いよいよ入室。部屋の扉横にある端末で顔認証による開錠! もちろん、難なくオープン。キーレスってラクですね。部屋に入ると「ちゅーりー」ちゃんがお出迎え。各部屋の「ちゅーりー」ちゃんは、会話(一定の文言のみ)から部屋の明かりをつけたり、天気や時刻を教えてくれたり、アラームの設定なんかにも対応してくれます。「ありがとう」と声をかけると「お安いご用ですよ」「また呼んでね」などと答えてくれます。
どこぞの王室の方か、はたまたハリウッドスターか。話しかけていいことが紙に書かれています。勝手な問いかけには答えてくれません(笑)
予約した部屋は「スーペリアタイプ」(料金など詳細は「変なホテル」公式サイトで確認)。室内やバス、トイレなどの照明は人感センサー式(手動に切り替え可能)になっていて省エネ化がはかられています
ちなみに、“必要最低限”のサービスに絞りローコストホテル追求中”という「変なホテル」ですが、実際に宿泊した筆者としては、サービスや設備、備品などは必要十分だと思いました。アメニティ類などはホテル内の自動販売機で購入、レンタル(有料)できるようになっていますが、筆者の部屋は、シャンプーや石けん、歯ブラシ、タオルなどが揃っているタイプなので、別途何かを購入することはありませんでした。冷蔵庫やドライヤーも設置されていました。
シャンプーやリンス、シェービングセット、簡易スリッパ、インスタントコーヒーなどは自動販売機で購入可能。パジャマやタオルはレンタルできます
さて、2日目の朝。フロントカウンターから未来くんが私を見ているような気がしたので、“私に何か用があるのかも”と期待しつつ近づいて話しかけてみたところ……。
……特に用はなかったようで、気まずい時間だけがすぎて行きました
ホテル内には飲食施設はありませんが、朝食付きプランを選べば、ホテルに隣接する“健康レストラン「AURA(オーラ)」”で、敷地内で無農薬栽培された野菜を中心に作られたメニューを、ブッフェ形式で食べることができるようになっています。野菜好き、かつ、アラフォーで健康意識がより強くなっている筆者は、このレストランがとても気に入りました。
レストラン内の“野菜工場”には、「セラミック栽培」(セラミック容器に染み込んだ水分や栄養分を植物が吸収)で育てられている野菜が成長順に並んでいます。もちろん、無農薬です
AURAの朝食は、地元の海の幸、山の幸を使ったメニューをビュッフェ形式で楽しむことができ、和食だけでなく洋食メニューも。2015年7月にオープンしたばかり(宿泊客以外も利用可)
今、世界からも注目を集めている「変なホテル」。このネーミングは、“変な”というstrangeのような意味も含んではいるのでしょうけれど、実は「変なホテル」=「変わり続けるホテル」なのだそう。ハウステンボスのスマートホテルプロジェクトとは、“快適性と究極の生産性が両立する新しいローコストホテルの実現”を目指す取り組み。そういったなかから誕生したのが、接客従業員がロボットの「変なホテル」なわけです。
つい、ロボット従業員にばかり目がいきがちですが、実際泊ってみるとそれだけでなく、“快適とローコストの両立”のため、先進技術を駆使して多くの試みがなされていることがわかります。
ホテル内の空調は、パネル内部に温水や冷水を流すことで自然な空気調整が行える技術「輻射パネル」を採用。表面には結露した水滴が。温度感も◎ですが湿度も快適
この放射パネルの働きと、建物自体が風の抜ける空間を設けた造りになっていることから、1年中エアコンがなくても快適に過ごせるようになっているそうです。
「変なホテル」は、こういった最新技術を体験できるスペースとしても十分楽しむことができますし、また、あれがあればもっと楽しくなりそう、もっとこうだったらいいのに、と想像(妄想?)したり、かなりワクワクできる施設でした。……ということで、すでにオープン当初の“宿泊料金はオークション形式で”という点は変わり(スタンダート2名1室/7,500円〜)、今は設定された価格での宿泊が可能になりましたが、よりローコスト化が進み、もっと宿泊料が下がればいいのになと思います。先日、ハウステンボスパーク内においてデジタル通貨「テンボス通貨」を導入すると、サービスを運用するLiquid社より発表されました(10/31〜試験運用)。これは、生体認証を利用した地域限定の通貨で、数百万人規模での実現はハウステンボスパークが世界初となるそうです。つまり今度は、キーレスどころか財布レス!? どう変わり続けていくか、今後も要チェックですね。
ところで、「お美しいですね……」と声を掛けても相手にしてくれなかったマジメなゆめ子さん。若干、表情にとまいどいのような変化があったようにも見えますが(!?)、このあたり、もうちょっといい感じに受け流してくれるとファンも増えそうなのに〜(笑)と思いました。“変わり続けるゆめ子さん”にも期待しています。