ソフトバンクとワイモバイルが、2015年秋および2016年春モデルとして、Androidスマートフォンなど12機種を発表した。高性能な「Xperia Z5」や「AQUOS Xx2」、最新の「Android 6.0 Marshmallow」を採用した「Nexus 6P」「Nexus 5X」など、特徴的な製品が目立つ。各モデルの特徴をくわしくレポートしよう。
ソニーのXperia Z5がソフトバンクでも取り扱われる。概要は、ほかのキャリアから発表済みのXperia Z5とほとんど同じだ。約5.2型のフルHD液晶やオクタコアCPU「Snapdragon 810」、3GBのRAMや32GBのストレージを備え、今回発表されたモデルの中ではハイスペックな1台だ。
色域や視野角が広がった新しい「トリルミナスディスプレイ for Mobile」や、ソニーの「MDR-NC750」など一部の対応イヤホンやヘッドホンと組み合わせることで、ハイレゾ音源再生時でもデジタルノイズキャンセリングを併用できるなど、Xperia Zシリーズの特徴であるAV性能が今まで以上に強化されている。
シリーズのもうひとつの特徴であるカメラ機能も強化されている。メインカメラの画素数が従来の約2070万画素から約2300万画素に高画素化されたほか、レンズも25mmから24mmに広角化された。インカメラについても、約510万画素と25mmの広角レンズが組み合わされており、流行の自撮りがより行いやすくなっている。ソフトウェア面も強化されれており、オートフォーカスの合焦速度が一眼カメラ並みの0.03秒に高速化されている。これにより、ペットや子供、乗り物など動く被写体でも今まで以上にブレを抑えた撮影が行いやすくなっている。また、動画撮影時の手ブレ補正も強化され、自転車に装着した場合に発生しやすい高周波の振動にも対応した。
発売は10月下旬の予定だ。
先日グーグルから発表された、Android 6.0 Marshmallowを採用する2機種のNexusシリーズのうち大型モデル「Nexus 6P」がソフトバンクから発売される。
Android 6.0では、指紋認証をOSレベルでサポートしているほか、従来のスリープモード以上にバッテリー消費を抑える「Dozeモード」、操作中に知りたい情報をレコメンドしてくれる「Now On Tap」などが搭載されている。ハードウェアでは、リバーシブル構造のUSB Type-Cコネクターに対応した。このNexus 6Pは、それらの新機能が網羅され、グーグルが考える次世代Androidスマホの姿を体現している。
Nexus 6Pは、1440×2560のWQHD表示に対応する約5.7型有機ELディスプレイに、オクタコアCPUのSnapdragon 810と3GBのRAM、64GB(グラファイト、フロスト、ゴールド)または32GB(アルミニウム、グラファイト)のストレージを組み合わせている。
本機のハードウェアでは、USB Type-Cの採用がやはり注目だ。USB Type-Cでは、ピン数が従来よりも増えているなど物理層レベルで余裕があり、3Aという大電流で充電が行える。これにより、対応のACアダプターを使えば、本機の3450mAhという大容量バッテリーをわずか約105分でフル充電できる。この速度は、3000mAh前後のバッテリーをフル充電するのに大体150〜160分くらいかかっていたことと比べると(Quick Charge 2.0使用時)、大幅なスピードアップだ。
発売は、10月下旬の予定だ。
ソフトバンクから登場するAQUOSシリーズは、今回2機種が発表された。そのうち5.2型のディスプレイを備えた大型モデルがAQUOS Xx2だ。
本機は、約5.7型ディスプレイを備えた前機種の「AQUOS Xx」と比較するとボディが小型化された。また、発熱問題が指摘されるオクタコアCPUではなく、ヘキサコアCPUの「Snapdragon 808」を採用している点や、従来モデルから100mAh増えた3100mAhのバッテリーを備えるなど、バッテリーの持続性や発熱に配慮されている。
デザインは、狭額縁設計を突きつめた「EDGEST」デザインや、背面のメインカメラ周辺のデザインなど、最近のAQUOSシリーズと共通する部分が多い。ソフトバンクから登場するAQUOSシリーズは、先鋭的な製品が多いが、今回は機能とデザインの両面で、万人受けしやすい製品と言えるだろう。
シャープ自慢の「IGZO」液晶はそのままだが、駆動速度が倍の120Hzに引き上げられた「ハイスピードIGZO」に強化され、動画表示などで残像感の少ない映像を映し出すことができる。
また、ソフトウェアの面ではAQUOSシリーズの特徴である人工知能「エモパー」がバージョン3.0になり、大まかな予定を指定するだけで使える音声メモ機能を備えるなど、より実用的な機能へと進化している。
発売は11月中旬を予定している。
今回発表されたもう1機種のAQUOSが、「AQUOS Xx2 mini」だ。1080×1920のフルHD表示に対応する約4.7型液晶を備えつつ、狭額面設計を徹底させることで、横幅が約66mm、重量約121g(いずれも暫定値)という小型軽量ボディを実現している。なお、液晶ディスプレイに倍速駆動のハイスピードIGZOが使われているほか、ヘキサコアCPUのSnapdragon 808や3GBのRAMを備えるなど上位機種のAQUOS Xx2に肉薄するスペックを誇る。
デザインはAQUOS Xx2をそのまま小さくしたような印象。幅の狭さと重量の軽さのおかげで、コンパクトさが強く実感できる。この小さなボディに2810mAhという大容量のバッテリーを搭載しているのも見逃せない。駆動時間などのスペックは現時点では不明だが、小型かつ低消費電力のIGZO液晶と、ヘキサコアCPU、そして大容量バッテリーは、電力消費の面で有利な組み合わせなので、小型かつバッテリーが長持ちするスマートフォンとして注目したい。
発売は2016年1月中旬の予定だ。
Nexusシリーズの取り扱いでは実績豊富なワイモバイルだが、今期は約5.2型液晶を備える「Nexus 5X」を、NTTドコモとともに取り扱うことになった。
Android 6.0を搭載し、指紋センサーやUSB Type-Cといった新しいハードウェアを採用しており、次世代のAndroidスマートフォンのありかたを提示している点は、Nexus 6Pと同じだ。なお、Nexusシリーズの特徴であるワイヤレス充電には対応しない。
フルHD対応の約5.2型液晶ディスプレイで、ヘキサコアCPUのSnapdragon 808と2GBのRAMを組み合わせる。ストレージについては16GBモデルと32GBモデルの2種類が用意される。
こちらも、ワイモバイルで新たに扱うスマートフォン。HD表示対応の約5.0型液晶を備え、オクタコアCPUの「Kirin620」(1.2GHz)と2GBのRAM、16GBのストレージを組み合わせたエントリークラスの製品だ。サイズは、約71(幅)×143(高さ)×7.7(厚さ)mm、重量は約131g。
本機のデザインモチーフおよびシルエットは、ワイモバイルのサービス開始時に発売された「STREAM S」とよく似ている。約1300万画素のメインカメラと、約500万画素のサブカメラを組み合わせているが、従来機種同様、画素数の高いサブカメラが特徴で、搭載される美白補正を使って、見映えのする自撮りが行える。
発売は、10月下旬以降を予定している。
ソフトバンクで取り扱われるAndroidタブレット。このクラスのAndroidタブレットとしては少し大きめな約8型の液晶ディスプレイは、1280×800表示に対応する。MediaTek社製のクアッドコアCPU「MT8735(1.3GHz)」と2GBのRAM、8GBのストレージを備えており、処理性能は全般に控え目で、価格重視の製品のようだ。
サイズは、約212.3(幅)×125.5(高さ)×9.3(厚さ)mm、重量は約353g。厚みが少々気になるが、エッジ部分をラウンドさせており、持ちにくいということはない。通信機能を見ると、音声通話には対応していないが、プラチナバンドを含む3G通信および、Hybrid 4G LTEに対応している。
発売は11月下旬を予定している。
au、NTTドコモに続き、ソフトバンクとワイモバイルからも、Androidを使ったケータイ“ガラスマ”が登場する。今回発表されたのはソフトバンクとワイモバイル両方で取り扱いされる「AQUOS ケータイ」(シャープ製)と「DIGNO ケータイ」(京セラ製)、ソフトバンクのみ取り扱う「かんたん携帯9」(シャープ製)の3機種だ。いずれも、閲覧できるWebコンテンツがスマートデバイス系のものに切り替わっているほか、SNSアプリの「LINE」に対応している。
AQUOS ケータイは、利用する通信方式が3Gだが、DIGNO ケータイとかんたん携帯9は、FDD-LTEにも対応している点が異なる。
発売は、AQUOS ケータイが11月下旬、DIGNO ケータイが2016年3月中旬、かんたん携帯9も同年3月上旬に予定されている。
Wi-Fiルーターは2機種がラインアップされた。1機種はソフトバンクとワイモバイル両方から登場するHybrid 4G LTE対応モバイルWi-Fiルーターの「Pocket WiFi 502HW」(ファーウェイ製)で、AXGPをキャリアアグリゲーションすることで下り最大187.5Mbpsの通信速度を実現している。また、フルセグおよびワンセグのテレビチューナーを備えており、テレビ機能のないiOSおよびAndroidスマホやタブレットでもテレビを見られる。
もう1機種の「Airターミナル2」(ファーウェイ製)は、パケット使い放題の「Softbank Air」に対応したACアダプター駆動型Wi-Fiルーターだ。主回線としてAXGPを使う点は従来と同じだが、4x4 MIMOやキャリアアグリゲーションといった高速化技術を取り入れることで、従来の110Mbpsよりも倍以上速い261Mbpsのダウンロード速度を実現している。
Pocket WiFi 502HWは10月9日に発売済み、Airターミナル2は、12月に発売予定となっている。