前回、「すだれ」について書かせていただきましたが、もうひとつ、日本古来の、夏を涼しく過ごす工夫で忘れてはならないのが「よしず」です。聞き馴染みのない単語かもしれませんが、子どもの頃、夏休みに行った海水浴場で、昔ながらの海の家で壁に立てかけてあった、あれがよしずです。「立てすだれ」とも呼ばれます。
よしずは、葦(アシ)の茎を糸などで編み連ねたものです。これを軒に立てかけ、日よけと目隠しとして使います。すだれと同様に、太陽光から発する熱エネルギーを室内に入れず、結果室温が上がるのを防ぎます。室温が上がるのを防ぐということは、当然エアコンの節電につながります。
すだれと違うところは、軒とよしずの間に空間ができ、そこを風が通る、つまり熱がこもらないということ。また、立てかけたよしずに打ち水をすると、よしずを通って室内に入ってくる風が2℃下がるとも言われています。立てかけるのに若干スペースが必要になりますが、スペースがあるならば、すだれを吊るすよりも、よしずを立てかけた方が涼しく過ごせますよ。
(回遊舎/番場由紀江)