日本ではそこまで有名ではないものの、世界ではスマートウォッチの市場シェアの上位に食い込むこともあるスマートウォッチブランドのAmazfit。エントリーモデルからハイエンドモデルまで豊富なラインアップと、コスパの高さには定評があります。そんなAmazfitの最新モデル「Amazfit Balance」が登場。試用した感想を元にレビューします。
「Amazfit Balance」の公式サイト販売価格は41,900円(税込)
心と身体のバランスを取ることにフォーカスしていることから、「Amazfit Balance」と名付けられた本機。搭載するさまざまな機能の中で特に注目なのが、メンタルとフィジカルのコンディションを数値化した「レディネススコア」と、指2本で体脂肪率、筋肉量、基礎代謝などが計測できる「体組成計」の2つです。
これらの機能は、他メーカーのスマートウォッチの中にも搭載されていて、「Amazfit Balance」が唯一というわけではありません。しかし、「Amazfit Balance」は、データの種類が豊富で、かつ、見せ方も上手。ほかのスマートウォッチよりも、ユーザーが体の状態を把握しやすいと感じました。
もちろん、ほかにも機能はたくさんあり、音楽の保存と再生、通話機能、睡眠やストレスレベルの計測、AIを活用したランニングのコーチ機能(メニュー作成)、SNSやメールなどの通知機能など、同価格帯のスマートウォッチでできることはおおよそ揃っています。
レビューに試用したのは、ナイロン製バンドの「サンセットグレー」。このほかに、シリコン製バンドの「ミッドナイト」が用意されています
ケースはアルミニウム合金を採用。シンプルながらも上質な雰囲気を備えます。ボタンは本体右側のリューズと物理ボタンのみ。ディスプレイはタッチ操作にも対応
ディスプレイは1.5インチの有機ELディスプレイ。スマートフォンで撮影した写真をウォッチフェイスにしてみましたが、非常にクリアに表示されています
さて、注目の「レディネススコア」と「体組成計」を見ていきましょう。「レディネススコア」の数値は、日中の活動量と心拍数などをベースにする「身体の回復」、睡眠時間やストレス具合に左右される「精神の回復」などから算出されます。
日中の運動量が多いとスコアは悪くなるようですが、質のよい睡眠を取るとそのスコアを回復できます。まさに運動と睡眠の“バランス”が大切というところなのでしょう。
日中の心拍数、活動量などによって「身体の回復」の数値が変動
もうひとつの「精神の回復」は、起きている時間が長いほど数値が減少。質の高い睡眠を取ると回復していきます
「レディネススコア」は毎朝の起床時に時計に表示。1日どのように過ごせばいいのかもアドバイスしてくれます
「数値が高ければいいんだな」というのは理解できる話ですが、どうすればいいのかをフォローしてくれるところがうれしいですね。「今日は元気に頑張れ!」「今日はのんびり過ごしたほうがいいですよ」など、その日だけのアドバイスに加えて、近ごろどうだったかなど、中期的なスパンでのアドバイスもしてくれます。
もうひとつの注目機能「体組成計」については、指2本でしか計測しないため、本格的な体組成計ほどの精度の高さを求めるのは酷です。どちらかというと、毎日、日常的に測定しておいて指標にする、身体の変化に気づきやすくなる、くらいのレベルと考えておきましょう。
リューズと物理ボタンに約10秒間、指を添えるだけで測定は完了
普段使っている体組成計と比べて、大きく外れてはいませんが、精度はそこまで高くありません
「Amazfit Balance」には、デュアルバンドの円偏波GPSアンテナが搭載されています。加えて、衛星測位システムはGPS、GLONASS、Galileo、BeiDou、みちびきに加え、インド周辺を対象としたNavIC(ナブアイシー)にも対応。位置情報の測位スピードや精度は非常に高いレベルにあります。
ランニングの際に計測してみましたが、約10秒で測位が完了して走り始められました。これは本当にストレスフリーですね。ランニングの途中に立ち止まって休息を取った際に、ユーザーの動きが止まると計測をストップする「オートストップ」が作動していましたが、そのログもしっかり取れていました。
約20qの屋外ランニングのデータ。位置情報は正確ですし、休息(画像右)もしっかりと記録されています
また、画面が大きくてランニング中のチラ見でもデータが見やすいのも使い勝手が高いと感じたポイントです。
1500nitと明るくて大きい有機ディスプレイは視認性が高いです
バッテリー駆動時間については、標準的な使用で約14日間、省電力モードで約25日間、GPSモードで約26時間、電力をなるべく使わない自動GPSモードで約47時間と、非常に長くなっています。
自動心拍数モニターを1分間隔にしたり、アクティブ心拍数モニタリングや自動ストレスモニタリングなどをONにしたりと、バッテリー消費量が増える設定にしても駆動時間に大きな影響が出ないので、そもそもバッテリーのことを気にせずに生活できます。ちなみに、レビュー時は、24時間の使用(2時間のGPSオンを含む)で消費量が15%でした。
「Amazfit Balance」は、充実のヘルスケア機能に加えて、高精度な位置情報や、150種類以上のスポーツに対応するワークアウトなど、上位モデルと比べてまったく遜色ない機能を持つスマートウォッチだと思います。
レビューでは紹介しきれないほど機能が多いのですが、取り上げた機能以外で気に入ったものだと、睡眠トラッキングが仮眠に対応している点がよかったです。これまで仮眠を記録できるスマートウォッチを使ってきましたが、あまり正確に記録してくれるものはありませんでした。しかし、「Amazfit Balance」は仮眠どころか二度寝までも計測し、1日の睡眠を全体的に管理してくれます。
豊富な機能性に良好なユーザビリティーを加味すると、4万円強と価格はお買い得感が高く、スマートウォッチ初心者にもおすすめできます。高コスパで完成度の高いモデルです。