“触れる”仕組みを開発者へインタビューしました!

装着しながらスマホを操作できるVRゴーグル「MilboxTouch」

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スマートフォンを利用したVRゴーグルは、これまでにもプラスチック製やダンボール製のものなど、いろいろな製品が発売されていますが、VRコンテンツを楽しみながら同時にセットしたスマートフォンを操作するのが難しく、どれも与えられた映像を見て楽しむことしかできませんでした。映画やライブ映像などを楽しみたい場合はそれでも十分ですが、もしVRでゲームを楽しみたいとすれば? VRの世界を、自由に歩き回りたいと思った時は? プレイヤーや視聴者本人が、セットしたスマートフォンを操作して、次の行動の選択を「入力する」という行為が必要になります。

その「プレイヤー側からの入力」を可能にしたVRゴーグルが、株式会社WHITEの発売する「MilboxTouch(みるボックスタッチ)」(税別2,500円)。着用したまま、同時に、セットしたスマートフォンにタップ、スクロール、スワイプなどの操作を行うことができます。

MilboxTouchはダンボール製の組み立て式です。手前の、放射線状の模様になっている円の部分に指で触れられる仕掛けがあります

セットしたスマホへ、外側からのタッチ入力が可能

「MilboxTouch」はiPhoneなどのスマートフォンをセットして楽しむ、組み立て式のダンボール製2眼型VRゴーグルです。他のダンボール製VRゴーグルとの違いは、セットしたスマートフォンを操作するための、円形のタッチインターフェイスが本体の右側面に搭載されていること。本体の内部に指を入れて直接スマートフォンを操作する必要がなく、本体の外側をなぞることで、セットしたスマートフォンを操作できます。また、なぞり方を変えることで、セットしたスマートフォンにさまざまな操作をすることができます。円形のタッチインターフェイスを、くるくる丸くなぞると「スクロール」、スッと直線に払うようになぞると「スワイプ」、1か所をタッチすると「タップ」の入力ができます。どれも、1本の指で操作できます。

「MilboxTouch」の接顔側。2眼タイプになっています

「MilboxTouch」の接顔側。2眼タイプになっています

使用者側から見て右側面。白い円になっている部分がタッチインターフェイスです。ここをくるくる丸くなぞると「スクロール」、すばやく直線になぞると「スワイプ」、一点をタッチすると「タップ」の入力ができます。操作はすべて1本の指で行います

実際に着用しながら操作するとこんな感じ。両手で本体を支えながら、右手の1本の指でタッチインターフェイスを操作できます

この円形のタッチインターフェイスには、「ExtensionSticker」という技術が使われています。「ExtensionSticker」とは、スマートフォンなどのタッチパネル画面に一部を触れさせておくだけで、外部からの指の動きをタッチパネル側へ伝えられる技術。一般的なスマートフォンやタブレットのタッチパネルは、タッチパネルに触れたときに指から伝わる静電容量の流れによって画面を操作していますが、「ExtensionSticker」は、導電性インクを使って、指から流れる静電容量をタッチパネルへ伝える仕組みになっています。

スマートフォンなどのタッチパネルの画面に「ExtensionSticker」の一部を触れさせておくと、導電性インクによって構成されたタッチインターフェイスの指の動きを感知して、画面を操作することができます。導電性インクによる縞模様のパターンを円状に配置することで、指での回転操作を画面での上下スクロールに変換しています

「MilboxTouch」では、円形のタッチインターフェイスの放射状の縞模様の部分が導電性インクで印刷されています。この部分で、指の動きを感知し、それをセットしたスマートフォンの画面へと伝えることで、スマートフォンの画面を操作するという仕組みになっています。

「MilboxTouch」を分解したところ。黒いボール紙の上の、白い円や線が印刷された透明なシートが「ExtensionSticker」。円形の部分は本体の外側に露出するインターフェイス部分で、ここを指で触って操作します。上のほうにはみ出している部分が、インターフェイス部分から導電性インクで導かれた終端部。ここをスマートフォンの画面に触れさせることで、指の動きをタッチパネルに伝えます

ゴーグルの本体を組み立て、「ExtensionSticker」を本体の内部に差し込むようにセットします

ゴーグルの本体を組み立て、「ExtensionSticker」を本体の内部に差し込むようにセットします

スマートフォンはこんなふうに本体に配置。スマートフォンの画面の上に「ExtensionSticker」が触れて重なるようにセットします

「MilboxTouch」でパックマンをプレイ! 見慣れたゴーストが3Dになって大迫力で追ってきます

「MilboxTouch」専用ゲームの第1弾としてAndroid用アプリ「Milbox Touch ver. VR PAC-MAN」(GooglePlayにて300円で購入できます)が発売されています。iOS用はもうすぐ発売されるとのこと。ルールは伝統的な「パックマン」と同じですが、プレイヤーが「パックマン」自身となって4種類のゴーストから逃げながら迷路の中のドットを食べつくすことになります。

ゲームを起動させたスマートフォンを「MilboxTouch」にセットし、接顔部からのぞいて画面を確認。タッチインターフェイスを1度タップするとゲームがスタートします。前進したい場合には、タッチインターフェイスを時計回りにスクロール、後退は反時計回りにスクロール。「パックマン」の向きを変えたい場合には、本体を装着した状態で顔(からだ)ごと方向を変えます。筆者も体験しましたが、振り返ると、自分と同じ大きさの赤ゴーストが迫ってきていたりして、なかなか恐怖です。

「MilboxTouch ver. VR PAC-MAN」のプレイ画面はこんな感じ。迷路の全体像がわかりにくくて、ゴーストから逃げるのがいつもより難しく感じました。「パックマン」自身も巨大ですが、ゴーストたちも巨大なので迫力があります

「MilboxTouch ver. VR PAC-MAN」の紹介動画です。プレイ中の様子も紹介されています

筆者も体験させてもらいました。からだの向きとゲーム中の向きが連動するので、プレイ中はその場をくるくる回ってしまいます

「MilboxTouch」や「ExtensionSticker」で将来どんなことが可能になるのか、開発者に聞いてみました

今回、「ExtensionSticker」を研究、開発し、「MilboxTouch」の設計にもたずさわった明治大学の宮下芳明教授と、宮下研究室に所属する加藤邦拓さんにお会いすることができました。これからの「MilboxTouch」や「ExtensionSticker」について、どのような展望を持っていらっしゃるのか、お2人にお話をうかがいました。

左から、宮下芳明教授、加藤邦拓さん

左から、宮下芳明教授、加藤邦拓さん

――「MilboxTouch」は組み立て式のダンボール製でユニークな製品ですが、具体的にどんな使い方を想定していますか?

宮下教授:「MilboxTouch」は、コンパクトにたためて組み立てが簡単なので、ダイレクトメールの封筒などに企業のパンフレットなどと一緒に入れて、各自のスマートフォンなどを利用してもらって企業の紹介動画を見せることができます。

――たとえば物件の紹介なら、用意した写真や、撮った動画だけじゃなく、自分で建物の中を歩きまわれるようになれるので、パンフレット以上に伝えたいことを伝えられるようになるということですね。

宮下教授:ほかにも、「タイムマシン」が可能になると思っています。たとえば、常に「THETA」(リコーが発売する、全天球型カメラ)などで自分のまわり360度の動画撮影をしておくと、それがライフログになる。「あの時の、あの楽しかった体験をもう1度体験したい!」と録画をVRで再生すれば、2度目は別の角度からも楽しむことができますよね。1度目では気づかなかったことにも気づけます。「MilboxTouch」でその映像を見ながら、巻き戻しやスキップ、早送りなどの操作をできるようになれば、「タイムマシン」のような体験ができるのではないかと考えています。

宮下教授

――自分が過去から未来へ動いている間、自分以外のすべてが時間を巻き戻っていく様子を見られるのはSF映画のようです。加藤さんが個人的に「あったらいいな」と思う「MilboxTouch」専用ゲームアプリはありますか?

加藤さん:「MilboxTouch」に搭載してある「ExtensionSticker」の形が円で、スクロール操作がリールの巻き上げと似ているので「釣り」ゲームがあったらいいなと思っています(笑)。あとは、手裏剣をスワイプ操作で投げるゲームとか。本体の上部に搭載すれば、“なでる”動作にも応用できると思います。ゲームじゃなくても、動画の再生時のボリューム調整とか、見たいシーンへの移動にも使えますね。

――加藤さんの研究されている「ExtensionSticker」は、「MilboxTouch」のほかにどのような分野へ応用できるのでしょうか。

加藤さん:「ExtensionSticker」は曲げても大丈夫なので、タッチパネル式のスマートウォッチのベルトの部分に搭載すれば、ベルト部分でのタッチ操作も可能にできます。また、導線の配置を工夫することで、さまざまな操作に対応します。たとえば、導線どうしの幅をもっと広げれば、手のひらでの大きな動作でも繊細な操作が行えますし、導線をコの字になるように印刷すれば、指1本で拡大や縮小の操作ができるようになります。

宮下教授:これは、いろいろな事情で指を満足に動かせない方が、スマートフォンをもっと楽しむための助けになる技術だと思っています。指を満足に動かせない方々とお話したときに、「スマートフォンとかタブレットとか、指を何本も使って確かにかっこいいかもしれないけど、私たちにはそれが全然無理なのです」といわれまして。iPhoneとかって、「誰にでも使いやすく、直感的に」というのを目指していますけど、そのいっぽうで逆に使えなくなっている方々もいるということを知ったんですね。「ExtensionSticker」は指1本だけでさまざまな操作が可能になりますので、そんな方々の助けになるような技術だと思っています。彼らがもっと楽しめるように、僕たちも頑張ろうと思っています。

――宮下教授、加藤さん、ありがとうございました。

まとめ

これまでVRを使ったゲームを体験する時は、VRゴーグルのほかに、コントローラーや他の入力装置が必要でした。これだと全部を揃えるのは大変ですし、いつでもどこでも、気軽に体験できるというものではありません。その点、「MilboxTouch」は持ち運びやすさ、価格のお手ごろさで、気軽に楽しめるのが魅力です。

なお、「MilboxTouch」にはSDK(開発キット)が提供されていて、タッチインターフェイス技術のOEM供給もされています。これからどのように技術が応用されていくのか楽しみですね。

「MilboxTouch」は、こちらのページから購入できます。→ 「MilboxTouch」購入ページ

堤 智代(編集部)

堤 智代(編集部)

ホビーやおもちゃを中心にレビュー記事を担当しています。ラジコンやプラモデル、フィギュアを取り上げることが多いですが、それら以外でも楽しそうな製品を紹介していきたいと思います!

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2017.4.26 更新
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