ノートパソコンが欲しい、できるだけ安く……。
今、私が家で使っているノートパソコンはもう10年選手なのですが、バッテリーが全然保たなくなってきたり、強制終了が増えてきたりと限界を迎えているので、新しく買い替えたいなと思っていました。ただ、私がノートパソコンでやることといえば、家計簿を作ったり、写真を整理したりといったちょっとした作業と、動画を見るくらい。そのために10万円前後の製品を買うのはきついのが正直なところです。
なので今回、価格.comでいちばん安いノートパソコンを探し、実際に使ってみました。
タブレットPCを除いて、最安値のノートパソコンはPASOUL 「NC14J Celeron N4000」(2024年11月12日時点)。そのお値段なんと28,800円(税込)! 3万円以下という驚きの価格です。東海道新幹線の新大阪⇔東京間を往復する値段でノートパソコンが買える! 6万円台なら安いと言われるノートパソコンでこの価格は、もはや異次元です。
速攻で飛びつきたいところですが、あまりにも安いので逆に不安になってきました……。ちゃんと使えるのでしょうか? 私はパソコンに詳しくないため、スペックを見てもよくわかりません。そこで今回、価格.comスタッフという立場をフル活用! この激安ノートパソコンをお借りして試しに使ってみつつ、パソコンに詳しい価格.comマガジン編集部員にスペックについて聞いてみました。
<特徴1>とにかく安い!
<特徴2>スペックは高くないものの、軽い作業をする程度なら問題なし
<特徴3>ディスプレイはきれいでインターフェイスも充実
<使用感>動画を見ながら複数のアプリを使用するとカクつくことも
<使用感>キーボードやタッチパッドは価格相応
<まとめ>とにかく安くノートパソコンが欲しいライトユーザー向け
メーカーはPASOUL。今回のノートパソコンを調べた際に初めて知ったのですが、PASOULは低価格帯のパソコンを多数取り扱っているパソコンショップです。今回レビューする「NC14J Celeron N4000」は、その中でも最も安価なモデル。
まずは、今回実際に使ってみた結果の総評からお伝えします。
■PASOUL 「NC14J Celeron N4000」 筆者による評価チャート
価格.com「ノートパソコン」でのユーザーレビューと同じ評価項目で点数を付けたレーダーチャート
評価チャートについて
・実際に製品を使用して、価格.com「ノートパソコン」カテゴリーのユーザーレビューと同じ評価項目で点数を付けました。
評価項目:満足度、デザイン、処理速度、グラフィック性能、拡張性、使いやすさ、持ち運びやすさ、バッテリー、画面、コストパフォーマンス
点数:5点満点(標準点は3点)
・製品カテゴリーや価格を考慮して評価しています。ノートパソコンとしての絶対的な評価ではありません。
・本記事を執筆した筆者による個人的な評価です。評価は個人によって変わりますので、あくまでも参考程度にとどめてください。
使ってみた結論として、PASOUL 「NC14J Celeron N4000」は、ライトユーザーの普段使いに向いているノートパソコンです。単一の軽い作業であれば問題なくこなせるので、用途としては、事務作業、動画視聴などが適しているでしょう。
上記の評価チャートでは、低価格な製品であることを考慮して点数を付けています。3万円以下という圧倒的なコストパフォーマンスはもちろんのこと、USB Type-Cポートや、シャッタードア付きのWebカメラなどを搭載していることから、使いやすさも高く評価しました。
詳細な特徴は、次項以降のレビューをぜひご確認ください。
「NC14J Celeron N4000」の基本スペック
CPU:第9世代 Celeron N4000 1.1GHz(最大2.6GHz)2コア2スレッド
メモリー:8GB
ストレージ:256GB SSD
このスペックについて、価格.comマガジン編集部でPC・スマホを担当している水川に解説してもらいました。
CPUは世代が古く処理性能も低いと言わざるを得ません。Webブラウザーでネットサーフィン、YouTubeで動画視聴、Officeソフトで資料作成などはこなせるでしょう。ただし、複数のアプリを同時に起動すると、動作が重たくなりそうです。また、リッチなWebページを表示したり、アプリを起動したり、画像や動画が入ったExcelやPowePointを閲覧したりなどは、動作が重たくなる可能性があります。サクサクというよりは、もっさりとした動作になりそうですね。
処理性能は低いとのことですが、3万円以下という激安価格ならスペックが高くないのは当然のことと言えます。次項から、実際に使ってみたらどうなのか、どういった用途に適していそうなのかをレビューしていきます。
まずは外観から。サイズは14インチ、重量は1.4kg。日常的に持ち運ぶには少し重く感じますが、個人的には据え置きで使うので気になりません。
少し重いですが、家の中で持ち運ぶ分には問題なし
色は暗めのグレーで、天板にはストライプ状の表面加工が施されています。質感に高級感はないものの、価格を考慮すれば致し方ないというか、当然のことだと思います。天板にロゴもなくシンプルで、個人的には好印象です。
シンプルなデザイン
ディスプレイはフルHD(1920×1080)で、映り込みを抑えたノングレア仕様。いろいろな動画を再生してみましたが、とてもきれいに感じました。彩度はやや低めかもしれません。
YouTubeなどで動画を見るのには十分だと思います
外部インターフェイスは下記のとおり。USB Type-C端子は、充電だけでなく映像出力も可能なのがうれしいところです。
左側面:USB 3.0 Type-A×1、USB 2.0 Type-A×1、HDMI×1、USB Type-C×1
右側面:ヘッドホン/マイクコンボ
右側面の右端(写真下)は、セキュリティスロット(盗難防止用に、ワイヤーなどを取り付けるための穴)です
付属の充電ケーブルはこちらですが、USB Type-Cでの充電も可能なのはうれしい!
Webカメラは、物理的にカメラをさえぎるシャッター付き
それでは実際に、普段使いのノートパソコンとして日常で使ってみました。スペックがいいとは言えない本機ですが、実際のところはどうでしょうか?
まず、電源を入れてからの起動や、各種アプリの立ち上がりは特別遅いとは感じませんでした。また、家計簿を付けながらWebブラウジングをするなど、複数のアプリを同時に起動させてみたところ、普段仕事で使っているノートパソコンよりは全体的に動きが少しもっさりしているものの、個人的には気になるほどの動作の重さではありませんでした。しかし、動画を再生しながら複数のアプリを使用してみると、動画がカクついたり、入力でもたついたりすることがありました。
Microsoft Officeは入っていませんが、互換性のあるKingsoft Officeがインストールされています
続いてバッテリーの性能を検証してみましょう。カタログスペックでは最大4〜5時間とのことですが、実際はどうなのかを確認すべく、約2時間のアニメ映画(Amazonプライム・ビデオ、最高画質)を2本続けてストリーミング再生し、満充電の状態からのバッテリー残量をチェックしてみました。
Windows 11の電源プラン:バランス(初期設定)
ディスプレイの明るさ:100%(最大輝度)
表示モード:全画面表示
音量:50%
Wi-Fi/Bluetooth:オン
結果は、1本目の再生が終わった時点でのバッテリー残量が53%で、2本目が終わった時点では7%。2本目の途中で、「バッテリー残量が少なくなっています」の表示が出ました。しかし、バッテリーの性能でパソコンの強さが決まるわけじゃない!(※検証で視聴した映画の内容に影響を受けています)
私は据え置きで使うので、そもそもバッテリー性能はそれほど気にしませんが、家の中でちょっと移動して使う分には十分ではないでしょうか。
キーボードは、表面が少しざらざらとしていて、指が滑らないのが使いやすいと感じました。入力も問題なく、高速でタイピングしても正確に入力できました。ただ、キーボードを打ったときの感触がややふわふわとしていて、ばねのような音が鳴り、少しチープな作り。気になる人がいるかもしれません。
バックライトはなし
タッチパッドは広くて使いやすいですが、押すと結構大きな音でカチカチと鳴ります。また、指の滑りがやや悪いと感じました。個人的にはマウスを併用したいです。
指を滑らせると少し抵抗を感じます
最後に、参考までにベンチマークの結果を掲載します。
「PCMark 10 Professional Edition」のスコア
トータル:1334
Essentials:3061
Productivity:2697
Digital Content Creation:781
「PCMark 10 Professional Edition」の結果
この結果からわかることは、軽い作業なら問題はなさそう、ということです。「一般的な日々の使用(Webブラウジングなど)」を示す「Essentials」の項目は、4100以上のスコアで快適と言われていますが、本機は3061。スコア上はやや足りませんが、実際のところ、動画を見るだけ、文書を作るだけ、Webブラウジングをするだけ、といった単一の作業でストレスはありませんでした。
複数のアプリを同時に使用すると動きがもっさりするのは否めませんが、プライベートでの軽い作業において、はたしてそこまでの速度は必要なのでしょうか? 写真が開くまでの間にポテチを1枚口に運ぶとか、ダウンロードを待つ間にお茶を飲むとか、そういった余裕が得られる私用向きのノートパソコンだと思います。重い処理はできないとわかったうえで、とにかく安いのがいい! という方や、パソコンで本格的な作業はしないというライトユーザーには選択肢に入ると思います。