レビュー
3キャリアからそろって登場したソニーの主力スマートフォンは買いか?

強化されたカメラとバッテリーの実力を検証!「Xperia XZs」レビュー

ソニーモバイルのAndroidスマートフォン「Xperia XZs」が、2017年5月26日に発売された。人気シリーズ「Xperia」の最新モデルで、NTTドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアから発売されるということもあり、買い替えを検討している人も多いだろう。ここでは、NTTドコモ版の「SO-03J」を使って、カメラおよびバッテリーの実力を検証した。

2017年夏のキャリア製スマートフォンとして最速のタイミングで登場したXperia XZs。5.2インチフルHD液晶を搭載した扱いやすい1台だ

2016年冬の人気モデル「Xperia XZ」をベースにした改良版

Xperia XZsは、1080×1920のフルHD表示に対応した約5.2インチ液晶ディスプレイを搭載するAndroidスマートフォン。ボディサイズは、約72(幅)×146(高さ)×8.1(厚さ)mmで、重量は約161gと、昨年11月に発売された前モデル「Xperia XZ」から変わっていない。デザインも大筋で共通しており、背面のアルミ素材には、質感にすぐれた神戸製鋼製の「ALKALEIDO(アルカレイド)」が継続して使われている。ただし、表面処理をサンドブラスト加工に変更したほか、一部のカラーを入れ替えつつ、同系統色でも色調を変えて変化を持たせている。

カラーバリエーションは、3キャリアともに共通で、ブラック、ウォームシルバー、アイスブルー、シトラスの4色。今回の検証にはNTTドコモ版の「SO-03J」のアイスブルーモデルを使った。ボディはIPX5/8等級の防水と、IP6X等級の防塵仕様をクリアしている

左右の側面を丸めた、ループ形状のフォルムもXperia XZからそのまま受け継がれた。薄くもなく厚すぎもせず、持ちやすい

キャップレスのUSB Type-Cポートは、USB 2.0と急速充電の規格「QuickCharge 3.0」に対応する

キャップレスのUSB Type-Cポートは、USB 2.0と急速充電の規格「QuickCharge 3.0」に対応する

側面に、指紋認証センサーと一体の電源ボタンやボリュームボタン、カメラボタンを配置。Xperiaシリーズのデザイン上のアイコンもそのまま継承されている

約5.2インチの液晶ディスプレイ「トリルミナスディスプレイ for Mobile」は広色域が特徴。こちらも前モデルXperia XZから仕様は変わっていない

基本スペックもあまり変更がない。クアッドコアのハイエンドCPU「Snapdragon 820 MSM8996(2.2GHz×2+1.6GHz×2)」に、4GBのRAMと32GBのストレージ、256GBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせる。OSはAndroid 7.1.1だ。RAMの容量が3GBから4GBに増設された点が大きな変更点と言える。なお、OSが、Android 6.0から7.1.1へバージョンアップされているが、Xperia XZは3キャリア版ともにAndroid 7.0へバージョンアップができるのであまり大きな差はない。

付加機能もXperia XZと変わらない。FeliCaポートおよびNFCポート、フルセグとワンセグの各テレビチューナーを搭載するほか、ハイレゾ音源の再生に対応。さらに、サウンド機能として、接続したイヤホンの音響特性に応じて、音質を自動で調節する「自動最適化」機能や、ソニーの「MDR-NC750」や「MDR-NW750N」といったイヤホン・ヘッドホンと組み合わせることで利用できるハイレゾ対応「デジタルノイズキャンセリング」機能、圧縮音源をハイレゾ相当にアップスケーリングする「DSEE HX」も、前モデルから継承されている。ただし、最近は、専用のDACを備え、オーディオ専用機に迫る高音質のスマートフォンが数多く登場しており、本機を含むXperiaシリーズのサウンド機能は、以前ほどの優位性がなくなっているのも事実だ。

音質を自動で最適化する「自動最適化」機能。手持ちのイヤホン・ヘッドホンをいくつか試したが、比較的安価なもののほうが効果を感じ取りやすかった

Xperia XZから1GB増量されたメモリーが処理性能や体感速度にどれくらい影響を与えるのか気になるところだ。そこで、定番のベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク」を使ってXperia XZsとXperia XZのスコアを比べてみた。

Xperia XZs(左)の総合スコアは138,606で、Xperia XZ(右)の総合スコアは127,487。両機には11,000程度のスコア差が出た

総合スコアは、Xperia XZsが138,606、Xperia XZは127,487で、その差は約11,000だ。サブスコアを見ると、描画の“3D”と、体感速度に関係する“UX”のスコアで、Xperia XZsのほうがそれぞれ伸びており、RAMの増量が、描画や応答性などに影響を与えていることが読み取れる。いっぽう、CPUとRAMのスコアには大きな差がない。体感速度についても両機の間に明白な違いは感じ取れない。

近ごろのXperiaシリーズではおなじみの、RAMとストレージを最適化する「スマートクリーナー」を本機も搭載。4GBの大容量RAMと組み合わせて使えば、RAMの空き容量不足に悩まされずに快適に使い続けられるだろう

メインカメラを一新、先読み撮影やハイスピードカメラ機能を新搭載

Xperia シリーズの魅力のひとつに、すぐれたカメラ機能があるが、Xperia XZsがXperia XZともっとも異なっているこの点だ。この、新しいイメージセンサー「Exmor RS for mobile」は、キャッシュメモリーが一体化されたことで、撮影したデータを従来の5倍という高速で読み出せる。この高速性能を生かし、静止画撮影時の先読み撮影機能と、動画撮影時の960FPSでハイスピードカメラ(スーパースロー動画)機能を備えている。また、高速で動く被写体を撮影した際に生じやすいゆがみも抑えられているという。レンズも新開発となるF2.0のGレンズに一新された。なお、サブカメラは画素数約1,320万画素でXperia XZから変更はないものの、十分ハイスペックなので、自撮りの機会が多い人でも満足できるだろう。

メインカメラのイメージセンサーとレンズを一新。これに伴いレンズ部分が少しだけボディから出っ張る形になった

マニュアル撮影モードでは、ホワイトバランス、露出、シャッタースピード、ピントを調節できる

マニュアル撮影モードでは、ホワイトバランス、露出、シャッタースピード、ピントを調節できる

メインカメラに使われるレンズは、35mm換算で焦点距離25mmの広角レンズ。広角レンズは、名所などの風景全体を構図に収めたい場合などに効果的だ

明暗差が大きく、色かぶりが起こりやすいような構図でも、肉眼の印象に近い仕上がりだ

明暗差が大きく、色かぶりが起こりやすいような構図でも、肉眼の印象に近い仕上がりだ

サブカメラの仕様は変わっていないが、今でも一般的な機種のメインカメラに匹敵する性能がある

サブカメラの仕様は変わっていないが、今でも一般的な機種のメインカメラに匹敵する性能がある

先読み撮影は、機能オンの状態で出荷されており、動きのあるシーンをカメラが感知したときに自動で動作。先読みした画像データ3コマと、シャッターを押した瞬間の1コマの、合計4コマの中からカメラが最適だと判断したものを自動で選び出す。スマートフォンのカメラは、デジカメ専用機と比べるとシャッターの応答速度が遅いので、狙った瞬間を撮影するのが難しいが、この先読み撮影機能を使えば、決定的瞬間を逃してしまうようなケースも減りそうだ。

シャッターを押す前に、3コマ分を先読みして撮影を行い。最適な写真を選び出す「先読み機能」。動きのある被写体の撮影で特に威力を発揮する

いっぽうの、ハイスピードカメラは、動画撮影中に、任意のタイミングで通常の32倍の速さとなる960FPSで約0.2秒間撮影し、30FPSに引き伸ばされた約6秒のスーパースロー動画として再生するというもの。間隔をおけば動画撮影中にハイスピード撮影を繰り返せるのがポイントだ。また、撮り始めから約0.2秒のスーパースロー撮影を行うワンショット撮影や、120FPSで撮影し、記録後に任意のシーンをスローモーションにする機能も備えている。

なお、ハイスピードカメラは、1.カメラの起動→2.動画撮影モードへ切り替え→3.スーパースローモードへ切り替え→4.動画撮影を開始→5.スーパースロー動画にしたい瞬間にボタンを押す、という合計5ステップが必要で、文章にすると少々煩雑な印象を受ける。だが、切り替えの際に、設定画面やメニューなど下の階層に降りる必要はなく、操作は最初の撮影画面を順番にタッチするだけでよい。これなら子どもでもすぐに操作できるだろう。

ハイスピードカメラは、蛇口からあふれる水や動物の動きなど、日常に潜む瞬間に新鮮な発見があって楽しい。また、スポーツのフォームを研究する場合にも活用できそうだ。ハイスピードカメラにすると、画面解像度が1280×720のHD表示になり、ズームとピントが固定になる。このため、接写は難しく、少し離れた被写体の撮影に適している。なお、microSDメモリーカードを使う場合、SDスピードクラスやUHSスピードクラスの制約はない。特別に高速なものをそろえなくてよいのは助かる。

「いたわり充電」がさらに強化。バッテリーの劣化を防ぐ工夫も

スマートフォンで今も問題になっているのがバッテリーの劣化だ。近ごろのスマートフォンは、ユーザーで着脱が行えない内蔵式のバッテリーが主流なので、バッテリー交換を行うためには、工場に送る必要がある。その際に、データがリセットされた初期状態で戻ってくることが多く、データの復元がめんどうだ。

この問題を根本から解決するのは難しいが、バッテリーの劣化を抑えることで、交換頻度を減らすことはできる。バッテリーの劣化の原因として知られるのは高温と、過充電および過放電である。Xperiaシリーズは以前から、ソニー独自の「いたわり充電」と、米国Qnovo社の充電最適化技術を組み合わせて、バッテリー劣化の原因を抑えてきた。Xperia XZsでは、「いたわり充電」が強化されており、ユーザーの生活サイクルを感知して、フル充電になる時間を自動で調節する従来からの機能に加えて、バッテリーのなくなる予想時間を通知メニューに表示させたり、アラームと連動した充電機能を搭載した。これにより、充電のタイミングをユーザーで制御しつつ、バッテリーにやさしい充電が行えるようになった。

アラームと連動するなどさらに賢くなった「いたわり充電」機能を搭載している

アラームと連動するなどさらに賢くなった「いたわり充電」機能を搭載している

バッテリー駆動時間は、NTTドコモ版「SO-03J」とau版「SOV35」は、“電池持ち時間”を公表しているが、いずれも約95時間で、この数値もXperia XZと変わっていない。約6日の検証期間中で充電は4回行ったので、1.5日は、充電なしでも使えるという印象だが、以前レビューを行ったXperia XZと有意な差は感じられず、スペック値通りという印象だ。ただ、5V/3Aの急速充電を使った場合でも、CPUの発熱は35℃付近でとどまっており、充電時の発熱はかなり抑えられていることが確認できた。

気になったのは充電にかかる時間の長さだ。急速充電規格「QuickCharge 3.0」に対応したNTTドコモのACアダプター「ACアダプタ 06」を使った場合でも約160分かかり、この夏モデルの有力対抗馬であるサムスンの「Galaxy S8」や「Galaxy S8+」の約110分と比べると時間がかかる。おそらく、上記の充電最適化技術が影響しているのだろうが、とにかく短時間で充電したい場合は、設定画面からいたわり充電を切る必要もあるだろう。

新型カメラは魅力的。新規性は薄いが、安定したバランスのよいモデル

Xperia XZsの基本スペックや処理性能は、XperiaXZと大きく変わらないので、新規性は薄い。だが、適度なサイズと網羅されている付加機能などにより安定感は高い。新しいカメラも魅力もあるので、2年縛りの終わったユーザーの買い替えには適当だろう。
処理性能や表示性能、通信性能などこれよりも上の性能が欲しいなら、上位モデルで4Kディスプレイの「Xperia XZ Premium」や、「Galaxy S8」シリーズ、「AQUOS R」などの選択肢もある。だが、本機の価格と機能のバランスは無視できないといえるだろう。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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