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「家賃並みの毎月返済額で買えます」この言葉、信じ切っていいの?

住宅ローンで陥りがちな4つの落とし穴と、絶対避けたいNG行動。対策のポイントも解説

こんにちは、ファイナンシャルプランナーの豊田です。
ほとんどの人にとって、マイホームは「人生最大の買い物」だと思います。同時に、住宅ローンは「人生最大の借金」でもあることでしょう。

今回は、そんな住宅ローンを借りる際に、陥りがちな4つの落とし穴と、絶対避けなければならないNG行動について解説します。実際の相談の現場でも、いまだに聞かれる勘違いなども含まれます。人生のビッグイベントで、「こんなはずではなかったのに……」とならないよう、失敗しないためのポイントを押さえておくことは大事ですよ!

落とし穴1:「家賃並みの毎月返済額で買えます」を信じ切る

住宅を購入する際、本来は「予算」を立てて、次に「予算」に収まる物件を探すべきですが、現実にはまず物件を見ることから始める人が多いのが常です。まず、気に入った物件と出合ってから、「この家、私たちに買えるかしら?」となりがちです。

「すてきなマイホームの夢が実現するかもしれない」と高揚している2人が、名前や勤務先、年収などの個人情報を伝え、販売担当者が住宅ローンの返済シミュレーションを行います。そこで出てくる魅惑のフレーズ。
「家賃並みの、毎月返済額で買えますよ」

固定資産税や管理費など、購入後のコストも加味して計算しよう

これを聞いて単純に喜んだとしたら、あなたはすでに落とし穴にはまっているかもしれません。
理由のひとつは、購入後にかかるコストを加味していないのに、住宅ローンの毎月の返済額だけを見て「家賃並みだから、無理なく返済していける」と考えるのは問題だからです。

購入後は固定資産税が毎年かかるほか、マンションなら管理費・修繕積立金、駐車場代、駐輪場代などもかかります。もちろん、戸建てであっても長期的なリフォーム資金を用意しておく必要があります。ただし、住宅用の積み立てをしていた場合は、それを返済額にプラスして考えることはできますが。

さらに、毎月の返済額が家賃並みだったとしても、これとは別にボーナス払いが組み込まれている場合があります。ボーナス払い分も月平均にならして計算すれば現状の家賃を超えてしまい、今の生活を維持するのは難しくなってきます。

もうひとつ、その試算が変動金利型の場合は、金利が上がったときに返済額が増える可能性があります。3000万円の住宅ローンを、期間35年、元利均等返済、ボーナス払いなしで試算した場合、変動金利0.475%なら毎月の返済額は77,306円です。いっぽうで、全期間固定1.85%だと毎月の返済額は97,085円。仮に、現状の家賃が78,000円だったケースでは、毎月19,000円も増えることになり、家計に大きな影響が出ることは容易に想像できます。

落とし穴2:節約家が陥りがちな「頭金入れすぎで予備費不足」

続いては、節約意識が高い人ほど陥りがちな落とし穴かもしれません。
できるだけ住宅ローンを小さく組もうと考え、手元資金をあまり残さずに少しでも多く頭金に入れてしまう方がいます。事務手数料が借入額に対して一定割合でかかる住宅ローンなどでは、少しでも借入額を小さくしようという意識が働くようです。

借入額に対して、一定割合かかる「事務手数料」の節約にはなるけれど……

たとえば、事務手数料が借入額に対して2.16%かかる場合、100万円小さく住宅ローンを組めば21,600円の節約になります(住宅ローン控除もあるので、実際にはもっと少額になります)。
住宅ローンを小さく組むことは節約にもつながり悪いことではありません。問題は手元資金が少なくなりすぎてしまうことです。家計におけるリスクマネジメントの基本として、生活予備費は必ず一定額を残しておく必要があります。

会社員は3〜6か月分、自営業なら6か月〜1年分程度の生活予備費を残そう

目安としては、会社員で生活費3〜6か月分、自営業で6か月〜1年分程度です。家族が病気・ケガをした、親が倒れた、リストラや会社の倒産、自然災害など、人生にはいつ何があるかわかりません。相談業務の中で、住宅購入の際に予備資金を十分に残さずに、ほぼ頭金に入れてしまった相談者がいました。そして運悪く、家族が病気にかかってしまったために、住宅ローンよりもはるかに金利が高いフリーローンを利用せざるを得なかった、というケースも拝見しました。

住宅ローンをできるだけ小さく組みたい、という気持ちは理解できますが、予備費とのバランスを考えることが大事になってきます。

落とし穴3:子育て家庭は注意「繰上返済しすぎて教育資金不足」

住宅ローンを借りると、「できるだけ早く完済したい」と考える人も少なくありません。私が住宅ローンを借りていた20年ほど前は、固定金利で4%程度と、金利負担が大きいのでなおさらでした。

繰上返済を行えば、支払う予定だった利息が軽減されるメリットがあるいっぽう、手元資金が減ります。特に問題となるのは、子どもがいるご家庭での繰上返済です。

教育費のピークは、一般に大学受験期から大学・専門学校に通う時期です。中学から私立に通う場合は塾代がかかるため小4くらいから教育費の高負担が続きます。しかも、教育資金は、想定される進路に備えて中長期で準備をしておく必要があります。

教育資金を計画的に積み立てよう。それでも余裕があれば、繰上返済を検討しよう

最近は超低金利で住宅ローン控除も充実しているので、急いで返そうと焦る人はさほど多くないかもしれませんが、それでもたまに繰上返済を優先して教育資金不足に陥り、教育ローンを利用することになるケースもあります。教育ローンは一般的には住宅ローンよりも金利が高いため、これでは本末転倒と言えるでしょう。

教育資金に限らず、将来に大きな支出を控えた世帯の場合、計画的に教育資金の積み立てを行い、それでも家計に余力があるなら、返済期間を変えずに毎月の返済額を引き下げる「返済額軽減型」の繰上返済を行うといいでしょう。
参考HP:「繰り上げ返済、期間短縮型と返済額軽減型はどう使い分ける?」

落とし穴4:「金利上昇しても、返済額は5年間変わらず」を誤解

変動金利型の住宅ローンを提供している多くの銀行では、以下の内容の「5年ルール」と「125%ルール」を導入しています(適用されるのは元利均等返済のみ)。

金利上昇に備え、家計の負担急増をやわらげる2つのルールの盲点

5年ルール:仮に金利が上昇しても、5年間は毎月の返済額は変わらない
125%ルール:5年ごとに毎月の返済額は見直されるが、仮に金利が上昇しても、毎月の返済額の上限は前回返済額の1.25倍以内とする
誤解して覚えているがために、この2つのルールが落とし穴になるケースがあります。

金利上昇時も、返済額は5年間変わらないが。実は元金への返済が減っている!

変動金利型の適用金利は年2回見直されていますが、5年ルールがあるために、毎月の返済額は5年間は変わりません。なかには、このことをもって「金利が変わらない」と勘違いをする人もいますが、あくまでも変わらないのは毎月の返済額です。

住宅ローンを組むと、元金部分と利息部分の合計金額を毎月返済することになります。金利が上昇した場合は以下のように、元金返済部分と利息部分の支払額を変えて、毎月の返済額を一定にしているのです。
最初の半年間:返済額10万円(元金部分6万円、利息部分:4万円)
6か月目から :返済額10万円(元金部分5万円、利息部分:5万円)
2年目から:返済額10万円(元金部分4万円、利息部分:6万円)

上記のように、「10万円」という毎月の返済額は変わりませんが、金利上昇した場合は、利息部分の支払いが増え元金への支払いが減ってしまっているのです。

また、家計への影響を考慮した125%ルールがあるため、6年目に見直される毎月の返済額は、それまでの1.25倍以内に抑えられます。これも、「金利が1.25倍までしか上がらない」と勘違いしてしまう人がいますが、金利には上限は設けられていません。

金利が急上昇すれば、元金が増える事態も。変動金利のリスクを認識しておこう

現在は歴史的な低金利が続いていますが、変動金利は、金利上昇が続くと、毎月の返済額がすべて利息部分にあてられることも起こりえます。それでも払いきれずに、毎月の返済額が利息負担分を超えると(たとえば毎月の返済額が10万円で、利息分が10万円を超えてしまった場合)、超えた部分は「未払利息」となって、借入元金が増えていく事態も起こりえます(急激な金利上昇が続かなければ、起きないことではありますが)。

担当者から「5年間は毎月の返済額が変わりません」「6年目に返済額を見直す場合も、最大1.25倍までしか増えません」といった説明を受けることがあるかもしれません。2つのルールは、家計の急激な負担増を緩和してくれる意味ではありがたいルールです。そのいっぽうで、金利が上がったことに気づきにくい、というリスクをはらんでいます。変動金利型のこのような特徴を理解したうえで利用しないと、落とし穴にはまってしまうかもしれません。

絶対に避けたいNG行動:「返済厳しくて、つい放置して延滞」

何かの理由で住宅ローンの返済が厳しくなったとき、絶対に採ってはいけない行動は「ついつい放置して延滞してしまう」ということです。

返済が滞り「マイホームを手放さざるを得ない」そんな悲劇への入り口に

住宅ローンをずっと延滞してしまうと、まずは金融機関から催促を受けますが、延滞が一定期間(6か月以上)続くと、「期限の利益の喪失」に関連した通知書が送られてきます。「期限の利益の喪失」とは聞き慣れない言葉ですが、簡単に言うと、金融機関が「約束を破ったので、分割での支払いをこれ以上待てない」という意味を持ちます。

そうすると、金融機関から住宅ローン残債を一括で返すよう求められます。次には保証会社が代わりに弁済し、債権が保証会社に移ります。その後は保証会社から返済を迫られることになり、家を売却して返済することになります。それでも負債が残れば、返済だけが続くことになります。

最初の滞納前にまず行動。金融機関に返済期間延長などの相談を

こうした悲劇を避けるためには、最初の延滞をする前に行動することが大事です。住宅ローンを借りた金融機関に相談すれば、一定期間の返済額軽減や返済期間の延長など、対処法を相談できます。他行への借り換えなどの選択肢のほか、条件が合えば「リバースモーゲージ」(一定以上の年齢の人を対象に、住宅を担保に金融機関から融資を受ける仕組み)を利用することもでき、ひとつの対策となります。
延滞が長引けば長引くほど、取れる選択肢の幅は狭くなってしまう、ということをよく覚えておきましょう。
参考HP:「自宅を担保にお金を借りるローン『リバースモーゲージ』とは?」

終わりに

住宅ローンを利用する際に陥りがちな4つの落とし穴と、絶対に避けたいNG行動について解説しました。住宅ローンは借りた後も長いお付き合いになりますので、「こんなはずではなかった」という事態に陥らないように、最低限の知識武装をして利用したいものです。無事、返し終えるまでは、上手に付き合っていきたいですね!

豊田眞弓

豊田眞弓

FPラウンジ代表。経済誌などのライターを経て1994年より独立系FPとして活動。個人相談業務のほか講演、マネーコラムの寄稿などを行う。ライフワークとして子どもや大人の金銭・金融教育にも携わる。小田原短大非常勤講師も務める。

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