修正液、使っていますか?
実際のところ、修正テープを使っている人が多数派なのではないのでしょうか。もしくは、「フリクション」などの消せるボールペンを使ったり、ただ二重線を引くだけだったりする人も多いかもしれませんね。
そう、ハッキリ言ってしまうと、修正液は使い勝手がよくない。液体を塗りつける作業そのものが手間なうえ、乾燥するまで待つのも面倒。やっと乾いたと思っても、文字を上書きしようとしたら“溝”を掘ってしまうことも。まぁそもそも、これらの弱点を解消するために作られたのが修正テープというわけですから、テープのほうが便利なのは当然なんですが……。
そんなこともあって、修正液はもうすっかり過去の道具に落ちぶれたと思っていましたが……2023 年12 月、“超久しぶりの新製品”が登場したとの話が飛び込んできました。え、今ごろ!? それはかえってものすごく興味を引かれるかも。
その新製品というのが、ぺんてるが17年ぶりに発売した新しいペンタッチ修正液「WHITESPEED(ホワイトスピード)」です。そしてそのうたい文句が「修正テープと液のいいとこ取り」。文房具業界がちょっとザワついています。
冒頭でも述べたとおり、修正液は弱点が多く、使い勝手に関しては修正テープに軍配が上がるでしょう。しかし、修正テープにはない「ピンポイントな修正がしやすい」「曲線が引きやすい」といった強みは忘れてはいけません。
「修正テープと液のいいとこどり」というなら、修正液ならではの強みをキープしつつ、先に述べた弱点がすべてクリアできていると考えてよいはず。そんな大風呂敷を広げて、本当に大丈夫?
従来モデルから大幅に機能アップされた次世代の修正液「WHITESPEED」(ぺんてる)
キャップを開けると、まず目に入るのはかなり特徴的な幅広の塗り口です。三つ叉のような形状ですが、液は中央の突起から出るだけ。左右のツノのようなものは、修正液を一定の幅に塗るためのヘラのような役割を果たします。
かなりユニークな塗り口形状。中央の金属パイプから液が出てきます
まずはボトルを軽く振って中の液体を攪拌(かくはん)してから、修正したい文字列の上に塗っていきます。すると、中央からたっぷりめに出た修正液が左右のツノの間に広がり、まるで修正テープのようなきれいな等幅のラインが引けました。
液の塗り幅は4.5mm。塗り口をスライドさせたら、まるで少し細めの修正テープを引いたように、誤字を塗り潰せました
一気に幅広く修正液が広がるため、何度も繰り返し塗りつける必要はありませんでした。つまり、塗りムラがほとんど発生していないということです。
液自体が伸びのよい性質なのか、塗り口をスライドさせるとスーッと気持ちよく適度に薄塗りができました。等幅のラインといい、ほどよい塗り厚といい、見た目的には本当に「あれ、修正テープを引いたんだっけ?」と感じられるほど。
しかも液体なので、1文字だけのピンポイント塗りも、曲線塗りも自由自在! これは修正テープよりも確実に勝るポイントでしょう。
直線も曲線も思いのまま。自由自在に修正ラインが引けるのは液体ならではです
乾燥するまではさすがに一瞬とは言いませんが、それでもかなり早め。
メーカー公称で乾燥時間は「従来製品の半分」だそうで、塗ってボトルのキャップを閉めて、ボールペンに持ち替えて……ぐらいのタイミングでもう乾いていました。従来の修正液と比べると、やはり格段の差があります。
乾いてしまえば隠ぺい力もかなり強力で、黒い紙に塗っても透けずにくっきり白いレベル。ここは何の不満もありません。
乾いたところに、文字を上書きしてみました。薄塗り効果によってか、乾いた跡がデコボコしておらず、なかなか書きやすかったです
何より驚いたのが、乾いた後の柔軟性です。修正個所を紙ごと折り曲げてもひび割れや砕けが発生しません。修正液でこのやわらかさは確かにこれまでになかったもので、「さすが17年ぶりだけあって進化しているな!」と体感したポイントです。
曲げたところから修正跡がバキバキにひび割れると思いきや、写真のとおりノーダメージ! この柔軟性のおかげで、上からペンで書いても溝を掘りにくく、割れや砕けも発生しませんでした
使ってみての全体的な印象としては、なるほど「テープと液のいいとこ取り」といううたい文句に偽りはなさそう。ピンポイントに修正したい場合など、テープよりも便利に使えるシーンだって十分に考えられるでしょう。
そして、液としては格段に乾燥スピードが早いのも使い勝手がとてもよいです。ただし、乾きやすいがゆえに、うっかり使ったまま放置すると、すぐ塗り口が詰まってしまうので要注意。使い終えたらすぐキャップを閉めるのが鉄則です。
中が二重キャップなので、密閉性は割と安心です
塗り口が詰まりやすいのは、乾燥スピードの便利さとのトレードオフなので仕方ないとも言えるんですが、ちょっと面倒なのも確か。実際、今回の試用中にも何度か先端が固まってしまい、綿棒で拭ってケアする場面がありました。
とはいえ17年ぶりの新・修正液の性能はかなりの面白さ! 文具好きなら1度はこの使い勝手の進化っぷりを味わってみてほしいところです。
うっかり塗り口を詰まらせてしまったときは、綿棒などでクリーニングしましょう