レビュー

価格差5万円弱! 「Pixel 8」と「Pixel 8 Pro」のどっちを買う?

Googleは2023年10月12日に、最新スマートフォン「Pixel 8」「Pixel 8 Pro」の販売を開始しました。位置づけ的には「Pixel 8」が標準モデル、「Pixel 8 Pro」が上位モデルで、両者の違いは多岐に渡ります。本記事では、どのようなスペックが差別化されているのか、そして使い勝手がどのように違うのかを、実機レビューで解説します。

価格は「Pixel 8」が112,900円〜122,900円、「Pixel 8 Pro」が159,900円〜189,900円(いずれも税込。公式サイト販売価格)

価格は「Pixel 8」が112,900円〜122,900円、「Pixel 8 Pro」が159,900円〜189,900円(いずれも税込。公式サイト販売価格)

47,000円の価格差を納得できるぐらい差別化が図られている

「Pixel 8」と「Pixel 8 Pro」の主な基本スペックは以下のとおりです。

Pixel 8
・OS:Android 14 
・プロセッサー:Google Tensor G3
・ディスプレイ:6.2インチ有機ELディスプレイ
・カメラ:5000万画素広角、1200万画素超広角、1050万画素フロント
・通信:5G、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3、NFC
・サイズ/重量:70.8(幅)×150.5(高さ)×8.9(厚さ)mm/187g
・価格:128GB版112,900円、256GB版122,900円

Pixel 8 Pro
・OS:Android 14
・プロセッサー:Google Tensor G3
・ディスプレイ:6.7型LTPO有機ELディスプレイ
・カメラ:5000万画素広角、4800万画素超広角、4800万画素望遠、1050万画素フロント
・通信:5G(ミリ波対応)、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3、NFC、超広帯域無線チップ
・サイズ/重量:76.5(幅)×162.6(高さ)×8.8(厚さ)mm/213g
・価格:128GB版159,900円、256GB版169,900円、512GB版189,900円

「Pixel 8」は6.2インチ、「Pixel 8 Pro」は6.7インチ。実際に見ると数値以上に視認性が異なります

「Pixel 8」は6.2インチ、「Pixel 8 Pro」は6.7インチ。実際に見ると数値以上に視認性が異なります

基本スペックだけでも、望遠カメラと超広帯域無線チップの有無、ミリ波の対応非対応などの違いがありますが、ここからが本番。下記に、「Pixel 8 Pro」で差別化されているスペックを箇条書きにしてみました。「Pixel 8」と「Pixel 8 Pro」は同じ容量で47,000円の価格差があります。しかし、これだけスペックが違うのですから納得です。

「Pixel 8 Pro」の差別化ポイント
・512GBストレージモデルを用意
・6.7インチ有機ELディスプレイ(「Pixel 8」は6.2インチ)
・ディスプレイ最大輝度が高い(ピーク輝度が400nit高い)
・リフレッシュレートが1〜120Hzの間で可変(「Pixel 8」は60〜120Hz)
・レーザー検出オートフォーカスがマルチゾーン対応(「Pixel 8」は単一ゾーン)
・超広角カメラが4800万画素(「Pixel 8」は1200万画素)
・4800万画素望遠カメラを搭載
・カメラアプリで「プロ設定」、「5000万画素」モードを選択可能
・5Gがミリ波対応
・超広帯域無線チップを搭載
・温度計機能を搭載

「Pixel 8 Pro」は光学5倍ズーム対応の4800万画素望遠カメラを搭載。超広角カメラも4800万画素と高解像度です

「Pixel 8 Pro」は光学5倍ズーム対応の4800万画素望遠カメラを搭載。超広角カメラも4800万画素と高解像度です

とはいえ、「Pixel 8 Pro」の差別化ポイントが万人に必須というわけではありません。特に、望遠カメラが必須でなければ、サイズ感で「Pixel 8」を選んでも満足感は高いと考えます。

なお、「Pixel 7」から「Pixel 8」への主な進化点は以下のとおり。大幅なアップデートであることがわかります。節約したいといった理由がないのであれば、「Pixel 8」シリーズを購入するほうが満足度は高いでしょう。

「Pixel 7」から「Pixel 8」への主な進化点
・輝度が向上(ピーク輝度が600nit高い)
・リフレッシュレートが最大90Hzから60〜120Hzへ向上
・広角カメラのF値がF1.85からF1.68へ向上
・超広角カメラがオートフォーカスに対応
・カメラアプリでマクロフォーカスが利用可能に
・Google Tensor G3のAI性能を生かしたカメラモード

「Pixel 8」は「Pixel 7」と比べて小さくなり、持ちやすさも向上。「Pixel 8 Pro」は、手の大きな筆者でもやや手に余るサイズです

「Pixel 8」は「Pixel 7」と比べて小さくなり、持ちやすさも向上。「Pixel 8 Pro」は、手の大きな筆者でもやや手に余るサイズです

重量は「Pixel 8」が実測186.1g、「Pixel 8 Pro」が実測212.0g。手で持ったときには重量差はそこまで気になりませんが、胸ポケットに入れると「Pixel 8 Pro」はずしりと重みを感じます

重量は「Pixel 8」が実測186.1g、「Pixel 8 Pro」が実測212.0g。手で持ったときには重量差はそこまで気になりませんが、胸ポケットに入れると「Pixel 8 Pro」はずしりと重みを感じます

「AnTuTu Benchmark」のスコアは「Pixel 8」が107万、「Pixel 8 Pro」が112万

「Pixel 8」、「Pixel 8 Pro」ともにGoogleの自社開発プロセッサー「Google Tensor G3」が初めて採用されています。

今回、両モデルでベンチマークソフト「AnTuTu Benchmark」を実行したところ、「Pixel 8」は1077739、「Pixel 8 Pro」は1124176という結果になりました。今回は「Pixel 8 Pro」のほうが46347点高かったわけですが、体感できるほどの違いではないので問題ないです。

いっぽう、「Snapdragon 8 Gen 2」搭載スマートフォンと比べると、「Pixel 8 Pro」はその約68%のスコアに留まっています。ただし、Googleが開発したアプリ群は当然Google Tensorに最適化されているでしょう。Snapdragonとの差もそれほど気にする必要はないと考えます。

「Pixel 8」と「Pixel 8 Pro」はどちらもプロセッサーに「Google Tensor G3」を初採用。このプロセッサーは例年どおりであれば、下位モデルにも搭載されるはずです

「Pixel 8」と「Pixel 8 Pro」はどちらもプロセッサーに「Google Tensor G3」を初採用。このプロセッサーは例年どおりであれば、下位モデルにも搭載されるはずです

「AnTuTu Benchmark」の総合スコアは「Pixel 8」が1077739、「Pixel 8 Pro」が1124176

「AnTuTu Benchmark」の総合スコアは「Pixel 8」が1077739、「Pixel 8 Pro」が1124176

記事執筆時点の「AnTuTu Benchmark」のトップスコアは、「Snapdragon 8 Gen 2」を搭載する「OnePlus Ace2 Pro」(日本未発売)の1662767。Snapdragonの最新世代と比べると、総合的な処理性能で「Google Tensor G3」は劣ります

記事執筆時点の「AnTuTu Benchmark」のトップスコアは、「Snapdragon 8 Gen 2」を搭載する「OnePlus Ace2 Pro」(日本未発売)の1662767。Snapdragonの最新世代と比べると、総合的な処理性能で「Google Tensor G3」は劣ります

バッテリー駆動時間については、ディスプレイ輝度、音量ともに50%に設定し、YouTubeの動画を2時間再生したところ、バッテリー表示は両モデルともに100%から91%に減っていました。単純計算で0%までであれば22時間12分動作することになります。あくまでも簡易計測ですが、スペックどおりのスタミナ性能を備えていそうですね。

バッテリー容量は、「Pixel 8」が標準4575mAh、最小4485mAh、「Pixel 8 Pro」が標準5050mAh、最小4950mAhと異なりますが、ほぼ同じバッテリー駆動時間となるように設計されているようです。「Pixel 8 Pro」のほうが長時間駆動というわけではありません

バッテリー容量は、「Pixel 8」が標準4575mAh、最小4485mAh、「Pixel 8 Pro」が標準5050mAh、最小4950mAhと異なりますが、ほぼ同じバッテリー駆動時間となるように設計されているようです。「Pixel 8 Pro」のほうが長時間駆動というわけではありません

「Pixel 8 Pro」の30倍超解像ズームは大画面でも鑑賞に耐える

最後にカメラ機能を比較してみましょう。まず、広角カメラと超広角カメラの画質については、オート撮影であれば「Pixel 8」と「Pixel 8 Pro」で明確な違いはなかったです。「Pixel 8 Pro」はプロモードに切り替えると、解像度を1200万画素から5000万画素に切り替えられますが、1200万画素で撮影している限り見分けられないと思います。

マクロフォーカスの画質もそん色ありません。ただし背景ボケは「Pixel 8 Pro」のほうがキレイに出ました。

大きな差が表われたのは望遠撮影。やはり、最大5倍の光学ズームに対応する「Pixel 8 Pro」はキレイに撮れます。「Pixel 8」の8倍超解像ズームもかなりいい線をいっていますが、「Pixel 8 Pro」の30倍超解像ズームは圧巻。48インチの大画面でフルサイズ表示しても、人工物であれば十分鑑賞に堪えます。

また、「Pixel 8 Pro」だけで利用できる5000万画素撮影(プロモード)では、8160×6144でデータが記録され、撮影後に好きな場所を切り出せます。ファイルサイズが大きく、シャッターを押してから保存されるまでにタイムラグがありますが、風景写真を手早く撮影するときに重宝しそうです。

ただし、「Pixel 8」の広角カメラで5000万画素撮影できない理由はよくわかりませんね。今後のアップデートで、「Pixel 8」にもプロモードが解放されることを期待したいところです。

超広角カメラ(0.5倍)

「Pixel 8」(上)、「Pixel 8 Pro」(下)

「Pixel 8」(上)、「Pixel 8 Pro」(下)

広角カメラ

「Pixel 8」(上)、「Pixel 8 Pro」(下)

「Pixel 8」(上)、「Pixel 8 Pro」(下)

望遠撮影

「Pixel 8」(超解像ズーム8倍)

「Pixel 8」(超解像ズーム8倍)

「Pixel 8 Pro」で撮影(望遠カメラ、光学ズーム5倍)

「Pixel 8 Pro」で撮影(望遠カメラ、光学ズーム5倍)

「Pixel 8 Pro」で撮影(望遠カメラ、超解像ズーム30倍)

「Pixel 8 Pro」で撮影(望遠カメラ、超解像ズーム30倍)

超広角カメラのマクロフォーカス

「Pixel 8」(上)、「Pixel 8 Pro」(下)

「Pixel 8」(上)、「Pixel 8 Pro」(下)

夜景モード(広角カメラ)

「Pixel 8」(上)、「Pixel 8 Pro」(下)

「Pixel 8」(上)、「Pixel 8 Pro」(下)

「Pixel 8 Pro」の「プロモード」

標準の1200万画素(上)、「プロモード」の5000万画素(下)

標準の1200万画素(上)、「プロモード」の5000万画素(下)

「Pixel 8 Pro」で、1200万画素と5000万画素で撮影した写真を拡大して並べてみると、解像感の違いがよくわかります

「Pixel 8 Pro」で、1200万画素と5000万画素で撮影した写真を拡大して並べてみると、解像感の違いがよくわかります

携帯性と望遠撮影のどちらを優先させる?

「Pixel 8」は非常にバランスのいいスマートフォンです。幅70.8mmのコンパクトなボディに、最新プロセッサーと8GBメモリーを搭載。メインの広角カメラは5000万画素で、超広角カメラでマクロ撮影も可能です。望遠カメラは搭載されていませんが、5000万画素のイメージセンサーとGoogleの超解像技術により、8倍でも実用十分な画質を実現しています。

いっぽう、望遠撮影の機会が多いのなら「Pixel 8 Pro」が圧倒的におすすめ。画質もさることながら、最大5倍の光学ズームは使い勝手が高いですし、超解像ズームの30倍でも手持ちで被写体を狙えるほど手ブレ補正が強力です。そして「30倍」がスペック競争のためではなく、実用的に使える倍率であることにGoogleらしい生真面目さを感じます。

なお、カメラの新機能で追加された「ベストテイク」(集合写真の顔の部分だけを別の写真と入れ替える機能)や「編集マジック」(被写体のサイズや位置を変更できる機能)、「音声消しゴムマジック」(動画から任意のノイズだけを削除する機能)は、「Google Tensor G3」の固有の機能であるため、どちらでモデルでも利用可能です。

どちらを買うかは、サイズと望遠撮影のどちらを優先させるかでしょう。よりコンパクトさを求めるのであれば「Pixel 8」、動画やゲームを大きな画面で遊びたい、もしくは、望遠撮影の機会が多いのであれば「Pixel 8 Pro」がおすすめです。望遠撮影にこだわりがなければ、写真を撮りまくる人でも「Pixel 8」で満足できると思います。

ひとつ付け加えると、「Pixel 8 Pro」には2023年12月に「動画ブースト」という機能が提供予定です。この機能は、動画の手ブレ補正、画質をAIにより強力に底上げし、夜景などの撮影で重宝するとのこと。今回のレビューでは試せていませんが、動画をひんぱんに撮る人は、こちらも考慮したほうがいいでしょう。

ジャイアン鈴木
Writer
ジャイアン鈴木
レビューした製品を高確率で買ってしまう物欲系ITライター。守備範囲はPC、スマホ、VRがメイン。ゲーム、デジタルトイも大好き。最近サバゲにはまっています。愛車はスイフトスポーツで、断然マニュアル派です。
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水川悠士(編集部)
Editor
水川悠士(編集部)
デジタル系メディアから価格.comへ。スマホ、スマートウォッチなどのガジェット周り、ゲーム関連を担当。触ってきた製品は数えきれないほど多いです。価格.comマガジンのYouTubeにも出演中。
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