キヤノンは2022年10月27日、A4インクジェットプリンターの新製品を発表。家庭用の「PIXUS」シリーズでは、プレミアムモデル「XK110」とハイスペックモデル「TS8630」の2機種が、特大容量タンク「ギガタンク」を搭載する「Gシリーズ」では、エントリーモデルの「G3370」と「G1330」の2機種が登場した。いずれも、ニューノーマル時代にフィットするプリンターを目指し、ランニングコストや機能、操作性が強化されている。各機種の特徴を見ていこう。
「PIXUS」シリーズ2機種、「Gシリーズ」2機種の新しいインクジェットプリンターが登場
低ランニングコストかつ高機能なプレミアムモデル「XKシリーズ」では、人気モデル「XK100」の後継機「XK110」が登場した。
「XKシリーズ」の新モデル「XK110」
「XK110」は、使用する人やシーンに合わせて液晶画面をワンタッチで切り替えて操作できる、新しい操作モード「Switch UI」を搭載したのがトピック。切り替えられる画面の名前を設定でき、かつ、よく使う機能のショートカットボタンを並べられるのが特徴だ。画面は3つ用意されていて、それぞれショートカットボタンを3つ登録できる。
たとえば、在宅ワークは「仕事」、自宅学習は「学習」、趣味の習い事は「趣味」などと画面の名前を設定し、「仕事」では「標準コピー」「両面コピー」「原稿をパソコンに保存」、「学習」では「両面コピー」「定型フォーム印刷」「クラウドから印刷」、「ライフ」では「パターンペーパーの印刷」「定型フォーム印刷」「クラウドから印刷」といったように、それぞれでよく使う機能を登録しておける。使う人やシーンに合わせてカスタマイズできるので、家族でプリンターを使用する場合に便利だ。
新しい操作モード「Switch UI」を採用。チャイルドロックとしても活用できる、パスワードによる画面ロック機能も備わっている
低ランニングコストなのも特徴で、インク/用紙の合計コストはL判写真が1枚約9.8円、A4普通紙がカラー約3.9円/モノクロ約1.5円(いずれも税込)。印刷速度も改善し、顔料ブラック印刷時のインク乾燥待ち時間が従来の20秒から0秒になり、普通紙の連続印刷時間が短縮。自動両面印刷時の、裏面印刷開始までの待ち時間も短縮している。
採用するインクは、染料インクと顔料インクを組み合わせた「5色ハイブリットインク」。本体サイズは約372(幅)×345(高さ)×142(奥行)mmとコンパクトで設置性も高い。
本体カラーにはホワイトを採用。発売は2022年11月10日で、キヤノンオンラインショップでの販売価格は43,450円(税込)。
写真も文書も高画質に印刷できる「TSシリーズ」は、ハイスペックモデルがリニューアル。「TS8530」の後継モデル「TS8630」がラインアップに加わった。
「TSシリーズ」の新モデル「TS8630」
「TS8630」は、L判カラー写真印刷の速度が向上し、1枚あたりの印刷時間が従来モデルの約16秒から約10秒に短縮。このスペックは「XKシリーズ」の最上位モデル「XK500」と同等だ。染料インクと顔料インクを組み合わせた「6色ハイブリッドインク」による高画質な写真印刷をスピーディーに行える。
4.3型タッチパネル液晶を採用。トップ画面を、コピーやSDカード印刷など基本機能にアクセスしやすい「かんたんモード」に切り替えられる
また、「XK110」と同じく、普通紙の連続印刷時間や、自動両面印刷時の待ち時間が短縮。本体サイズは約372(幅)×345(高さ)×142(奥行)mm。「XK110」と同じスペックで省スペースへの設置が可能だ。
カラーバリエーションはブラック、ホワイト、レッドの3色。発売は2022年11月10日で、キヤノンオンラインショップでの販売価格は40,150円(税込)。
カラーバリエーションとしてブラックのほか、ホワイトとレッドも選択できる
このほか、「XK110」と「TS8630」は無線LAN機能がアップデートされ、IEEE802.11n/g/bに加えてIEEE802.11acに対応。端末をプリンターに直接接続する「無線ダイレクトモード」は5GHzでの動作が可能になった。
特大容量「ギガタンク」を採用する「Gシリーズ」では、エントリーモデルの「G3370」と「G1330」の2モデルが登場。「G1330」はスキャン機能などを持たない単機能モデルだ。
「Gシリーズ」の新モデル「G3370」(左)と「G1330」(右)
いずれも、別売のブラックインクボトル1本でA4用紙を約7600枚出力できる大量印刷に対応。別売のカラーインクボトル(シアン/マゼンタ/イエロー)の場合はA4用紙を約8100枚印刷できる。インクコストもA4モノクロ文書が1枚あたり約0.4円、A4カラー文書が1枚あたり約1.0円と低く抑えられている。
丸みを帯びた新デザインを採用したのが共通の特徴で、「G3370」は、バックライト付き液晶が備わった前面パネルを搭載。よりスムーズな操作が行えるように、トレイやスキャンカバーの持ち手など操作部分の形状や色も工夫されている。インクキャップもバネが付き、押し上げやすくなった。このほか、「G3370」はIEEE802.11acにも対応している。
「G3370」のサイズは約416(幅)×337(高さ)×177(奥行)mm。カラーバリエーションはブラックとホワイトの2色。発売は2022年12月上旬で、キヤノンオンラインショップでの販売価格は33,550円(税込)。
「G1330」のサイズは約416(幅)×330(高さ)×146(奥行)mm。発売は2022年12月上旬で、キヤノンオンラインショップでの販売価格は26,950円(税込)。
「G3370」はブラックとホワイトのカラーバリエーションが用意される
単機能プリンターの「G1330」はデザインと操作性がリニューアルされた。
「ギガタンク」搭載のビジネス向けA4インクジェットプリンターでは、ファクス機能搭載の「GX4030」が登場した。従来よりも普通紙カラー文字の視認性が向上したほか、メンテナンス作業を前面側に集約するなど使い勝手が向上。新たに「背面水平トレイ」を搭載し、3タイプの給紙が行えるのも特徴だ
キヤノンはここ数年、スマートフォンからの印刷機能を強化するなど、プリンターの使い方を広げる工夫に注力してきた。今回登場した4機種は、いずれもその延長線上にある製品。デザインや操作性を着実に進歩させることで、仕事や趣味、勉強と幅広いシーンで使いやすい製品に仕上がっている。
ソフトウェア関連もアップデートされており、接続や機能の設定を一元的に行えるPC用のユーティリティー「Canon Inkjet Smart Connect」は、新たにMac版が追加。WindowsとMacの両方で利用できるようになった。
「PIXUSシリーズ」の「XK110」と「TS8630」は、主力ラインのリニューアルモデルで、この冬の商戦期で人気を集めるのは間違いない。「Gシリーズ」の「G3370」と「G1330」は、エントリーモデルということでお買い求めやすい価格なのが魅力。仕事で大量印刷を行っていて、プリンターの導入コストを抑えたい人から注目を集めそうだ。