猫と一緒に暮らしている皆さまならご存じのとおり、春先から初夏にかけては猫の換毛期。放っておくと、大量に抜けた毛を猫が飲み込んでしまう危険があるため、毎日のブラッシングが大切です。そこで今回は、価格.comで人気の猫用ブラシ5種類を用意。どのブラシが我が家のお猫様にフィットするか検証してみました。
価格.comの「猫用シャンプー・グルーミング・バリカン」カテゴリーで人気のブラシを集めました
猫の毛には、表面に生えているオーバーコートと、その内側に生えているアンダーコートの2種類があります(猫の種類によっては、どちらか1種類のみ生えている場合もあり)。そのうち、換毛期に抜けるのはアンダーコートなのですが、細くて軽い毛質なので、抜けるとふわふわと宙に舞って掃除が大変です。また、前述のとおり、猫がなめて飲み込んでしまうこともあるため、ブラッシングで除去するのがいいと言われています。
オーバーコートと言われる表面の毛ではなく、皮膚の近くの毛がアンダーコート。写真の黒い毛の下に見える、薄いグレーの毛がアンダーコートです
そして、換毛期とは言えど、室内飼いの猫は、外の猫に比べて短期間でドバッと毛が抜けることは少ないように感じます。我が家の黒猫、胡麻も、割と年がら年中毛が抜けている状態。したがって、ブラッシングはほぼ毎日しています。
我が家の黒猫、胡麻(14歳)に体験してもらいます
今回は、5種類それぞれのブラシを使って、軽く20回ずつ胡麻の体をなでてみて、以下の項目をチェックしていくことにします。
・人間側の使いやすさ
・猫側の受け入れやすさ(嫌がらないかどうか)
・抜け毛の取れやすさ
・お手入れのしやすさ
およそブラシとは思えないシリコンラバーの突起が特徴的
素材:医療用グレードシリコン100%
サイズ:6.0(幅)×10.5(奥行)×2.8(高さ)cm
本体重量:99g
原産国:スイス
ブラシと聞いて思い浮かべるイメージとはかなり異なる「pet+meラバーブラシ」。ゴリッとした太い突起が付いているだけの不思議な形状です。本体全体がシリコン製なので、やわらかくて自由に曲がります。
突起の高さは、およそ1cm。背面にも小さな突起が付いており、こちら側もマッサージブラシとして使えます
左右どちらの手にもなじむ形。やわらかいので猫の体に合わせやすそう
我が家の黒猫、胡麻は短毛なので、本来なら短毛用が適切なのかもしれませんが、長毛用は短毛用より突起が0.5cm長く、アンダーコートが取れやすいとのことだったので、今回は長毛用を購入しました。胡麻の様子を見ながら、慎重に使用してみます。
では、使っていきましょう。静電気防止のため、使う前に軽く湿らせておくこと、と取扱説明書に記載されていました。
持ちやすく、体のカーブに沿ってなでられるので使いやすいですね
シリコンの感触を嫌がるかと思ったのですが、嫌がるそぶりは全然なし。普通にブラッシングする感覚でなでてみると、滑らかにブラシが通り、最初の1回でもう抜け毛が取れました。マッサージ効果があるのか、途中から胡麻がゴロゴロとノドを鳴らし始めたのも、ご機嫌が取れている証拠でしょう。中性洗剤で水洗いできるので、お手入れも簡単でした。
これだけ抜け毛が取れました。ただ、撫でていると結構毛が宙に舞いますね
人間側の使いやすさ:★★★★☆
猫側の受け入れやすさ:★★★★☆
抜け毛の取れやすさ:★★★☆☆
お手入れのしやすさ:★★★★☆
猫飼いならほとんどの人が知っているであろう有名製品
素材:ステンレス(刃)、ポリプロピレン、合成ゴム(柄)
サイズ:5.0(幅)×16(奥行)×5.0(高さ)cm
本体重量:131g
原産国:中国
アンダーコート専用のブラシとして有名なのが、この「ファーミネーター」です。実は我が家でも旧タイプをずっと使っていました。今回は、刃に付いた抜け毛がワンプッシュで取れる新機能を持つ新製品を購入。ちなみに、模倣品が出回っているため、購入の際は正規品かどうかもしっかりチェックしましょう。
ステンレスの刃でアンダーコートを除去します。写真右の白い突起が、取れた毛をワンプッシュで刃から落とせるボタン
では、使ってみます。持ってみるとやや重さを感じますが、カミソリのような形状なので、片手で持つとちょうど指にフィットして持ちやすいです。そして、なでてみると最初の1回でごっそりとアンダーコートが取れました。20回なでる頃にはかなりの量が取れます。やればやるほど取れるので、ついつい多めにやってしまいがち。やり過ぎもよくないので注意しましょう。たまに引っかかる時がありますが、その際は抜けていない毛を刈り取ってしまっている場合があります。手に力を入れずに、軽くなでるように使いましょう。
猫によっては、ステンレスの刃を嫌がる場合もありそうですが、胡麻は旧モデルに慣れていたためか嫌がりません
毛は舞うことなく、刃がガッチリとつかんでくれています。それなのに、ワンプッシュで刃から毛を回収できるのは楽ちんですね
人間側の使いやすさ:★★★★☆
猫側の受け入れやすさ:★★★☆☆
抜け毛の取れやすさ:★★★★☆
お手入れのしやすさ:★★★★☆
こちらも、猫飼いなら1度は聞いたことがあるかもしれません
素材:豚毛(ブラシ)、天然オーク(本体)
サイズ:全長18.5cm、ブラシの高さ2cm
本体重量:70g
原産国:中国
1935年創業、ドイツの老舗ブラシメーカー、Redecker(レデッカー)が手がける高級猫用ブラシです。豚毛と天然木を使用しており、ブラシ部分はやわらかく、持ち手もとても滑らかで持ちやすいというこだわりの仕上がり。
ブラシ部分の高さは約2cm。毛が密に植えられています
これは、もう文句なしに猫が嫌がりません。なでられると気持ちがいいのか、ノドをゴロゴロ鳴らしてうっとりとしていました。普段なら嫌がる、頭やノドの下、お腹なども、このブラシならなでさせてくれます。いっぽうで、抜け毛取りの点ではほとんど取れない結果に。アンダーコートを取るというより、オーバーコートを整えたりツヤを出したりする用のブラシととらえたほうがよいでしょう。ただ、毛は少しは取れましたし、オーバーコートのクシャクシャとした部分がきれいになったのはよかったです。
まったく嫌がりませんし、軽くなでるだけでゴロゴロとノドを鳴らしてくれました
抜け毛除去効果は、ほぼなし。オーバーコートのほつれた毛が取れてきれいになった程度です。取れた毛はしっかりとブラシに付いて舞うことはありませんでしたが、ブラシの奥のほうに付いた抜け毛が、やや取り除きにくかったです
人間側の使いやすさ:★★★★☆
猫側の受け入れやすさ:★★★★★
抜け毛の取れやすさ:★☆☆☆☆
お手入れのしやすさ:★★☆☆☆
「スリッカーブラシ」と呼ばれるジャンルのブラシです
素材:ステンレススチール(ピン)、プラスチック(ハンドル)
サイズ:全長20cm/ピンブラシ部分は50(奥行)×47mm(高さ)
本体重量:77g
原産国:台湾
先端部分が「くの字」になっているブラシのことを「スリッカーブラシ」と言います。こちらの製品は、両面にステンレス素材のピンブラシが付いているタイプ。片面がハード、もう片面がソフトで、猫の体質などによって使い分けられます。ピンが植えられているパッド部分はやわらかい素材で、猫の体に負担をかけにくい仕様。
ピンの先が短いほうがハード(写真上側)で、長いほうがソフト(写真下側)。指で触ってみると、かなり硬いと感じます
胡麻にとって、この手のブラシは初体験でした。また、ソフト面のピンでも硬く感じられたので、嫌がるかと思っていましたが、意外にも気にしていないようでした。まず、やさしくなでてみて問題がなかったので、次にピンがやや傾く程度に少し力を入れてなでてみましたが、これも平気でした。ただ、やはりピンが気になるのか、頭やノド下などは触らせてくれません。アンダーコートの抜け毛はかなりしっかりと取れますね。
短毛の胡麻には、ソフト面で使ってみました。特に嫌がる感じはありませんが、頭やノド下はNGでした
結果、かなりしっかりとアンダーコートが取れました。ピン奥に付いてしまった抜け毛は、指よりコームなどを使ったほうが除去しやすかったです
人間側の使いやすさ:★★★☆☆
猫側の受け入れやすさ:★★☆☆☆
抜け毛の取れやすさ:★★★☆☆
お手入れのしやすさ:★★☆☆☆
グローブ型のブラシに関しては、存在は知っているけど使ったことがないという猫飼いさんも多いのでは?
素材:シリコン、ポリエステル
サイズ:18(幅)×24(奥行)cm
重量:122g(左右合わせて)
原産国:記載なし
その名のとおり、手にはめて使うグローブ型のブラシ。サイズはかなり大きめですが、しっかり指にフィットして意外にも扱いやすいです。広範囲で除毛でき、大型の猫も一気にブラッシングできそう。
やわらかいシリコンのピンがびっしりと(片手で約255本)付いています
手の大きい筆者でも余裕があったので、女性だと多少大き過ぎるかも。メッシュ素材でやわらかく、自在に動かせます
使い心地は、ブラシというよりも猫をなでているだけといった感覚です。我が家の胡麻はとても小さい猫なので、グローブを付けるのは片手のみで十分なサイズ感でした。指を自在に動かせるので、体の隅々までブラッシング可能。抱っこするように猫を持てば、いつもなら嫌がる頭やおなかなども簡単にブラッシングできました。そして、毛もかなり取れます! ブラッシングとマッサージ効果の一石二鳥ではないでしょうか。
いつものように、なでるだけ。猫も嫌がらず、人間も使いやすいです
20回程度なでるだけで、このくらい取れました。本格的にやればもっといけそうです。ピンに付いた抜け毛は、手で簡単に除去できました
人間側の使いやすさ:★★★★★
猫側の受け入れやすさ:★★★★☆
抜け毛の取れやすさ:★★★★☆
お手入れのしやすさ:★★★★☆
5製品を使ってみた結果、単純に、取れた毛の量だけで比べると、「【2】ファーミネーター」「【4】ショーテック 両面スリッカー」「【5】DELAMU ペットブラシ グローブ」がよく取れました。
各ブラシで20回ずつなでて取れた毛を並べてみました。ブラシによって、取れた毛の圧縮具合がやや異なりますが、参考までに
最後に、個人的(筆者と猫の胡麻的)に各ブラシのよかった点をまとめておきます。
持ちやすさ&アンダーコート取りやすさNo.1
スペクトラム ブランズ ジャパン「ファーミネーター 小型猫 S 短毛種用」
手にしっかりとなじみ、力が分散することなくブラシがけできました。時間をかけてブラッシングすることで、大量のアンダーコートを除去できます。
とても持ちやすいです(写真左)。後日、ゆっくりと時間をかけて使ってみると、こんなに毛が取れました(写真右)
・猫がとてもご機嫌になったNo.1
REDECKER 「キャットブラシ」
ブラシの毛触りが気持ちいいのか、胡麻がとてもリラックスしていました。普段あまりブラッシングさせてくれない頭や足先なども、ブラッシングできたのはうれしいですね。
苦手な部分へのブラッシングもできてよかったです
・やさしく猫をなでられて飼い主も満足No.1
DELAMU 「ペットブラシ グローブ」
普段通りに猫をなでるように使えて、扱いやすく便利でした。抜け毛も思った以上に取れましたね。
お腹のブラッシングを嫌がる猫も、抱えてなでるように使うことで、まったく嫌がらずにブラッシングできます
・お手入れ楽ちんで清潔度No.1
pet+me「ラバーブラシ ソフト 長毛用」
中性洗剤で水洗いできるので、いつも清潔に保てるのはうれしいです。やわらかい素材で、体のカーブに沿ってブラッシングできるのもいいですね。
細かいところやカーブしているところもしっかりなでられます
・オーバーコートもアンダーコートもしっかり取れるNo.1
「ショーテック 両面スリッカー S」
今回はソフト面のみでの使用でしたが、オーバーコートのからまった毛はもちろん、アンダーコートもしっかり除去できました。見た目を嫌がる猫もいるかもしれませんが、猫に合えばとても便利なはず。
アンダーコートがしっかり取れるだけでなく、クシャクシャとしたオーバーコートもきれいにしてくれて、表面がツヤツヤでツルツルに♪
今回、タイプの異なる5種類の猫用ブラシを使ってみましたが、我が家の猫の場合は、思いのほかどれも嫌がらず、機嫌を損ねることがありませんでした。初めて使うグローブ型ブラシやシリコン製のものも平気でしたし、思ったより抜け毛が取れたのがよかったです。これから我が家では、猫の体調や気分に合わせて使い分けていきます。
もちろん、猫の個性によって、どのブラシが合うかどうかはまったく異なります。本稿の結果を参考にしつつ、ご自宅の猫ちゃんにどれが合いそうか、ぜひ考えてみてあげてください。
趣味も仕事もゲーム漬けだった人生から脱却を図り模索中。ホビーや生活雑貨記事などを書かせていただきます。