デルは、タブレットとしてもノートパソコンとしても使える、いわゆる“2in1”に力を入れているメーカーだ。コンパクトな11.6型モデルから大画面の15.6型モデルまで5シリーズをラインアップする。今回は、その中でも汎用性の高い13.3型モデルの「Inspiron 13 5000 2-in-1」を取り上げたい。際立った特徴こそないものの、価格、性能、携帯性のバランスのとれたモデルだ。地味だが、実用度が高く、あなどれないモデルと言える。Inspiron 13 5000 2-in-1の実力をチェックしたい。
今回はInspiron 13 5000 2-in-1の最上位機種「プラチナ・フルHDタッチパネル」モデルを試用した。価格.com最安価格は104,980円(2016年7月22日時点)
Inspiron 13 5000 2-in-1は、フルHD解像度の13.3型液晶ディスプレイを搭載する2in1タイプのノートパソコンだ。ディスプレイ部分が360度回転し、タブレットとしても利用できる。
ディスプレイ部分が回転する2in1タイプのノートパソコンは、「ノートパソコン」「タブレット」「テント」「スタンド」という4つのスタイルで使えるのが特徴だ。ただ、実際のところは、テントとスタンドで利用する機会はそれほど多くないだろう。それよりも、クラムシェルの一般的なノートパソコンと使い勝手がほとんど変わらないのが魅力だ。日本マイクロソフトの「Surface」や東芝の「dynabook RX82/A」などのタブレット本体とキーボードが分離するタイプは、膝の上で使いにくかったり、ディスプレイの開閉角度が狭かったりする。それに対して、ディスプレイ部分が回転するInspiron 13 5000 2-in-1は、膝の上でも使いやすいし、ディスプレイ部分も180度まで開く。2in1に興味はあるが、通常のノートパソコンと同じように使いたいという人にはぴったりのモデルなのだ。
ボディは樹脂製でカラーはガンメタリック。シンプルなデザインで、ビジネスでもプライベートでも違和感なく使えそうだ。ただし、最近は金属ボディのモデルが多く、それらに比べると高級感はない。本体サイズは324(幅)×224.8(奥行)×19.5〜20.4(高さ)mm、重量は実測で1.59kg(カタログスペックは約1.62kg)。毎日持ち歩く人にはおすすめしにくいが、たまに持ち歩くという人にとっては十分持ち歩ける重さだ。
ヒンジは、2万回開閉しても緩まない頑丈設計。片手で開閉するのは難しいが、その分、好みの位置でしっかりと固定される。ヒンジ自体もコンパクトな作りで、2in1だからといって厚みやサイズがいたずらに大きくないのも好印象だ。
シンプルなデザインでビジネスでもプライベートでも違和感なく使えそうだ。最近は、丸みを持たせたモデルが多いが、本モデルはシャープなフォルムなのがカッコいい
ディスプレイ部分が360度回転するので、写真のように180度に開いて使うことも可能だ
プレゼンや映像の視聴など、キーボードを使わない用途で役立つスタンドスタイル
タッチの精度は必要十分。ペン入力に関しては、Surfaceなどに比べると精度や使い勝手は劣る。ペン入力を重視する人はほかのモデルを選んだほうがよさそうだ
キーボードのキーピッチは実測で18mmと、モバイルノートとしては標準的だ。キー配列もオーソドックスだが、スペースキーと無変換/変換キーの間、「む」キーとエンターキーの間が狭いなど、少しだけ変わっている箇所がある。タイピング自体は、はっきりした打鍵感があり、気持ちよくタイピングできた。ただ、タイピング音が少し大きいので、静かな場所だと周りの人が気になるかもしれない。タッチパッドは、1枚板タイプで、クリックボタンの左右を分けるラインが入っている。
使い勝手の面では、「Windows 10」の生態認証機能「Windows Hello」に対応した赤外線カメラを搭載するのが特徴だ。Webカメラに顔を向けるだけで、パスワードを入力せずにログインできる。肝心の精度やスピードも不満のないレベルだ。ときどき、上手く認識されないときがあったが、カメラから顔を外して再度カメラに向けるとすぐに解除された。今年の夏に提供される予定の「Windows 10 Anniversary Update」では、Webブラウザー「Microsoft Edge」でも、Windows Helloが利用できるようになるので、今後はより利用頻度が増えそうだ。
フルHD解像度のディスプレイは、高精細だが、コントラストがやや低く感じた。タッチパネルの感度は必要十分。ペンは付属しないが、別売りで用意する。
標準的な配置のキーボードだが、エンターやスペースキーが隣接するキーと近いなど、少しだけ変わっている部分がある
バックライトを搭載しており、かなり明るく光る
Windows Helloに対応する赤外線カメラを搭載する
今回試したモデルは「プラチナ・フルHDタッチパネル」モデルという最上位機種だ。CPUには最新の「Core i7-6500U(2.50GHz、最大3.10GHz)」を採用。メモリーは8GB、ストレージには256GBのSSDを搭載する。直販価格は124,980円(税別)だ。パソコンの総合的な性能を測る定番ベンチマークテストソフト「PCMark 8」(Futuremark)の「Home accelerated」では、3109というハイスコアを記録。ストレージの性能を測定する「CrystalDiskMark 5.1.2 x64」(ひよひよ氏作)でもリードが530.4MB/sと上々の結果だった。PCI Express接続のNVMe M.2 SSDを搭載するモデルと比べると性能は劣るが、OSの起動も高速で、快適に利用できる。
このほか、Core i3-6100U(2.30GHz)/4GB メモリー/500GB HDDを搭載する「スタンダード・フルHDタッチパネル」モデル(直販価格は税別74,980円)とCore i5-6200U(2.30GHz、最大2.80GHz)/8GB メモリー/256GB SSDを搭載する「プレミアム・フルHDタッチパネル」モデル(直販価格は税別104,980円)をラインアップする。スタンダード・フルHDタッチパネルモデルが搭載するCore i3-6100Uは、日常使いには十分な性能を持っているが、ストレージがHDDなのが気になるところだ。価格と性能のバランスを考えるとプレミアム・フルHDタッチパネルモデルがベストかもしれない。
PCMark 8の結果。Home acceleratedでは3000オーバーのスコアだった。モバイルノートとしては優秀だ
CrystalDiskMark 5.1.2 x64の結果。PCI Express接続のNVMe M.2 SSDと比べるとスコアは低いが、HDDよりレスポンスは快適だ
外部インターフェイスは、左側面にHDMI出力端子、USB3.0端子×2、ヘッドホン出力を搭載する
右側面には、電源ボタン、音量調整ボタン、SDメモリーカードスロット、USB2.0端子も備える。左右にUSB端子があるのはありがたい
もう少し高級感のある、見た目のカッコいいモデルが好みなら、上位シリーズの「Inspiron 13 7000 2-in-1」を選ぶといいだろう。こちらは金属ボディで、高級感のあるモデルだ。天板にはヘアライン加工が施してある。スペックはInspiron 13 5000 2-in-1よりもハイスペックな構成が選択可能。直販価格は、Core i5-6200U/8GB メモリー/256GB SSDを搭載する「プレミアム・フルHDタッチパネル」モデルが109,980円(税別)。Core i7-6500U/12GB メモリー/512GB SSDを搭載する「プラチナ・フルHDタッチパネル」モデルが139,980円(税別)。
金属ボディのInspiron 13 7000 2-in-1
Inspiron 13 5000 2-in-1(左)と比べると、金属ボディのInspiron 13 7000 2-in-1(右)のほうがスタイリッシュだ
Inspiron 13 5000 2-in-1は、バランスのとれた2in1ノートパソコンだ。重量が約1.5kgあり、携帯性という点ではほかのモデルより劣るが、フルHD解像度の13.3型液晶ディスプレイを備え、CPUにCore i3-6100Uを搭載するスタンダード・フルHDタッチパネルモデルなら7万円台で購入できる。メインパソコンとして使うなら、プレミアム・フルHDタッチパネルモデルを選ぶといいだろう。8GBのメモリーを搭載しており、ストレージも256GBのSSDだ。携帯性は高くないが、それ以外の部分に大きな弱点は見当たらない。2in1タイプのパソコンを探していて、持ち運ぶ頻度が高くなければ、購入を検討して見る価値はあるだろう。