マネー連載
FP山崎俊輔のマネーリテラシー向上委員会

「音楽聞き放題」や「動画見放題」は、本当にお得?

ファイナンシャルプランナーの山崎です。前回は「インフレ」について書きました(「なぜゲーム機は値下がりするのに、牛乳は値上がりするのか」)。今回は、最近よく見聞きする「音楽聞き放題」や「動画見放題」などの「○○放題」サービスについてです。定額で何千、何万もの音楽が自由に聞けたり、好きな映画が見放題だったりと聞くと、興味を持つ人は多いでしょう。でも、結局は特定のアーチストの音楽だけを聞いていたり、実はそんなに鑑賞したい映画がないなど、メリットを十分に生かし切れていない人も多いのでは? そこで今回は、こうしたサービスが本当にお得なのかどうか、解説します。

最近増えている音楽、動画、雑誌などの「○○放題」サービス

テレビ番組を録画するのも、いまではずいぶん便利になりました。テレビに外付けのハードディスクを増設したり、Blu-ray(ブルーレイ)レコーダーを設置して録画を設定したりするのはとても簡単です。テレビ画面に番組表が表示されたり、同一番組を自動で録画し続けてくれたり、スマホで外出先から録画予約できるようになったからです。放送時間が変わっても自動で予約を変更してくれるなんて、夢みたいな便利さです。

いまの若い人には想像もできないでしょうが、かつては録画容量の制限(たった6時間!)のあるビデオテープを使わなければならず、プロ野球の関係で放送時間が延長になったときには録画が失敗する、という時代があったのです。しかも、本放送の放映の瞬間に録画をしておかないと、再放送のチャンスかパッケージを購入するまで(たいていは数年後)、二度と視聴するチャンスはなかったくらいです。

 

しかし、そんなレコーダーよりも便利な視聴スタイルがもはやスタンダードになりつつあります。動画見放題系サービスです。会員登録して課金設定さえしておけば、スマホかタブレットで映画やドラマ、アニメを好きなだけ見ることができます。ストリーミングですから、録画予約の苦労も一切ありません。昨年ヒットしたアニメやドラマ、映画をふと思い出して全話を一気に見ることもできます。

「動画見放題」だけではなく、「音楽聞き放題」、「雑誌や書籍読み放題」など、たくさんの企業が類似のサービスを展開しています。時代の変化に応じたサービスをどう活用するかは、お金の問題とも密接に関連しているため、今回はこうした「○○放題」サービスの購入についてファイナンシャルプランナーとして考えてみたいと思います。

「○○放題」は買うより確実にお得だが、レンタルより得かは利用状況次第

「○○放題」系サービスを比較するときは「購入」や「レンタル」と、どちらがお得か考えてみるのが比較検討のスタートだと思います。まずは「購入」との比較です。本当に大好きな作品について、CDなりブルーレイディスクなりを購入することは、これからも消費スタイルとしてあるでしょうが、予算には限界があります。たくさん買おうとするほど「○○放題」のほうが割安になるのは間違いないところです。

録画や視聴のためのレコーダーやパッケージを購入する金額を考えても、動画見放題サービスはかなりお得です。おおむね月500〜2,000円程度ですから、たくさん視聴する人はレンタルと比較してもお得になること間違いありません。音楽聞き放題も割安になる可能性のほうが高いでしょう。CDを毎月3枚購入しても数曲から数十曲しか手に入りませんが、音楽聞き放題サービスは、それよりはるかにたくさんの楽曲を月額1,000円程度で視聴できます。

雑誌読み放題も同様です。週刊誌や月刊誌を毎月20冊買うことは現実的には難しいですが、読み放題サービスであれば月500円程度で何十冊でも読めます。数ページだけのつまみ読みもできるのも便利で、コンビニで微妙な罪悪感を抱えつつ気になるページだけ立ち読みする必要もありません。

 

一方で「レンタル」がお得になる場合も考えられます。それはサービスの利用料金とレンタル料金のバランスを考えた場合です。「話題作だけチェックできればいい」など、レンタルDVDで月1,000円程度にとどまっている場合などは、月額2,000円の見放題サービスは割高となります。

難しいのは「ラインアップ」の見極め

「○○放題」サービスは使い方次第では大変便利ですが、1つ悩ましい問題があります。ラインアップがチェックしにくいことです。実はそれぞれのWEBサイトにアクセスしても、会員でない人が「○○という作品は見られるか」と検索することは、ほとんど困難なのです。

入会案内ページにサムネイルでパッケージ画像が紹介されている作品であれば視聴可能だと推測できますが、たいていは最新作ばかりで、旧作やマイナーな作品がラインアップに含まれているか、すぐにはわかりません。各社は「無料会員期間があるのでそこでチェックしてほしい」というスタンスを取っていますが、無料期間が終了すると自動的に課金されるのが一般的で、気楽に複数サービスをチェックするというわけにもいきません。

 

また、音楽聞き放題サービスでは好きなアーチストが配信対象外(アニソンなど)だったり、雑誌読み放題では全ページ配信されていなかったり(読みたい記事が読めなかった)することがあります。この点は、比較サイトなどが参考になりますので、情報収集してみるといいでしょう。

自分の利用シーンをしっかり見極めて選ぼう、原則は「1ジャンル1契約」

比較サイトなどをチェックすると、それぞれサービスの特徴が違うことがわかってきます。動画配信については「netflix」のようにオリジナル番組も多数提供しているところもあれば、「dアニメストア」のように、アニメ番組に限ることで月432円(消費税込み)の低価格を打ち出しているところもあります。配信内容と値段を考えつつ比較検討することが第一ステップです。

 

また、「Amazon Music」「Amazonプライム・ビデオ」のように、Amazonプライム(年3,900円)契約をしてAmazonの配送をいつでもお急ぎ無料としているユーザーは音楽配信、動画配信も使い放題(一部レンタル・購入あり)、という契約もあります。この場合、月325円(3,900円÷12か月)で2つの「○○放題」サービスを利用でき、お得な値段設定といえます。「iTunes Music」のようにiPhoneと親和性が高いサービスもあります。すでに持っている音楽ライブラリーをiTunesで管理しiPhoneで聞いている人は、音楽配信の選択肢として利便性が高いといえます。

雑誌については現状では大きな差がないようですが、それでも「コミック☆Walker」のように、マンガ雑誌中心の読み放題サービスのようなものもあります。書籍やコミックを多く網羅しているサービスには「Kindle Unlimited」もあります。

ただし、注意点としては「1ジャンル1契約」にしておくことです。同じカテゴリーで複数契約してしまうと、コンテンツの重複がかなり生じるため、コストパフォーマンスは悪くなります。「音楽配信1契約」「動画配信1契約」「雑誌配信1契約」のようなところが現実的でしょう。雑誌配信と書籍・コミック配信だけは2つ契約もありかもしれません。私個人のケースを紹介すれば、「Apple Music」「dアニメストア(アニメしか見ないので)」「dマガジン」を契約しています。

「所有」ではなく「利用権」に近い

最後にもう1つ。損得以外の視点を少しだけ話しておきましょう。

「○○放題」系サービスは基本的に「所有」ではなく「利用権」に近いサービスです。解約したら、その音源やビデオ映像は視聴できなくなります。この点では、買ったらいつまでも視聴し続けられる「パッケージ購入」に分があります(とはいえ、別の「○○放題」に乗り換えればまた聞いたり見たりできるわけですが)。

一方で、利用権であるがゆえに、著作者に利用料金の一部が支払われる、という新しい関係も生じます。手元でCDを持っていても、あえて音楽聞き放題サービスでも聞いていると、あなたのお気に入りのアーチストに著作権料が払われることになります。紙の書籍で購入済みのコミックも、Kindle Unlimitedで読むと、読んだページ数に比例して著作者に利用料金の一部が支払われます。

著作権についてここでは深く触れませんが、少なくとも「○○放題」サービスは権利的にはきちんとしています。海賊版も含めて、権利について一度考え直してみると「○○放題」を利用する視点も変わってくるのではないでしょうか。

※本記事は、執筆者個人または執筆者が所属する団体等の見解です。

山崎俊輔

山崎俊輔

フィナンシャル・ウィズダム代表。FPとして、現役世代のお金と幸せのバランスについてユニークな視点でアドバイスする。連載多数。アニメもゲームも愛するオタクで、マンガの蔵書は約4,000冊。

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