レビュー

折りたたんだままでも便利! モトローラのハイエンドスマホ「razr 50 ultra」

モトローラから折りたたみスマートフォン「razr 50 ultra」が登場。2024年9月27日に発売された「razr 50」のハイエンド版であり、プロセッサーを含めたスペックがアップグレードしている。ボディの縁ギリギリまで大きくなったアウトディスプレイを搭載し、使い勝手も向上。まさにフラッグシップモデルと呼べるハイエンドスマートフォンの実力をチェックしよう。

モトローラ「razr 50 ultra」、公式サイト販売価格178,800円(税込)、2024年12月6日発売

モトローラ「razr 50 ultra」、公式サイト販売価格178,800円(税込)、2024年12月6日発売

折りたたんだままでもアプリが使える

「razr 50 ultra」最大の魅力は、折りたたんだままでもさまざまなアプリが使えるアウトディスプレイだ。4インチの大きな有機ELディスプレイ(pOLED)を搭載し、解像度は1272×1080、リフレッシュレートは165Hzときわめて滑らか。さらに、「HDR10+」にも対応しており、コントラストの高い鮮やかな映像を味わえる。

「YouTube」で動画を再生。映像は発色よく精細だ

「YouTube」で動画を再生。映像は発色よく精細だ

画面が正方形に近いため、「YouTube」での動画再生は、通常の横長動画よりも、ショート動画のほうが、大きく表示され見やすかった

画面が正方形に近いため、「YouTube」での動画再生は、通常の横長動画よりも、ショート動画のほうが、大きく表示され見やすかった

たとえば、朝の通勤電車の中で動画を見たい時、このアウトディスプレイでの動画再生はかなり重宝するはず。ひと昔前の、新聞を細く縦に折りたたんで読む通勤スタイルを彷彿させる。

アウトディスプレイには自分の好きなアプリを配置できる。よく使うアプリを並べておけば、ポケットから取り出してすぐ、スマートフォンを折りたたんだまま、アプリを起動できる。

折りたたんだ状態でのサイズは、約88.09(高さ)×73.99(幅)×15.32(厚さ)cm。重量は約189g

折りたたんだ状態でのサイズは、約88.09(高さ)×73.99(幅)×15.32(厚さ)cm。重量は約189g

「PayPay」でのQR決済も折りたたんだままでOK

「PayPay」でのQR決済も折りたたんだままでOK

折りたたんだまま「LINE」のメッセージを確認、返信できる

折りたたんだまま「LINE」のメッセージを確認、返信できる

アウトディスプレイでの表示が最適化されていないアプリもあるが、使用できないわけではない。上記の「LINE」も最適化(2024年12月3日時点)されていないようだったが、アウトディスプレイで起動してみても特に気になるところはなく使用できた。表示部分にレンズが干渉するのが気になる場合は、表示サイズは変更することで、全画面ではなくなるが、干渉は避けられる。

先んじて発売された「razr 50」では、アウトディスプレイでの「Googleマップ」の表示が少し窮屈に感じていたが、「razr 50 ultra」では、ディスプレイサイズがひと回り大きくなった分、地図の見やすさが向上していた。目的地を指定しての経路検索は、表示領域が狭く見づらかったが、現在地の確認には便利だった。

「Googleマップ」は、「razr 50 ultra」のアウトディスプレイの大きさに恩恵を感じた

「Googleマップ」は、「razr 50 ultra」のアウトディスプレイの大きさに恩恵を感じた

また、アウトディスプレイで操作していたアプリは、スマートフォンを開くと、メインディスプレイに継続して表示される。

スマートフォンを開くと、アウトディスプレイで操作していた「Googleマップ」が、メインディスプレイでの表示へとスムーズに移行された

スマートフォンを開くと、アウトディスプレイで操作していた「Googleマップ」が、メインディスプレイでの表示へとスムーズに移行された

AI搭載カメラが思いのままの写真をサポート

「razr 50 ultra」には、モトローラ独自のAI機能「moto AI」を搭載。被写体の動きをブラさずに撮る「アクションショット」、AIが被写体を認識しトラッキングする「自動フォーカストラッキング」など、各種AI機能によって、撮影者の思いのままに、クオリティーの高い写真撮影が可能となる。

メインカメラで「アクションショット」をONにした作例。走っている犬の動きもブレずに撮影できた

メインカメラで「アクションショット」をONにした作例。走っている犬の動きもブレずに撮影できた

背面には2基のカメラを搭載。メインカメラは5000万画素、F1.7。光学手ブレ補正を搭載し、すべてのピクセルでオートフォーカスを実行する精度の高いピント補正機能が備わっている。さらに、望遠カメラは5000万画素、F2.0。最大2倍の光学ズーム、AI補正の30倍デジタルズームに対応する。

カメラアプリでは、等倍、2倍、4倍の3段階でステップ。さらにAI補正による30倍までのズームが搭載されている。

メインカメラの等倍で撮影

メインカメラの等倍で撮影

望遠カメラの光学2倍ズームで撮影

望遠カメラの光学2倍ズームで撮影

望遠カメラの4倍で撮影

望遠カメラの4倍で撮影

AIが関与するデジタル30倍ズームで撮影

AIが関与するデジタル30倍ズームで撮影

折りたたみスマートフォンならではの撮影方法として、机などに置いた状態での撮影が可能。フレーム内の全員が笑顔になると撮影する「自動スマイルキャプチャ」機能や、手のひらで合図を出せる「ジェスチャー自撮り」機能を使えば、スマートフォンに触れずに自撮りも可能だ。

アウトディスプレイでプレビューを確認しながら撮影できる

アウトディスプレイでプレビューを確認しながら撮影できる

「moto AI」は、動画撮影にも対応。動く被写体に対しても、AIが手ブレ補正とオートフォーカスを調節し、動画のクオリティーを高めてくれる。

卓上「音楽プレイヤー」に早変わり

「razr 50 ultra」は、途中まで折り曲げた状態で、音楽アプリを起動すれば、卓上の「音楽プレイヤー」に早変わり。アウトディスプレイ用として用意された、おしゃれな「音楽プレイヤー」のスキンとともに音楽再生が楽しめる。さらに、「Dolby Atmos」に対応しており、立体感のある音楽再生を味わうことも可能だ。

筆者お気に入りのスキン「レトロ」は、音源のジャケットがレコードのようにくるくる回る

筆者お気に入りのスキン「レトロ」は、音源のジャケットがレコードのようにくるくる回る

「音楽プレイヤー」から設定できるスキンは、おしゃれなものばかり

「音楽プレイヤー」から設定できるスキンは、おしゃれなものばかり

ハイエンドなスペックを搭載

「razr 50 ultra」のOSは「Android 14」、プロセッサーは、クアルコムが展開するハイエンド向けSoCのなかでも廉価版にあたる「Snapdragon 8s Gen3」を搭載。一般流通向けの12GBメモリー+512GBモデルと、ソフトバンク限定の12GBメモリー+256GBモデルの2つを展開する。Felica、NFCにも対応しており、「おサイフケータイ」などの電子決済サービスも利用可能だ。

メインディスプレイは、約6.9インチの有機EL(pOLED)ディスプレイを採用し、解像度はフルHD+(2640×1080)、鮮やかで精細な印象だ。画面中央の折りたたみ部分は、光の当たり具合によって、凹凸が感じられることもあるが、操作中や動画閲覧時に、気になることはほぼなかった。

開いた状態のサイズは、約73.99(幅)×171.42(高さ)×7.09(厚さ)mm

開いた状態のサイズは、約73.99(幅)×171.42(高さ)×7.09(厚さ)mm

背面の下部は、やわらかくしっとりとした質感のヴィーガンレザーを採用

背面の下部は、やわらかくしっとりとした質感のヴィーガンレザーを採用

防水性能はIPX8に準拠しており、日常的な使用での防水性は問題ないだろう。防塵性能は保証されていないため、ヒンジ部分は、ほこりや塵が入りづらいよう工夫されているが、砂地や野外環境での使用には配慮したほうがよさそうだ。

完全に閉じた状態でも開いた状態でも、それぞれカチッと固定され、中途半端な角度で開閉を止めたとしても、角度が勝手に変わることはない。自由な角度で扱えるのは、ヒンジの高い完成度が成せる技だろう。

プロセッサーの実力をチェック

「razr 50 ultra」に搭載されるプロセッサー「Snapdragon 8s Gen3」の実力を測るため、定番ベンチマークソフト「AnTuTu」でテストした結果、スコアは約136万となった。最新世代の廉価版SoCとしては、想定どおりのスコアだ。

「AnTuTu」によるベンチマークスコアは「1356565」であった

「AnTuTu」によるベンチマークスコアは「1356565」であった

「Snapdragon 8s Gen 3」は、「Snapdragon 8 Gen 3」と比較すると、CPUのスコアにそこまで差がないが、GPUのスコアが80〜90万くらいまで行くのに対して、いくらか低くでていることから、主にグラフィック性能に違いがあるようだ。だいたい1世代前の「Snapdragon 8 Gen 2」くらいの性能に近いスコアとなった。

ためしに派手なアクションで動作の重たいゲーム「ゼンレスゾーンゼロ」を、推奨画質の「高」で遊んだが、映像が重たくなることもなく、キャラクターを滑らかに操作できた。

「razr 50 ultra」は4000mAhのバッテリーを搭載し、45Wの急速充電、15Wのワイヤレスチャージに対応する。公称値によると約12分間の充電で、最大12時間のバッテリー稼働が可能とのこと。

急速充電の性能をチェックするため、バッテリー0%の状態から同梱する充電器と充電ケーブルを使用し、実際に充電してみた。10分間の充電でバッテリー残量は30%、20分間で58%、45分間で100%に達した。同梱する充電器を携帯しておけば、外出先でも充電に困ることはなさそうだ。

【まとめ】折りたたみを満喫できるフラッグシップモデル

「razr 50 ultra」は、アウトディスプレイの自由度が高く、折りたたみスマートフォンという新しいトレンドを満喫できる一台だ。9月に発売されたミドルスペックモデル「razr 50」も同様に、アウトディスプレイの魅力は存分に味わえるモデルであっただけに、搭載されるプロセッサーの性能差が大きな違いとなる。約12万円〜で手に入る「razr 50」か、プラス約5万円で手に入る最新のフラッグシップモデル「razr 50 ultra」か、実に悩ましい。

関原元気(編集部)
Writer / Editor
関原元気(編集部)
出版社にてメンズファッション誌やWebメディアの編集に長年従事し、現在は「価格.comマガジン」にて、PC、スマートフォン、スマートウォッチ分野を担当。ユーザー目線で、デジタルガジェットの面白さを届けます。
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