レノボ・ジャパンは2016年2月9日、都内の国立新美術館で製品発表会を開催し、「X1」シリーズを発表した。X1シリーズは、先進的な技術やデザインを取り入れた製品群で、1992年に日本の大和研究所で誕生したThinkPadの2016年現在の集大成とも言えるシリーズだ。発表会での情報を交えながら、X1シリーズの特徴を紹介しよう。
「ThinkPad X1 Tablet」は、12型液晶(2160×1440)を搭載する2in1タイプのWindowsタブレット。「ThinkPad Helix」の後継機種で、本体の下に取り付けられる3つのモジュールにより、さまざまな機能を追加できるのが特徴だ。
「プロダクティビティ・モジュール」はバッテリーを内蔵しており、本体内蔵のバッテリーと合わせて最大15時間のバッテリー駆動が可能となる。USB3.0ポートやHDMI出力ポート、OneLink+ポートを備えており、拡張性も高められる。「プレゼンターモジュール」は、2m先に60型の画面を投影できるピコプロジェクターとHDMI入力ポートを備えた、プレゼン用のモジュール。本体内蔵のバッテリーを使用せずに約2時間投影できる。「3Dイメージングモジュール」は、インテルの3Dカメラを使って、3Dデータを取り込み、3Dプリンターで出力できるモジュールだ。具体的な例は示されなかったが、AR(拡張現実)利用による新しい使い方も提案するという。
12型液晶(2160×1440)を搭載するThinkPad X1 Tablet。CPUにはCore mプロセッサーを採用する
プレゼンターモジュールを取り付ければ、2m先に60型の画面を投影できる
本体は背面のキックスタンドにより自立する仕組み。マグネットで固定する専用キーボードは角度を3段階で調整できる。トラックポイントやバックライトを備えたThinkPadらしい完成度の高いキーボードだ。本体サイズと重量は、タブレット単体が約 291(幅)×209.5(奥行)×8.45(高さ)mm/約767g、キーボード装着時が約 291(幅)×209.5(奥行)×13.65(高さ)mm/約1.065kg。
主なスペックは、CPUがCore mプロセッサー、メモリーが4GB/8GB、ストレージが192GBのSSDなどを備える。カスタマイズモデルではSIMフリーのLTEモデルも用意する。直販価格は188,000円(税別)から。専用キーボードの「ThinkPad X1 Tablet Thinキーボード」は20,000円(同)。
ThinkPad X1 Tablet Thinキーボードを装着すれば、ノートパソコンとして利用できる
キーボードは角度を3段階で調整できる
画面が360度回転するヨガスタイルのノートPC。コンバーチブルタイプでありながら、ほかのX1シリーズと同様、厚さ16.8mm、重量約1.27kgの薄型・軽量ボディが特徴だ。タブレットモードにするとキーボード面がフラットになり、キーをロックする「Lift’n Lockキーボード」を採用。タブレットモード時の誤操作を防げるという。1.8mmのストロークを確保するなど、すぐれた操作性も実現している。
ディスプレイは2560×1440の14型液晶。主なスペックはCPUが第6世代Coreプロセッサー、メモリーが4GB/8GB、ストレージが192GB/256GB/512GB(PCIe NVMeの選択も可能)などとなっている。直販価格で211,000円(税別)から。夏ごろの出荷予定だが有機ELディスプレイ(OLED)を搭載したモデルもラインアップする予定だ。
高解像度な14型液晶を備えるコンバーチブルタイプのThinkPad X1 Yoga
タブレットモードにすると、キーボード面がフラットになり、誤操作を防げるLift’n Lockキーボードを備える
左が夏ごろに発売予定のOLEDモデル。右の液晶モデルと比べると、鮮やかなのが一目瞭然だ
2011年に初代モデルが登場し、大画面のビジネスモバイルノートとして根強い人気の「ThinkPad X1 Carbon」。最新モデルは前世代より10%軽量化したのが特徴で、重量は約1.18kg。カーボン・ファイバー素材を使ったボディは、10 数項目のMIL-SPECテストに合格しており、高い堅牢性を誇る。14型液晶ディスプレイの解像度は2560×1440と1920×1080の2種類を用意。主なスペックは、CPUが第6世代Coreプロセッサー、メモリーが4GB/8GB、ストレージが192GBのSSDなど。直販価格は218,000円(税別)から。
14型の大画面ビジネスノートとして人気のThinkPad X1 Carbon。前世代より10%軽くなった
X1シリーズ初の一体型デスクトップ。フレーム部の厚さが約11mmと薄型のデザインが特徴だ。アルミニウム合金を使用したボディは、ホテルのフロントやカウンター業務を考慮して、背面までていねいに作り込まれている。ディスプレイは23.8型液晶(1980×1080)で、映り込みを抑える微細加工が施されている。
主なスペックはCPUが第6世代のCoreプロセッサー、メモリーが8GB、ストレージが256GBのSSDなど。本体サイズは約570(幅)×240(奥行)×451(高さ)mm、重量は約5.41s(最大構成時)。直販価格は169,000円(税別)から。
23.8型液晶を搭載するThinkCentre X1
シルバーのスタンド、赤のケーブルホールなど、背面までていねいに作り込まれている
国立新美術館で開催された製品発表会には、レノボ本社のバイスプレジデント兼チーフデザインオフィサーのDavid Hill氏が登壇し、ThinkPadのデザイン哲学について説明した。
ThinkPadのデザインは、時代に合わせて変化はしているものの、黒を基調としたデザインは、1992年の初代モデルから20年以上変わっていない。David氏はデザインのアプローチについてポルシェ911シリーズを例に、「少しずつ改良を加えていくことが、モノを改善する最善の手法である。前作を超えていくのがThinkPadの伝統と文化。サムライの刀のようなもの」と語った。
また、「ThinkPadはアート(芸術作品)であり、機能も兼ね備えている。ThinkPadは身近に手にすることができる芸術作品と言えるが、完璧を求める我々の旅に終わりはない」と述べ、引き続きデザインに注力していく姿勢を示した。
David氏は、ThinkPadデザインの生みの親であり、昨年2015年に亡くなったプロダクトデザイナー、Richard Sapper氏のコメントを紹介。同氏が生み出したThinkPadの革新的なデザインは、20年以上経った今も受け継がれている
ThinkPadのデザインは、日本の松花堂弁当からインスパイアされたのは有名な話だ