過酷なアウトドア環境をもつフィンランドにて、ワイヤレス心拍モニターを世界で初めて開発したポラール。アウトドアのフィールドをとおして磨かれたタフなデバイス、心拍センサー、GPSは、現在スマートウォッチとしてプロのアスリートやスポーツを日常的に楽しむ人々から支持されています。そんなポラールの真骨頂として登場したのが、プレミアムなアウトドアスマートウォッチ「Grit X2 Pro Titan」です。
チタンケースを採用した「Grit X2 Pro Titan」のメーカー公式価格(以下同)は、140,800円(税込)。ステンレスケースのバリエーションモデル「Grit X2 Pro」は、価格121,000円(税込)
「Grit X2 Pro Titan」は、耐久性と軽さにすぐれるチタンケースを採用。さらに、精度の高い心拍センサーによる健康管理機能と、GPS精度を生かしたナビゲーション機能を搭載した、ポラールのフラッグシップモデルです。まずは、その堅牢さとアウトドアに適した機能的デザインをチェックしてみましょう。
ベゼルとケースに航空機にも使われるチタンを採用することで、48g(バンド除く)と軽く、厳しい環境下に対応する耐久性を備えています。さらに、耐久性の証しとして、アメリカ国防総省制定のMIL規格(MIL-STD-810H)に準拠しており、急激な気圧の変化や−20度〜50度の気温変化、最大100mまでの耐水性、対落下衝撃、塩水の腐食耐久といった、極限環境での耐久テストをクリア。アウトドア環境での使用において、大きな安心材料となるでしょう。
ディスプレイには、高級腕時計にも使用される「サファイアガラス」を採用。傷が付きにくいのでヘビーユースも問題なし
操作は、タッチ対応ディスプレイと5つの物理ボタンで行います。直径48.6mmと本体サイズが大きいうえに、アウトドアモデルということもあり、グローブを装着したまま操作ができるように物理ボタンが搭載されています。タッチ操作も、ボタン操作も、どちらも操作ミスすることなく、扱いやすいです。
物理ボタンは左側に2つ、右側に3つ。左側にはディスプレイを点灯させるLIGHTボタンとバックボタン。右側には決定ボタン(中央)と、アップ/ダウンボタンを備えます
運動しながらスマートウォッチを確認する場合は、見る角度がさまざまなうえ、チラ見になってしまうことも多いです。しかし、本機は視野角の広い有機ELディスプレイを採用しており、動きながらでも、しっかりと数値や文字が確認できます。
大きな1.39インチ有機ELディスプレイは、野外や明るい場所でも視認性が高いです
「Grit X2 Pro Titan」は、通常使用で最大10日間の連続稼働が可能。デュアルバンドGPSを起動したトレーニングモードでは最大43時間、さらに、シングルバンドGPSでの省電力トレーニングモードでは、約140時間もの稼働が可能とのことです。
これらのロングバッテリー性能と、MIL規格に準拠する幅広い外気温への対応や海水の腐食耐性は、丸2日間に及ぶ長距離のトレイルランニングや、海を泳ぐトライアスロンなど、過酷なレース環境でも信頼できるタフさを備えています。
前モデルの「Grit X Pro」からアップデートされているのが「ナビゲーション機能」です。ポラールの公式アプリ「Polar Flow」から、事前に必要な地図を「Grit X2 Pro Titan」にダウンロードしておけば、オフライン状態でもスマートウォッチで地図を表示して現在地の確認ができます。地図の拡大や縮小といった操作もスムーズです。
さらに、ルート作成アプリ「Komoot」との連携により、オフライン環境下でもマップを見ながらのルートナビゲーション機能が使用できるようになっています。アプリで登山ルートやサイクリングロードマップを作成し、スマートウォッチにルート情報をインポートしておけばOK。また、道に迷ってしまった場合は、「スタート地点に戻る」機能により、進むべき方向と正しいルートを示してくれるのも、いざという時のレスキュー機能として、かなり役立ってくれそうです。
スマホを取り出すことなく、スマートウォッチで地図と現在地が確認できるのはありがたい
ポラールの"要"とも言える心拍センサーには、ポラールのスマートウォッチで最も精度の高い「Elixirバイオセンシングテクノロジー」を搭載した第4世代光学式心拍センサーを搭載。血中酸素濃度や心拍数はもちろん、皮膚体温までも計測でき、専門性の高い身体情報の計測が可能です。運動中や睡眠時など、計測の難しいタイミングでも、過度に締め付けることなく、正確に計測できるようです。
消費電力効率が上がった最新の心拍センサーは、運動中や光の漏れによる計測ミスを大幅に軽減
睡眠モニタリングに関しては、今や多くのスマートウォッチに搭載される定番の機能ですが、「Grit X2 Pro Titan」は、「睡眠ステータス」と「自律神経ステータス」という2種類の基準で睡眠の計測を行うのが特徴です。「睡眠ステータス」では、トータルの睡眠時間や、深い/浅い睡眠、レム睡眠の時間といった、睡眠中の状態を計測。いっぽう「自律神経ステータス」では、眠りについた最初の数時間で、自律神経がどの程度落ちついたかを計測。これら2つのステータスから、睡眠を深く分析します。
これによって、単純な睡眠のスコア化だけではなく、日中の活動量が与えた睡眠時の回復度合いや、睡眠の質に悪影響を与えた日中の活動を分析し、アプリ「Polar Flow」にて、よりよい睡眠のためのヒントが提供されます。
自律神経の落ち着き度合いと睡眠の質、2種類の評価軸で睡眠をモニタリングできます
日々の活動量と睡眠データから、その日の最適な入眠時間を教えてくれる「日中活性ガイド」機能も便利です
運動中のデータ計測やGPSの精度を確認するために、ランニングを実施してみました。この「Grit X2 Pro Titan」では、一般的なランニングデータに加えて「昇降速度」と「平均登坂速度」が計測できます。これは起伏のあるルートでの上昇と下降の移動速度を計測するもので、レース中でのペース配分やスタミナの残り具合を確認するための指標になります。今回は、平坦なルートでのランニングだったため、あまり重要ではありませんが、トレイルランニングで山を走る人にとっては、重宝する機能でしょう。
上昇・下降の自動計測は、登山での現在地の把握にも役立つ機能です
ランニングをしながら使ってみたところ、休息もしっかりとるように、ユーザーにうながしてくれるのが印象的でした。運動をしすぎると、体の限界を知らせてくれ、休息を提案してくれます。使い続けていくことで、個人の運動データが蓄積され、より最適な休養と運動のタイミングを教えてくれるようになります。
トレーニング内容の詳細なデータはアプリ「Polar Flow」から確認できます
また、疲労状態を「筋肉の疲労」と「心肺の疲労」の2種類に分けて表示されるところもユニークです。長く計測を続けることで、疲労からの回復時間の精度も上がり、リフレッシュした状態で次のトレーニングに臨むタイミングを知ることができます。
運動後には、消費カロリーが表示されるだけでなく、炭水化物、タンパク質、脂質が、それぞれどれくらい消費されているかも表示されます。カロリー消費量だけでなく、運動後の消費栄養成分までも把握できることは、かなりマニアックと言えるでしょう。
ランニングによる筋肉への負荷を計測したデータも詳細です
自分のコンディションを正確にチェックできる「テスト」機能もかなりマニアックな部類に入るでしょう。「テスト」には、ウォーキング、ランニングなど、スマートウォッチの指示するメニューにしたがって運動することで、「最大酸素摂取量(Vo2MAX)」を割り出すことが可能です。「最大酸素摂取量」を自動で算出するスマートウォッチもありますが、実際にテストを行うことで、かなり精度の高い数値を把握することができ、トレーニングの進捗や健康状態の確認に利用できます。
定期的に「テスト」を行うことで、現在の自分のコンディションを正確に把握できます
「Grit X2 Pro Titan」は、ポラールウォッチ史上、最も精度の高い心拍センサーを搭載したモデルです。トレイルランニングやトライアスロンなど、激しくトレーニングをしている人にとっての最強の相棒となってくれるでしょう。さらに、スマートウォッチを健康管理に使用したい人にとっても、精度の高いモニタリングは、きわめて有効な選択肢であると思います。アクティビティ計測が少々ハイスペックすぎる気もしますが、着用していると、表示される自分自身の見知らぬデータに出会い、思わず運動したい気持ちをうながしてくれるスマートウォッチです。