レビュー

大きく生まれ変わった「Surface Laptop(第7世代)」は2024年のスタンダード的存在!

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

「Surface Laptop(第7世代)」は、マイクロソフトから登場した新しいスタンダードともいえるクラムシェル型のノートPCです。デザインこそ一般的なノートPCといった佇まいですが、CPUアーキテクチャの変更やAI機能の搭載など、注目すべき点がいくつか備わっています。

そこで本記事では「Surface Laptop(第7世代)」をレビューしていきます。

「Surface Laptop 第7世代 13.8型/Snapdragon X Elite/16GBメモリ/512GB SSD搭載モデル」229,980円(税込。2024年8月5日時点の価格.com最安価格)

「Surface Laptop 第7世代 13.8型/Snapdragon X Elite/16GBメモリ/512GB SSD搭載モデル」229,980円(税込。2024年8月5日時点の価格.com最安価格)

今回使用したモデルのスペック
CPU:Snapdragon X Elite(12 コア)
メモリー:16GB
ストレージ:512GB SSD
ディスプレイ:13.8型 PixelSense Flow ディスプレイ
解像度:2304×1536
リフレッシュレート:最大120Hz
タッチ機能:10 ポイント マルチタッチ
接続:USB4 Type-C/Thunderbolt4兼用×2、USB3.1 Type-A×1、3.5 mm イヤホンジャック
ネットワーク:Wi-Fi 7
本体サイズ:301(幅)×17.5(高さ)×220(奥行き) mm
重量:1.34kg

「Surface Laptop(第7世代)」とは?

・「Copilot+ PC」に対応するAIパソコン
・携帯利用に向いた13.8型と据え置き向きの15型を展開
・グラフィック関係以外にはほぼ対応可能な万能機

PC本体、充電用ACアダプター、電源ケーブルのシンプルなセット。アダプターは電源ケーブルと分かれるタイプ

PC本体、充電用ACアダプター、電源ケーブルのシンプルなセット。アダプターは電源ケーブルと分かれるタイプ

マイクロソフトといえば、世界最大のシェアを誇るWindows OSを開発している大企業。Surfaceはそんなマイクロソフトが展開しているPCシリーズです。Windows OS のPCはさまざまなメーカーから発売されていますが、そのWindows OSそのものを作っている会社がPCも作っている、というのがSurfaceシリーズの強みとなります。

Surfaceシリーズは、持ち運びに向いた2-in-1モデルの「Surface Pro」や、高いスペックの「Surface Laptop Studio」、価格を抑えた「Surface Laptop Go」などが展開されています。本機「Surface Laptop(第7世代)」は、シリーズの中ではスタンダードな位置づけのモデル。"ノートPC"と言われて想像する、最も標準的なモデルとなります。

標準的ということは、多くの人にとって過不足なく使えるということ。価格、スペック、デザイン、機能、それぞれの要素が高水準にまとまっており、「WindowsノートPCを探している」といった状況であればとりあえず候補にあげていいモデルです。タッチディスプレイも付いており、手書きサインが必要なビジネスシーンにも対応できます。

■「Surface Laptop(第7世代)」 筆者による評価チャート

満足度…4
デザイン…5
処理速度…4
グラフィック性能…3
拡張性…4
使いやすさ…4
持ち運びやすさ…4
バッテリー…4
画面…4
コスパ…3

評価チャートについて
・実際に製品を使用して、価格.com「ノートパソコン」カテゴリーのユーザーレビューと同じ評価項目で点数を付けました。
評価項目:満足度、デザイン、処理速度、グラフィック性能、拡張性、使いやすさ、持ち運びやすさ、バッテリー、画面、コストパフォーマンス
点数:5点満点(標準点は3点)
・本記事を執筆した筆者による個人的な評価です。評価は個人によって変わりますので、あくまでも参考程度にとどめてください。
価格.com「ノートパソコン」カテゴリーのユーザーレビュー一覧

チャートの評価については、処理速度、使いやすさ、バッテリーといった、使い心地に影響する点は概して高く評価しました。デザインも洗練されており、機能面だけでなく所有欲の面でも高い満足度が得られます。

いっぽうで、ゲーミングPCのように強力なグラフィック性能を有しているわけではありません。そのため、PCゲームや動画編集、3DCGソフトといった、PCに強い負荷がかかる作業はあまり得意ではありません。こういった作業を想定している場合は、ビデオチップを搭載するなどGPU性能にすぐれたノートPCを選んだほうが得策でしょう。

ここからは、筆者が実際に使用してみて感じた「Surface Laptop(第7世代)」の特徴を紹介していきます。なお、画面サイズ13.8型、プロセッサー12コアのモデルを使用しました。

上質でシンプルな筐体デザイン

「Surface Laptop(第7世代)」のサイズ/重量
サイズ:301(幅)×17.5(高さ)×220(奥行)mm
重量:1.34kg

情報量を抑えた、ミニマムで上質なデザイン。天板のWindowsロゴは鏡面反射仕上げ

情報量を抑えた、ミニマムで上質なデザイン。天板のWindowsロゴは鏡面反射仕上げ

まずはデザインについて。Windowsを搭載したノートPCとしては、ミニマムで美しいデザインだと感じました。他メーカーのノートPCの場合、たとえばメーカーのロゴやメーカー独自の個性を盛り込むことでデザインの差別化を図るケースが多いと筆者は感じます。しかし、本機はアルミ合金の外装とWindowsのロゴが見えるのみ。主張が少ないともとれますが、この最小限の佇まいを実現できるのは、Windowsそのものを手掛けるマイクロソフトならではでしょう。

各辺はエッジがやや丸められており、ただのアルミの物体というよりもインテリアのような佇まいに見える

各辺はエッジがやや丸められており、ただのアルミの物体というよりもインテリアのような佇まいに見える

このミニマムなデザインと高水準な基本機能から、本機はアップルの「MacBook Pro」ともしばしば比較されます。OSが異なるため同じ土俵で語ることは困難ですが、「MacBook Pro」を愛機としている筆者から見れば、これこそマイクロソフト版の「MacBook Pro」といったモデルです。

重量は1.34kg。軽量とは言えませんが、バッグの中でズシッと重さを感じるほどでもありません。バッテリー時間は20時間の動画再生を実現しており、かなりのロングスタミナモデルです。実際のレビュー時も、ブラウジングや文書執筆といった作業であれば3日間ほど充電せずとも使用できました。朝から晩まで使い倒すビジネスシーンでも、1日程度であれば充電なしで過ごせる場面は多いでしょう。

操作性抜群のタッチパッド

操作性にすぐれたタッチパッドは、筆者の最推しポイント。色の統一性も美しい。キーボードにはCopilotキーも搭載されています。ちなみにCopilotキーを搭載し、Copilotを一発で呼び出せます。手軽に生成AIを使うのに、キーを押すだけで起動できるのはいいですね

操作性にすぐれたタッチパッドは、筆者の最推しポイント。色の統一性も美しい。キーボードにはCopilotキーも搭載されています。ちなみにCopilotキーを搭載し、Copilotを一発で呼び出せます。手軽に生成AIを使うのに、キーを押すだけで起動できるのはいいですね。

関連記事
「Copilot+PC」で何ができる? デル「XPS 13」でAI機能をレビュー
「Copilot+PC」で何ができるかを解説
「Copilot+PC」で何ができる? デル「XPS 13」でAI機能をレビュー
マイクロソフトが打ち出したWindowsパソコンの新しいカテゴリー「Copilot+PC」。デルの「XPS 13 9345」を使って、「Copilot+PC」で何ができるのかを見ていきましょう。
2024/08/04 08:00

本機で特に感動したのが、タッチパッドの操作性です。非常に快適で、一切ストレスなく操作できました。手触りはアルミの外装よりもさらにサラリとしており、指の腹から先端に移るようなわずかな動きもしっかりと検知してくれます。動かしているときも指先が摩擦で引っ掛かることはなく、思ったとおりのポインタ操作が可能です。これほど快適なタッチパッドを持つノートPCは、なかなかありません。

キーボードのキーピッチは19mm。静音性が高く、外出先でもタイピング音を気にすることなく作業ができる

キーボードのキーピッチは19mm。静音性が高く、外出先でもタイピング音を気にすることなく作業ができる

キーボードの操作性も良好でした。タイピング音の高域が抑えられていて、「カチャッ」というよりも「トンッ」と表現したほうが近いイメージです。勢いよくタイピングしてもうるさい印象がないため、原稿執筆や資料作りといった作業時でも快適に使えるでしょう。

細やかな点として、キーボードとタッチパッドの色が、本機の本体カラーと統一されているのも美しいです。「Surface Laptop(第7世代)」には、サファイア、デューン、プラチナ、ブラックの4カラーが展開されており、いずれもキーボードおよびタッチパッドの色と外装の色が統一されています。

事務作業がしやすい3:2のディスプレイ

4つのウィンドウを並べた様子。ディスプレイが縦に長いおかげで、それぞれのウィンドウにおける縦方向の情報が多い

4つのウィンドウを並べた様子。ディスプレイが縦に長いおかげで、それぞれのウィンドウにおける縦方向の情報が多い

本機の画面比率は、3:2が採用されています。先述したアップル「MacBook Pro」の画面比率16:10よりも、やや縦に長い仕様です。

この縦長画面はPC作業において非常に有効で、近年はPC向けモニターでも3:2のモデルが増えてきました。というのも、PCで閲覧する資料は縦に長いことが多いため、当然ディスプレイも縦方向に広いほうが画面内に表示できる情報量が増えるのです。PDF文書なども縦にスクロールするのが一般的ですし、ブラウジング時も縦にスクロールするのが一般的ですからね。

横に長いディスプレイは動画視聴などにおいて快適ですが、通常の作業の効率を優先するなら3:2の画面比率が有利でしょう。実務において求められる要素をしっかり押さえているのも、本機の魅力です。

クアルコム製CPUを採用。気になるソフトの互換性は?

「Surface Laptop(第7世代)」は、CPUにクアルコムの「Snapdragon X Elite(12コア)」、もしくは「Snapdragon X Plus(10コア)」を採用しています。Windows OSのCPUといえばインテルあるいはAMDのものが主流でしたが、どちらでもないクアルコムを採用したことは市場的には大きな驚きでした。

こうなると気になるのが、ソフトの互換性。ソフトによってはインテルのCPUでしか動作しないものもあるため、「Surface Laptop(第7世代)に買い替えたことで今まで使っていたソフトが動かなくなった!」、なんてことになってしまっては一大事です。

結論から述べると、市場で利用されている多くのソフトは本機でも問題なく動作します。すべてのソフトが動作するかは保証できませんが、新型のエミュレーター「Prism」のおかげでx86ソフトも遅延なく動きます。個人開発レベルのソフトまではわかりませんが、業務などで必要な主要ソフトは問題ないと見てよいでしょう。レビュー時でも「DaVinci Resolve」などいくつかのソフトを実行しましたが、問題なく動作しました。

しかし、Adobe製の一部ソフトや「Fortnite」といったゲームが、本機では利用できなかった報告もされています。これらの報告は2024年7月時点で筆者が確認したものですが、市場的にはアップデートで改善されるだろうと予想しています。アップデートの時期などはわかりませんが、愛用しているソフトの動作環境が気になる人は逐次チェックしておくことを推奨します。

各種ベンチマークの結果

最後に、本機でのベンチマーク結果を列記します。前提として、本機はグラフィック性能に重点を置いていないため、ゲームの快適さやグラフィック性能はそれほど高くありません。

ですが、意外によい結果が出たなというのが正直な感想です。まずはPCゲーム「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー」のベンチマーク結果から。

「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー」の計測結果。なお、ベンチマークはすべてUSB 4からの急速充電環境で測定

「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー」の計測結果。なお、ベンチマークはすべてUSB 4からの急速充電環境で測定

画質モードを高品質に設定した状態で、スコアは「普通」との評価をもらえました。グラフィック設定や解像度をいくらか下げれば、かなり現実的なプレイ環境となりそうです。

「Cinebench R23」の計測結果

「Cinebench R23」の計測結果

続いてはCPUとGPUの性能を計測する「Cinebench R23」をテスト。マルチコアで5979pt、シングルコアで1204ptと出ました。近いスコアのCPUに「Ryzen 5 5600U」や「Core i7 11390H」などがあり、コスパにすぐれた省電力CPU帯に所属している印象です。

「3DMARK」のFire Strikeの計測結果。同価格帯のゲーミングPCに比べると、かなり低い数値

「3DMARK」のFire Strikeの計測結果。同価格帯のゲーミングPCに比べると、かなり低い数値

次はGPU性能を計測する「3DMARK」のFire Strikeをテスト。こちらはGPU性能を中心に見ていくものなので、かなり低い結果となりました。計測中の映像もかなりカクカクしており、ゲーミング的な用途には向いていない結果といえます。

「Geekbench」のCPUスコアの計測結果。省電力CPUながら高いスコア

「Geekbench」のCPUスコアの計測結果。省電力CPUながら高いスコア

最後は総合的なPC性能の指標となる「Geekbench」をテスト。シングルスコアが際立って高く、デスクトップ向けCPU「Core i9-12900KS」をも上回る数値を叩き出しました。システム全体の応答性にも関わる部分なので、サクサク動くPCであることがわかります。

「Geekbench」のGPUスコアの計測結果。やはりグラフィックに関する性能は高くない

「Geekbench」のGPUスコアの計測結果。やはりグラフィックに関する性能は高くない

同じく「Geekbench」から、GPU性能が確認できるOpenCLもテスト。2016年登場の低価格GPU「GeForce GTX 1050 Ti」と近い数値で、やはりGPU性能の低さが出ています。

まとめ 高水準な基本機能を備えるAIノートパソコンのスタンダード

ゲームや映像制作といった専門的な分野以外では、高い性能を誇るスタンダードなノートPC。新しく搭載されたAIに関する機能の進化にも期待

ゲームや映像制作といった専門的な分野以外では、高い性能を誇るスタンダードなノートPC。新しく搭載されたAIに関する機能の進化にも期待

今回レビューした「Surface Laptop(第7世代)」の価格は、229,980円(13.8型、Snapdragon X Elite 12コアを選択し税込。2024年8月5日時点の価格.com最安価格)。ベンチマーク結果を見るとスペックに対してやや割高だなという印象ですが、実は本機には永続で使える「Office Home & Business 2021」がプリインストールされています。このソフトの価格が43,980円(メーカー公式価格)なので、実機のみのコスパを見るならソフトの価格を差し引いて20万円を切ります。その価格でこのデザインとスペックなら、悪くないなというのが正直な感想です。

また、本機はマイクロソフトが提唱する「Copilot+ PC」に準拠したモデルの旗手的存在でもあり、AI処理に特化したNPUは45TOPSもの演算性能を誇ります。ちなみに今回のレビューではあまり触れていませんが、実機を触った印象としてAIを使った機能の多くは、実務で使うにはまだ荒削りな印象。このAI機能のために本機を購入するかと問われれば、現状ではそこまでの魅力は感じませんでした。

とはいえ、AIに関する研究はかつてない速度で進んでおり、業務レベルで活用できるようになる未来もそれほど遠くはないでしょう。AI機能に関する最新のアップデートを享受できるという意味では、マイクロソフト純正のハードウェアほど信頼できるものはありません。

高い基本性能と高品質なデザインを備えた「Surface Laptop(第7世代)」は、シングルコア性能の高さも相まって、快適に操作できるノートPCでした。特徴とされているAI機能に関してはこれからのアップデートに期待といったところですが、AI機能を抜きにしても十分に魅力的なモデルです。漠然と「性能にすぐれたWindowsノートPCが欲しい」といった場合は、まずは本機を基準にほかのモデルを検討してみることで、自分のニーズを明確にできるでしょう。

ヤマダユウス型
Writer
ヤマダユウス型
ガジェット、音楽、楽器を主食とするライター。電気の通るモノに囲まれた生活を送りつつ、休日は登山やキャンプで魂を漂白している。
記事一覧へ
柴田崇志(編集部)
Editor
柴田崇志(編集部)
モノ雑誌で10年弱編集を経験した後、カカクコムに入社。前職ではAV家電やカメラを中心に幅広い製品を担当。スペックからわかりづらい製品の違いをわかりやすく説明したいです。
記事一覧へ
記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
本ページはAmazonアソシエイトプログラムによる収益を得ています
関連記事
SPECIAL
ページトップへ戻る
×