2020年7月、バンダイスピリッツの人気可動フィギュアシリーズ「ROBOT魂」から、「ガンダムF91」が発売されました。実は10年前にも一度発売されており、好評を博していた同機体が、今回最新技術を集約して新生されたということで、どんな出来になっているのか楽しみです。さっそく見ていきましょう。
2020年7月発売の「ROBOT魂 <SIDE MS> ガンダムF91 EVOLUTION-SPEC」。パッケージ裏面から中身がちらっと見える仕掛けがありました
開封するとブリスターパッケージ内にたくさんの付属品とともに「F91」が
「ROBOT魂」についてもう少し詳しくご説明しておくと、2008年からスタートした完成品ロボットフィギュアのシリーズで、最先端のCAD技術と、造形職人の匠の技が織りなす“造形の妙”により、さまざまなロボットを圧倒的な完成度で立体化している人気シリーズ。ダイキャストのパーツを使用した「METAL ROBOT魂」や、アニメの動きや可動を再現した「ver. A.N.I.M.E.」などのサブカテゴリーを展開しています。
そして今回商品化された「ガンダムF91」は、1991年3月に劇場公開された「機動戦士ガンダムF91」の主役機。NHKで放送された「全ガンダム総選挙」では、モビルスーツ部門で第9位にランクインした人気機体です。
先述の通り、10年前に一度「F91」はROBOT魂として発売されており、今回10年越しの進化(EVOLUTION)を感じられる新作として生まれ変わりました。筆者は10年前のオリジナルを見たことはないのですが、今回は素材面や造形面で進化した技術を集約しているようです。
シンプルな色合いで白が多めに感じます。特徴的な胸部の曲面デザインが再現されていますね
10年前のモデルは軟質素材がメインだったそうですが、今作の外装はほぼすべてABS素材を採用。合成プラスチック素材のABSは、見た目の硬質感や光沢がとてもきれいです。最近はガンプラでもABS素材を使用しているものが多いですよね。また関節にはPOMという、強度、弾性、衝撃にすぐれたプラスチック素材を使っており、可動に適したものとなっております。フィギュアはガシガシ動かして遊ぶことが多いので、これはいいですよね。
頭部のアンテナはシャープですが、気持ち太め。正面から見ても胸部の曲線ラインがキレイです
造形や素材だけでなく、可動も申し分ない仕上がり。肩アーマーが柔軟に可動し、また、引き出し構造にもなっているので、腕が自在に動かせます。頭部、腹部もよく動くので、劇中の飛行ポーズなども無理なくとることができますね。そして背中のヴェスバーはレールに沿って可動し、前面に持ってくることができます。
大きく跳ね上がる肩アーマーと引き出し関節によって、ここまで腕を上げることができます
脚は膝が二重関節になっていてよく曲がります
脚の付け根は、軸の位置そのものが動かせます
ヴェスバーは半円状のレールに装備されており、背中から回して前面に持ってくる仕組み。最大でこの角度まで前面に持ち出すことができます
ヴェスバーの付け根部分を引き出すことも可能
腰のサイドアーマーは開閉可能。着脱式で、中のディテールも再現されています
武装は、ビームライフル、ビームランチャー、ビームサーベルが2本と、PET素材を使ったクリアのビームシールド。そして本製品のみの特別エフェクトとして、劇中でビームサーベルをぐるぐると回転させて攻撃したシーンを再現できる、回転ビームサーベル用エフェクトが付属しています。また、劇中後半で見せたフェイスオープン状態の頭部と、肩部のフィンも用意されています。
付属品一覧です。ビームシールド用の取り付けパーツも付属
劇中後半で見せるフェイスオープン状態の頭部。交換式で取り付けます
肩部のフィンは、リミッター解除後の最大可動モード仕様も付属
ビームライフルやランチャー、サーベル用に専用手首付き
シールドと回転エフェクトはクリアのPET素材を使用。とても色鮮やかです
F91が最初に使用したビームシールド。左腕に取り付けられます
劇中後半で活躍したビームランチャー。大型武装ですがしっかり保持できます
ヴェスバーは砲身をスライドして引き出すとグリップが出現し、保持可能
ふくらはぎのバーニア部分も開閉可能
肩部のフィンを展開しヴェスバーで挑むこのスタイルは、F91ならでは
そして、ビームサーベルの回転エフェクトはこの製品の目玉のひとつ。よくこれを再現しようと思ったなと、感心してしまいましたよ。劇中では手首をくるくると回転させて、ビームサーベルを回し、敵の「バグ」を粉砕するシーンがありました。本製品では、付属の手首パーツが、すでに回転しているような造形になっており、これにクリアの回転エフェクトを取り付け、本体と合体させる仕組み。結構大きめのエフェクトなので見た目も迫力がありますよ。
ビームサーベルは2本付属。クリアグリーンの刃です。単体ではこの感じですが……
回転用の手首をエフェクトの内部に取り付けて
両手に付けると、劇中で見せたシーンを再現可能に
両手を伸ばして展開。エフェクトが派手なので、かなり見栄えのするポーズがとれます
最新技術を集約し、10年ぶりに新生したF91は、確かに魅力ある可動フィギュアに仕上がっていました。遊びやすさ、可動、見栄え、プロポーションのどれをとっても至極の出来と言っていいくらいです。今後のROBOT魂シリーズの指針となりそうですね。
ただ、ちょっとだけ難点を言わせていただくとしたら、塗装関係ですね。ディテールの細かさはいいのですが、もう少し色分けをしてほしかったというのが本音。たとえば、太もも、すねの溝のラインや、頭部バルカンなどダクト部分のスミ、バックパックのバーニアが一色のみなどの部分はいまひとつでした。昨年発売されたMGガンプラのF91はこのあたりが完璧だったので、ちょっと残念。
MG(写真右)との比較。脚の溝や、フロントアーマーの黄色い部分の中の黒塗りなど、ROBOT魂版はややディテールが少ない感じを受けます
塗装の点以外はすばらしい仕上がりなので、ぜひ手に取って、可動フィギュアの進化を目の当たりにしていただきたいです。
現時点では最高峰の完成度とも言えるF91。手に取るとその再現度や遊びやすさを実感できます