レビュー

使う場所を選ばないHPのディスプレイ一体型PCが画期的! 子どものゲーム機用としても〇

ディスプレイ一体型PCは、大画面をコンパクトに設置できるPCとして、家庭、オフィスで人気のあるモデルです。しかし、多くの製品には大型スタンドが装着されており、ほかの部屋に運ぶのが面倒。据え置きで使われているケースが多いことでしょう。

それを覆すのが「HP ENVY Move All-in-One 24」。製品名に「Move」と入っているとおり、「使う場所を限定しないデスクトップ」がコンセプトで、素早く設置場所を移動させるためのさまざまな工夫が盛り込まれております。というわけで、本製品の可搬性にスポットを当ててレビューをお送りします。

日本HP「HP ENVY Move All-in-One 24」。希望小売価格220,000円(税込。以下同)のところ、20,200円割り引きの199,800円で販売されている価格.com限定モデルも用意されています

日本HP「HP ENVY Move All-in-One 24」。希望小売価格220,000円(税込。以下同)のところ、20,200円割り引きの199,800円で販売されている価格.com限定モデルも用意されています

本製品はいわば「モバイルデスクトップPC」なのです

「HP ENVY Move All-in-One 24」はいわば家庭もしくはオフィス内における「モバイルデスクトップPC」。上面にはキャリーハンドル、背面にはキーボードを収納できるポケット、そしてデスクトップPCながらバッテリーを内蔵しており、電源を入れたまま素早く部屋から部屋へ、会議室から会議室へと、持ち運ぶことが可能なのです。

キャリーハンドルを握って気軽に持ち運べます

キャリーハンドルを握って気軽に持ち運べます

本製品の技アリの装備が自動的に飛び出すキックスタンド。本体を床に置こうとすると、底面の黒いピンが押し込まれ、それと連動してキックスタンドが90度回転して、安定して設置が可能です。スタンドを手動で開く必要がないので、タブレットPCよりもはるかに手軽に作業スペースを変更できるわけですね。

本体を置くと、キックスタンドが自動的に飛び出します。わざわざ開く必要はありません

本体を置くと、キックスタンドが自動的に飛び出します。わざわざ開く必要はありません

また、背面にはキーボードを収納できるポケットが用意されており、タッチパッド付きの専用キーボードを収納可能。さらに厚手のシェルパカバーも標準オプションとして同梱されています。シェルパカバーをかぶせれば、そのまま電車に乗ってもPCを持ち運んでいるとはわからないでしょう。

背面のキーボードポケットにはキーボードを収納可能です

背面のキーボードポケットにはキーボードを収納可能です

厚手のシェルパカバーが同梱されており、保管時にホコリや汚れを避けられます

厚手のシェルパカバーが同梱されており、保管時にホコリや汚れを避けられます

さらに、「HP ENVY Move All-in-One 24」にはHDMI入力端子が装備されており、Nintendo SwitchやPlayStation 5などのゲーム機を接続して、ディスプレイとしても活用可能です。リビングの大画面テレビで映画などを鑑賞しているときに、家族には本製品でぞんぶんにゲームを楽しんでもらえます。また、子どもの友達が大勢で遊びに来た際も、「HP ENVY Move All-in-One 24」でゲームを遊んでもらえばテレビを独占されることもありません。可搬性と、ディスプレイ入力端子という本製品の「個性」は、ゲーム用ディスプレイとしても最強ですよね。

加えて、子ども用のデスクトップPCとしても便利そうです。リビングやダイニングテーブルの上にサッと設置でき、親の目が届く範囲で子どももPCを触れます。

HDMI入力端子にNintendo Switchを接続すれば、ゲーム用ディスプレイに早変わり

HDMI入力端子にNintendo Switchを接続すれば、ゲーム用ディスプレイに早変わり

また、23.8インチの大画面はマルチタッチ操作が可能。画面に直接指を滑らすことでメモやイラストを描けますし、マルチタッチ操作でウェブページや画像を自由自在に拡大縮小できます。映画「マイノリティ・リポート」を彷彿とさせるような操作感はやみつきになりますよ。

23.8インチの大画面はマルチタッチに対応。イラストなども楽しく描けます

23.8インチの大画面はマルチタッチに対応。イラストなども楽しく描けます

CPUは「Core i5-1335U」、メモリー/ストレージは16GB/1TBで余裕アリ

ここでは改めて基本スペックを紹介しましょう。「HP ENVY Move All-in-One 24」はOSに「Windows 11 Home」、CPUに第13世代(Raptor Lake)の「Core i5-1335U」を採用。メモリーは16GB、ストレージは1TBを搭載しています。

ディスプレイは23.8インチのIPS液晶(WQHD、2560×1440テュフ・ラインランドEyesafe認証、光沢、タッチ対応)を採用。スピーカーはオーディオメーカー「Bang & Olufsen」のステレオスピーカーを搭載しています。

ディスプレイ下部にはオーディオメーカー「Bang & Olufsen」のステレオスピーカーを内蔵

ディスプレイ下部にはオーディオメーカー「Bang & Olufsen」のステレオスピーカーを内蔵

ディスプレイの解像度はWQHDで、十分高精細です

ディスプレイの解像度はWQHDで、十分高精細です

ディスプレイのリフレッシュレートは最大75Hz。60Hzも選択できます

ディスプレイのリフレッシュレートは最大75Hz。60Hzも選択できます

ディスプレイ上部には「HP Wide Vision 5MP IRプライバシーカメラ」とデュアルマイクを内蔵。顔認証によるロック解除のほか、AIインテリジェント機能により離席・着席・目線に応じた画面コントロール機能が利用できます。

Windows 11の「カメラ」アプリで撮影(HDRオフ)。「HDR pro」を有効にするとややのっぺりとした質感になるので、HDRオフがおすすめ

Windows 11の「カメラ」アプリで撮影(HDRオフ)。「HDR pro」を有効にするとややのっぺりとした質感になるので、HDRオフがおすすめ

AIインテリジェント機能が搭載されており、離れたら画面をオフ、近づいたらスリープ解除、目線をはずすと画面を暗くする機能などが利用できます

AIインテリジェント機能が搭載されており、離れたら画面をオフ、近づいたらスリープ解除、目線をはずすと画面を暗くする機能などが利用できます

インターフェイスは、USB Type-Cポート、USBポート、HDMI入力端子を装備。ワイヤレス通信は、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3をサポート。HDMI出力端子と、3.5mmオーディオ端子が用意されていない点には注意が必要です。

本体サイズは552.3(幅)×366.6(高さ)×148.6(厚さ)mmで、重量は約4.1kg。バッテリー駆動時間は最大4時間とうたわれています。もちろん、ACアダプターで電源に接続しながら使用することもできます。

個人的に残念なのは、内蔵バッテリーの駆動時間が5時間を超えなかったことと、USB Type-C経由で充電できないこと。この2点がクリアされたら、海外取材にはノートパソコンの代わりに本製品を持っていきたいぐらいです。老眼の目には、23.8インチの大画面ってホントに快適なんですよ。

背面にはキーボードポケットが設けられています

背面にはキーボードポケットが設けられています

上面にはプライバシーカメラスイッチ、キャリーハンドル、下面にはキックスタンドを用意

上面にはプライバシーカメラスイッチ、キャリーハンドル、下面にはキックスタンドを用意

右側面には電源ボタン、輝度調節ボタン、HDMI入力切り替えボタン、HDMI入力端子、電源端子、左側面には音量調節ボタン、USB Type-Cポート、USBポートを配置。ディスプレイの角度は90〜100度の範囲で無段階に調節できます

右側面には電源ボタン、輝度調節ボタン、HDMI入力切り替えボタン、HDMI入力端子、電源端子、左側面には音量調節ボタン、USB Type-Cポート、USBポートを配置。ディスプレイの角度は90〜100度の範囲で無段階に調節できます

パッケージには本体、シェルパカバー、ACアダプター、電源ケーブル、キーボード用アルカリ単3乾電池4本、説明書類などが同梱

パッケージには本体、シェルパカバー、ACアダプター、電源ケーブル、キーボード用アルカリ単3乾電池4本、説明書類などが同梱

キーボードは日本語配列。「\」キー以外はすべて等幅に揃えられており、密着しているキーもありません

キーボードは日本語配列。「\」キー以外はすべて等幅に揃えられており、密着しているキーもありません

タッチパッドの面積は実測125×80mm

タッチパッドの面積は実測125×80mm

アルカリ単3乾電池4本を電源に使用します

アルカリ単3乾電池4本を電源に使用します

「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は5888ptsを記録

本製品はCPUに「Core i5-1335U」が搭載しています。Uシリーズのプロセッサーは省電力性能を重視したCPUですが、それでも10コア[2P+8E]、12スレッドと、多コア・多スレッドのCPUなので、「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は5888pts、CPU(Single Core)は1690ptsを記録しました。オフィスアプリ、動画視聴、Webブラウジング用途だけにはもったいないぐらいのパフォーマンスを備えています。当然のことながら、WQHD解像度でYouTube動画を再生しても、まったくカクツキなく、スムーズに表示されます。

「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は5888pts、CPU(Single Core)は1690pts

「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は5888pts、CPU(Single Core)は1690pts

ストレージはPCIe Gen4×4接続のSSDが搭載されており、ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 8.0.4」のシーケンシャルリードは3674.81MB/s、シーケンシャルライトは3068.69MB/sとなりました。PCIe Gen4×4接続のSSDとしては若干ガッカリ感が否めませんが、SSDの仕様のリード3600MB/s、ライト3000MB/sはしっかり超えています。

「CrystalDiskMark 8.0.4」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は3674.81MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は3068.69MB/s

「CrystalDiskMark 8.0.4」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は3674.81MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は3068.69MB/s

本製品はHDMI入力端子にゲーム専用機などを接続できるのが売りのひとつですが、単体での3Dゲーム性能はどの程度なのでしょうか? まずは「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」を実行したところ、平均フレームレートはHD(1280×720ドット)で66.0fps、フルHD(1920×1080ドット)で47.0fps、WQHD(2560×1440ドット)で30.9fpsとなりました。解像度を優先させるかフレームレートを重視するか悩ましいところですが、個人的にはフルHDのバランスがいいと思います。

「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」(2560×1440、標準品質、ノートPC)のスコアは4454(普通)

「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」(2560×1440、標準品質、ノートPC)のスコアは4454(普通)

「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」実行中の平均フレームレートは、HDで66.0fps、フルHDで47.0fps、WQHDで30.9fps

「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」実行中の平均フレームレートは、HDで66.0fps、フルHDで47.0fps、WQHDで30.9fps

実際のゲームでも滑らかさを見てみましょう。「フォートナイト」実行時の解像度別フレームレートを「MSI Afterburner」で計測したところ、フルHDで60.0fps、WQHDで36.0fpsとなりました。もちろんグラフィックのクオリティーを「パフォーマンスモード」という低負荷な設定に変更していますが、フルHDなら十分快適。WQHDでも個人的にはなんとか遊べますね。

「HP ENVY Move All-in-One 24」のネイティブ解像度のWQHDでも、実用的にプレイできる平均フレームレート(36.0fps)で動作します

「HP ENVY Move All-in-One 24」のネイティブ解像度のWQHDでも、実用的にプレイできる平均フレームレート(36.0fps)で動作します

ディスプレイ輝度50%、ボリューム10%で「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」をバッテリー残量5%までの実行した際のバッテリー駆動時間は2時間2分24秒、ディスプレイ輝度50%で「BBench」(キーストローク出力、Web巡回オン)を実行した際のバッテリー駆動時間は3時間39分52秒でした。屋外に持ち出すにはちょっと心許ないですが、自宅やオフィスで移動して使うのであれば十分なバッテリー駆動時間と言えます。

自宅のどこででも寝転んで使える「自堕落パソコン」として購入を絶賛検討中

「HP ENVY Move All-in-One 24」はフラッグシップノートPCと比べると、CPUは少々非力です。しかし23.8インチの大画面をバッテリー駆動でどこででも利用できるというのは大きなアドバンテージです。普段43インチのディスプレイで仕事している筆者にとっては、17インチのノートPCであっても画面サイズが物足りなくなるんですよね。CPUが非力と言っても、「フォートナイト」をプレイできるぐらいのパワーは備えています。

「使う場所を限定しないデスクトップ」というコンセプトに共感できる人なら、非常に魅力的なモデル。家族用のデスクトップPCとして使えるほか、家庭用ゲーム機用のディスプレイという1台で2役をこなしてくれます。筆者も自宅のどこででも寝転んで使える、「自堕落パソコン」として購入を絶賛検討中です!

ジャイアン鈴木
Writer
ジャイアン鈴木
レビューした製品を高確率で買ってしまう物欲系ITライター。守備範囲はPC、スマホ、VRがメイン。ゲーム、デジタルトイも大好き。最近サバゲにはまっています。愛車はスイフトスポーツで、断然マニュアル派です。
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水川悠士(編集部)
Editor
水川悠士(編集部)
デジタル系メディアから価格.comへ。スマホ、スマートウォッチなどのガジェット周り、ゲーム関連を担当。触ってきた製品は数えきれないほど多いです。価格.comマガジンのYouTubeにも出演中。
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