デル・テクノロジーズのゲーミングデスクトップPC「Alienware Aurora」シリーズと言えば、宇宙船のような奇抜なデザインの筐体が特徴ですが、今年2023年8月に発売された最新の「Alienware Aurora R16」は、“普通”のミニタワー型に筐体が一新されました。“普通”とは言いつつも、「Alienware Aurora」シリーズらしさもしっかりと残っています。新しい筐体とそのパフォーマンスをチェックしました。
シンプルなミニタワー型の筐体を採用したデル・テクノロジーズの最新ゲーミングデスクトップPC「Alienware Aurora R16」
はじめに新筐体をチェックしていきましょう。「Alienware Aurora」シリーズは同社のゲーミングデスクトップPCのフラッグシップモデルらしく、巨大で宇宙船のような奇抜なデザインが特徴です。このデザインが好きという人もいれば、もう少し落ち着いたデザインでコンパクトなほうがいいという声もありました。
後者の声を反映し、最新の「Alienware Aurora R16」は、“普通”のミニタワー型に刷新されました。この変更により、「Alienware Aurora R13/R14/R15」と比べて、本体サイズは40%削減されています。設置性(置きやすさ)は、かなり向上したと言えるでしょう。
左が「Alienware Aurora R16」、右が「Alienware Aurora R13/R14/R15」。高さ、奥行きともにかなり小さくなりました。直方体なので、上部にカードリーダーやポータブルSSDなどの小物が置きやすいのもポイント
本体の幅は197mm。前面にはUSB 3.2 Gen 1Type-A×2、USB 3.2 Gen 1 Type-A(電源シェア対応)×1、UBS 3.2 Gen 2 Type-C、マイク入力/ヘッドホン出力を備える。アクセスしやすい前面の外部インターフェイスが充実しているのは◎
高さは418mm、奥行きは458.4mm。重量は15.37kg(最大)
本体がコンパクトになっただけではありません。デザインは、「レジェンド3.0デザイン」というデザインコンセプトを取り入れています。すでにゲーミングノートPC(レビューで取り上げた「Alienware x16」などhttps://kakakumag.com/pc-smartphone/?id=19928)では取り入れていますが、ゲーミングデスクトップPCでは本モデルが初です。この「レジェンド3.0デザイン」はシンプルでミニマルなデザインながら、ゲーミングノートPCらしい遊び心も散りばめられたデザインと言えます。
普通のミニタワーと言っても、左側面には内部の見えるクリアサイドパネル(ここから光るファンが見えます)、左側面手前の円状のLEDなど、しっかりゲーミングPC仕様です。カラーはマット仕上げの「バサルトブラック」と落ち着いた印象ですが、「Alien FX」でLEDの光り方をカスタマイズすれば、個性を発揮できるでしょう。
内部のパーツやLEDが外から見られるクリアサイドパネル
左側面(クリアサイドパネル側)の手前にループ状のLEDを搭載。透明なクリアサイドパネルからはファンが光っているのが見えます。目立ちませんが、前面の電源ボタン(宇宙人の顔型)にもLEDが組み込まれています
各LEDの色は、専用ソフト「Alien FX」でカスタマイズできます
続いて、内部をチェックしましょう。
左側面のクリアサイドパネルは、背面のネジ1本を緩めてレバーを引くと簡単に外せます。マザーボードは独自設計。CPUクーラーは空冷か水冷が選べますが、試用したモデルには水冷クーラーが搭載されていました。240mmのラジエーターが上部に設置されており、非常にスッキリした見た目です。メモリースロットとM.2スロットは各2つ。M.2スロットは1つ空いており、後から増設できます。底面には3.5インチベイを搭載しており、ストレージの増設も可能。
「Alienware Aurora R16」の内部の概要
筐体サイズは小さくなりましたが、拡張性は「Alienware Aurora R15」と同等。内部はスッキリしており、拡張作業がしやすそう
メモリースロットとM.2スロットは各2つ。M.2スロットは1つ空いており、後から増設できます
水冷構成を選ぶと、240mmのラジエーターが上部に配置されます
今回試したモデルに搭載されているビデオカードは、NVIDIAの「GeForce RTX 4070」でした。大きくて重いビデオカードですが、しっかりしたパーツで支えられており、歪む心配はなさそうです。ビデオカードを支えるパーツは長めなので、「GeForce RTX 4090」などより大きなビデオカードも安心して搭載できるでしょう。
電源は1000W 80PLUS PLATINUM。将来、電力消費の高いパーツに換装するとしても安心感があります。
巨大なビデオカードをしっかり支えるパーツ(写真中央)。より大きなビデオカードも搭載可能
新しい筐体になり、稼働時の静音性は平均20%アップ。温度は7%下がっています。動作音は静かで、高負荷ゲームを長時間プレイしても、盛大にファンが回ることはありませんでした。水冷構成だったこともあり、静かさはピカイチ。
冷却面では、クリアサイドパネルに設けられたハニカム形状の通気口、上面に排気口、前面にリング型吸気口を配置。前面と側面から空気を取り込み、背面と上部、側面から排熱します。同社によると、ゲーミングデスクトップPC「Alienware」シリーズの中で最もすぐれたエアフローと静音性を実現しているとのこと。
背面の外部インターフェイスはさすがの充実ぶり。有線LANポートは2.5Gbpsをサポートするほか、USBポートは全部で8ポートも備える
デル・テクノロジーズと言えば、注文時にスペックをカスタマイズして、予算や用途に合わせたスペックを選べるのが特徴です。「Alienware Aurora R16」も豊富なBTOメニューが用意されています。
デル・テクノロジーズのWebページ
CPUは、第13世代Coreプロセッサーに加え、最新の第14世代Coreプロセッサーが選択可能。メモリーは16GBから最大64GB、SSDは最大8TB SSDと豊富なメニューが用意されています。ビデオカードは、「GeForce RTX 3050」「同 4060」「同 4060Ti」「同 4070」「同 4070Ti」「同 4080」「同 4090」の7種類。ちなみに、最上位の「GeForce RTX 4090」はプラス271,673円です! シャーシオプションで、空冷と水冷が選べます。標準は空冷で、水冷はプラス11,494円(価格はすべて税込、2023年11月3日時点)。
ビデオカードの最上位はNVIDIAの「GeForce RTX 4090」。その価格はプラス271,673円!
そのほかOfficeソフトやセキュリティソフト、「Photoshop」などの動画編集ソフトなどもオプションで選べます。同社製のゲーミングモニター、ヘッドセット、キーボード、マウスも用意されているので、一式揃えることも可能。
最後にパフォーマンスをチェックしましょう。今回試したモデルのスペックは、CPUが「Core i7-13700F」(16コア、動作周波数は最大5.2GHz)、メモリーが16GB、ストレージが1TB SSD、ビデオカードが「GeForce RTX 4070」、OSはWindows 11 Home(日本語)。価格.com最安価格273,553円のモデルです。
定番ベンチマークアプリの結果は以下のとおり。なお、「Alienware Aurora R16」は専用ソフトで動作モードを「静粛」「バランス」「パフォーマンス」「カスタム」の4つから選べます。今回は「バランス」でベンチマークアプリやゲームを試してみました。
ベンチマークアプリの結果はいずれも期待通りのハイスコア。パソコンの総合性能を測定する「PCMark 10 Professional」の結果はトータルが7681で7000オーバー。「Productivity」以外は10000オーバーで、基本性能の高さがうかがえます。グラフィック性能を測定する「3D Mark Professional Edition」も全テストで高得点。「GeForce RTX 4070」はミドルクラスのGPUですが、これだけのスコアなら、ほとんどのゲームを快適に楽しめるでしょう。
専用アプリで、動作モードを選べます
ヘビーなゲームの代表作「サイバーパンク2077」(CD Projekt RED)のゲーム内ベンチマークプログラムの結果が以下とおり(解像度は2560×1440)。レイトレーシングを有効にすると、平均FPSはガクっと落ちますが、NVIDIA独自の描画負荷軽減技術「DLLS 3」
(DLLS Frame Generation)を有効にすると、「レイトレーシング:オーバードライブ」でも平均FPSが85.65と滑らかな画質でプレイできました。
なお、「サイバーパンク2077」の有料DLC「仮初めの自由」は、「DLLS」の最新バージョン「DLLS 3.5」に対応しています。レイトレーシングの性能向上と高画質化が図られているので、さらなるクオリティアップが期待されます。
表左がプリセット名、右が平均FPS
普通のミドルタワー型に刷新された新筐体は、使い勝手や設置のしやすさという面では、既存の「Alienware Aurora R13/R14/R15」よりもアップしています。遊び心もしっかりありますが、派手なデザインが好きなユーザーからすると物足りないという意見もありそうです。「Alienware Aurora R15」は継続販売されているので、派手なデザインが好きなユーザーはそちらをチェックしてください。
「Alienware Aurora R16」の直販価格は219,800円(税込)から。「GeForce RTX 3050」搭載でこの価格は高いですが、CPUがCore i7-13700F、ストレージ1TB、メモリー16GBであることを考えると、それほどコスパは悪くありません。デル・テクノロジーズでは、キャンペーンやセールを高頻度で実施しているので、気になる人は小まめにWebページなどをチェックするといいでしょう。