マネー連載
FP山崎俊輔のマネーリテラシー向上委員会

なぜゲーム機は値下がりするのに、牛乳は値上がりするのか

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ファイナンシャルプランナーの山崎です。前回は「お金がムダな『積ん読』『積みゲー』『積みDVD』はもうやめよう」と題し、すぐに使う(楽しむ)モノだけを買おう、とアドバイスしました。今回は、モノの値段が上がるインフレ時代を生き抜くための賢い買い物術をお伝えします。

「PS VR」 1万円値下げ! ところでゲーム機の買い時っていつ?

PlayStation VR PlayStation Camera同梱版

「PlayStation VR PlayStation Camera同梱版」

3月29日から、「PlayStation VR(PSVR、プレイステーションVR)」の価格が1万円下がり、34,980円になりました(消費税別)。ニュースを聞いて「そろそろ買うか!」と決心した人も多いでしょう。私の友人は「エースコンバット7(プレステ4ではVR表示に対応予定)がでるまで待つ」と話していましたが、いまがチャンスと考えているかもしれません。

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ゲーム機は基本的に値下げを繰り返してきた

ゲームハード(ゲーム機本体)は、基本的に値下げを繰り返していきます。プレステ2も、プレステ3もそうですし、Nintendo(任天堂)のハードも値下げしてきました。普及することで製造単価が下がったケースもあれば、市場獲得を目指す戦略的見地から値下げを行うこともあります。

私はオタクのファイナンシャルプランナーとして、プレステもNintendoのハードもほとんど保有してきましたが(いまだにセガのハードも捨てられずにいる)、「ゲーム機の買い時」というのは、なかなか興味深いテーマです。

雑誌をめくれば「いまが買い時! ○○で遊べ」のような情報がつねに書かれています。しかし、待っていれば値下がりすることも、ほぼ確実にわかっています。「いつ」「いくら」値下げするかだけはわからない、という問題はありますが、買った直後に値下がりされては最悪、と思う人もいるでしょう。

ゲーム機の買い時は「やりたいゲームがあるとき」

しかし、ゲームハードにおける「買い時」はハッキリしています。あなたにとって「自分がやりたいゲームがあるとき」です。

 

いますぐ起動しない可能性があるなら「買い時」ではありません。値下がりするまで待ったほうがいいでしょう。しかし、いますぐやりたいと思えるゲームがあるなら、値下げを待つより、いますぐ買って遊んだほうが満足度の高い買い物になるでしょう。

ファイナンシャルプランナーとしては「買い物の満足度」、言い換えればコスパが重要だといつも指摘していますが、ゲーム機はその典型だと思います。「きょう新発売の『ドラゴンクエストXI』を絶対にやりたいから、同時にプレステ4を買う」のようなパターンが最高の買い時なのです。

一方で、モノの値段はじわじわ上がり始めている

今回のコラムはゲーム機の値段の引き下げ話から入りましたが、ここからのテーマは値下げよりもむしろ「値上げ」です。実は、モノの値段がじわじわ上がり始めているからです。

宅配便業界は相次いで値上げをしています。クロネコヤマト(宅急便)は2017年10月、佐川急便では11月、ゆうパックが2018年3月に、それぞれ値上げに踏み切りました。人件費の高騰などを含めた配送コストの上昇が原因とされています。

納豆、コンビニ弁当、牛乳など生活必需品の値上げ、実質的値上げが増えている

この4月には納豆やヨーグルトが値上げになったそうです。ここ数年は「サイズ引き下げ、お値段そのまま」という、実質的な値上げもずいぶん行われてきました。これは「シュリンクフレーション」といいます。価格を上げると売り上げが急減するので、値段は変えずに内容量を減らす(シュリンクする)方法です。

 

牛乳では1リットルでなく900ミリリットルの容量になった商品があります。これは実質的には値上げそのものです(価格が変わらなければ11%もの値上げになる)。洗剤やチョコレートといった食料品、日用品などで価格据え置きながら実質値上げとする商品がたくさんあります。コンビニがお弁当の内容量を少しずつ減らしていることに気がついた人も多いと思います。

商品や宅配便の値上げは、「実質値下げができないか、実質値下げではもうカバーできない」ということでしょう。原材料費や人件費の高騰などを踏まえて、もう値上げに踏み切るしかない、という状況になりつつあるのです。

経済が成長すれば物価が上がるのは当然

社会全体で、のきなみモノの値段が上がることを「インフレーション(インフレ)」といいます。経済が成長する世の中においてインフレは一般的なことです。戦後70年で物価は約8倍に上昇しています(戦後すぐの数年間は正確な統計がそろっていないため、実態は8倍を超える)。

「物価の文化史事典」(展望社)によれば、新聞1か月の料金は1950年だけで53円から70円に(同じ1年に!)、1960年には390円まで値上がりしたそうです。1970年には750円、以降も1980年には2,000円、1990年には3,100円と値上がりし続け、いまでは購読料は4,037円(読売新聞の場合)となっています。

もちろん昔の会社員の給料は低いので、値段が安かったから昔はよかったという単純な話ではありません。1960年の大卒初任給は16,115円(男性)ですから、いまの感覚(約20万円)の12分の1くらいしかなかったわけです。

給料が増えてもムダづかいはしばらく控えめに

インフレの世の中になったとき「物価が上がった割合」=「給料が上がった割合」になればひとまず大丈夫です。これはモノの値上がりと同じくらい給料が増えたということを意味しており、買える量はそれまでと変わりません。

今年の春は給料の増える会社も多かったと思いますが、もし4月から給料が1〜2%上がったのであれば、今年の値上げはなんとかなるでしょう。

しかし、しばらくはムダづかいに注意が必要です。この20年ほど日本ではモノの値段がほとんど変わらないか、デフレ(むしろモノの値段が下がる)傾向が続いてきたため、私たちはインフレが来る世の中に慣れていない状態になっているからです。

 

「給料が月○千円増えた!」と財布のひもを緩めて買い物を増やしてしまったり、高いモノを買ったりしてしまうと、それは間違いなく「実質予算オーバー」になるはずです。

今年と来年くらいは、モノの値段に注意を払って、できれば値上がり分を割安な買い物で吸収したいものです。価格.comは物価の推移を測るものではありませんが、最安値の追求をいままでより強化すれば、もしかすると値上げに見合った出費増を回避できるかもしれません。

※本記事は、執筆者個人または執筆者が所属する団体等の見解です。

山崎俊輔

山崎俊輔

フィナンシャル・ウィズダム代表。FPとして、現役世代のお金と幸せのバランスについてユニークな視点でアドバイスする。連載多数。アニメもゲームも愛するオタクで、マンガの蔵書は約4,000冊。

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