ひと昔前までは、10インチ超の大型Androidタブレットにはエントリー向けプロセッサーを搭載した非力なマシンが多かったですね。しかし、最近はミドルレンジ、ハイエンドクラスのSoCを搭載し、3Dゲームも含めて多彩な用途に活用できる大型タブレットが増えています。今回はそのひとつであるNECの14.5インチAndroidタブレット「LAVIE Tab T14 T1495/HAS」の実機レビューをお届けします。
NEC「LAVIE Tab T14 T1495/HAS」134,046円(税込。2024年4月3日時点の価格.com最安価格)。画像はキーボードカバー「キーボード&キックスタンド PC-AC-AD045C」装着状態
「LAVIE Tab T14」は、OSに「Android 13」、SoC(プロセッサー)にMediaTekの「Dimensity 9000」を採用。メモリーは12GB、ストレージは約256GBを搭載。また、最大1TBのmicroSDカードを利用可能なスロットが用意されています。
ディスプレイは14.5インチの有機EL(3000×1876、リフレッシュレート最大120Hz)を装備。サウンド機能としては、「Dolby Atmos」対応のJBL製スピーカー(8か所)、そしてアレイマイク(4か所)を内蔵しています。
カメラは背面に2つ(有効画素数約500万画素、CMOSカメラ、固定フォーカス、フラッシュ付き+有効画素数約1300万画素、CMOSカメラ、オートフォーカス)と、フロントに1つ(約1300万画素、CMOS、固定フォーカス)を搭載しています。
インターフェイスは、USB 3.2 Gen 1 Type-C×1(クライアント機能、OTG対応、映像出力機能付き、充電兼用)、USB 2.0 Type-C×1(クライアント機能、OTG対応、映像入力機能付き、充電兼用)を用意。ワイヤレス通信はWi-Fi 6E、Bluetooth 5.3をサポートしています。
本体サイズは327.8(幅)×210.8(高さ)×5.9(厚さ)mm、重量は約735g。12300mAhのリチウムポリマーバッテリーを内蔵しており、バッテリー駆動時間は約6時間(ウェブ閲覧時)、充電時間は約80分です。
ディスプレイ上部にはフロントカメラを内蔵。このカメラは顔認証に対応しています
本体背面。中央やや上寄りにあるのはキーボードカバーと接続するための金属接点です
本製品でフォーマットしたmicroSDXCメモリーカードは最大128GBまで対応。PCによってexFAT形式でフォーマットすれば最大1TBまで対応できます
ACアダプターの容量は68W、付属USB Type-Cケーブルの長さは実測150cm
ヘッドセットアダプターを使用すれば、3.5mmオーディオジャックを備えるイヤホンやヘッドセットを接続できます
「LAVIE Tab T14」は、型落ちとはいえフラッグシップ向けのSoCが採用されています。そのパフォーマンスを有効活用するため、ぜひ一緒に手に入れたいのが純正アクセサリー群。特にキーボードカバー「キーボード&キックスタンド PC-AC-AD045C」(公式サイト販売価格38,280円。税込)とスタイラスペン「デジタルペン2 PC-AC-AD033C」(公式サイト販売価格11,880円。税込)を組み合わせれば、「LAVIE Tab T14」を2in1PC的に活用可能です。
また本製品にはアプリをマルチウィンドウ環境で利用できる「PCモード」が用意されており、キーボードカバーに装着すれば自動的に切り替え可能。3Dゲーム「原神」もウィンドウ表示でプレイ可能。多くのアプリでマルチウィンドウ環境の恩恵を受けられます。
「PCモード」でゲームをウィンドウ表示すれば、攻略情報を見ながらゲームをプレイできます
「キーボード&キックスタンド」の背面には大きく穴が空いています。このキーボードカバーの重量は実測628g。少しでも軽量化するためにこのようなデザインになっているものと思われます
こちらは「タブレットカバー PC-AC-AD046C」(公式サイト販売価格10,978円)。ビューワースタイルで設置可能です
タブレットカバーの重量は実測278g
背面には「デジタルペン2」を収納できます。また、この状態ではスタイラスペンをワイヤレス充電可能です
「デジタルペン2」はスタイラスペンとしては本格的な仕様。本体背面に近づければ磁力で吸着され、ペアリングと充電が可能。4096段階の筆圧検知だけでなく、傾き検知にも対応。イラストなど描く際に、線の濃淡や太さを繊細にコントロール可能です。また、アプリ「CLIP STUDIO PAINT EX」(3か月無料、特典を初めて使う人が対象)もプリインストールされているので、購入してすぐに創作に活用できます。
ペン先の書き味はやや硬め。個人的には軟らかいペン先も同梱してほしかったところです
書道アプリ「Zen Brush 3」で傾き検知が機能することを確認しました
キーピッチは実測19.2mm前後、キーストロークは実測1.4mm前後。一部キーは密着していますが、慣れればフルスピードでタイピングできるキーボードです
「LAVIE Tab T14」は、2021年に発表されたフラッグシップ向けSoC「MediaTek Dimensity 9000」を搭載しています。今回定番ベンチマークを実行したところ、「AnTuTu Benchmark V10.2.4」の総合スコアは1067420となりました。記事執筆時点のランキング1位は「Snapdragon 8 Gen 3」を搭載する「ROG Phone 8 Pro」で、総合スコアは2157660。つまり「LAVIE Tab T14」は「ROG Phone 8 Pro」の約49%相当のスコアということになります。
スコア的には見劣りするものの、「LAVIE Tab T14」は「原神」などのスマートフォン向け3Dゲームであれば快適にプレイできるパフォーマンスを備えています。また、リフレッシュレート120Hzの14.5インチ有機ELディスプレイでは、6インチクラスのスマートフォンよりはるかに大きな画面でグラフィックを楽しめます。もちろん、画質を優先させるのであれば最新SoCを採用したゲーミングスマートフォンのほうが上。しかし、ゲームに勝つことを重視するなら、索敵しやすい「LAVIE Tab T14」はよい選択肢です。
「AnTuTu Benchmark V10.2.4」の総合スコアは1067420、「Geekbench 6.2.2」のMulti-Core Scoreは4368、Single-Core Scoreは1616、「3DMark」のWild Lifeのスコアは7816
室温22.4度で「AnTuTu Benchmark V10.2.4」を実行した際の背面温度は最高34.4度
14.5インチの大画面では画面上でのタップ、スワイプ操作が快適です
本製品は背面に約1300万画素カメラと約500万画素カメラをデュアルで搭載しています。今回は曇天という悪条件でテスト撮影してみましたが、1300万画素カメラの画質は良好ですね。メモ用としてではなく、思い出を残すカメラとしても活用できる画質を備えています。ただし、約500万画素カメラはさすがに解像感が物足りなく感じました。こちらはいざというときに利用するカメラと考えたほうがよさそうです。
背面には約1300万画素カメラと、約500万画素カメラをデュアルで搭載しています
約500万画素カメラで撮影
約1300万画素カメラで撮影
約1300万画素カメラで撮影(デジタルズーム2倍)
約1300万画素カメラで撮影(デジタルズーム8倍)
約1300万画素カメラで撮影
約1300万画素カメラで撮影
約1300万画素カメラで撮影
「LAVIE Tab T14」に搭載されているSoCは2021年に発表されたもの。2024年の最新ゲーミングスマートフォンなどと比べるとベンチマークスコアには大きな差があります。しかし、そのぶん最新SoCを搭載した他社製タブレットよりも価格は抑えられています。しかも、ゲーム機やコンテンツビューワーとしての体験を大きく左右するディスプレイは最大120Hz駆動の有機ELディスプレイ、スピーカーは「Dolby Atmos」対応とAV周りの機能にはしっかりとコストがかけられています。また、タッチパッド付きのキーボードカバー、筆圧&傾き検知対応のスタイラスペンも使いやすく、画面サイズを生かしたクリエイティブ作業にも適しています。
ピークパワーではなく一般的な用途でのコスパを重視するなら、「LAVIE Tab T14」は魅力的な選択肢と言えます。