日本マイクロソフトから「Surface」シリーズの2022年モデルが登場した。CPUにインテルの「第12世代Coreプロセッサー」を採用したのが大きな強化点で、デザインなどに大きな変更点はない。そんな「Surface」シリーズの2022年モデルの実力をチェックすべく、今回は15型ディスプレイを搭載する「Surface Laptop 5 15インチ」をレビューしていきたい。
スタイリッシュなデザインの「Surface Laptop 5 15インチ」。15型クラスのノートパソコンとしては薄型・軽量ボディなのが特徴だ
「Surface Laptop 5 15インチ」は、15型のディスプレイを搭載したクラムシェルタイプのノートパソコン。2019年に「Surface Laptop 3 15インチ」が登場し、昨年2021年に「Surface Laptop 4 15インチ」が発売されたので、本モデルは三世代目のモデルだ。
2019年モデル、2021年モデルからデザインやコンセプトは変わっておらず、光学ドライブ非搭載でスリムかつ軽量なボディが特徴だ。本体サイズは340(幅)×244(奥行)×14.7(高さ)mm、重量は1560g。重量は「Surface Laptop 4 15インチ」から20gだけ重くなっているが、サイズ感はほとんど変わっていない。
リュックに入れて毎日持ち歩くと肩が凝りそうだが、週に1回、2回程度であればストレスなく持ち歩けそうだ。本体がスリムなのでビジネスバッグにもスッキリと収まる。デザインはシンプルで使う人を選ばない、ノイズレスな見た目だ。カラーは「プラチナ」と「マットブラック」の2色をラインアップするが、スペックにより選べるカラーが決まっているので注意したい。
本体の素材はアルミニウムで、金属らしい上質な質感。「マットブラック」モデルは、ポート類の中まで黒色の全身真っ黒のカラーだ。スタイリッシュな見た目だが、指紋はやや目立つ
本体の厚さは14.7mm。15型前後のディスプレイを搭載するノートパソコンとしてはスリムだ。横から見るとくさび形で、手前側の最薄部の厚さは実測で0.8mmほどだ
「Surface Laptop 5 15インチ」の特徴は見やすい15型のディスプレイ。アスペクト比は「Surface」伝統の3:2で、縦方向に長く、Webページの閲覧やOfficeアプリが見やすく、使いやすい。15型とデスクトップも広く、「Windows 11」の「スナップレイアウト」を活用して、複数のウィンドウを開いてのマルチタスクも快適だ。
アスペクト比3:2の15型液晶ディスプレイ。「スナップレイアウト」を使って、複数のウィンドウを表示しての作業がしやすい
解像度は2496×1664(201ppi)で、高精細な表示だ。コントラスト比は1300:1。スペック的には「Dolby Vision IQ」に新たに対応したのがトピックで、対応コンテンツを鮮やかな画質で楽しめるようになった。従来モデルの「Surface Laptop 4 15インチ」と比べると、わずかだがコントラスト比と明るさがアップしているように見えた。
左が2021年に発売された従来モデル「Surface Laptop 4 15インチ」、右が今回レビューしている「Surface Laptop 5 15」。見比べると、わずかだがコントラスト比や明るさがアップしているように見える
このほかタッチ操作や別売の「Surfaceペン」を使った手書き入力に対応。タッチ操作は直感的でスマホのように操作可能。複数人で作業する場合などに重宝する。「Surfaceペン」での操作は、タブレットのように寝かせての入力ができないため、本格的な手書きには不向きで、簡単なサインをしたり、注意書きを入れたりする程度がいいだろう。
タッチ操作はシリーズ共通の特徴。別売の「Surfaceペン」を使った手書き入力も可能だが、ディスプレイは180°開かないので、長時間手書き入力するのには向かない
キーボードはキーピッチが約19mmのアイソレーションタイプ。従来モデル「Surface Laptop 4 15インチ」と比べると、個体差かもしれないが、打鍵がわずかに静かになっているように感じた。また、打鍵感はほとんど変わっていないが、少しだけソフトさが増している。細かい点だが、印字のサイズが変わっている。F7キーの太陽マークが大きくなって見やすさが増している。しっかりマイナーバージョンアップがされている印象だ。
約19mmピッチのキーボードと広くて感度のよいタッチパッドは初代モデルから継続されている。従来モデルと比べると打鍵音が静か&ソフトになっている印象を受けた
左が従来モデル「Surface Laptop 4 15インチ」、右が今回レビューしている「Surface Laptop 5 15」。Fnキーの記号が大きくなり視認性がアップしている
「Surface Laptop 5 15インチ」は、従来モデルから見た目はほとんど変わっていないが、CPUに「第12世代Coreプロセッサー」を採用し、中身が変わっている。なお、従来モデルにあったAMDの「Ryzen」を搭載したAMDモデルはラインアップされていない。AMDモデルはお得で高性能だったので、ラインアップからなくなったのは残念だ。
搭載するCPUは、10コア(P-coreが2、E-coreが8)/12スレッドの「Core i7-1255U」。動作周波数は最大4.70GHzだが、高効率なE-coreが多く、パワーとモバイル性のバランスのよいCPUと言える。CPUのほか、メモリーがDDR4からDDR5に変更されている。
「Surface Laptop 5 15インチ」のラインアップは4モデル。
・Core i7-1255U、8GB、256GB、プラチナ(メタル)
・Core i7-1255U、8GB、512GB、プラチナ(メタル)/ブラック
・Core i7-1255U、16GB、512GB、ブラック(メタル)
・Core i7-1255U、32GB、1TB、ブラック(メタル)
今回試したモデルは、Core i7-1255U、16GB、512GB、ブラック(メタル)だ。
CPUの情報を取得できる「CPU-Z」の結果。TDP15Wで性能と携帯性のバランスのとれたCPUだ
ベンチマークの結果は以下の通り。「Ryzen 7 4980U Microsoft Surface エディション」を搭載していた従来モデルと比較すると、パソコンの総合性能を測定する「PCMark10」ではわずかに劣る。グラフィック性能を測定する「3DMark10」ではその差はさらに開く。どちらもCPU内蔵のグラフィック機能を利用するが、グラフィック性能はRyzenのほうが上だ。
パソコンの総合性能を測定する「PCMark10」のスコアは「4585」。「Ryzen 7 4980U Microsoft Surface エディション」を搭載していた従来モデルは「4727」だったので、総合性能はわずかに下がっている
グラフィック性能を測定する「3D Mark Professional」(Time Spy)の結果は「881」。従来モデルは「1050」だったので、グラフィック性能も劣っている
バッテリー駆動時間はカタログスペックで最大17時間で、従来モデルより0.5時間ほど短い。ベンチマーク結果もバッテリー駆動時間も従来モデルより劣っているが、実利用ではそれほどの差は感じない。Word、Excel、PowerPointはサクサク動く。子どもがハマっている「Roblox(ロブロックス)」「Minecraft(マインクラフト)Java Edition」の動作も問題なし。ゲームプレイ時の動作音は「Surface Laptop 5 15インチ」のほうが静かで、ファンが回転する時間も短かった。このあたりが「第12世代Coreプロセッサー」を採用した美点だろう。
外部インターフェイスはUSB 4.0/Thunderbolt 4に対応したUSB Type-CポートとUSB 3.1 Type-Aポート、3.5mmヘッドホン出力/マイク入力、充電用のSurface Connectポートを備える。Surfaceシリーズの外部インターフェイスは数、種類ともに必要最小限で、本モデルも変わっていない。多くの周辺機器を接続したい場合はハブやドックなどを別途用意するといいだろう。
USB Type-CポートはUSB 4.0/Thunderbolt 4に対応。充電も可能だが、出力の低いアダプターだと充電に時間がかかるの注意したい。Surface Connectポートに接続して利用する付属のACアダプターは65Wタイプ
以上、「Surface Laptop 5 15インチ」をレビューしてきた。デザインは登場以来ほとんど変わっていないが、スタイリッシュで古さは感じない。気になる点と言えば、ベゼルが少し太いくらいだ。新デザインの「Surface Laptop」も見てみたいが、現行のデザインでもあと数年はいけるだろう。
本モデルの一番の魅力はディスプレイだ。画面が広く、かつ高精細な表示で作業がしやすい。3:2のアスペクト比に慣れると、16:9や16:10だと縦方向が短く感じる。キーボードやタッチパッドは国内メーカーほどのこだわりを感じないが、オーソドックスなレイアウトで十分実用的だ。ベンチマーク結果は従来モデルより劣るものの、実利用ではそれほどの差は感じない。
価格.com最安価格は189,800円からと少し高めだが、Officeが搭載されていることを考えるとコストパフォーマンスはそれほど悪くない。自宅用のパソコンを探している人や、スタイリッシュなノートパソコンが欲しい大学生、子ども用のパソコンを探している親など、幅広いユーザーにチェックしてもらいたい。
ガジェットとインターネットが好きでこの世界に入り、はやいもので20年。特技は言い間違いで、歯ブラシをお風呂、運動会を学芸会、スプーンを箸と言ってしまいます。お風呂とサウナが好きです!