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福岡の鉄道や地下鉄でクレカの「タッチ決済乗車」を体験! “快適さ”は想像以上かも

クレジットカードなどの「タッチ決済」で乗車できる鉄道やバスが増えてきました。なかでも関西と九州は導入している公共交通機関が多く、タッチ決済乗車の先進地域です。筆者は、10月末から11月頭にかけて、家族の用事で九州を訪問。その空き時間を使って、福岡エリアのJR九州、西日本鉄道(西鉄)、福岡市営地下鉄でタッチ決済乗車を体験してきました。その実体験を基にタッチ決済乗車の使い勝手をレポートします。

関東在住で普段はモバイルSuicaを使っている筆者が、福岡でタッチ決済乗車を初体験。今回の旅で使用したクレカは、普段の買い物でも使っている三井住友カードの「Oliveゴールド」です

関東在住で普段はモバイルSuicaを使っている筆者が、福岡でタッチ決済乗車を初体験。今回の旅で使用したクレカは、普段の買い物でも使っている三井住友カードの「Oliveゴールド」です

タッチ決済乗車=「普段使っているクレカ」で鉄道やバスに乗る方法

レポートに入る前に、タッチ決済乗車について簡単に触れておきます。

国内のタッチ決済乗車では、三井住友カードの公共交通機関向け乗車システム「stera transit(ステラトランジット)」がインフラとして使われています。「stera transit」を導入した交通機関では、三井住友カードを含む各カード会社発行の「タッチ決済に対応したクレカ」や、各カードを連携したスマホやウェアラブルデバイスなどを、改札機などの専用端末にタッチすることで鉄道やバスに乗車できます。

改札機などで、専用端末にクレカをタッチして乗車

改札機などで、専用端末にクレカをタッチして乗車

国際ブランドや対応路線・駅にばらつき

現状、タッチ決済乗車に対応しているクレジットカードの国際ブランドは各交通機関によってばらつきがあるようです。特に、2024年10月17日より「stera transit」への対応が開始されたばかりの「Mastercard」は、各交通機関側の対応が現在順次進められている状況です。たとえば、今回訪れた福岡エリアでは、本記事執筆時点で、福岡市営地下鉄のみが「Mastercard」に対応しています(下記ボックス参照)。

▼福岡エリアの交通機関における、タッチ決済乗車対応の国際ブランド
・福岡市営地下鉄……Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、Discover、銀聯
・JR九州……Visa、JCB、American Express、Diners Club、Discover、銀聯
・西鉄……Visa、JCB、American Express、Diners Club、Discover、銀聯

※2024年11月19日時点。タッチ決済対応の「デビット」「プリペイドカード」では、対応ブランドが一部異なる場合があります。

筆者の訪問時、地下鉄「福岡空港」駅のホームで「Mastercard」でのタッチ決済乗車対応が周知されていました(撮影日:2024年10月31日)

筆者の訪問時、地下鉄「福岡空港」駅のホームでは「Mastercard」でのタッチ決済乗車対応が周知されていました(撮影日:2024年10月31日)

また、タッチ決済乗車できる路線や駅も、「全区間対応の会社」と「一部区間対応の会社」があります。福岡エリアを走る3つの鉄道会社の対応状況は下記のとおりです。

・福岡市営地下鉄……全路線(3路線)の全駅でタッチ決済乗車が可能
・西鉄……全路線(4路線)の全駅でタッチ決済乗車が可能
・JR九州……鹿児島本線の門司港」駅〜「久留米」駅の全駅と、香椎線「海ノ中道」駅の計50駅でタッチ決済乗車が可能(※)

※福岡エリア外の鹿児島や大分を含めると計84駅が対応・2024年11月20日時点。

このように、タッチ決済乗車はまだまだ導入の途上(各鉄道会社は「実証実験」と表現)ではありますが、日々、使える路線や駅が拡大しています。

本記事執筆中の2024年11月13日にも、JR九州より日豊本線と久大本線の計16駅がタッチ決済乗車に対応するとの発表がありました(対応は2024年11月20日から・画像はJR九州のプレスリリースより)

本記事執筆中の2024年11月13日にも、JR九州より日豊本線と久大本線の計16駅がタッチ決済乗車に対応するとの発表がありました(対応は2024年11月20日から・画像はJR九州のプレスリリースより)

Day1:福岡中心部をタッチ決済乗車で移動してみた

10月31日の昼過ぎに福岡空港に到着した筆者。目的地への移動まで少し時間があったので、さっそく、「中洲川端」駅までタッチ決済乗車で移動してみることに。

「Oliveゴールド」で福岡の地下鉄に乗ってみます

「Oliveゴールド」で福岡の地下鉄に乗ってみます

▼この日タッチ決済乗車で利用した路線
・福岡空港〜中洲川端(福岡市営地下鉄・空港線) 
・中洲川端〜博多(福岡市営地下鉄・空港線)

福岡市営地下鉄は全路線(3路線)の全駅でタッチ決済乗車に対応。画像は福岡市営地下鉄公式サイトより

福岡市営地下鉄は全路線(3路線)の全駅でタッチ決済乗車に対応。画像は福岡市営地下鉄公式サイトより

自動改札機は3つの乗車手段に対応

地下鉄「福岡空港」駅の国内線旅客ターミナル改札口では、いくつかの自動改札機への導線に、タッチ決済対応を表す“電波のマーク”(名称は「リップルマーク」と言うそうです)が印刷されたフロアサインが貼られ、通常の自動改札機と区別されていました。筆者が訪れた際は、全6台のうち3台の自動改札機がタッチ決済対応でした(下の左画像)。

タッチ決済に対応した自動改札機は複合型で、入口側の一番手前から「タッチ決済用端末」、「紙の切符の投入口」、「交通系ICカード用端末」が設置されています。最初はタッチする場所に少々とまどいましたが、クレカを一番手前の端末にタッチさせ、無事改札を通過することができました。

クレカが読み取られると効果音とともに端末のランプが青から緑に変わります(右画像)。読み取りスピードは「交通系ICカードよりは若干遅く感じるが、気にならない」レベル

クレカが読み取られると効果音とともに端末のランプが青から緑に変わります(右画像)。読み取りスピードは「交通系ICカードよりは若干遅く感じるが、気にならない」レベル

タッチ決済乗車なら1日どれだけ乗っても料金は640円

乗車した「空港線」の車内では、タッチ決済乗車対応を周知させる広告類が目に付きました。下の画像は、福岡市営地下鉄が導入している、「タッチ決済乗車の場合、1日何度乗車しても料金は640 円までしかかからないサービス」を伝えるものです。

タッチ決済乗車は、ほかの乗車手段とは違い、乗車料金を後払い(クレカの引き落とし)で支払うのが特徴です。そのため、福岡市営地下鉄のこのサービスが典型的ですが、鉄道会社側で「乗車状況に応じて料金を調整した後に請求する」といったことが可能になります。

この最大料金は、特に手続きしなくても自動で適用されるようです

この最大料金は、特に手続きしなくても自動で適用されるようです

途中で移動プランを変えても最安料金なのはうれしい

ちなみに、福岡市営地下鉄の1日乗車券の値段は640円なので、タッチ決済乗車に料金的なメリットはありません。ただし、筆者も経験がありますが、観光などでどこかの都市に訪れた際、鉄道やバスの1日乗車券を買うべきか否か、移動ルートを思い浮かべて悩むことがあると思います。この点で、「タッチ決済乗車なら一日最大640円」にはメリットがありそうです。

福岡市営地下鉄の場合、筆者がこの日利用した「福岡空港→中洲川端」間の料金が260円、「中洲川端→博多」間の料金が210円なので、1日乗車券を買わないのが「正解」ですが、これはあくまでも結果論。気が変わり、繁華街の「天神」駅や、水景公園の「大濠公園」駅で降りてみたくなることもあるはずです。そうした場合、「1日乗車券を買っておけばよかった」と後悔することもあるでしょう。

福岡市営地下鉄の「タッチ決済乗車なら1日最大640円」であれば、自動的に最安料金が適用されます。観光など時間が限られる中での移動の場合、ありがたい仕組みではないかと感じました。

この画像は別の日に地下鉄「天神」駅で撮影したポスター。1日だけでなく1か月の最大料金の設定もあるようです

この画像は別の日に地下鉄「天神」駅で撮影したポスター。1日だけでなく1か月の最大料金の設定もあるようです

チャージ残高を気にする必要もなし

そうこうしているうちに、4駅先の「中洲川端」駅に着きました。この駅にも、タッチ決済乗車対応を示すステッカーやフロアマークが多く掲示されていたため、対応の自動改札機はスムーズに見つかり、迷わずに降りることができました。

タッチ決済乗車で無事「中洲川端駅」に到着

タッチ決済乗車で無事「中洲川端」駅に到着

初のタッチ決済乗車を使ってみた感想ですが、なかなか快適だったと言えます。切符を買う手間がないのは言うまでもありませんが、「タッチして乗る」という点で共通する交通系ICカードと比べても、チャージ残高を気にしなくていいメリットがあると感じました。

福岡市営地下鉄は交通系ICカードの相互利用エリアなので、筆者が普段使っているモバイルSuicaでも乗車はできます。ただし、モバイルSuicaのオートチャージの対応エリアからは外れるため、利用前の残高チェックやチャージが必要です。日ごろ、モバイルSuicaのオートチャージに頼りきっている筆者にとってこのひと手間は気になります。

その点、クレカのタッチ決済乗車であれば、あれこれ考えずとも乗車できます。筆者はこれまでも何度か福岡を訪れたことがあり、中心部の移動には交通系ICカードを使っていましたが、その時の記憶と比べても今回のタッチ決済乗車のほうがスムーズに移動できている印象を受けました。

画像は「中洲川端」駅の券売機。クレカが使えない旨が大きく表示されている画面の下で、タッチ決済乗車が周知紹介されていました

画像は「中洲川端」駅の券売機。クレカが使えない旨が大きく表示されている券売機の画面の下で、タッチ決済乗車が紹介されていたのが印象的でした

Day2:タッチ決済乗車でJR九州、西鉄、地下鉄を乗りこなす

家族の用事が済み、この日(11月3日)は単身関東へ戻ります。午後の飛行機まで半日弱時間が取れたため、まず滞在先の最寄り駅からJR九州を使って「海ノ中道」駅へ移動(一部区間で特急を使った関係で、ここではタッチ決済乗車を使わず)。いったん改札を出てからJR九州「香椎線」に乗車した後、西鉄や福岡市営地下鉄を乗り継いで福岡中心部を目指します。いずれもタッチ決済乗車を使います。

JR九州や西鉄でのタッチ決済乗車にも挑戦。画像はJR九州「香椎線」

JR九州や西鉄でのタッチ決済乗車にも挑戦。画像はJR九州「香椎線」

▼この日、タッチ決済乗車で利用した路線
・海ノ中道〜香椎(JR九州・香椎線) 
・西鉄香椎〜貝塚(西鉄・貝塚線)
・貝塚〜天神(福岡市営地下鉄・箱崎線)
・天神〜博多(福岡市営地下鉄・空港線)
・博多〜福岡空港(福岡市営地下鉄・空港線)

福岡中心部から見て、北の郊外から乗り継ぐルート。画像はJR九州公式サイトより

福岡中心部から見て、博多湾をはさんだ「海の中道エリア」から乗り継ぎます。画像はJR九州公式サイトより

福岡中心部と郊外では“推され具合”に濃淡

この日のタッチ決済乗車の出発点となるJR「海ノ中道」駅は、海に囲まれた自然豊かな「海の中道エリア」の中にあります。この日は週末ということもあり、駅スタッフがひとりいましたが、ネットの情報によると普段は無人駅とのこと。

福岡中心部からは鉄道で約30〜40分の距離

福岡中心部からは鉄道で約30〜40分の距離(筆者のように遠回りしなければ)

この駅でのタッチ決済乗車は少々とまどいました。下の画像のように、既設の柱にタッチ決済乗車用の端末が設置され、ここにタッチして入場する仕組みです。改札への導線にはタッチ決済乗車可能との周知はなく、これがタッチ決済乗車の端末であることに気づくまでにけっこうな時間がかかってしまいました。

これがタッチ決済用の端末。先のほうに見えるピンク色の機器は交通系ICカード用の端末です

これがタッチ決済用の端末。先のほうに見えるピンク色の機器は交通系ICカード用の端末です

1日目に訪れた福岡中心部の地下鉄の駅では、タッチ決済乗車がかなり推されており、あちこちにステッカーやポスター、フロアサインでの周知がありましたが、中心部から少し距離のある「海ノ中道」駅では、まだまだ“マニアックな乗車手段”といった印象。同じ福岡でも、エリアによってタッチ決済乗車の扱いには濃淡があるようです。

また、タッチ決済乗車はほかの乗車手段と比べて、「設備の導入や維持管理が低コストで済む」という話を報道で見聞きしていましたが、たしかに「海ノ中道」駅のような簡素な設備であれば、地方のローカル線などでも導入や維持が比較的容易なのかもしれません。

一応、駅舎の中には、タッチ決済乗車が使えることを知らせるポスターが1枚貼られていました

一応、駅舎の中には、タッチ決済乗車が使えることを知らせるポスターが1枚貼られていました

タッチする場所さえわかれば、クレカをタッチするだけなので迷うことはありません

タッチする場所さえわかれば、クレカをタッチするだけなので迷うことはありません

下車したJR「香椎」駅は比較的大きな駅だったこともあり、ご覧のとおりタッチ決済乗車対応の自動改札機への導線が整っていました

下車したJR「香椎」駅は比較的大きな駅だったこともあり、ご覧のとおりタッチ決済乗車対応の自動改札機への導線が整っていました

西鉄の改札も“慣れ”が必要かも

JR「香椎」駅から5分ほど歩き、続いては西鉄「西鉄香椎」駅から西鉄「貝塚線」にタッチ決済乗車してみます。

駅に入って、タッチ決済できる場所を探しますが……

駅に入って、タッチ決済できる場所を探しますが……

ここも、タッチ決済乗車ビギナーにはややわかりにくい作りになっていました。

自動改札機の前までたどり着くもそれらしいものは見つけられず、また、駅構内にも、タッチ決済乗車を周知させるような広告類が見当たりません。一抹の不安を覚えつつ、有人改札にいた駅員の方に聞いて教えてもらったのが下の画像の赤丸部分です。

「西鉄香椎」駅では“壁”にタッチ決済乗車用の端末が設置されていました。画像は改札を通過した後に撮ったもの(入場時は少々焦っていて撮影を忘れてしまいました)。入場時は画像奥側の端末、退場時は画像手前側の端末にタッチする仕組みです

「西鉄香椎」駅では“壁”にタッチ決済乗車用の端末が設置されていました。画像は改札を通過した後に撮ったもの(入場時は少々あせっていて撮影を忘れてしまいました)。入場時は画像奥側の端末、退場時は画像手前側の端末にタッチする仕組みです

このタイプの改札(端末)は、事前情報がないと自力で見つけるのはなかなか難しそうです。特に、入場側の端末は目線よりも下に設置されていたので、よけいに認識しにくかったようです。声をかけた駅員の方によると、西鉄全駅でタッチ決済乗車に対応したのは2024年11月からとのことで、この日は導入からまだ3日目。今後は、よりわかりやすくタッチ決済乗車の端末への導線が整っていくのではと思います。

福岡郊外の住宅地を走る西鉄・貝塚線の車内でもタッチ決済乗車を周知する広告類は見つけられず、ここでも福岡中心部とのちょっとした温度差を感じました

福岡郊外の住宅地を走る西鉄・貝塚線の車内でもタッチ決済乗車を周知する広告類は見つけられず、ここでも福岡中心部とのちょっとした温度差を感じました

慣れてしまえばやっぱりスムーズ

貝塚線の終点、「貝塚」駅で下車し、次は福岡市営地下鉄の「箱崎線」に乗り換えます。「貝塚線」の出口改札も、「箱崎線」の入場改札も、「西鉄香椎駅」と同じく、有人改札の壁に端末が付くタイプでした。

画像は「箱崎線」の入場改札。このタイプの改札はすでに3回目なので迷うことなくタッチして入場。慣れてくると、タッチ決済乗車本来の魅力である「スムーズで快適」が実感できます

画像は「箱崎線」の入場改札。このタイプの改札はすでに3回目なので迷うことなくタッチして入場。慣れてくると、タッチ決済乗車本来の魅力である「スムーズで快適」が実感できます

後日、今回利用した鉄道会社の公式サイトやプレスリリースをチェックしましたが、「自動改札機」「有人改札口(端末機器のみ)」、「ポール型専用機器」(端末のみ専用のポールに設置されたもの)が、福岡エリアのタッチ決済乗車の改札には用いられているようです(下画像参照)。

事前にこれらがタッチ決済乗車用の端末なのだと頭に入れておけば、後はクレカをタッチするだけなので迷うことはないのではないかと思います。

左から「自動改札機」、「ポール型専用機器」、「有人改札口(端末機器のみ)」。画像はJR九州公式サイトより

左から「自動改札機」、「ポール型専用機器」、「有人改札口(端末機器のみ)」。画像はJR九州公式サイトより

スマホのタッチ決済でも入場に成功

ここからは、先日も利用した福岡市営地下鉄で福岡中心部に向かいます。まず、「天神」駅で降りてみましたが、中心部だけあって導線もスムーズで、迷わず下車ができました。

「天神」駅の改札では、観光客風の人がタッチ決済を利用している姿が何回か見られました

「天神」駅の改札では、観光客風の人がタッチ決済を利用している姿が何回か見られました

これまでの行程では、クレカのリアルカードでのタッチ決済乗車のみ使用していたので、この後の「博多」駅までの移動にはスマホのタッチ決済で乗ってみることにしました。撮影できる機器がスマホしかなかったため写真が撮れなかったのですが、下記のような流れで入場することができました。

Apple Payに「Oliveゴールド」を登録したiPhoneを自動改札機のタッチ決済乗車用端末にタッチ

Apple Payの「Oliveゴールド」が立ち上がり、サイドボタンのダブルクリックで認証

その状態で再度端末にタッチ

Q. スマホのタッチ決済で入場したけど、リアルカードのタッチ決済でも改札を出ることができる……?

ここで、ふとこんな疑問が頭に浮かびました。

スマホに登録したクレカと同じカード番号のクレカであれば、理論上問題ないような気もします。そこで、「博多」駅の退場時にこれを試してみることにしました。万が一改札で止められることを考えて、人がいなくなったタイミングでリアルカードをタッチしてみると……。

結果はNG!

結果はNG。ランプが赤くなり、改札で止められてしまいました。この後駅員の方が改札機に来てきれ、おそらくは「取り消し」などの作業をしてくれ、その後、スマホのタッチで出場できました

端末のランプが赤くなり、改札で止められてしまいました。この後駅員の方が改札機に来て、おそらくは「取り消し」などの作業をしてくれたため、スマホのタッチで出場できました(駅員の方、ほかの乗客の皆様、ご迷惑をおかけしました……)

この点についても、後日、福岡市営地下鉄の公式サイトをチェックしたところ、Q&Aに下記の画像の赤枠内の記述を発見しました。入出場で異なる“媒体”を使うことは、たとえそれらのカード番号が共通でもできないようです。

JR九州、西鉄の公式サイトではこうした記述は見つけられませんでしたが、近畿日本鉄道や江ノ電など、ほかの地域でタッチ決済乗車を導入済みの鉄道会社の公式サイトには同様の記述を見つけることができました。おそらく、これがタッチ決済乗車の仕様なのではないかと考えられます。

タッチ決済乗車で乗る際、降りる際は同一の“媒体”を利用しましょう。画像は福岡市営地下鉄公式サイトより

タッチ決済乗車で乗る際、降りる際は同一の“媒体”を利用しましょう。画像は福岡市営地下鉄公式サイトより

【まとめ】タッチ決済乗車に感じたメリットと注意点

「博多」駅で下車後、食事などを済ませ、三たび地下鉄に乗車して「福岡空港」に到着。限られた時間でのあわただしい移動でしたが、2日間の「福岡タッチ決済乗車体験」が終了しました。

ここまで断片的にお伝えしてきましたが、最後に、福岡でタッチ決済乗車してみて感じたメリットや注意点をまとめました。

博多駅では恒例のアドベント(クリスマスマーケット)が始まっていました

「博多」駅では恒例のアドベント(クリスマスマーケット)が始まっていました

《メリット》
ノーストレスで乗れるのは快適!

タッチ決済乗車の最大の魅力は、あれこれ考えなくてもスムーズ乗車できることにありそうです。観光や出張などで訪れた街で、切符の購入や交通系ICカードの残高・チャージを気にすることなく乗れることは、想像していた以上に快適でした。

《メリット》
普段使っているクレカが使えるのも便利!

“いつもと同じポイントが貯まる”、“持ち歩くカードを減らせる”、“支出を一元管理できる”といった点などから、普段使っているクレカが使えるという点も見逃せないメリットになりそうです。

なお、タッチ決済乗車の乗車履歴については、筆者のクレカ側の利用明細(三井住友カードの「Vpass」アプリ)では、その日に使った料金の合計額が鉄道会社別に確認ができました。より詳細に履歴を確認したい場合は、QUADRAC株式会社が運営する「Q-move」というサイトで会員登録(利用したカードの番号などを登録)することで、鉄道会社を問わず、日付、利用した時間、利用経路、金額が確認できます。

筆者の移動履歴。入出場の時間までわかります

筆者の移動履歴。入出場の時間までわかります

《注意点》
改札には“慣れ”が必要

この記事を読んでくれた人は問題ないとは思いますが、タッチ決済乗車ができる改札には慣れが必要でしょう。特に、有人改札に端末が設置されているタイプの改札については要注意です。

《注意点》
基本は大人料金のみ

鉄道会社には一般的に子ども料金が設定されています。しかし、タッチ決済乗車の場合、現時点では基本的に大人料金が適用されるようです。

そもそもクレカには申し込める年齢制限があるのでいたしかたない面もありますが、「親が子どもの分を支払う」といったケースでも大人料金になってしまうのは少々残念です。紙の切符にも子ども料金はありますし、交通系ICカードも、子ども用のものを購入すれば自動的に子ども料金が適用される仕組みのようなので、この点は現状タッチ決済乗車の弱点と言えるかもしれません。

なお、今回筆者が利用した鉄道会社の中では唯一、福岡市営地下鉄にタッチ決済乗車でも子ども料金の適用があります。ただし、その場合は有人改札で駅スタッフに申し出て、スタッフの手持ちの端末にタッチする必要があるようです。これだと、「スムーズで快適」というタッチ決済乗車のメリットは感じにくいかもしれません。

《注意点》
違う媒体では出場できない

あまり、やってみる人はいないかもしれませんが、入場時と退場時に違う媒体を使うことはできないことも頭に入れておきましょう。クレカで入場した時はクレカ、スマホで入場した時はスマホといった形で、同じ媒体を使う必要があります。

また、福岡市営地下鉄限定の話になりますが、「クレカのタッチ決済」と「スマホのタッチ決済」など、異なる媒体での乗車料金は合算して計算されないそうです。これは、「Day1」で紹介した「1日(1か月)の最大料金」に関係してくるのでご注意ください。

ちなみに、筆者はこれを知らず、「Day2」に乗った3回の地下鉄料金の合計は730円でしたが、うち1回が「スマホのタッチ決済」だったので最大料金は適用されていませんでした。

いろいろ混乱や失敗もありましたが、タッチ決済乗車は想像以上に便利で快適な乗車体験でした。皆さんも機会があったらぜひ!

いろいろ混乱や失敗もありましたが、タッチ決済乗車は想像以上に便利で快適な乗車体験でした。皆さんも機会があったらぜひ!

普及するポテンシャルはありそう

タッチ決済乗車はまだまだ普及の途上にあります。記事で書いたとおり、筆者もいろいろてこずった点が少なくありませんでした。しかし、それを踏まえても、慣れさえすれば、カード1枚でスピーディーに移動できることには大きな魅力を感じました。

あくまでも福岡エリアに限った印象であり、また、福岡に住んでいる人の評価はまた違ってくるかもしれません(たとえば、市内のバスではまだ一部路線のみ対応で普及が進んでいないことは、評価に関係してきそうです)。しかし、少なくとも国内外の旅行者や出張者にとっては、今後、乗車手段のファーストチョイスになりうるポテンシャルを感じました。

ほかの地域への普及状況など、今後の、タッチ決済乗車の展開にも注目していきたいと思います。

▼下記の記事では、タッチ決済乗車の仕組みについて、三井住友カードへの取材を基にくわしく解説しています。本記事と合わせてチェックしてみてください。

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2024/11/15 07:00
野 洋介(編集部)
Writer / Editor
野 洋介(編集部)
書籍や月刊マネー誌の編集者を経て価格.comマネー編集部。“世界3大投資家のひとり”を含む投資家、専門家、経営者、副業実践者などへの取材経験豊富。名字の読みは「の」。ルーツは北陸(らしいです)。
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