GIGAスクール構想向けの端末として、存在感が増しているChromebook。教育現場だけでなく、手ごろな価格で、気軽に使えるChromebookはビジネスパーソンのサブマシンやテレワーク用の端末にも適している。今回はそんなChromebookの最新モデルとして、ASUS JAPANが2021年3月17日に発売した「Chromebook Detachable CM3」をレビューしていきたい。
10.5型のディスプレイを搭載するデタッチャブルタイプのChromebook Detachable CM3。同社のオンラインストアでの価格は50,800円(税込)。期間限定だが発売記念キャンペーンで35,800円(税込)で販売する
Chromebookが登場して今年で節目の10年。Chromebookとは、GoogleのWebブラウザー「Chrome」をベースにした「Chrome OS」を搭載したパソコンだ。
Googleのアカウントを持っていて、「Gmail」や「Google Drive」「カレンダー」「YouTube」などGoogleのサービス群を日常的に使っている人ならすぐに使い始められる。Chromeのようにバックグラウンドで高頻度にアップデートされるため、安全性が高く、管理しやすいのも魅力だ。
Chromebookが登場したてのころはWebアプリしか使えなかったが、今は多くのAndroidアプリが動くようになっている。先日のアップデートでファイル転送機能「Nearby Share」に対応するなど、新機能も増えている。ただ、WindowsやMacのように自由度は高くないのが現状だ。動画を見たい、Webアプリでテキストを作成したい、「Google Meet」でオンライン会議やオンライン授業をしたいという明確な目的があれば、Chromebookは不満なく使えるだろうが、本格的なクリエイティブに使いたい、いろいろなアプリを組み合わせて複雑な作業をしたいという場合は、WindowsやMacが便利だ。
前置きが長くなったが、Chromebook Detachable CM3を見ていきたい。
キーボードを取り外せばタブレットとして利用可能。後述する付属のペンを使った手書きもできる
デタッチャブルタイプのChromebook Detachable CM3は、10.5型のディスプレイを搭載したタブレット本体と着脱式のキーボードから構成されている。キーボードをつければノートパソコンのように使えて、キーボードを取り外せばタブレットとして利用できるのだ。
面白いのは「フレックスアングルスタンド」。本体に磁石で装着するファブリック素材のケース兼スタンドで、横向きでも縦向きでも本体を立てられる。最近だと、「Google Duo」やGoogle Meetを使ってビデオ会議やビデオ通話をすることが増えている。そんなときに縦向きにすると相手の顔が大きく写せるので便利だ。在宅ワークで作業机が狭いという場合も助かる。
ケース兼スタンドのフレックスアングルスタンド。暖かみのあるファブリック素材は文房具感覚で持ち運べる。指紋が目立たないのもうれしい
本体はアルミニウム合金で質感は高め。ASUS得意のダイヤモンドカットエッジも施されている
フレックスアングルスタンドの裏側。4つのパーツから構成されており、縦向きでも横向きでも折曲がる仕組みだ
動画の視聴に適した横向き。ノートパソコンスタイルも横向きだ
ビデオ電話向きの縦向き。90°近い角度でも固定できるのが便利だが、この状態ではキーボードが使えない
キーボードはタブレット用としてはしっかりとした作りだ。仕組みとしてはマイクロソフトの「Surface」と同じで、折り曲げて本体と装着するため、キーボードに6°の角度がつく。さらに、スタンドは0°〜90°の間で角度を調整できる。見やすい角度で作業できるだろう。キーピッチは17.5mmと少しだけ窮屈だが、慣れれば快適にタイピングできる。強めにタイピングするとたわむので、その点は注意したい。
本体とキーボードは物理接点で接続する。充電は不要
キーピッチが17.5mm、キーストロークが1.5mm。キーピッチを確保するために、Enterキーは小さめ
本体サイズはキーボードとスタンドカバー込みで255.44(幅)×167.2(奥行)×7.9(高さ)mm、重量は915g。本体だけだと506gと軽量だ。このサイズ感であれば、小学生でも問題なく持ち運べるだろう。
ディスプレイは1920×1200の10.5型。超美麗というわけではないが、動画や写真を不満なく楽しめるだろう。ブルーライトカットなどは搭載していないが、子どもの学習用にも十分使えるだろう。
10.5型の液晶はグレアタイプで反射が少し気になる
GIGAスクール構想向け端末では欠かせないペンもしっかりと付属している。4096の筆圧検知をサポートする「ASUS USI Pen」だ。本体に収納できるのがポイントで、子どもが紛失する心配もない。15秒格納で45分使用できるので、授業前に充電し忘れていてもすぐに使える。
本体に収納できるため、ペン自体は細くて一見すると書きにくそうだが、実際に試すと、意外と書きやすかった。ペン先がプラスチックですべりやすくて、手が画面に触れると誤って書き込まれることもあったが、メモを書く程度なら問題なくこなせるだろう。
ASUS USI Penは最大4096の筆圧検知をサポート
本体収納できるのは意外とありがたい
プレゼンに便利なレーザーポインタなど、便利な機能を備えるタッチペンツール
スペックをチェックしていこう。プロセッサーは「MediaTek MT8183」。最大2GHzで動作する8コアCPUで、手ごろな価格のChromebookやタブレットでよく使われているものだ。高速なCPUではないが、WebアプリやAndroidアプリならサクサク動作する。他社からはインテルのCoreプロセッサーを搭載した高性能なChromebookが登場しているが、サブマシンや子ども用としては必要十分なパフォーマンスを備えているだろう。
メモリーは4GB、ストレージは128GB eMMC(教育・法人向けモデルは64GB eMMC)。無線LANはIEEE802.11ac、Bluetoothはバージョン4.2。最新のスペックではないが、プロセッサーと同様必要十分な機能が備わっている。
外部インターフェイスはUSB 2.0 Type-Cとマイク入力/ヘッドホン出力を備える。バッテリーは27Whで、バッテリー駆動時間は約12時間。キーボードを外した状態では約12.3時間と少しだけ長くなる。
USB2.0だが、Type-Cポートを備える。タブレットでは非搭載モデルが増えているマイク入力/ヘッドホン出力もしっかりと備わっている
カメラはインカメラが192万画素、アウトカメラが800万画素
Chromebook Detachable CM3の価格は50,800円(税込、同社のオンラインストアでの価格)。少し高く感じるかもしれないが、3月17日から4月8日まで発売記念キャンペーンを実施する予定で、35,800円(同)の特別価格で販売するという。この値段であれば、サブマシン用として気軽に購入できるだろう。メインマシンとして選ぶのはおすすめしにくいが、子ども用やテレワーク用など、サブマシン的な位置づけとしては、Chromebook Detachable CM3は有力な選択肢になるはずだ。