レビュー
最高性能のSoCを搭載しながら8万円台で購入可能

現時点で最安の5Gスマホ、ZTE「Axon 10 Pro 5G」レビュー

2020年3月27日に始まったソフトバンクの5Gサービス。それに合わせて発売されたZTEの5G対応スマートフォン「ZTE Axon 10 Pro 5G 902ZT」(以下、ZTE Axon 10 Pro 5G)は、全般に高価な5Gスマホにあって、81,164円という比較的安価な本体価格が魅力な製品だ。その実力を、5Gエリアにおける通信テストも合わせて検証した。

※本記事中の価格は税別で統一している。

実売9万円以下という、現時点の5Gスマホでは最安な端末

「ZTE Axon 10 Pro 5G」は、シャープ「AQUOS R5G」と同じく、ソフトバンクの5Gサービス開始にともなって発売されたスマートフォンだ。「AQUOS R5G」が、高性能・高価な旗艦モデルなのに対し、本機は安めな81,164円という価格設定で、現時点における国内最安の5Gスマホとなる。なお、ソフトバンクでは本機をミドルレンジ5Gスマートフォンと位置づけているが、基本性能を左右するSoCには、「AQUOS R5G」と同じ「Snapdragon 865」が使われており、実質的にはハイエンドモデルと同等のパフォーマンスが期待できる。

本機は、約73(幅)×159(高さ)×7.9(厚さ)mm、重量約176gのボディに、2,340×1,080のフルHD+表示に対応する約6.4インチの有機EL曲面ディスプレイを組み合わせる。デザインは特に個性的というわけではないが、ディスプレイ上部のノッチは小さく、狭額縁設計になっているので、今風なスマートな印象だ。なお、本機のボディは防水・防塵には対応していない。

背面のデザインは、ボディ左上にカメラを縦に並べた近ごろよく見かけるデザイン。なお、カラーバリエーションはブルー1色のみ

長辺の左右がラウンドした曲面ディスプレイを搭載し、持ちやすさに配慮している

長辺の左右がラウンドした曲面ディスプレイを搭載し、持ちやすさに配慮している

白の背景で電子書籍を表示させた。活字ににじみは感じられず背景もきちんと白く見えており、有機ELディスプレイで起こりやすい色かぶりも見られない

ディスプレイ指紋認証を採用する。認証精度は良好だったが、認証速度はそこまで速いというほどではなかった

ディスプレイ指紋認証を採用する。認証精度は良好だったが、認証速度はそこまで速いというほどではなかった

機能面を見てみよう。インターフェイス関係は基本的にグローバルモデルといった印象で、NFCポートは備えるが、国内市場向けのFeliCaポート、フルセグ・ワンセグチューナーは非搭載となる。なお、ヘッドホン端子も非搭載だが、USB Type-C→ヘッドホン端子の変換アダプターが同梱される。このあたりは、同時に発売された「AQUOS R5G」と大きく異なる点だろう。なお、Apt-X HD、Apt-X Adaptive、Apt-X TWS、LDACといったBluetoothの高音質コーデックには対応しているが、ハイレゾ音源再生には対応していない。

ボディ下面に、USB Type-Cポートを搭載する

ボディ下面に、USB Type-Cポートを搭載する

ボディ正面にはポート類は配置されない。ヘッドホン端子も非搭載だ

ボディ正面にはポート類は配置されない。ヘッドホン端子も非搭載だ

右側面にボリュームと電源の各ボタンが配置される

右側面にボリュームと電源の各ボタンが配置される

樹脂製のカバーが同梱されている

樹脂製のカバーが同梱されている

5G通信性能は「AQUOS R5G」と同じ。ただし、電波のつかみが少し弱い

続いて、本機の注目ポイントである5G機能を含む通信機能を見てみよう。本機の5Gは、Sub-6のバンド「n77」のみの対応となり、ミリ波には対応していない。スペック上の通信速度は「AQUOS R5G」と同じく、下り最大2.0Gbps、上り最大103Mbpsだ。なお、Wi-Fi 6には対応している。

実際の5G通信速度を、東京・銀座にある「ソフトバンク銀座」付近で計測したところ、下りで594Mbps、上り61.4Mbps、Pingは11msを記録した。アンテナの近くなら200〜500Mbpsの通信速度は出るようだ。そのいっぽうで、アンテナが目視できないほど離れた場所になると、途端に10〜30Mbps程度まで通信速度が低下した。

今回は、同時にソフトバンクの「AQUOS R5G」と5Gエリアでの5G通信検証を行ったが、本機のほうが5Gの電波のつかみが振るわない傾向が目立った。同時に同じ場所であっても、本機だけ5Gに切り替わらない/切り替わるまで数分の時間を要することがたびたびあった。5Gでつながってしまえば、両機の通信速度に顕著な差はないものの、内蔵アンテナなどの原因からか、やや電波をつかむまでのタイムラグが気になった。

なお、首都圏におけるソフトバンクの5Gエリアだが、少しずつだが広がっているのは確かなようだ。サービス初日は4Gエリアだった場所でも、4月に入って5Gのアンテナピクトを表示する場所が数か所で確認できた。また、ソフトバンクでは今後の5Gのエリア展開について、既存のLTE用の電波を5Gに転用することを積極的に検討している。現在、総務省は転用に向けた法令の見直しを行っており、ソフトバンクでは2021年3月までに5Gの人口カバー率90%を目指している。

5Gエリアである、東京・中央区「ソフトバンク銀座」の前で、通信速度を計測したところ、下り593Mbps、上り61.4Mbp、Pingは11msを記録した

ソフトバンク5Gの、首都圏におけるエリア地図。ピンクが4月末までに5Gエリア化する予定の部分、黄色は今夏以降にエリア化する予定の部分だ

メモリーがやや少ないが、処理性能やグラフィック性能はハイエンド機に引けを取らず

続いて本機の処理性能を見てみよう。本機はすでに触れたように、最新世代のハイエンドSoC「Snapdragon 865」を採用する。なお、メモリーは6GBで、ストレージは128GB、最大2TBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせる。OSはAndroid 10だ。実際の処理性能を「AnTuTuベンチマーク」と「Geekbench 5」を使って計測したところ、「AnTuTuベンチマーク」の総合スコアは、569,117(CPU:180,773、GPU:217,283、MEM:86,465、UX:84,596)で、価格.comマガジンで先日計測した「AQUOS R5G」のスコア576,419(内訳、CPU:178,117、GPU:213,016、MEM:99,048、UX:86,228)と比較しても大きく見劣りはしない。「Geekbench 5」のスコアはシングルコア:918、マルチコア:3,115で、こちらも「AQUOS R5G」のシングルコア:915、マルチコア:3,334と顕著な差はない。処理性能について見る限りでは、本機はハイエンドモデルと遜色ないと言える。

AnTuTuベンチマークの計測結果。左が本機、右が「AQUOS R5G」のもの。同じSoCを使っているためスコアの傾向はよく似ている

こちらは「GeekBench 5」の計測結果。左が本機、右が「AQUOS R5G」のもの。シングルコアのスコアは本機が918で、AQUOS R5Gが915でほぼ同じ。マルチコアでは、メモリーの容量が多いためか、AQUOS R5Gのほうが200ポイントほど高い結果となった

体感速度も確かに速く、「AQUOS R5G」や「Galaxy S20 5G」などほかの「Snapdragon 865」搭載機と大きな差は感じない。グラフィック性能も高いのでゲームにも向いている。ただし、メモリーの容量がほかの5Gスマホの半分となる6GBとやや少ないため、タスクの切り替えではもたつきを感じることがあった。128GBというストレージ容量は十分なものだが、5Gを想定したコンテンツはクオリティが高い分、データ容量も大きくなりやすい。microSDXCメモリーカードによるストレージ増設は行ったほうが無難だ。処理性能に大きな不満はないものの、本機を快適に使うには不要なタスクをこまめに停止させ、大型のアプリを何個も同時に起動しないといった配慮が必要になりそうだ。

12〜43mmまで3段階で画角を切り替えられるメインカメラは、構図に差を付けやすいが、暗所撮影では手ぶれも目立つ

本機のメインカメラは、約4,800万画素の超広角カメラ(12mm)、約2,000万画素の広角カメラ(27mm)、約800万画素の望遠カメラ(43mm)という組み合わせのトリプルカメラだ。超広角を基準にすると約3.58倍の光学ズーム撮影が行えることになる。なお、手ぶれ補正機能は非搭載だが、4Kの動画撮影は行える。また、フロントカメラは約2,000万画素だ。(上記のカメラの焦点距離は、35mm換算時のEXIF情報を参照している)

メインカメラは、超広角、広角、望遠という組み合わせのトリプルカメラ。手ぶれ補正機能は非搭載だ

メインカメラは、超広角、広角、望遠という組み合わせのトリプルカメラ。手ぶれ補正機能は非搭載だ

フロントカメラは約2,000万画素

フロントカメラは約2,000万画素

以下に、本機のメインカメラを使って撮影した静止画の作例を掲載する。いずれも初期設定のままカメラ任せのオートモードで撮影を行っている。

超広角カメラで撮影

浅草寺の雷門を撮影。12mmという超広角のため、門の周辺もしっかり構図に収まっている。明暗差が比較的大きい構図となったが、屋根の陰部分にはノイズが現われている

広角カメラで撮影

上と同じ構図を広角カメラで撮影。超広角カメラで目立った周辺部分の画質の荒れが抑えられているほか、暗部のノイズも減っている

望遠カメラで撮影

上2枚と同じ構図を望遠カメラで撮影。構図の印象がかなり変わる。ゆがみは目立たないが、暗所のノイズは現われている

超広角カメラで撮影

丸の内周辺の夜景を撮影。全般的に光量が不足しており、ぼやけた印象は否めない

丸の内周辺の夜景を撮影。全般的に光量が不足しており、ぼやけた印象は否めない

広角カメラで撮影

上と同じ構図を広角カメラで撮影。超広角カメラよりも少しだけ明るくなり、ノイズも減ったが、わずかだが手ぶれが見られた

望遠カメラで撮影

上の2枚と同じ構図を望遠カメラで撮影。やはり、手ぶれが少し現われている

上の2枚と同じ構図を望遠カメラで撮影。やはり、手ぶれが少し現われている

超広角カメラで撮影

夜の花壇を撮影。風の強い日だったので被写体ブレが現われた。中央部分は良好な画質だが構図の周辺になると荒れが目立つ

広角カメラで撮影

同じ構図を広角カメラで撮影。シャッター速度が稼げたこともあるが、被写体ブレが抑えられた。周辺部分の画質も比較的保たれている

望遠カメラで撮影

上2枚と同じ構図を望遠カメラに切り替えて撮影。ピントは合っているのだが、ディテールがハッキリしない

上2枚と同じ構図を望遠カメラに切り替えて撮影。ピントは合っているのだが、ディテールがハッキリしない

本機の超広角カメラは12mmという焦点距離で、国内で購入できるスマートフォンのカメラとしてはかなりワイドな部類に入る。また、望遠カメラも43mmという焦点距離で、構図にメリハリが付けやすく、楽しく撮影できる。いっぽう、手ぶれ補正機能が備わっていないため、夜景撮影では手ぶれが目立ちやすく、歩留まりは3割程度とあまりふるわなかった。

4,000mAhのバッテリーを搭載。フルに使っても1日半はバッテリーが持続

本機は4,000mAhのバッテリーを内蔵する。バッテリー持ちに関するカタログスペックの値を見ると、連続通話時間は約1,460分(5G)/約1,500分(FDD-LTE)、連続待受時間は約600時間(5G、FDD-LTE共通)/約580時間(AXGP)となっている。これは「AQUOS R5G」の連続通話時間である約1,820分(5G、FDD-LTE共通)、連続待受時間の約450時間(5G、FDD-LTE、AXGP共通)と比較すると、LTEではやや短く、5Gではやや長いというもの。なお、LTEスマホのハイエンドモデルと比較しても極端なスペック値の悪化は見られない。

今回の検証は7日間行ったが、待ち受け主体であれば3日強(約80時間)、1日3時間以上使用した場合でも1日半(約38時間)ほどはバッテリーが持続した。ハイエンドSoCを搭載しているものの、バッテリーの消費ペースが極端に悪いということはない。

なお、5Gエリアで60分ほど断続的に20回ほど通信速度を計測した際に、約20%というかなりのハイペースでバッテリーを消費した。今後広がる5Gエリアでファイルのダウンロードを多用する場合、バッテリーの消費ペースが速まることは考えられるが、そうした極端な利用状況でない限り、電池持ちが極端に悪化することはなさそうだ。

いくつかの部分で割り切りは必要だが、高性能で低価格な5Gスマホとしてコスパは高い

本機は5Gスマホとしては比較的安価で、「AQUOS R5G」など、ほかの5Gハイエンドスマホと同じSoCを備え、処理性能や通信性能もほぼ同等でありながら、端末価格では4万円ほど安い81,164円にとどめられているのが魅力。なお、端末購入補助の「トクするサポート+」を使い、2年後に端末を下取りに出せば、実質負担金はその半額の40,000円ほどで済む。

いっぽう、低価格を実現するために、防水・防塵への非対応、FeliCaポートの非搭載、メモリーの容量が6GBにとどまっていること、カメラの手ぶれ補正機能なしなど、いくつかの点でハイエンドモデルとは違う部分もある。こうした機能や性能の面を割り切れるのであれば、5Gの入門機として悪くないチョイスと言えそうだ。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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