「アイコス」専用たばこスティックのたばこ葉の代わりに、茶葉を使用することで、ニコチンカットを実現するノンニコチンスティックがブームを呼んでいる。今回は、現在日本で入手可能な製品の大半を試した筆者が、そのおいしさ順でランキングを勝手に作成してみた。
近年急激に種類が増え続けているノンニコチンの茶葉スティックの中から、独断と偏見で10製品をピックアップした
始まりは2019年3月の「ニコレス」発売。従来、喫煙動作をしながらニコチンをカットする方法と言えば、古くは禁煙パイポ、最近ではベイプが常識だった。しかし、それらではのどへのキック感(吸い応え)が弱く、喫煙者が移行するのは難しかった。
そんな中登場した「ニコレス」は、たばこ葉の代わりに紅茶葉を使用することで吸い応えを高めており、筆者も初体験時はそのキック感に驚いた。風味はともかく、蒸気の重みと質感はまさにアイコスを吸っている感覚に近かった。したがってアイコスユーザーに限定されるが、ニコチンカットが飛躍的に容易になったのだ。
「ニコレス」ヒット以降、さまざまなメーカーが参入し、現在では発売銘柄のすべてを把握できているのか、筆者も不安になるくらい種類が増えた。
市場に出回っている大半の茶葉スティックを吸ってわかったのは、玉石混淆(ぎょくせきこんこう)だと言うこと。銘柄・種類により、驚くほどの落差がある。使用している茶葉も烏龍茶的な中国茶のクセの強いものが多い印象だ。率直にいうと、非常にハズレが多いと、筆者は経験値から思っている。
また、ひと口目はおいしくても、中盤以降が問題だ。後半になるに従い、茶葉特有の酸味やえぐみが増え、吸いにくくなっていくからだ。また、すでにいくつかレギュラー味も発売されているが、現状おすすめできるような製品は見つかっていない。
前置きが長くなったが、そんな現状の中で、ヘビースモーカーの筆者が実際に吸っておいしく感じた、ノンニコチンの茶葉スティックTOP10を発表しよう。
「ニコレス メンソール」すべてはここから始まった。ただ、今吸うと少々紅茶感が強すぎるようだ
20本入り3箱セットで1,197円(税込)だったので、1箱約400円と平均よりも少し安い
直球なネーミングとパッケージデザインの安っぽさから期待していなかったのだが、吸ってみて驚いたのが「ノンニコ メンソール」だ。あらためて製品詳細を確認したところ、中国・浙江省の龍井(ろんじん)村産高級銘茶の茶葉・西湖龍井(シーフーロンジン)を使用しているとのこと。これは烏龍茶のような半発酵茶ではなく、発酵させない緑茶である。
茶葉スティックの中で緑茶ベースは、まだ少数派だ。そしてこの「ノンニコ メンソール」は、茶葉をそのまま顆粒化するのではなく、エキスを抽出して独自製法で顆粒化しているというところが新機軸である。取り扱っているのは、吉岡製薬という、不織布マスクや栄養ドリンクとともに、アイコス互換機やベイプ製品を作っているメーカーだ。
スティック自体はあまりよいにおいではないが、吸ってみると辛すぎないけれど強力なメンソール感に驚く。レベルは「マールボロヒートスティック ブラックメンソール」並み。味わいは高級な緑茶をベースとした上品な味わいで、とてもおいしい。中盤以降は酸味が高まるのだが、最後まで不自然さをきっちり清涼感でマスクし続けてくれる。
弱点をあえてあげるとすれば、吸い終わったあとの吸い殻のニオイにクセがある。
従来のノンニコ製品では味わえなかったキック感(のどへの圧)があるのが特徴
20本入り418円(税込)。これがノンニコチンスティック1箱の標準の金額となる
日本人向けに専門家が茶葉を厳選するなどの工夫と、茶葉感よりもタバコ感を追求することで人気を博しているのが、ノンニコ鉄板銘柄として君臨する「ニコノン」シリーズ。その代表格の「ニコノン メンソール」が2位だが、「ノンニコ メンソール」とは僅差なので、同率1位と思ってもらってもかまわない。
吸ってみると、爽快なペパーミントメンソールが広がって、そのあとに重みのある蒸気がやってくる。あくまでたばこ感を重視して作られており、「マールボロ ヒートスティック メンソール」と比べてみても、違いにそう簡単に気づかないレベルだ。よくよく気にすれば少ししょっぱい味がするが、言われなければ気づかない。ヒートスティック互換で考えれば一番かもしれない。
20本入り418円(税込)
加熱式タバコ界では「アイコス」はもちろんのこと、すべての加熱式デバイスで人気のある王道ベリー系メンソール。それを茶葉スティックで見事に再現しているのが「ニコノン ブルーベリーメンソール」だ。
果皮(ピール)中心の大人っぽい深みをたたえたミディアムボディの赤ワインのような深みがあり、ニコチンなしでもけっこうな満足感を得られる。中盤以降に登場しやすい酸味やえぐみも感じずに、最後までおいしく味わえるのがうれしいところ。
20本入り3箱セットで1,197円(税込)
本物の果実に近い甘酸っぱいフルーティーさが楽しいベリー系メンソールの「ノンニコ アイスブルーベリー」。すっきりとした辛すぎないメンソールとともに、とても吸いやすい製品である。中盤以降に問題となる酸味は、甘酸っぱさと合流することで、全然気にならない。
タバコに少し甘さが欲しいという人にはぴったりだと思う。
20本入り418円(税込)
喫煙具メーカーとして知る人ぞ知る「サロメ」ブランド。そこから生まれた、「グロー」スティックなどでおなじみの飛び道具的カプセルメンソールを備えているのが「コバト ブルーベリー」だ。喫煙中にフィルターに仕込まれたカプセルを指や歯でつぶすことで、味変ができる。
吸い始めはドロー(吸い込むために必要な力)が重め。のどへのキックもあるし、控えめだがメンソールもきちんと感じられるので、カプセルをつぶさなくても普通においしい。
カプセルをつぶすと、一気に広がるパープルなベリー感。これはきらきらしたベリーメンソールとなり、素直においしい。バブルガム的なポップな味わいがいい。
20本入り418円(税込)
「カテヒール」は、茶カテキンを配合して特許を取得したノンニコチンスティック。よりヘルシー方向へ舵を切った製品だ。発売元は衛生用品から医療機器までOEM生産もこなす東亜産業。これも「ノンニコ」同様緑茶をベースとしている。
クール感のあるメンソールが強めにのど奥に届くが、激辛まではいかないという絶妙なバランスのよさが特徴で、緑茶的なすっきりした風味が心地よい。さながら緑茶ポリフェノール配合でデオドラントするミントガムのような、爽やかな味わいだ。
20本入り418円(税込)
シトラスフレーバーとひと口に言っても、フルーティー感・酸味の強いものから、この「ニコノン アイスシトラス」のように、果皮(ピール)の苦みを効かせた大人の味わいまで種々雑多だ。加熱することで立ちのぼる茶葉特有の香りを、キリッとしたシトラスが見事に打ち消して、すっきりとした清涼感で一服できる。
甘いタバコが苦手な人でも、これならおいしく味わえると思う。
20本入り418円(税込)
福建省の自社畑で栽培・生産したという良質の無農薬茶葉と天然由来原料のみを使用した、意識高めな「アムール メンソール」。アイコス装着に問題ない程度ではあるが、スティックが少しだけ長い。吸ってみると蒸気量は少ないものの、ペパーミント系の清涼感がきっちり味わえて普通においしい。
アイコスの廉価版スティック「ヒーツ」をさらに軽めにしたようなフィールは、物足りなく感じる人もいると思うが、さらりと一服したい時にはいいと思う。
20本入り418円(税込)
レトロかつクールな存在感を放つサロメが生み出したコーヒーメンソール味の変わり種「コバト コーヒー」。前述の「ブルーベリー」同様、カプセルメンソールを採用している。
箱を開けた途端に昭和の喫茶店のような酸味を混ぜたコーヒーの香りにミントの清涼感が混じる。吸えばノスタルジックなおいしさ。好き嫌いは分かれると思うが、筆者はかなり気に入った。
20本入り418円(税込)
元祖である「ニコレス メンソール」は、今となっては少々紅茶感が強すぎるように感じてしまう。そこでアップデートをかけるかのように登場したのが「ニコレス ストロングメンソール」である。「マールボロヒートスティック ブラックメンソール」並みのスースー感でノックアウトしてくれる。
やはり元祖ブランドだけあって、信頼感を感じてしまうところも強い。
これらニコチンゼロスティックは、当たり外れは多いものの、ニコチンカット、ニコチンゼロを目指す人にとっては非常に強力な武器である。基本的にアイコスユーザーなら(※アイコスと同じ中心加熱式のパルズでも使用可)、喫煙時にこれらの茶葉スティックを混ぜることで、思ったよりもスムーズに減ニコチンは可能だと思う。
ここで紹介した製品は、違和感をなるべく抑えた、吸いやすい製品ばかり。筆者としても最低でも2本に1本は切り替え可能な優秀なノンニコばかりである。吸い過ぎが気になっている人なら、一度試してみてほしい。
※本記事は喫煙を推奨するものではありません。ご利用にあたっては、健康リスクなどをご考慮のうえ、注意・マナーを守ってご使用ください。
元「月刊歌謡曲(ゲッカヨ)」編集長。今はめおと編集ユニット「ゲッカヨ編集室」として活動。家電や雑貨など使って楽しい商品のレビューに命がけ!