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2万円以下のSIMフリースマホ「Priori 3S LTE」の実力をチェック!

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オリジナルのSIMフリースマートフォン(スマホ)で知られる「フリーテル」。その最新モデル「Priori 3S LTE」は、競合ひしめくSIMフリースマホ市場にあって話題を集める1台だ。その理由や特徴に迫ってみよう。

低価格機ながら異例とも言える4000mAhの大容量バッテリーを備えるPriori 3S LTE。価格.com最安価格は17,240円(2016年3月4日時点)

4000mAhの大容量バッテリー&HD液晶で2万円以下という高コスパ機

プラスワン・マーケティングがフリーテルブランドで発売しているオリジナルスマホの「Priori」シリーズ。同シリーズは、いずれも1万円台という低価格が特徴だ。今回取り上げるPriori 3S LTEは、2016年2月4日に登場した同シリーズの最新機種。価格.com最安価格は17,240円(2016年3月4日時点)と、同シリーズらしい手ごろな価格が魅力だ。

本機は、2015年11月に登場した「Priori 3 LTE」の派生モデルだが、ディスプレイがFWVGA表示に対応する約4.5インチから、HD表示に対応する約5.0インチのIPS液晶に変更されるととともに、RAMが1GB→2GB、ROMが8GB→16GBへと強化されるなど、表示性能と処理性能がいずれも大幅なレベルアップを果たしている。

その中でも、バッテリー容量は最大の見どころで、従来の2100mAhから一気に4000mAhまでほぼ倍増された。これにより、カタログスペック上では、連続通話時間が約650分→約840分、連続待受け時間は約216時間→約500時間までそれぞれ延びている。

ネットワークは、2G(GSM)、3G(W-CDMA)、4G(LTE)の3規格に対応。LTEの対応バンドはB1/3/7/8/19で、NTTドコモ系のネットワークと相性がよい。なお、通信キャリア製の最新モデルと異なり、VoLTEやキャリアアグリゲーションには対応してない。通信速度も下り最大150Mbpsだ。

HD表示に対応する約5.0インチ液晶ディスプレイを搭載。従来のFWVGAから大幅に表示性能が向上した

HD表示に対応する約5.0インチ液晶ディスプレイを搭載。従来のFWVGAから大幅に表示性能が向上した

マルチタッチは5点まで対応している

マルチタッチは5点まで対応している

nanoSIMとmicroSIMという異なる2サイズのSIMカードスロットを装備する。microSDメモリーカードスロットは128GBまで動作確認済み

そつなくまとまっているが、大容量バッテリーのため本体はやや重い

フリーテルのスマホは、上位機種の「KIWAMI」や「MIYABI」が、和風テイストを取り入れた、なかなか尖ったデザインで人気を博している。それに対して、Prioriシリーズのデザインはオーソドックスだ。だが、細かく見ると、画面を傷から防ぐためにフレームをわずかに隆起させていたり、側面部分を少し削って手になじみやすくするなどの工夫が見られる。これらの細部デザインは珍しいものではないが、使い勝手を高めるものであることは間違いない。

サイズは、約72(幅)×144(高さ)×9.4(厚さ)mmで、重量は約161g。約5.0インチディスプレイを搭載するモデルとしてみると、横幅もそれほど大きくなっていない。ただ前述した大容量バッテリーの影響だろうが、やや重めで、同クラスのスマホと比較しても少しずっしりとした手ごたえがある。

なお、ボディにLEDのインジケーターが搭載されていないことが気になった。そのため、充電状態やメールの確認などはいちいち画面をつけて行う必要がある。これは、通常のAndroidスマホの使い方に慣れているユーザーには少々不便に感じられるところかもしれない。

特長には乏しい背面デザインだが、側面部分を少し削って、手になじみやすいように配慮されている

特長には乏しい背面デザインだが、側面部分を少し削って、手になじみやすいように配慮されている

ディスプレイを囲むフレームがわずかに隆起しており、画面を保護している。なおLEDインジケーターはない

ディスプレイを囲むフレームがわずかに隆起しており、画面を保護している。なおLEDインジケーターはない

MicroUSBポートはキャップレス。防水や防塵には対応していない

MicroUSBポートはキャップレス。防水や防塵には対応していない

処理性能は価格相応だが、ネットワーク機能は高い

処理性能を見てみよう。搭載されるCPUは、MediaTekのクアッドコアCPU「MT6735P (1.0GHz)」で、2GBのRAMと16GBのROM、128GBまで対応のmicroSDXCメモリーカードスロットという組み合わせだ。プリインストールされるOSは「Android 5.1」。

このMT6735Pは、ARMの64ビットコア「Cortex A53」を4個組み合わせたもので、処理性能よりもバランスを重視したものである。ベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク」の総合スコアは23550で、およそ3年前に登場した初期のクアッドコアCPUを搭載するモデルの処理性能に近い。体感速度は、ほとんど不満はないが、画面を素早くスクロールさせた場合の描画の遅れや、負荷の高いRPGゲームを動作させた場合の動作やBGMに引っかかりを感じることがあった。処理性能は価格相応といったところだろう。

AnTuTuベンチマークの総合スコアは23550だった。このスコアは、初期のクアッドコアCPUを搭載したスマホの処理性能に近い

そのいっぽうで、ネットワーク機能はなかなかの充実ぶりで、前述のLTEの5バンドに対応しており、NTTのXiネットワークとの親和性が高い。またWi-Fiについても、低価格機では珍しく5GHz帯に対応しており、より高速なWi-Fiネットワークを利用できる。

低価格スマホながら、5GHz帯のWi-Fiに対応している

低価格スマホながら、5GHz帯のWi-Fiに対応している

このほか、USBメモリーやキーボードなどのUSB機器を接続して利用できるUSBホスト機能に対応している。そのため、USBキーボードを使ってタイピングを行いたい場合や、USBメモリーを使ってデータを共有することができ、より幅広いシーンで活用できるだろう。

USBメモリーなどを接続すれば、外部ストレージとして利用できるUSBホスト機能を搭載している

USBメモリーなどを接続すれば、外部ストレージとして利用できるUSBホスト機能を搭載している

4000mAhの実力は?

本機の大きな魅力であるバッテリー性能に迫ってみよう。従来のPrioriシリーズは着脱式のバッテリーを採用していたが、本機では大容量化に伴って、内蔵式に変更された。

実際のバッテリーの持続性だが、検証期間の7日間で、充電を行ったのは3回だった。待ち受け主体の場合は4日、ベンチマークテストなどでかなり酷使した場合でも24時間以上は余裕で動作した。総じて本機のバッテリー持続性はなかなか優秀な部類だと感じた。

その代わり、4000mAhという大容量のため充電時間は長い。フリーテルのWebサイトでは急速重電に対応していない旨の記載があるが、同梱される1.5AのACアダプターに加えて、手元にあった1.8A出力対応の急速充電対応ACアダプターを使っても約1Aの電流しか受け付けない。バッテリー残量ゼロからフル充電までには3〜4時間程度はかかる。

出力1.5AのACアダプターが同梱されている。急速充電に対応していない本機なら十分の給電能力だ

出力1.5AのACアダプターが同梱されている。急速充電に対応していない本機なら十分の給電能力だ

1週間の検証期間中行った充電は3回。バッテリーの持続性はよい。ただし、時間の都合でフル充電まで行えなかった場合もあった

充電中の電流をモニターしてみた、概して1100mA前後の電流を受け付けており、やはり急速充電には対応していないことが読み取れる

CPUの温度変化をグラフ化。使用中のCPU温度は大体35度前後で推移している

CPUの温度変化をグラフ化。使用中のCPU温度は大体35度前後で推移している

大容量バッテリーによる持続性は価格を超えた価値だ

1万円台後半という、このPriori 3S LTEは、ディスプレイの大きさと解像度、RAMおよびROMの容量が倍増したこと、5GHz帯のWi-FiやUSBホスト機能を備えるなど、安さがとりえのエントリーモデルの域を脱している。

処理性能や表示性能といった基本性能を見ると、一部のゲームなどのマルチメディア処理を目的にしないのであれば十分実用になるだけの能力があるだろう。加えて、4000mAhという大容量バッテリーの恩恵はやはり絶大なものがあり、凡百なSIMフリーススマホとはひと味ちがうスタミナを備えている。体感的には、バッテリーの持続性でずば抜けた性能を誇る国内メーカー製スマホに近いものがある。この点は、低価格スマホのライバルたちに対する大きな優位性であろう。

気になった点としては、LEDのインジケーターがないこと、バッテリーが急速充電に対応していないこともあって充電に時間がかかることが挙げられる。いずれも本機の価格を考えれば仕方ないが、日々使うにあたり、それなりに配慮が必要な要素と言えるだろう。

田中 巧(編集部)
Writer / Editor
田中 巧(編集部)
通信を中心にしたIT系を主に担当。Androidを中心にしたスマートデバイスおよび、モバイルバッテリーを含む周辺機器には特に注力している。
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