レビュー
軽量ボディと高い処理性能が魅力

シャープ初の有機EL搭載スマホ、「AQUOS zero」レビュー

ソフトバンクから2018年12月21日に発売された、Androidスマートフォン「AQUOS zero」(シャープ製)は、シャープ初の有機ELディスプレイ搭載スマホとして注目を集めている。だが、本機の特徴はそれにとどまらず、AQUOSシリーズのイメージを書き換えるような尖ったものだった。その特徴をお伝えしよう。

画面サイズ(解像度):約6.2インチ(1440×2992、有機ELディスプレイ)
サイズ(幅×高さ×厚さ):約73×154×8.8mm
重量:約146g
防水/防塵:○(IPX5/8)/○(IP6X)
CPU:Snapdragon 845(2.8GHz×4+1.77GHz×4)
RAM容量:6GB
ストレージ容量:128GB
増設用メモリーカードスロット:非搭載
OS:Android 9.0
SIMカードスロット:nanoSIM×1
LTE対応バンド:非公開
Wi-Fi:IEEE802.11a/b/g/n/ac(2.4GHz帯/5GHz帯)
NFC:搭載
FeliCa:搭載
フルセグ/ワンセグチューナー:非搭載/非搭載
指紋認証センサー:搭載
メインカメラ:約2,260万画素
フロントカメラ:約800万画素
バッテリー容量:3,130mAh
USB:USB Type-C(USB PD対応)

有機ELディスプレイ&複合素材採用でわずか146gの軽量ボディを実現

「AQUOS zero」は、1440×2992のWQHD+表示に対応する約6.2インチの有機ELディスプレイを備えたハイエンドスマートフォンだ。ボディサイズは、約73(幅)×154(高さ)×8.8(厚さ)mmの大型だが、重量はわずか146g。6インチ以上のディスプレイを備えたスマートフォンはおおむね180g、なかには200g以上のものすらあるので、この軽さは驚異的である。なお、ソフトバンクおよびシャープでは「6インチ以上のディスプレイと3,000mAh 以上のバッテリーを備えたスマートフォンとしては世界最軽量」とうたっている。

この軽さを実現した理由はいくつかあるが、有機ELディスプレイを搭載したことも、大きく寄与している。有機ELディスプレイはバックライトが不要で液晶と比べて構造がシンプル、つまり部品点数が少なく済むため、ボディを軽くできる。2つ目の理由はボディ素材だ。最近のスマートフォンでは、比重の大きなガラスが多用される傾向にあるが、本機は、アラミド繊維を使った軽くて丈夫な複合素材を用い、側面を取り囲むフレームも軽量のマグネシウム合金にするなど、軽い素材を使うことで徹底的な軽量化を実現している。3つ目の理由として、メインカメラがシングルカメラで、テレビチューナーが非搭載など、機能を思い切り絞り込んだこともこの軽さ実現に影響している。

手元のデジタルスケールで計測した重量は145gだった。6インチ以上の画面を持つスマートフォンとしては驚異的に軽い

背面は、アラミド繊維の折り目が特徴的。カーボン繊維と異なり電波を透過させやすい性質もある

背面は、アラミド繊維の折り目が特徴的。カーボン繊維と異なり電波を透過させやすい性質もある

驚異的な軽さに加えて、背面とディスプレイの両方がラウンドしているうえに、側面を取り囲むフレーム部分に凹みが設けられているので、ボディは滑りにくく持ちやすい。6インチクラスの画面を持つスマートフォンとしてはちょっと珍しいくらいの携帯性のよさだ。なお、このボディは、IPX5/8等級の防水仕様とIP6X等級の防塵仕様もクリアしている。

ディスプレイ全体が大きな弧を描いた曲面ディスプレイとなっている。またフレーム部分に凹みがあり引っかかりがあるデザインだ

軽さに加えて、形状的な工夫もあり、6インチクラスの画面を持つ大型スマートフォンとしては、非常に持ちやすい

「AQUOS R2」と同じSoCだが、メモリーや熱処理を強化することで処理性能が向上

基本スペックを見てみよう。SoCは、「AQUOS R2」と同じ、クアルコムの最新ハイエンド向け「Snapdragon 845」だ。RAMは6GB、ストレージは128GBという組み合わせで、現状のハイエンドスマホの中でもトップクラス。なお、microSDメモリーカードスロットは搭載されていない。OSは、最新のAndroid 9.0 Pie。「AQUOS R2」と比較するとRAMが2GB、ストレージが64GBそれぞれ本機のほうが多い。

実際の処理性能を、定番のベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク」を使って計測したところ、総合スコアは277,873(内訳、CPU:83,860、GPU:123,574、UX:62,516、MEM:8,823)となった。同じSoCを「AQUOS R2」の総合スコア259,644(CPU:87,253、GPU:106,271、UX:57,321、MEM:8799)よりも2万点ほど伸びている。サブスコアを見ると、グラフィック性能を示す「GPU」のスコアの伸びが大きい。これは、放熱の効率化によって、熱による動作制限の発生を抑えたことが影響していることも一因だ。

AnTuTuベンチマークのスコア。左が本機、右がAQUOS R2のもの。同じSoCを採用するため傾向はよく似ているが、グラフィック性能を示すGPUのスコアで大きな差が現れた

実機の体感速度は、SNSやWebブラウザーなどの一般的なアプリではもちろんとても軽快。3Dグラフィックを駆使したゲームとして、試しにバンダイナムコの「アイドルマスターミリオンライブ シアターデイズ(ミリシタ)」を最高画質モードで1時間ほど続けてプレイし続けたが、目立ったコマ落ちも見られず、終始安定して動作していた。また、ステレオスピーカーを備えているため、サウンドも非常にクオリティが高い。

ミリシタを、途中オートモード、1人ライブ、13人ライブを含めて最高画質で1時間プレイし続けたが、コマ落ちは現れず、最後まで快適プレイできた

接続インターフェイスはUSB Type-Cで、USB PDによる急速充電に対応。また、おサイフケータイ用のFeliCaポートやNFCポートを搭載している。そのいっぽう、ワイヤレス充電機能やテレビチューナー、ヘッドホン端子などは非搭載。なお、生体認証機能として指紋認証センサーのほかに顔認証機能が搭載されている。

ヘッドホン端子が廃止されている代わりに、USB Type-C→ヘッドホン端子の変換アダプターが同梱されている。

ヘッドホン端子が廃止されている代わりに、USB Type-C→ヘッドホン端子の変換アダプターが同梱されている。

バッテリーの持続性だが、フル充電から19時間経過した時点のバッテリー残量は33%。途中ミリシタを1時間プレイし続けた割には良好だったとも言えるが、「AQUOS R2」同様に、「3日バッテリーが持つ」と言われていた過去のAQUOSシリーズのイメージとは異なり、高性能だが相応にバッテリーを消費する傾向にある。体感的には、1日はなんとか持つ、といった感じだ。

自然な色調ながら、よりメリハリのある映像を楽しめる有機ELディスプレイ

AQUOS zeroが採用する有機ELディスプレイだが、暗部の表現はさすがにすばらしく、液晶では感じられない臨場感が得られる。シャープの説明によれば、従来のAQUOSシリーズと同じく、誇張せず自然に感じられる絵作りというコンセプトは変わっていないというが、全般にメリハリのある画質で従来の液晶との違いは明らかだ。

なお、スマホ用の有機ELディスプレイでは実績が豊富なサムスンの「Galaxy S9」と最大輝度と発色を比較してみた。両機とも十分な輝度を確保しており、明るい場所での視認性も問題なさそうだ。なお、発色の傾向については、Galaxy S9が全般的にシアン気味なのに対して、本機はややマゼンタに寄っている。有機ELディスプレイが採用するサブピクセルのペンタイル配列が原因で起こる細かな文字のにじみについては、画面解像度が高いため気にならない。色かぶりは少し見られるが、有機ELとしてはクセは少ないほうだ。

ディスプレイ上部に備わるノッチ(切り欠き)部分は、比較的大きい

ディスプレイ上部に備わるノッチ(切り欠き)部分は、比較的大きい

「Galaxy S9」(写真上)と本機(写真下)を最大輝度で並べて比較した。どちらも大きな差はなく、いずれも十分に明るい。

カラーバーを表示し、発色の違いを比較した。赤や緑の発色の鮮やかさではGalaxy S9のほうに一日の長はあるようだ

夜景撮影ではシャッターラグが気になるメインカメラ

本機のメインカメラは、デュアルカメラ仕様のAQUOS R2とは異なり、約2,260万画素のシングルカメラというシンプルな構成だ。フロントカメラも約800万画素で、約1,630万画素のAQUOS R2の半分以下。カメラ機能については相当割り切っている。ただし、メインカメラはF1.9の明るいレンズを使用するほか、光学式手ぶれ補正機能も搭載しており、高感度撮影には期待が持てる。

最新のハイエンドスマホとしては珍しく、シングルカメラ仕様のメインカメラ

最新のハイエンドスマホとしては珍しく、シングルカメラ仕様のメインカメラ

以下に、メインカメラで撮影した作例を掲載する。なお、断り書きのない限り、いずれもカメラ任せのAIオートモードで撮影を行っている。

日陰に咲いた道端の花壇を撮影。花々の色は鮮やかだ。ただ、5枚ほど撮影したが、手ぶれしていたものが多かった

空に向かって伸びるオブジェを裏側から逆光気味で撮影。空の青さもきれいだが、陰部分もつぶれていない

空に向かって伸びるオブジェを裏側から逆光気味で撮影。空の青さもきれいだが、陰部分もつぶれていない

深夜のスケートリンクをフラッシュを使わずに撮影してみた。ISO感度は481とさほど高くないためノイズは少ない。ただ、シャッターラグが大きいので長めにしっかり固定する必要がある

本機のカメラで気になったのは、高感度撮影時にシャッターを押してから撮影されるまでに多少タイムラグが生じる点だ。そのため、シャッターを押してからもしばらくカメラを動かさずに保持しておくことが手ぶれを抑えるためには必要になる。日中の撮影でも手ぶれが皆無ではないなど、全般的にカメラ機能は弱めだ。カメラ機能にこだわるのであれば、本機よりもAQUOS R2のほうが適しているだろう。

エンタメ向けのAQUOS R2に対して、軽さと速さを追求した硬派なハイエンドモデル

シャープのスマートフォンのラインアップには、ハイエンドモデルとして2018年6月に発売された「AQUOS R2」が存在する。AQUOS R2は、動画専用のカメラを含めた独自のデュアルカメラを搭載するなど、エンタメ機能に特化しており、多くの人にマッチしやすい。これに対してAQUOS zeroは、思い切って機能を絞り込んだうえに、マグネシウム合金やアラミド繊維を使うことで徹底的に軽量化を追求しつつ、高い処理性能を備えた、「軽くて速い」もうひとつのハイエンドモデルである。思い切った機能省略はあるが、様々なアプリを多用し、とにかく携帯性とスピードにこだわると言うユーザーにとってはかなり魅力的な先進的スマホとして映ることだろう。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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