ASUS JAPANから13.3型ノートPC「Zenbook S 13 OLED」の新モデルが登場しました。最薄部が約10.9mmのスリムボディに有機ELディスプレイを搭載したモバイルノートです。発表されたばかりの「Zenbook S 13 OLED」をレビューしていきましょう。
今回試したのは、CPUに「Core i7-1355U」を搭載した最上位モデル「UX5304VA-NQI7WS」。発売日は2023年4月21日。メーカー希望小売価格は259,800円(税込)
コロナ禍を経て、働く場所が多様化し、これまでよりもノートPCを持ち運ぶ機会が多くなったという人も多いでしょう。ノートPCを持ち運ぶ機会が増えると、気になるのが本体の厚さや重さではないでしょうか? もっと薄くて軽いモバイルノートを探している人に注目してほしいのが、今回取り上げる「Zenbook S 13 OLED」の最新モデルです。
最新の「Zenbook S 13 OLED」の魅力は、本体が薄くて軽いこと。本体サイズは約296.2(幅)×216.3(奥行)×10.9〜12.3(高さ)mm(突起部除く)、重量は約1.0kg。最薄部が約10.9mmとスリムなボディが目を引きます。米国国防総省の調達基準である「MIL-STD-810H」に準拠したテストをクリアしており、堅牢性にもすぐれています。薄型軽量かつ丈夫なので、ストレスなく安心して持ち運べそうです。
厚さ約10.9〜12.3mmのスリムボディ。 堅牢性も高く安心して持ち運べそうです
重量はキッチンスケールでの実測で1045g
バッテリー容量は63Whで、バッテリー駆動時間は最大14.1時間(JEITA 2.0)。べらぼうに長いわけではありませんが、スペックの半分と考えても実働で7時間は使えそうです。モバイルノートとしては及第点と言えるでしょう。
Thunderbolt 4ポートに接続して利用する65WのACアダプターは、ウォールマウント型で比較的コンパクト。本体と一緒に持ち運んでもじゃまにならないでしょう。USB PDにも対応しているので、手持ちの45WのACアダプターでも充電できました(充電時間はかかりそうですが)。付属のACアダプターを使った場合、約1.9時間でフル充電できるのも見逃せません。比較的短時間で充電できるのは、地味ですが、充電は毎日のことなのでうれしいポイントではないでしょうか?
ウォールマウント型のACアダプター。プラグは折り曲げられません
最近はどこのメーカーも環境への配慮に力を入れています。「Zenbook S 13 OLED」もこのトレンドをしっかりとフォローしています、本体の素材には「Zenbook」シリーズでは初めて環境に配慮した素材を使用。キーボードのキーキャップには、リサイクルしたプラスチックを50%使っているほか、天板とボトムカバー(底面)のアルミニウムは、製造工程で発生した廃棄物を使っているそうです。見た目や質感は、環境に配慮した素材であっても、これまでのものと大きくは変わった印象は受けません。
プラズマ電解酸化処理(PEO)が施された天板は、金属っぽくない、グレーの厚紙のような独特の質感。耐摩耗性や傷にも強く、気軽に持ち運べそうです。Aのロゴがあしらわれており、遊び心もあります。
プラズマ電解酸化処理(PEO)が施された天板。滑らかな手触りで、金属らしからぬ見た目でモダンな印象を受けます
グレーの厚紙のような見た目と質感の特徴的な天板です
パッケージは繊維素材を使用し、プラスチックは使っていません。パッケージの一部はノートパソコンスタンドとして活用することも可能です。
リサイクル古紙を100%使用した製品パッケージ。接着剤を一切使わないこだわりです
パッケージの一部はノートPCスタンドとして利用できます
他社製のモバイルノートでも携帯性がすぐれたモデルはいくつかありますが、大きく違うのがディスプレイです。「Zenbook S 13 OLED」は、2.8Kの有機ELディスプレイを採用。同社は積極的に有機ELディスプレイを採用しており、絵作りや安定性に一日の長があるように感じます。画質はどぎつさがなく、それでいて鮮やかな表示。黒の表示は必見です。仕事が終わったら、高画質でネット動画を楽しむという人にはピッタリなモデルと言えるでしょう。
解像度は2880×1800の2.8K。アスペクト比は縦方向が少し長い16:10です。表計算ソフトやWebページなど、縦方向に長いと便利なアプリが見やすい画面です。鮮やかなディスプレイを見るだけでテンションが上がります。ただし、画面表面はグレアタイプなので、屋外など明るい場所だと光が反射して見えにくくなることがありました。
高画質な2.8Kの有機ELディスプレイを搭載。沈み込んだ黒、鮮やかな赤など、液晶よりも表現力はワンランク上です。画面占有率は約87.4%と額縁(ベゼル)も細くて今風です
続いてスペックをチェックしていきましょう。
搭載するCPUは、インテルの第13世代Coreプロセッサーで、上位モデルは「Core i7-1335U」、下位モデルは「Core i5-1335U」を搭載します。第13世代Coreプロセッサーは、第12世代の「ハイブリッド・アーキテクチャー」(高性能コアのPコアと高効率コアのEコアを組み合わせたもの)を発展させ、PコアとL2キャッシュメモリー容量を増やしつつ、動作クロックも高められており、処理性能が向上しているとされています。本モデルが搭載するのは、薄型軽量モデル向けの定格消費電力15WのUプロセッサーです。
グラフィックはCPU内蔵の「Iris Xeグラフィックス」。「インテルEvoプラットフォーム」の認証も受けており、ビジネスや勉強はもちろん、カジュアルゲームやクリエイティブな作業、エンタメなど幅広い用途に利用できそうです。
ラインアップは「Core i7-1335U」搭載モデルと、「Core i5-1335U」搭載モデルの2タイプあり、それぞれOffice Home and Business 2021搭載モデルとWPS Office 2 Standard Edition搭載モデルがあり、計4モデルが用意されています。
搭載するCPU以外の仕様は共通。メモリーはLPDDR5-6400の16GB、ストレージはPCI Express 4.0 x4接続の512GB SSDです。
パソコンの総合性能を測定するベンチマークアプリ「PCMark 10 Professional Edition」の結果。総合スコアは約5000とハイスコアでした
最後に使い勝手を見ていきましょう。キーボードはアイソレーションタイプで、ベース部分が黒色、キーが少しグレーと微妙に色が違います。メインのキーのキーピッチは19mm(実測)ほどで、窮屈な感じはしません。右側に配置されたEnterキーなどは少しだけ小さいですが、レイアウトは一般的でタイピングはしやすかったです。キーストロークは2mmほどですが、底につく感じがあり、人によっては気になるかもです。スリムボディならではの悩みかもしれません。
キーピッチ19mmのキーボード。カーソルキーは逆三角形で、コンパクトボディながら上手にレイアウトされています。タッチパッドも広く、マウスなしでもカーソルを動かしやすかったです
キーストロークは2mmほど。底につく感じがあり、ハードにタイピングする人は気になるかもしれません
リフトアップヒンジで、キーボードに傾斜をつけられます
Webカメラは207万画素で、顔認証利用できます。「3DNR機能カメラ」で、ノイズを抑えながらビデオ会議などに参加できます
「AiSenseカメラ」で背景ぼかしやモーショントラッキングが利用できます
AIノイズキャンセリングマイクも搭載
ネットワークはWi-Fi 6Eをサポート。Bluetoothもバージョン5.1と最新の仕様です。外部インターフェイスはThunderbolt 4(Type-C)×2、USB 3.2(Type-A/Gen2)、HDMI出力、マイク入力/ヘッドホン出力を搭載。Thunderbolt 4が2ポートあるのは便利です。
スリムボディながら、Thunderbolt 4ポートを2基、USB 3.2 Type-Aを1基、それにHDMI出力を搭載。この厚さでHDMI出力があるのがありがたい
久しぶりに本格モバイルノートをレビューしましたが、「Zenbook S 13 OLED」はタブレット感覚で気軽に持ち運べるモデルでした。数日持ち歩いてみて、バッテリーが短く感じることもなく、パフォーマンスも文句なし。起動も高速で、画面をサッと開いて、すぐに作業ができます。仕事が終わったら、美麗な有機ELディスプレイでネット動画を楽しみながら晩酌するのも楽しかったです。毎日ノートPCを持ち運ぶという人は、「Zenbook S 13 OLED」をぜひチェックしてみてください。
ガジェットとインターネットが好きでこの世界に入り、はやいもので20年。特技は言い間違いで、歯ブラシをお風呂、運動会を学芸会、スプーンを箸と言ってしまいます。お風呂とサウナが好きです!