レビュー
FeliCaポートや防水・防塵ボディを備えたSIMフリースマホ

7.5万円の価格も納得の完成度、「HTC U11 SIMフリーモデル」レビュー

auおよびソフトバンクから発売中のスマートフォン「HTC U11」(HTC製。以下、U11)のSIMフリーモデルが、HTCの直販サイト「htc e-Shop」で3月上旬より発売されている。SIMフリースマホとしては異色な高性能・高機能機だが、先行して発売されたキャリアモデルとの違いや、バッテリー持ち、カメラ性能などを中心に検証してみた。

キャリアモデルにはない「ソーラーレッド」のカラーをまとったSIMフリー版「U11」。SIMフリー機としては珍しい多機能・高性能が特徴だ

キャリア版のレビュー記事
iPhone超えでスマホ史上最高のカメラを搭載した「HTC U11」徹底レビュー

現行最強クラスのSoCと豊富な機能を備えた、高性能SIMフリーモデル

「U11」は、2017年夏モデルとして、auおよびソフトバンクから発売された。1440×2560のWQHD表示に対応する約5.5インチの液晶ディスプレイに、最新のハイエンドSoC「Snapdragon 835」を搭載。IP6/7等級の防水とIP6X等級の防塵仕様をクリアしたボディに、FeliCaポート搭載という、高性能・高機能モデルだ。au版「HTV33」が価格.comのユーザーレビューで4.72、ソフトバンク版も4.42という高い評価を獲得している(2018年4月5日時点)。

そんな、U11のSIMフリーモデルだが、HTCの直販サイト「htc e-Shop」で3月上旬より取り扱いが始まっている。カラーは、キャリア版では用意のないソーラーレッドのみ。かつての「HTC J butterfly」シリーズをほうふとさせるカラーは、むしろHTCのイメージに近いものと言える。

曲面ガラスを使ったボディは見た目が美しいだけでなく、感触にもすぐれる。ただ、指紋汚れが非常に目立つのが欠点。その対策として、透明のプラスチック製のカバーや布が同梱されている

背面を覆うガラス層は薄く着色されており、斜めから見るとうっすらと金色に見える

背面を覆うガラス層は薄く着色されており、斜めから見るとうっすらと金色に見える

ボディカラー以外のキャリアモデルとの違いは、対応するLTEのバンドだ。キャリアモデルは当然、通信キャリア各社の運用している周波数帯をカバーするようにカスタマイズされている。しかし、SIMフリー版は、NTTドコモのプラチナバンドB19 に加えてB21に対応しており、NTTドコモのSIMカードおよび同社のネットワークを使った格安SIMカードとの相性にすぐれる。また、B12、B13、B17など北米地区、台湾、中国本土などの通信キャリアが運用中の周波数帯にも幅広く対応しているので、国外での利用にも適している。なお、SIMカードスロットはnanoSIMカードスロット1基のみで、当然DSDS(デュアルSIM デュアルスタンバイ)には非対応になる。

nanoSIMカードスロットを1基搭載。当然DSDSは利用できない

nanoSIMカードスロットを1基搭載。当然DSDSは利用できない

Android 8.0へのバージョンアップで、Bluetooth 5.0に対応した

基本性能の高さは、本機の大きな魅力だ。搭載されるSoC(CPUやGPU、モデムなど主要な機能をパッケージ化した半導体チップ)は、Qualcommの「Snapdragon 835」で、4GBのRAMと64GBのストレージを組み合わせる。また、200GBまで対応するmicroSDXCメモリーカードも装備。なお、キャリアモデルではAndroid 7.1がプリインストールされているが、本機はAndroid 8.0へバージョンアップされた状態で出荷されている。このバージョンアップに伴い、Bluetooth は5.0に対応した。

定番のベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク(バージョン7.x)」を使って、実際の処理速度を計測してみた。総合スコアは189,825(内訳、CPU:67,656、GPU:65,513、UX
:41,361、MEM:15295)となっている。この総合スコアはAnTuTuベンチマークの集計によると上位17%以内であり、Snapdragon 835搭載機としては順当な結果だ。また、同SoCはGPU性能の高さも魅力。ためしに、3D描画を駆使するゲーム「アイドルマスター ミリオンライブ シアターデイズ(ミリシタ)」を、最高画質でプレイし続けたが、描画のコマ落ち、楽曲の再生テンポの微妙なズレなどはまったく現れない。ミリシタがしっかり動くということは、今遊べるゲームの大部分は問題なく動作するだろうし、今後登場するゲームについても、余裕を持ってプレイできるだろう。

サブスコアの数値はバランスよく高いが、特にハイエンドCPU搭載機の特徴である描画性能の「GPU」のスコアが高い。またメモリーやストレージの読み書きを示す「MEM」は上位1%以内という非常に高いスコアだった

「ミリシタ」を最高画質でプレイしても処理落ちはまったく起こらない。リズムのズレがないので快適に遊ぶことができた

「U11」は機能性も高い。上記のBluetooth 5.0に加えて、FeliCaポート、NFCポート、USB Type-Cポート(QuickCharge 3.0およびUSB3.1 Gen1)に対応しており、接続インターフェイスまわりはかなり高機能だ。なお、フルセグおよびワンセグのテレビチューナーは非搭載となる。FeliCaポートを搭載するSIMフリーAndroidスマートフォンはなかなか増えず、シャープと富士通、京セラ、富士通から発売されている一連のSIMフリー機や特定MVNO専売モデル、トリニティ「NuAns NEO Reloaded」くらいしか見当たらない。この点でも本機は非常に貴重な存在である。

ソフトウェア面では、当然だが、通信キャリアに由来するアプリは一切インストールされていない。また、HTCは従来から、機能の重複するアプリを極力インストールしないという方針があり、メールアプリや画像閲覧のような基本アプリはAndroid純正のものを使用するなどかなりシンプルだ。そのいっぽうで、ホーム画面のカスタマイズ機能はかなり強力。世界中のユーザーが作ったデザインテーマをダウンロードできる機能のほか、アプリアイコンやウィジェットなどグリッドを気にせず自由に配置できる。人と違った画面デザインにこだわるのなら、本機はその最右翼と言えるだろう。

ホーム画面のデザインテーマを自由にダウンロードでき、手軽に多面のカスタマイズが楽しめる

ホーム画面のデザインテーマを自由にダウンロードでき、手軽に多面のカスタマイズが楽しめる

グリッドを気にせずに、アイコンやウィジェットを自由にホーム画面に配置できる

グリッドを気にせずに、アイコンやウィジェットを自由にホーム画面に配置できる

なお、HTC独自のAI機能「HTC Sense Companion」はキャリアモデルと同様に搭載されている。このAIは、Amazon「Alexa」や、Google「Google アシスタント」のような音声対話型AIではなく、あらかじめ登録した情報やユーザーのスマートフォンの利用パターンを学習して、情報をカードで提案するというものだ。バッテリー消費を抑えたり、使っていないアプリをリストアップするといった、スマートフォンの最適化機能を備えている点がユニークだ。

Snapdragon 835搭載機としてはバッテリー持ちはイマイチ

本機は、3,000mAhの内蔵式バッテリーを備える。今回の検証は7日間行ったが、その間に充電は9回行った。筆者はスマートフォンの検証のために3桁ショット以上の撮影や、1時間程度継続してゲームを行うなど比較的酷使するのだが、このペースだと大体18時間程度で残量が10%を下回った。最も短いペースでは12時間で、フル充電状態から残量15%まで消費したこともあった。「Xperia XZ Premium」、「Galaxy S8」、「AQUOS R」などSnapdragon 835搭載機をひと通り触ってきた筆者の経験では、もう少しバッテリーが持ちそうに思えたが、本機のバッテリー消費の激しさはいささか意外だった。筆者の利用ペースなら1日フルに持ち歩いて使う場合、5,000mAh程度のモバイルバッテリーが欲しくなる。なお、本機には、省電力モードとEX省電力モードという2段階の省電力モードがある。特に、EX省電力モードは、機能制限は多いものの、緊急用としては心強い。

充電性能だが、QuickCharge 3.0対応充電器を使用した場合にかかる時間は約100分となっており、3,000mAhのバッテリー容量としては充電時間が短いほうだ。今回の検証ではQuickCharge 3.0対応充電器のほか、それより性能の劣る5V/3AのUSB Type-C充電器も使用したが、その場合でもフル充電までに2時間はかからなかった。バッテリー消費の速さは充電時間の短さで補う。そんな運用になりそうだ。

Snadragon 835搭載機としてはバッテリーの持続性はいまひとつ。バッテリー切れを考慮して外出の際にフル充電しておいたため、充電の頻度がさらに増えた。

USB Type-Cポートは、QuickCharge 3.0に対応。近ごろ急増しているUSB PDには対応していない

USB Type-Cポートは、QuickCharge 3.0に対応。近ごろ急増しているUSB PDには対応していない

握って起動させるカメラ機能はフットワークにすぐれる

カメラ機能もキャリアモデルから変更はない。メインカメラは約1,200万画素の「UltraPixel3」、フロントカメラは約1,600万画素のイメージセンサーをそれぞれ使用している。特にフロントカメラは、カメラ評価機関「DxOMark」のモバイル端末部門から、90点という高い評価を得たことで話題になったものだ。

なお、カメラ機能とは直接関係はないが、U11には側面を強めに握ることで、特定の機能を呼び出す「エッジ・センス」が備わっており、これをカメラの起動と紐付けることで、ワンアクションで撮影が行える。これはなかなか便利だった。

メインカメラはシングルレンズ。F1.7の明るい大口径レンズや多軸制御光学手ぶれ補正機能を備えるなど高性能

メインカメラはシングルレンズ。F1.7の明るい大口径レンズや多軸制御光学手ぶれ補正機能を備えるなど高性能

フロントカメラは、約1,600万画素とメインカメラより高精細だが、レンズの口径が小さく、手ブレ補正機能がないなど、メインカメラよりも高性能というわけではない

以下に、メインカメラを使った作例をいくつか紹介する。

中央の桜にピントを合わせて、どれだけ背景をぼかせるのか試した。F1.7の明るい大口径レンズで、スマホのカメラとしてはかなりボケの量が大きい

あえて逆光でブロンズ像を撮影。逆光を補正するHDRブースト機能が自動で動作し、手前の木の幹やブロンズ像が陰にならずに撮影できている

陰影差の大きな構図だが、軒に並ぶ垂木も陰に埋もれることなく写っている。概して、肉眼に近い印象で撮影が行える

ガーベラやチューリップなど色とりどりの花を撮影。こちらも肉眼に近い色の再現性だ

ガーベラやチューリップなど色とりどりの花を撮影。こちらも肉眼に近い色の再現性だ

LED照明の店内でから揚げを接写ぎみで撮影。おいしそうに見える色再現性もさることながら、ピントの合った部分の衣の質感も良好。SNSにアップしたらよい「飯テロ」写真になりそうだ

再開発された東京駅丸の内側の夜景を撮影。手持ちだがシャッター速度も十分なので手ブレはない。走っている自動車にも致命的な被写体ぶれが見られない

夜の花壇を接写してみた。光が直接射し込まない、かなり薄暗い構図だが、フラッシュなしの手持ち撮影にもかかわらず鮮明で手ブレも少なく、軽い驚きを覚えた

完成度の高さを考えれば、税込み74,520円は高くない

本機の価格は税込みで74,520円と、SIMフリースマホとしては高額な部類だ。この価格帯にあるライバル機としては、同じCPUを採用するASUS「ZenFone 4 Pro」や、ファーウェイのフラッグシップ「Mate 10 Pro」があげられる。いずれも6GBのRAMや128GBのストレージを備える点で本機よりも優位性はあるが、FeliCaポートは搭載されていない。また、Mate 10 ProはmicroSDメモリーカードスロットがない点も気がかりだ。これらと比較しても、本機の性能はさほど見劣りしない。

7万円台半ばという価格は絶対的には高いものの、用途を選ばない基本性能の高さや、FeliCaおよび、防水・防塵ボディといった付加価値を考えると決して割高ではない。通信キャリアのハイエンドモデルと同等の機能と性能を備えたSIMフリースマートフォンというのは、実はそれほど選択肢は多くなく、そうした意味でも本機は代替のない貴重な存在といえるだろう。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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