北米で7月1日に配信されるやいなや、爆発的なヒットとなった「ポケモンGO」。配信1日で、ダウンロード数と売り上げランキングで1位に躍り出ただけでなく、アクティブユーザー数もTwitterを抜き去り、モバイルゲームでは全米トップクラスという記録を打ち立てた、まさにおばけアプリとなっている。任天堂の携帯型ゲーム機「ゲームボーイ」で1996年に発売された初代「ポケットモンスター」から20年、大事に育てられたタイトルだからこそ、こうしてスマートフォン向けアプリになっても人気が衰えないということなのだろう。
アプリなので、プレイするにはApp StoreまたはGoogle Playからダウンロードしなければならないが、このとき正規のマーケット以外からはダウンロードしないようにしてほしい。正規以外のニセアプリが数多く横行しており、それらの中には勝手に個人情報にアクセスして抜いてしまうものもあるので注意したい。なお、アプリ自体は無料で遊べるが、有利にプレイするための課金アイテムも用意されている。
AR(仮想現実)機能で、現実の世界と重なる「ポケモンGO」
最初のチュートリアルをひと通りプレイすれば、操作方法は簡単なので覚えられるだろう。プレイヤーは、ポケモンを捕まえたり、バトルさせたりする「ポケモントレーナー」として、地図上にある「ポケストップ」と呼ばれる場所を訪れてアイテムをゲットしながら、途中バイブレーションで知らされるポケモン出現合図でスマートフォンを取り出し、「モンスターボール」をポケモンに投げつけて捕まえる。仲間にしたポケモンは、アイテムを使用することで強化や進化させることが可能だ。
また、ポケモンGOの世界にはチームヴァーラー(赤色)、チームミスティック(青色)、チームインスティンクト(黄色)の3種類の勢力があり、トレーナーレベルが5以上になると、いずれかの陣営を選べる。遊び方としては、全部のポケモンを集めるほか、「ジム」と呼ばれる拠点でライバルのポケモンと戦うなどがある。
基本は以上となるが、ポケモンを捕まえるときのコツや所有アイテムの使用方法、ジムの役割など、知ればもっとゲームが楽しくなる部分を、もう少し詳しく見ていこう。
ニュースなどで話題になったマクドナルドだが、日本国内にある約2900の全店舗がマップ上に登場する。そのうち400店舗がジムとして、残りの2500店舗がポケストップとして登録されている。秋葉原のマクドナルド前にも、連日大勢のポケモントレーナーが駆けつけている
ポケモンの捕まえ方は、地図上に現れたポケモンをタップして、モンスターボールを投げて捕まえることとなる。このときにAR(仮想現実)機能で、現実の世界と重なり、リアルな世界にポケモン達が登場するというのが面白い。このAR機能はポケモンGOの醍醐味のひとつだが、スマートフォン本体を動かしてポケモンを画面中央に表示させる必要があり、うまくボールをぶつけるには、それなりの熟練度を要する。
せっかくのAR機能なので、現実世界でポケモンを捕まえるという体験を味わうためにも積極的に使いたいが、オフであれば必ずポケモンが画面中央にセットされるため狙いやすい。レアポケモンを確実にゲットしたいときなどはオフにしてみるのもテクニックかもしれない。ちなみに、AR機能はスマートフォンにジャイロセンサー機能が搭載されていないと使用できない。iPhoneにはジャイロセンサー機能が搭載されているが、端末ごとに仕様が異なるAndroidスマホを使っている人は端末スペックを確認しておいたほうがいいだろう。
AR機能をオンにすると実際の背景の上にポケモンが映し出される。写真は、秋葉原にあるラジオデパート1階「家電のケンちゃん」というお店に設置された、ガチャガチャに出現した「ドガース」。AR機能を使えば「ガチャガチャからポケモンが!」といったような雰囲気も楽しめてしまう
AR機能をオフにすると、背景は草原になる。このとき、ポケモンは必ず画面中央に表示されるので、狙いやすい
ポケモンを捕まえるためのモンスターボールは、タップしてから前方へスワイプすると投げることができるが、タップした時点でグルグルと回してからスワイプすると、カーブをかけて投げられる。この状態でポケモンを捕まえることができれば、ボーナス経験値が手に入るのだ。ほかにも、ボールがポケモンに当たった位置によっては「Nice」や「Excellent」などの表示とともに、別途ボーナス経験値が入ることもある。1度捕まえたポケモンは、2度目以降は入手できる経験値が少なくなってしまうので、このような工夫で少しでも多くの経験値を稼ぎたい。
モンスターボールをタップし、前方へスワイプすると投げられる。空中にいるポケモンは、多少強めにスワイプすると当てやすい。中央の色がついている円が少しずつ小さくなっていくので、一番小さい円の時にモンスターボールを投げると捉えやすくなる。円の色が緑だとゲットしやすく、赤に近づくにつれて捕獲しづらくなっていく
どうしてもうまくいかないという人は、ボールをタップしてから画面の左端まで移動させ、そこで前方に向かってスワイプしてみよう。すると、かなりの確率でボールが自動で曲がり、ポケモンにヒットしてくれる
マップ上のポケストップは、その付近に近づきタップすると詳細が表示される。中央付近を左右にスワイプするとモンスターボールなどが出現。それらをタップしたりスワイプしたりすると回収できるが、そのまま×ボタンをタップしても取ったことになる仕様だ。なお、持ち物がいっぱいのときはその旨が表示されて何も取れないが、経験値はもらえる。ポケストップ自体は、史跡や名所、ランドマークといった場所に設定されているので、訪れてみれば「地元なのにこんな名所があるなんて知らなかった」といった、新たな発見につながることもあるだろう。後述するアイテムの「ルアーモジュール」を使用すると、ポケストップに花びらが舞い散ったエフェクトが追加される。このときはポケモンの出現率が上がるので、見かけたら積極的に近づいてみよう。
ポケストップは、公共施設や名所、お店、史跡などさまざまな場所に設定されている。マップ画面に表示されているので、すぐにわかるだろう
また、ジムに設定されている公園などの公共施設でそのアイコンが白ければ、無所属ということで手持ちのポケモンを配置することが可能だ。配置すると、白かったジムがプレイヤーのポケモントレーナーが所属する色へと変化する。これで、ジムを自分のチームのものにしたことになるのだ。とはいえ、白のジムは希少で、すでに赤・青・黄のいずれかの陣営が所有しているもののほうが多いはず。そのときは、ジムに近づきバトルを仕掛けよう。勝利できればジムの名声が下がり、0になれば無所属の白色に戻るので、すかさず手持ちのポケモンを配置しよう。
ジムは、3陣営のポケモンいずれかが配置されていることが多い。ここに自分のポケモンを置けるようになるのを目標にするのもいい
ジムに自分のポケモンを配置できれば、配置した数×10枚の「ポケコイン」がゲットできるという、大きなメリットを享受できる。仲間のポケモンが配置されていた場合、トレーニングバトルで経験値を稼ぐことも可能だ。特にジムへのポケモン配置は、課金をしなければ入手できないポケコインを無料で手に入れられる唯一のチャンスとなるため、積極的に配置していきたい。ただし、1つのジムに配置できるのは1トレーナーにつきポケモン1匹で、同時に配置できるのは最大で10か所までとなっている。また、現時点ではひんぱんにバトルを仕掛けられてしまうため、1日持つことはまれだと思っておくほうが心情的には楽かもしれない(笑)。
なお、ジムでトレーニングバトルを行うと、ジムそのものもレベルが上がっていく。1レベルアップするごとに置けるポケモンの数も増えていくので、奪われたくないジムでは仲間同士こまめにトレーニングバトルを行いたいところだ。
ジムで行われるバトルはポケモンを捕まえるときとは違い、アクション要素が入った戦闘となる。奥に相手のポケモン、手前に自分のポケモンが配置され、「GO」の表示とともにバトルスタート。自分のポケモンをタップすると攻撃し、一定回数攻撃すると自動的にスキルを発動させる。相手からの攻撃は、自分のポケモンを左右にスワイプさせることでかわすことが可能だ。しかし、そう何度もうまく避けるのは難しいので、最終的には強さを表すCP(コンバットポイント)の大きいポケモンが有利。所属チームのジムであれば、HPが減っても「キズぐすり」で回復させることが可能だが、ライバルチームとの戦いで減らしたHPは「げんきのかけら」を使用しないと回復できないので注意。キズぐすりやげんきのかけらは、ポケストップを巡ればすぐにいっぱいまでストックできるはずだ。ただし、人口密度がそれほどではないところでは、ポケストップを見つけるのも難しい場合があるので、そのときは繁華街に出たり、課金したりするのが手っ取り早い。
相手の攻撃をフリック操作で避けて、タイミングを見計らい自分のポケモンをタップしてアタック! とはいえ、CP差がありすぎると一撃で倒されてしまうこともある。ジムバトルは強者との戦いなのだ
ここで、アイテムについて解説しておこう。「キズぐすり」はポケモン1匹のHPを20ポイント、「いいキズぐすり」は同じく50ポイント回復させる。瀕死になってしまったポケモンは、「げんきのかけら」を使うことで半分までHPが回復する。ジムでライバルチームのポケモンと対戦して負けた場合は、げんきのかけらが必要だ。「しあわせたまご」は、使うことで30分の間、もらえる経験値が2倍になる。「おこう」は、香りを出し野生のポケモンを呼び寄せるが、こちらも30分の期限付き。実際におこうを使った感覚としては、通常よりも若干出現率が多いかな?という程度だった。モンスターボールは、ポケモンを捕まえる際に必要となる必須アイテム。レベルが上がると、よりポケモンを捕まえやすくなる「スーパーボール」が入手できる。
人口密度が多い地域では、きずぐすりなどもすぐにいっぱいまで溜まる。使い惜しむことなく、どんどん使用しよう
ポケストップで「ルアーモジュール」を使用すると、ポケストップに花吹雪のエフェクトがかかり、30分間ポケモンを引き寄せる。効果は自分だけでなく周囲の人にもおよぶので、使うと大勢の(現実世界の)ポケモントレーナーも集まるだろう。「ズリのみ」は、ポケモンに与えると捕まえやすくなる木の実。CPが高いポケモンやレアポケモンに遭遇した場合は、迷わず使って確実に捕獲したい。これらは、どれもポケストップを巡れば入手できるほか、ショップにて「ポケコイン」を購入することで買うこともできる。現在、100ポケコインが120円、2500ポケコインが2,400円で販売中だ。
ポケストップを巡るのが面倒なプレイヤーは、ポケコインを購入してアイテムを揃えるのが早い。逆に、それ以外の課金要素はなく、ガチャなどもないので、安心して遊べる
秋葉原はゲームに関連する街ということで、ポケストップが多いだけでなくルアーモジュールも積極的に使われている。東京ラジオデパートの近辺では、ゲームセンター「CLUB SEGA」と「HIROSE ENTERTAINMENT YARD」こと「Hey」、そしてPCパーツショップ「ツクモ」という、長時間ルアーモジュールが使用されているポケストップにアクセスできるので、非常に効率よくポケモンをゲットできる場所のひとつ。モバイルバッテリーも販売されている準備のよさが憎い(笑)
「ふかそうち」と「ムゲンふかそうち」は、ポケストップなどで入手するタマゴを孵化させるためのアイテム。タマゴをふかそうちにセットし、2kmなどと書かれている距離を歩くことで、タマゴからポケモンが生まれる仕組みだ。ただし、電車や車といった高速で移動する乗り物ではダメで、時速10km程度より遅く動く必要があるようだ。
忘れがちなのが、タマゴの孵化。かえすためには、ひたすら歩くしかない。インチキはしづらいように作られているので、散歩がてらや通勤通学のタイミングを狙い、距離を稼ごう
ゲットしたポケモンは、「ほしのすな」と「アメ」を消費して強化させられるほか、一部は進化させることもできる。強化と進化の違いだが、強化は見た目そのままでCPとHPがアップし、進化はアメを消費して見た目も別のポケモンになり、HPとCPが大幅に増える。一般的なソーシャルゲームでは、最初にMAXまで強化させてから進化させるのが王道だが、本作ではいきなり進化させてしまっても問題ない。むしろ、トレーナーのレベルが低いうちは強化で得られるメリットが低いので、積極的に進化させよう。一気に戦力がアップするだけでなく、進化させることで経験値も得られるため、トレーナーのレベルアップにも貢献することになるのだ。
進化させた、または強化しかできないポケモンは、ほしのすなの残量と相談しながら強化させていこう。アメと違い、ほしのすなは入手できる機会がポケモン捕獲時またはタマゴ孵化時だけなので、慎重に……。
「ポッポ」は、「ポッポのアメ」を12個集めると「ピジョン」に進化する。進化させると、CPやHPが大幅にパワーアップするだけでなく、見た目もまったく別のポケモンになる。経験値も入手できるので、ポケモントレーナーのレベルアップにも最適だ
強化は、ポケモンの背景に描かれた半円上の丸い点が右に行き着くまで可能。ただし、ほしのすなを消費するので、残量には気をつけたい
気になるデータ通信量とバッテリーの消費量だが、土曜日の秋葉原を6〜7時間程度歩き回った実測で、パケット量は約110MBほどだった。途中、無料のWi-Fiスポットが入る場所はあったものの、短時間だったので影響は低かったと思われる。これを毎日繰り返したとすると、計算上は30日で約3.3GB。2GBで契約している人は少々厳しいかもしれないが、上限3GBの契約であればあまり気にせず遊べるだろう。
深刻なのは、パケットよりもバッテリーの消費量だ。購入から8か月経過したiPhone 6s Plusで、出発時に残り容量80%だったものが、秋葉原到着2時間で早くも30%近くまで減少。容量3300mAhのモバイルバッテリーで充電しながらプレイを続けたところ、増えも減りもしない状態で5時間目を迎えたが、そこで切れてしまった。残りは、先日購入したばかりのAnker製20100mAhのモバイルバッテリーを使用し、自宅まで何とかしのいだ。スマートフォンのバッテリーを大きく消費するのは間違いないと思われるので、大容量のモバイルバッテリーは必須だ。また、プレイ中はスマートフォンが熱を持つので、そのあたりも気をつけたほうがいいかもしれない。
1日のパケット通信量をグラフで表示。23日の棒グラフは、ほぼポケモンGOで消費した。7時間弱歩き回ってプレイしてこの消費量なら、工夫すれば1か月で2GB以内に収められそうだ
筆者も日本で配信が開始された7月22日からプレイしているが、現時点ではまったく飽きがこない。各ポケモンには水や炎などの属性があるので、それを手がかりにまだ見ぬポケモンを探して川沿いを歩いたり、あるいは山の付近に移動するなどを繰り返していたら、筆者自身が健康になってしまったというメリットもあった(笑)。一か所に留まっているだけではポケモンを集めるのは難しいので、何らかの移動手段は必須だ。そういった視点から考えると、ポケモンGOはさまざまな分野への経済効果も期待される、これまでになかったアプリといえる。
もちろん、手放しですべてが喜べるという状況ではないことも確かだ。すでに、自動車の運転中にポケモンGOを操作していたというドライバーが検挙されたほか、一部ではポケモンGOを歩きながらプレイしたことによるトラブルも発生している。そういったことをせずにマナーを守って正しく遊べば、こんな面白いアプリはそうそうない。課金の必要性も薄いので、子どもでも安心して楽しめるだろう。くどいようだが、歩きスマホや運転中のスマートフォン操作はしないなど、最低限のマナーだけは守り、楽しく・安全に遊んでほしい。