイアウト変更の機能が見当たりません。PCやスマホと組み合わせて使う場合にはどうとでも設定可能ですが、スタンドアローンで使う際のレイアウトはどうやら変更できなさそう。

となると、「当面は前述のデフォルトレイアウトに慣れる」「明確な不満を感じるようになったら覚悟を決めてMPCやMPDに移行する」という感じになるでしょうか。まあ、元々MPK Mini Playを選んだのはフィンガードラムを「体験してみたい」「試してみたい」くらいのニーズにはぴったりだろうということだったので、その先を望むならMPCやMPDに行くことになるのは妥当かもしれません。

ほかに注意点としては、前述の「フェイバリット」の設定をサクサクと編集したい人のために用意されているPCアプリ「MPK Mini Play - Favorite Editor」のMac版が、macOSの最新バージョン「Catalina」にまだ対応していません。Catalinaユーザーの方はサポートページにて動向を注視しておくとよいかと思います。

サポート:AKAI Professional
http://akai-pro.jp/support/#CATALINA

ガチなイヤモニとの組み合わせもイイ

スピーカーは見ての通り超小さいので、ぶっちゃけて言うと音量も音質も「とりあえず鳴ることは鳴る」レベルです。

この「とりあえず付けました」感! でもあるだけで十分便利!

この「とりあえず付けました」感! でもあるだけで十分便利!

パッドもスピーカーも最小限だからこそのこのコンパクトさです

パッドもスピーカーも最小限だからこそのこのコンパクトさです

それでも、何も接続しなくても音が鳴ってとりあえず演奏できるからこその身軽さはやはりありがたい!

しっかりとモニターしたり大きな音で鳴らしたいときは、イヤホン端子からイヤホンやヘッドホンで聴くか、イヤホン端子から外部スピーカーにつなぐかすればよし。イヤーモニターやモニターヘッドホンを使うとそれっぽいので気分も高まります! もちろん音質的にも高まります!

イヤホン端子は本体後側なのでケーブルが長めのイヤホンが取り回しに使いやすいです。ガチモニターイヤホンはケーブル長めな製品が多い点でもおすすめ

MPK Mini Play専用に使うイヤホンをこんな感じでキーボード本体と常にまとめておくと、ささっと手にとって使いやすいです

本格的ではないからこその気軽さを満喫

さてMPK Mini Play。パッドレイアウトの変更が不可能っぽいところなど、本格的なフィンガードラム機材としては難しいところもあります。しかしそこも含めてさまざまなところでの思い切った割り切りがあってこそ、ミニキーボード+パッドでスピーカーも搭載してスタンドアローンで使えてコンパクトで……といった、盛りだくさんでいて気軽で使いやすいアイテムに仕上がっているのです。

普通にミニキーボードとしても使えるし、その上フィンガードラムも体験できるし、さっと使えるし小さくてジャマにならないし! ……と、すばらしくお手軽お気軽なこの楽器。「おうち時間を生かして楽器に触れたい! どうせなら新鮮さも欲しい!」なんて方にはうってつけの1台と言えるのではないでしょうか。

高橋敦

高橋敦

オーディオ界隈ライター。現在はポータブルやデスクトップなどのパーソナルオーディオ分野を中心に、下からグイッとパンしていくためにてさぐりで活動中。

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