世間は夏休みシーズまっただ中。実家に帰省中の人も、これからという人もいるだろう。帰省の際に、両親や親戚からケータイやスマートフォンの買い替えの相談を持ちかけられることは珍しくない。帰省シーズンは、シニア向けスマートフォンやケータイの隠れたハイシーズンでもあるのだ。今回は、先日新色が追加され、さらに「VoLTE」や「ドコモメール」への対応を含むバージョンアップが行われたNTTドコモの「らくらくスマートフォン3 F-06F」(富士通製。以下、らくらくスマートフォン3)を取り上げ、その特徴に迫ってみよう。
ソフトウェアのアップデートでVoLTEやドコモメールに対応したらくらくスマートフォン3。写真は新色のエアーブルーモデル
シニア向けケータイ「らくらくホン」シリーズのスマートフォン版であるらくらくスマートフォン3が登場したのは2014年7月26日。それから1年が経過した2015年7月下旬に、ソフトウェアのバージョンアップが行われ、待望のVoLTEやドコモメールに対応した。また、新色のエアブルーが加わり、既存のホワイト、ブラック、レッドと合わせた4色から選べるようになった。
まず、らくらくスマートフォン3の概要をおさらいしよう。サイズは、約 67 (幅)×137(高さ)×9.9(厚さ)mmで、重量約138gというボディに、720×1280のHD表示に対応する約4.5インチの有機ELディスプレイを組み合わせた中型クラスのスマートフォンだ。
ボディを見ると、通常のAndroidスマートフォンでは前面に3個備わるボタンが「ホーム」ひとつに集約されていることに気付く。また、ディスプレイのタッチパネルは、あえて少し重めにチューニングされた「らくらくタッチ」が採用されており、タッチ操作が実感しやすくなっている。らくらくタッチは設定で、通常のスマートフォンと同じ操作感覚に切り替えることも可能だ。
新色のエアーブルーは、透明感が美しい青磁(せいじ)をイメージ。メニュー画面も本体色と同じ色を使うことで統一感のあるデザインとなっている。
ロック画面は視認性にすぐれたアナログ時計とカレンダー、歩数計、メールや着信などの通知機能で構成されている
タイルが並ぶホーム画面。シンプルな色使いが今までのシニア向けケータイとひと味違う雰囲気をかもし出している。なお、短縮ダイヤルは9件まで登録可能
新色のエアーブルーは、落ち着きと明るさが両立されている
側面のボタンは、電源やマナーなど機能が文字で書かれている
右側面にシャッターボタンが備わる
ブザーやワンセグ用のアンテナも右側面に配置されている
ヘッドホン端子はボディ上面に備わっている
ボディ下面のmicroUSBポートはキャップで覆われている。「急速充電」および「急速充電2」(QuickCharge 2.0)に対応しており、対応のACアダプターと組み合わせて急速充電が行える
従来から搭載されているらくらくタッチだが、チューニングが改善され、より扱いやすくなった
ボディ前面の操作ボタンはひとつに集約されている
バッテリー容量は2100mAh。バッテリーの持続性を示すNTTドコモ独自の指標「実使用時間」は、約72.4時間で電池は長持ちするほうだ
有効画素数約810万画素のメインカメラ。1920×1080のフルHD動画の撮影に対応するほか、陰影の大きなシーンで肉眼に近い印象の静止画撮影が行えるHDR機能も備えている
なお、本機は、従来のらくらくスマートフォンと同様、「Googleアカウント」を登録できない。そのため、「Google Play」を使ったアプリやゲームなどのインストールは行えないほか、「Google Map」や「Gmai」、「Google+」などはアプリではなく、Webブラウザーから使うことになる。そのかわり、NTTドコモの運営するポータルサイト「dメニュー」から、「LINE」を含む10数本程度のアプリをインストールできる。
プリインストールされる主なアプリは、NTTドコモの地図アプリ「ドコモ地図ナビ」や、音声ニュースの「まいチャネルforらくらく」、旅行先で便利な「ご当地ガイド」、「乗換案内」などがある。
ホーム画面から「dメニュー」→「お客様サポートへ」→「ドコモアプリ」→「アプリ一覧」と画面を進めることで、追加可能なアプリの一覧が現れる
ニュースを読み上げる、まいチャネルforらくらく。音声読み上げ機能をオンにすれば、操作画面やWebコンテンツ、設定などを音声で読み上げてくれる
付加機能を見ると、歩数計機能、ブザー、ワンセグチューナーなど、らくらくホンに搭載されていた機能はひと通り備わっている。これに加えて、おサイフケータイや、IPX5/8等級の防水仕様、IP5X等級の防塵仕様をクリア。通信機能ではWi-Fi機能を備えているため、自宅のWi-Fi環境を使えばパケットの消費を抑えられる。
先日行われたバージョンアップでは、新たにVoLTEとドコモメールに対応したことが大きな注目点だ。
VoLTEとは、3Gネットワークを使っていた音声通話を、高速なLTEネットワークで行うというもの。メリットとしては、NTTドコモのVoLTE対応スマホ同士であれば通話音質が向上するほか、テレビ電話機能「ビデオコール」が利用できる。
VoLTEの通話音質は、高音域の改善が顕著で、女性の声や、小さな子どもの話し声で違いを実感しやすい。FOMA携帯電話の頃もテレビ電話機能があったが、ビデオコールはスマートフォンの大画面と高速なLTEネットワークを使っているため、より鮮明な画像のテレビ電話に強化されている。なお、らくらくスマートフォン3のビデオコールは、よりわかりやすいユーザーインターフェイスに改良されている。
ビデオコールのユーザーインターフェイスがらくらくスマートフォン3専用にデザインされており、よりわかりやすくなっている
もうひとつの強化点である、ドコモメールについて解説しよう。従来のNTTドコモのスマートフォンでは、@docomo.ne.jpドメインの、「spモードメール」が使われていた。これは、iモードメールを受け継ぐものだが、アプリを消すとメールデータごと消えてしまうなど安定性に問題があることがたびたび指摘されていた。
いっぽう、ドコモメールは@docomo.ne.jpのメールアドレスはそのまま維持しつつ、メールデータを基本的にサーバー上に保存しておくクラウドサービスに生まれ変わっている。クラウドサービスになったことで、WebブラウザーやPCなどのメールソフトを使って、どこからでもメールをチェックできるようになったのだ。これを使えば、メールの受信はらくらくスマートフォン3で確認しつつ、返信はキーボードのあるパソコンでじっくり行うことも容易だ。もちろんPC上でも絵文字やデコメが使える。
メールデータをサーバー側に保存するドコモメールは、端末の故障でメールが紛失する可能性が低く、端末の機種変更をした場合の乗り換え作業も容易
ドコモメールはPCやタブレットなどのWebブラウザーからアクセスができる。もちろん絵文字やデコメにも対応している
シニア向けのケータイやスマホを選ぶ場合、以下の3つの選択肢が考えられる。
@らくらくホンのようなシニア向けケータイを選ぶ
A通常のスマートフォンをシニア向けホーム画面に切り替えて使う
B本機のようなシニア向けスマートフォンを使う
@は、今までの機能に満足しており、慣れたものを使い続けたい場合の選択肢といえる。Aは、デジタルガジェットが好きで、新しいものを積極的に取り入れたいユーザー向きだ。そしてBは、ちょうど@とAの中間に位置するユーザーが対象で、従来からの機能やシンプルさを維持しつつ、大画面&タッチ操作というスマートフォンらしさも味わいたい人に向いている。
また、NTTドコモの「地図アプリ」がプリインストールされているため、外出の際に魅力的なお店を探すといった、ナビ機能を手軽に活用できる。そのため、旅行などで威力を発揮しそうだ。
NTTドコモの地図アプリが備わっており、不慣れな土地でのナビなどに活用できる
地図とあわせて活用したいのが、日本全国の観光情報やお店情報を満載したご当地ガイド。旅行の際に活用したいアプリだ
さらに、月額2,839円のらくらくスマートフォンシリーズ専用データ通信プラン「らくらくパケ・ホーダイ」を使うことができるので、毎月の料金を安く抑えることができるのも大きな魅力と言えよう。対象料金プランの基本使用料を、最大24か月間、月額1,520円割引く「シニアはじめてスマホ割」の対象機種でもある。
このように見てみると、らくらくスマートフォン3は、活動的なシニアユーザーにより適した特徴を多く備えていることがわかる。VoLTEやドコモメールといったNTTドコモの最新サービスに対応して完成度が高まった今年の夏は、本機の購入を検討するよいタイミングと言えるだろう。