レビュー
シニア層に加え、子ども向けの安全性機能も搭載

安全・衛生面にこだわった2万円台の格安エントリースマホ「arrows We」レビュー

近ごろ、国内メーカーから低価格帯のエントリー向けスマートフォンの発売が相次いでいる。今回取り上げる「arrows We」も2万円台で買える低価格が魅力の1台だが、5G通信機能に加えて、最新SoCの搭載によって処理性能もそこそこ高め。さらに、フィッシング詐欺や還付金詐欺対策機能、子ども向けの「ジュニアモード」を備えるなど、シニア向け、子ども向けの安全面にも配慮されている

※本記事中の価格は税込で統一している。

前モデル「arrows Be4 Plus」よりもかなり高速化されたエントリー機

FCNTのスマートフォン「arrows We」は、エントリー向け5Gスマートフォンとして、NTTドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアより12月3日から発売された。NTTドコモ版「F-51B」は21,450円(MNPなら4,950円)、au版「FCG01」は26,180円、ソフトバンク版は27,360円と、いずれも各社の製品ラインアップでは最安レベルの価格が付けられている。なお、本機の前身となる4Gスマホ「arrows Be4 Plus」(NTTドコモ)とドコモ版の「F-51B」を比較すると本機のほうが330円ほど安い。

「arrows We」は、約71(幅)×147(高さ)×9.4(厚さ)mm、重量約172gのボディに、1,520×720のHD+表示に対応した約5.7インチの液晶ディスプレイを搭載する。このボディは、IPX5/8等級の防水仕様とIP6X等級の防塵仕様、米国国防総省の調達基準「MIL-STD-810H」の23項目と、同調達基準を上回る高さ1.5mからの落下に耐えるFCNT独自の耐衝撃基準をクリアしたもの。また、FCNT製スマートフォンの特徴である、泡タイプのハンドソープやアルコールを含む消毒液を吹き付けて洗うことも可能だ。スピーカーはモノラルだが、ヘッドホン端子を装備。このほか、FeliCaポートも搭載される。

ボディはハンドソープなどで丸洗いが可能だ

ボディはハンドソープなどで丸洗いが可能だ

1,520×720のHD+表示に対応する約5.7インチの液晶ディスプレイを採用。明るさや解像度はそこそこだが、画面サイズが小さめなこともあって画質の粗さはさほど感じない

1,520×720のHD+表示に対応する約5.7インチの液晶ディスプレイを採用。明るさや解像度はそこそこだが、画面サイズが小さめなこともあって画質の粗さはさほど感じない

背面のデザインはシンプルなもの。検証に使ったのは、au版FCG01のローズゴールドだが、キャリアによっては、シックなネイビーやブラック、鮮やかなレッドなども用意されている

背面のデザインはシンプルなもの。検証に使ったのは、au版FCG01のローズゴールドだが、キャリアによっては、シックなネイビーやブラック、鮮やかなレッドなども用意されている

ボディ上面にヘッドホン端子を配置

ボディ上面にヘッドホン端子を配置

ボディ下面にスピーカーホールとUSB Type-Cポートを配置。スピーカーは1基のみのモノラル出力

ボディ下面にスピーカーホールとUSB Type-Cポートを配置。スピーカーは1基のみのモノラル出力

電源とボリュームの両ボタンは右側面に配置される

電源とボリュームの両ボタンは右側面に配置される

基本スペックだが、SoCはクアルコム社のエントリー向け「Snapdragon 480 5G」で、4GBのメモリーと64GBのストレージ、最大1TBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを組み合わせる。OSは、Android 11だ。
定番のベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク」を使い、処理性能を調べたところ、総合スコアは289,451(内訳、CPU:98,631、GPU:66,979:58,994、UX:64,897)となった。このスコアは、前モデル「arrows Be4 Plus」の総合スコア157,945(内訳、CPU:55,371、GPU:23,723、MEM:36,614、UV:42,233)を大きく上回り、2017年登場のハイエンド向けSoC「Snapdragon 835」に迫るレベルである。

AnTuTuベンチマークの結果を本機(左画面)と「arrows Be4 Plus」(右画面)で比較。倍近いスコアの向上となっている。特にグラフィック性能を示す「GPU」が23,727から66,979へ大幅にアップしている

AnTuTuベンチマークの結果を本機(左画面)と「arrows Be4 Plus」(右画面)で比較。倍近いスコアの向上となっている。特にグラフィック性能を示す「GPU」が23,727から66,979へ大幅にアップしている

通信機能の注目点である5Gは、Sub6のみの対応で、ミリ波には対応していない。ただ、現在サービスを利用できる5Gネットワークは大部分がSub6エリアなので、エリア面での不利を感じることはまずはないだろう。なお、au版とソフトバンク版は、4Gから5Gに転用した周波数帯にも対応している。

本機の処理の体感速度は、以前のエントリーモデルのイメージを軽く覆すもので、メールやSNS、地図アプリやWebブラウザーを使う程度であればかなりなめらかだ。グラフィック性能も向上しているので、極端にスペック要求の高いものでなければゲームも十分プレイできる。ただし、メモリーの容量が少ないため、たくさんのアプリを立ち上げたりすると、動作にもたつきを感じる。

アイコンや文字を大きく表示するホーム画面「シンプルモード」も引き続き用意されている

アイコンや文字を大きく表示するホーム画面「シンプルモード」も引き続き用意されている

電子決済用便利機能「FASTウォレット」やセキュリティ機能。子どもに使わせる場合に便利な機能を搭載

本機は、シニア層や子どもなどをターゲットにするだけあって、電子決済をアシストする「FASTウォレット」や、子ども向け「ジュニアモード」など、独自のアプリをいくつか搭載している。それらについて見てみよう。

アプリや利用時間を制限する「ジュニアモード」

子どもにスマートフォンを持たせる場合、スマートフォンの使いすぎや、アプリやコンテンツの制限など、さまざまな対策を考える必要がある。本機に備わる「ジュニアモード」では、使えるアプリの制限、利用時間の制限、閲覧できるコンテンツの制限をかけることができる。類似する機能は無料の追加アプリ「ファミリーリンク」にもあるが、本機のジュニアモードは、管理側のGoogleアカウントが不要で、本機だけで設定を完結できる点が魅力だ。

ジュニアモードでは、小学生、中学生、高校生の3つのプリセットモードを用意(左画面)。それぞれで利用できるアプリ、利用できない時間帯、1日の利用できる時間の上限を設定できる

ジュニアモードでは、小学生、中学生、高校生の3つのプリセットモードを用意(左画面)。それぞれで利用できるアプリ、利用できない時間帯、1日の利用できる時間の上限を設定できる

Fケータイに搭載されていた「プライバシーモード」が復活

FCNTの前身となる富士通の携帯電話には「プライバシーモード」が用意されており、ビジネス利用とプライベート利用とで、通知内容などを細かくコントロールできた。「arrows We」ではそのプライバシーモードが復活しており、特定のアプリを隠す、アプリ別に通知を隠す、電話番号を指定して通話着信を隠す、壁紙の設定、切り替える指紋の設定、プライバシーモード時の時計を斜体にする、といった各種設定が行える。特に、電話着信については、着信があったことさえ隠すことができるので、かなり徹底したプライバシー管理が行える。

プライバシーモードの切り替えは画面の一部をフリックするなどユーザでないと気づかないような方法がとられている

プライバシーモードの切り替えは画面の一部をフリックするなどユーザでないと気づかないような方法がとられている

迷惑電話対策機能、フィッシング詐欺対策機能、還付金詐欺対策機能

迷惑電話対策機能は、電話帳に登録のない電話からの着信があった場合、発信側にガイダンスを流したうえで、通話を自動で録音する。フィッシング詐欺対策機能は、Webサイトを判定して、怪しいと判断された場合に警告画面が表示されるというものだ。また、還付金詐欺対策機能は、通話内容を解析して、詐欺に関わるキーワードが含まれている場合に、警告を発してくれる。

迷惑電話対策機能は、電話帳に登録のない番号への発信や着信に際してガイダンスを流したり、通話を録音することで注意を喚起するというもの

迷惑電話対策機能は、電話帳に登録のない番号への発信や着信に際してガイダンスを流したり、通話を録音することで注意を喚起するというもの

FASTウォレット

バーコード決済やタッチ決済など、スマートフォンで利用できる電子決済はとても多い。また、ポイントカードをスマートフォンに登録した場合、合わせて提示する必要があるので、あれこれ表示を切り替えたりするためにレジの前でもたついてしまうのはよく見かける光景だ。「FASTウォレット」は、こういう場合に、決済アプリとポイントカードアプリをセットにして、利用するお店別にまとめて管理できる便利な機能だ。

決済アプリとポイントカードアプリをお店別にまとめる「FASTウォレット」。レジ前で素早くバーコードなどを表示できる

決済アプリとポイントカードアプリをお店別にまとめる「FASTウォレット」。レジ前で素早くバーコードなどを表示できる

待ち受け主体で1週間弱ほどの電池持ちを実現。充電に時間がかかる点に注意

本機は容量4,000mAhのバッテリーを内蔵しており、連続待ち受け時間は約660時間、連続通話時間は約1,770分となっている(いずれもau版「FCG01」の値)。2週間ほど本機を使用したが、待ち受け主体であればフル充電で6日ほど、1日に2〜3時間程度使用する場合で4日ほどバッテリーが持続した。ただ、急速充電には対応していないため、バッテリーの充電には時間がかかる。NTTドコモ純正の「ACアダプタ 05」やau純正の「TypeC共通ACアダプタ01」といったやや旧世代の充電器を使用した場合、充電時間は230分ほどかかった。充電をうっかり忘れるとかなり不便な目に遭いそうだ。

価格相応のカメラ機能

本機のカメラの実力をチェックしてみよう。本機のメインカメラは、約1,310万画素の広角カメラと、約190万画素のマクロカメラという組み合わせのデュアルカメラだ。顔認証にも使用するフロントカメラは約500万画素となっている。

メインカメラは広角カメラと、マクロカメラの組み合わせ

メインカメラは広角カメラと、マクロカメラの組み合わせ

フロントカメラは約500万画素。最近のモデルとしては画素数が低めで、自撮りよりも顔認証を重視したものと言える

フロントカメラは約500万画素。最近のモデルとしては画素数が低めで、自撮りよりも顔認証を重視したものと言える

ライティングしたスタジオで、カラーサンプルの代わりに色鉛筆を撮影。ホワイトバランスや色の再現性は良好だ

ライティングしたスタジオで、カラーサンプルの代わりに色鉛筆を撮影。ホワイトバランスや色の再現性は良好だ

マクロカメラに切り替えて、色鉛筆を撮影。最短撮影距離は4cm。ただ、しっかり照明を当てているものの、ややアンダー寄りの写りになった

マクロカメラに切り替えて、色鉛筆を撮影。最短撮影距離は4cm。ただ、しっかり照明を当てているものの、ややアンダー寄りの写りになった

逆光で青空を撮影、あえてカメラに負担のかかる構図にした。フレアはさほど目立たないが、地平線近くの空に偽色が現われている

逆光で青空を撮影、あえてカメラに負担のかかる構図にした。フレアはさほど目立たないが、地平線近くの空に偽色が現われている

広角カメラで明るめの夜景を撮影。高感度性能はあまり高くないようで、最近の低価格モデルと比べてもあまり鮮明とは言えない

広角カメラで明るめの夜景を撮影。高感度性能はあまり高くないようで、最近の低価格モデルと比べてもあまり鮮明とは言えない

本機のカメラは、ホワイトバランスなどは良好だが、最近のエントリーモデルの中では、さほど高性能とは言えない。取り込める光量が少ないためか、全体にアンダーな仕上がりで、夜景撮影もさほど得意とは言えない。カメラについては、価格なりという感じで、あまり過度の期待はしないほうがよさそうだ。

ライバル機にはない独自の安心機能で、シニア層や子ども向けのファーストスマホとして最適

本機を含むエントリーモデルはライバルとなる製品も多く、例をあげるだけでも、シャープ「AQUOS wish」やサムスン「Galaxy A22 5G」、オッポ「OPPO A55s」「OPPO A54」、シャオミ「Redmi Note 10 JE」など、いずれも、処理性能・グラフィック性能に大きな違いはなく、5G対応などの通信機能もほぼ同じだ。

そうした中で、本機は、2万円台という低価格ながら、ライバルを上回るスペックのタフネスボディや、各種オンライン詐欺対策機能、ジュニアモードといった独自の安心機能などのアドバンテージがある。FCNTの前身である富士通製携帯電話の復活とも言えるプライベートモードもユニークだ。安価で丈夫なうえにジュニアモードを備えているので、子どもに持たせるファーストスマホにもよいだろう。いっぽうで、カメラ機能は特徴に乏しく、バッテリーの充電にかなり時間がかかる点には注意したい。

田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

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