オーラルタバコ(無煙タバコ、嗅ぎタバコ)は、紙巻きや加熱式タバコとは違い、喫煙場所を必要とせず、自由度が高いことから近年注目を集めています。大手タバコメーカーを中心に新製品が展開されるなか、フィリップ モリス ジャパンは2025年7月に「ZYN(ジン) by IQOS(以下、「ZYN」)」を発売しました。
「ZYN」は、4種類のフレーバーにそれぞれ刺激の強弱が異なる「Low」と「Medium」を揃えた全8種類で展開。1パック12パウチ(個)入りで、価格は500円(税込)
当初、「ZYN」は公式オンラインストアや「IQOSストア銀座」、一部のタバコ取扱店など、販売チャネルが限定されていましたが、2026年5月からは販路が拡大。東京都内のローソンをはじめ、家電量販店やディスカウントショップでも販売が開始され、今後はより広域へと展開されることが予想されます。
そこで本稿では、「ZYN」の概要や楽しみ方の解説とともに、全ラインアップの特徴と各フレーバーの味わいをレビューします!
1パウチにつき、味は約30分間持続。この喫味時間はBATジャパンの「VELO(ベロ)」や、JTの「ノルディックスピリット」などの競合製品も同じです
「ZYN」をはじめとするオーラルタバコの楽しみ方は、タバコ葉などが詰め込まれたパウチを、上くちびるの裏などに挟むだけ。すると、パウチからフレーバーがジュワッと口内に広がり、同時にニコチンを摂取できるという仕様です。
プラスチック製のパッケージに入っており、側面の細いシールをはがして開封
「ZYN」は1パックに12パウチ入りで500円(税込)。なお、ライバルと比較すると、BATジャパンの「VELO(ベロ)」は基本的に1パック15パウチ入りで360円(税込)、JTの「ノルディックスピリット」は1パック14パウチ入りで500円(税込)なので、「ZYN」は最もプレミアムなブランドと言えます。
パウチの個数が少ないからか、「ZYN」のパッケージはややコンパクト(左が「ノルディックスピリット」、右が「ベロ」)
ほかに「ZYN」が競合と異なると感じた点は、パウチ内のパウダーです。「ベロ」と「ノルディックスピリット」はしっとりした質感ですが、「ZYN」のパウダーはサラッとしたテクスチャー。オーラルタバコのテクスチャーには「ドライ」と「モイスト」があり、ここからは推察になりますが、おそらく「ZYN」は「ドライ」タイプなのだと思います。
サラッとしていて、粒もきめ細かい。なお、「ドライ」は「モイスト」より水分量が少ないため、フレーバーがゆっくり広がる特徴があるとか
改めて、国内におけるオーラルタバコ市場のトレンドも解説。現在、ラインアップが最多なのは「ベロ」で、BATジャパンは2020年から販売。JTは2013年から「ゼロスタイル・スヌース」を展開していましたが、2026年3月からは新ブランド「ノルディックスピリット」を市場投入し、さらなるフレーバー拡充で攻めていくことを発表しています。
以上のようにオーラルタバコ市場は過熱しているわけですが、ブランドごとに味わいが違ううえ、「ZYN」だけにしかない独自のフレーバーも存在します。
「アップルミント」と「ピーチ」は独自のフレーバー。ミントで言えば、「クールミント」も「ZYN」だけ
そこで実際に全種類を味わい、特徴を解説。なお、各銘柄は刺激の強さによって「Low」と「Medium」の2段階に分かれており、「Medium」の強さは「Low」の2倍あるとか。
パッケージ右上のアイコン表記で、「Low」か「Medium」かを確認
加えて、オーラルタバコには特有のピリッとした刺激があり、並行して歯科治療時の麻酔に似た麻痺感や、ニコチンのクラッとする“キック”も。これらの強弱には感じ方に個人差があるので、ヘビースモーカーでも「Low」から試すことをおすすめします。
※以下の製品画像下の●の数は、編集部独自の評価
甘さ:●○○○、冷涼感:●●○○、刺激の強さ:●○○○
「ZYN by IQOS クールミント Low」は、カラッとライトなミントが爽快で心地いい味わい。紙巻きや加熱式タバコのような鼻抜けはないものの、すっきりシャープな冷涼感で、ほんのりとした甘みも。ピリピリやキックは比較的におだやかで、エントリーモデルに適した銘柄だと言えるでしょう。
なお、「ドライ」タイプだからか、特にニコチンと思しきフワッとした高揚感はゆっくりめ。「ZYN」全銘柄の共通項として、オーラルタバコ特有の刺激は1分経ったあたりからググッと深まっていきます。
甘さ:●○○○、冷涼感:●●●○、刺激の強さ:●●○○
「ZYN by IQOS クールミント Medium」は、「同 Low」の味と刺激がひと回り強くなった印象の銘柄。冷涼感や刺激がゆっくりと広がっていくニュアンスは同等ながら、その上限がより高く、ピリピリからビリビリへとキックも増していきます。ミントの味は、少々辛さをともなうジュワッとしたドライテイストで、満足度もしっかり。「同 Low」に慣れた人は、試してみるといいでしょう。
甘さ:●●○○、冷涼感:●●○○、刺激の強さ:●○○○
「ZYN by IQOS スペアミント Low」は、同じミントでも「クールミント Low」より若干甘く、自然なミントの葉に近い味わい。スースーとした爽快感は同レベルながら、カジュアルなミントという印象です。さらに入門に適した、ミントタイプ銘柄だと思います。
甘さ:●●○○、冷涼感:●●●○、刺激の強さ:●●○○
「ZYN by IQOS スペアミント Medium」は、甘めでフレンドリーなミントのキャラクターは「同 Low」と変わりませんが、やや濃いめのテイストと、ズンズン深まるニコチンのキックが印象的。口内がすっきりするようなリフレッシュ感もより豊かで、満足度がワンランク高いスペアミントに仕上がっています。とはいえ、刺激も強めなので、まずは「同 Low」から試しましょう。
甘さ:●●●○、冷涼感:●●○○、刺激の強さ:●○○○
「ZYN by IQOS アップルミント Low」は、リンゴの甘くジューシーな果実味と、ほんのり爽やかなミント感、そしてニコチンのやさしい刺激が好バランス。ピリピリやキックは「Low」らしいおだやかさがあり、かつテイストはミントタイプよりもさらにフレンドリーなので、加熱式タバコでフレーバー系メンソールタイプを吸っている人は、まず試すべき銘柄です。
甘さ:●●●○、冷涼感:●●●○、刺激の強さ:●●○○
「ZYN by IQOS アップルミント Medium」は、「同 Low」の甘くキャッチーな味わいはそのままに、シャープな爽快感と、どっしりした刺激が楽しめるフレーバー。ほかの「Medium」同様、ビリビリズンズンとしたキックが次第に増していくので、「Low」では物足りないと感じる人向けのスペックだと言えます。
甘さ:●●●○、冷涼感:○○○○、刺激の強さ:●○○○
「ZYN by IQOS ピーチ Low」は、パッケージを開けた瞬間から感じられる、甘く華やかな桃の香りが多幸的。ミントがない分、果実味をダイレクトに感じますが、いっぽうでミントがないからか、フレーバーの広がりやジューシー感は「アップルミント」のほうが強いかも。想像よりシンプルな味覚設計ですが、ピーチ味が好きな人はぜひお試しあれ。
甘さ:●●●○、冷涼感:○○○○、刺激の強さ:●●○○
「ZYN by IQOS ピーチ Medium」は、「同 Low」よりもジュワっと広がる果実味と、ジンジン深まるニコチンの刺激をボリューミーに感じる銘柄。味わいは甘くキュートな方向性なのでとっつきやすいのですが、次第に輪郭のはっきりした刺激が押し寄せてくるので、慣れていない人は「同 Low」から味わいましょう。
オーラルタバコは、加熱式タバコと違ってデバイスが不要な嗜好品です。その点で言えば、乗り換えがしやすく、競合製品も味わったうえで比較検討することになるでしょう。なお、「ZYN」の競合銘柄の中で、唯一同じフレーバーなのは「ベロ」の「スペアミント」ですが、味を比べた個人的な意見としては、そこまで大きな違いは感じませんでした。
「ZYN」は現在8種類ながら、トレンドが先行している欧米には日本未発売のフレーバーも豊富に揃っているとか。今後のラインアップ拡充にも目が離せません
価格面だけで比べれば「ベロ」のほうが優位ですが、嗜好には個人差がありますし、「ZYN」独自のフレーバーもあるので、どの銘柄を愛用するかは好きな味かどうかが争点となってくるでしょう。