NTTドコモは、アップルの新型スマートフォン「iPhone 6s」と「iPhone 6s Plus」の発売に合わせて、2015年9月25日より下り最大262.5MbpsのLTE通信サービスを開始する。複数の電波を束ねる技術「キャリアアグリゲーション」を利用して、国内最速の通信速度を実現する(NTTドコモ調べ、2015年9月10日時点)。さらに、年内には3つの電波を束ねた「3CC(3 Component Carrier)」を使用した下り最大300Mbpsのサービスも開始する予定だ。それらの概要をお届けしよう。
2020年に予定されている5Gまでのロードマップ。新型iPhoneの発売に合わせて9月25日より下り最大262.5Mbpsのサービスを開始する。年内に300Mbps、2016年にはTDD-LTEの370Mbpsのサービスも開始する予定だ
NTTドコモは2015年9月15日、報道陣向けに「PREMIUM 4G」の説明会を開催した。同社は、キャリアアグリゲーションを利用したサービスをPREMIUM 4Gという名称で提供している。同サービスは2015年夏モデルのAndroidスマートフォンや、最新のモバイルWi-Fiルーターなどで利用可能だ。今回発表されたのは、iPhone 6sとiPhone 6s Plusで対応するPREMIUM 4Gのサービスで、従来の225Mbpsを上回る下り最大262.5Mbpsを実現する。これは、112.5Mbpsの2.1GHz帯(バンド1)と、150Mbpsの1.7GHz(バンド3)を束ねたもので、新型iPhoneが発売される9月25日に合わせてサービスを開始する。
262.5Mbpsの対応エリアは、既存のPREMIUM 4Gのエリア展開と同様、ユーザーが集中する都市部のターミナル駅などから広げる方針となっている(対応エリアについてはNTTドコモのWebページを参照)。
これに加えて、冬モデルとして発表するAndroidスマートフォンでは、2.1GHz帯(バンド1)、1.5GHz帯(バンド21)、800MHz帯(B19)の3波を束ねた3CCを利用して下り最大300Mbpsのサービスを開始する。さらに、2016年には、3.5GHz帯(バンド42)を使った370MbpsのTDD-LTEサービスも開始する計画だ。
2014〜2016年というタイムスパンに限って見ても、150Mbps→225Mbps→262.5Mbps→300Mbps→370Mbpsというハイペースで、ネットワークを増強しており、NTTドコモが通信需要に対して先回りしてインフラ整備を行っていることがわかる。
PREMIUM 4Gでは、4種類の電波の組み合わせでキャリアアグリゲーションを行うが、利用する組み合わせは端末によって異なる
NTTドコモのLTE基地局には「高度化C-RAN」という技術が使われており、端末との通信状況が最適化されている
PREMIUM 4Gは、これまで通り、都市部のターミナル駅や繁華街のようにユーザーの集中する場所から重点的にエリア展開を進めてゆく
NTTドコモのネットワーク担当取締役常務執行役員、大松澤清博氏がプレゼンテーションを行った
最近のスマートフォンの通信事情を、ユーザーの実感レベルで見ると、カタログ値のピーク速度が、使い勝手に直接大きな影響を与えているとは言い難いところがある。率直に言えば150Mbpsが265.5Mbpsに向上しても、そのカタログ値に近いスピードが出るのは、かなり限定的な状況だけだろう。
しかし、今回発表されたPREMIUM 4Gに意味がないかというと、決してそういうことはない。PREMIUM 4Gの中核となる複数の回線を束ねるキャリアアグリゲーションという技術は、ネットワークにかかる負荷を分散させることで、ユーザーの集中する都市部のラッシュアワーや繁華街などでの実効速度を改善する効果が期待できる。
特に、NTTドコモのiPhoneでは、今回発売されるiPhone 6sとiPhone 6s Plusが初のPREMIUM 4G対応製品ということもあり、従来と比べて混雑時の通信環境が大きく改善される余地がある。主要3キャリアがiPhoneを取り扱うようになって、今年は3シーズン目となるが、NTTドコモは通信環境で他社のiPhoneとの違いをアピールすることになった。
キャリアアグリゲーションは、通信インフラを効率的に利用するのに効果的な技術だ
山手線の各駅のラッシュ時における実行速度を、従来のLTEとPREMIUM 4Gとで比較すると約4倍の違いがある。特にJR渋谷駅では19倍もの差が出た(NTTドコモ調べ)
iPhone 6sやiPhone 6s Plusでは、全国640都市でPREMIUM 4Gを利用可能となる